
Shiggy Jr.が再出発の決意を語る「色々なことを考えた1年だった」
Shiggy Jr.『SHUFFLE!! E.P.』- インタビュー・テキスト
- 矢島由佳子(CINRA.NET編集部)
- 撮影:西田香織 ヘアメイク:木内真奈美 スタイリスト:ERICA MIMURA
2015年6月、レコード会社の争奪戦の末に、エレファントカシマシやback numberらが所属する「ユニバーサルシグマ」から、「ポップでポップなバンド」というキャッチコピーでメジャーデビューしたShiggy Jr.。昨年10月に1stアルバムをリリースしたあと、レコード会社も所属事務所も移籍し、このたび、まったくの新しい環境で「メジャー第2章」をスタートさせる。
第2章の1ページ目に描かれる新作『SHUFFLE!! E.P.』は、改めて、Shiggy Jr.にしか鳴らせない、ソングライター・原田茂幸にしか作れない音楽がある、ということを明確に示すものとなっている。「Shiggy Jr.にしか」「原田茂幸にしか」なんて、こうやって文字で書くのはいとも簡単なわけだが、彼らは確実に自分たちのオリジナリティーややるべき表現を見つけ出した。
若手バンドとして勢いよくリリースを重ねたかったはずのタイミングに、1年1か月ものあいだ、四人はミュージシャンとして、そして大人として、なにを考え、悩み、そしてどうやって答えを導き出したのか? 今のShiggy Jr.はもう、単なる「ポップでポップなバンド」ではない。
結果として、事務所にも入って、メジャーでやるという形ですけど、色々なことを考えた1年だったなと。(原田)
―1stアルバム『ALL ABOUT POP』のリリース後、新作の発表がなく(1曲の配信限定シングルを除く)、事務所もレーベルも移籍するという時期を過ごしていたわけですが、Shiggy Jr.(以下、シギー)にとってはどんな1年1か月だったと言えますか?
原田(Gt):まあ、それぞれ色々なことを考えていたんですけど……。
池田(Vo):なんだろうね、一言で言うなら……。
―一言で言えるものですか?
池田:言えない(笑)。
原田:前の事務所を離れたあと、別の事務所に入らず、自分たちだけでやるという選択もあったと思うし、CDだってインディーズから出してもよかったと思うし。メンバーがそれぞれの活動をする、という選択もあっただろうし。結果として、新しい事務所に入って、レコード会社もメジャーのビクターとやるという形ですけど、色々なことを考えた1年だったなと。
―シギーは、メジャーデビュー前の取材(次世代ポップシーンの最注目株 Shiggy Jr.インタビュー)から「自分たちの音楽をお茶の間にまで届けたい」って断言していたし、大衆に届くポップスをやるというのが芯にあるバンドだから、インディーズでやるとか、音楽を趣味としてやっていくみたいな選択肢は、絶対にないものだと勝手に思ってたんですけど。それを考える瞬間もあったということですか?
原田:俺はないですけど。メジャーでしかやるつもりなかったし、事務所なしでは絶対に無理だと思ったから。でも、メンバーそれぞれに考えがあったと思う。
諸石(Dr):自分たちだけでやろうって、試そうとはしたよね。今年2月に対バンツアー(『なんなんスかこれ。vol.4』)をまわったときは、自分らで物販スタッフを呼んだり、宿も取ったり。
―そんなことをトライした時期もあったんですね。
原田:自分たちでやろうと思えばできるんだけど、やっぱり小さくやりたくない、デカくやりたいって思うから。
―1stアルバムを出して、レコード会社から離れることになったとき、バンドのモードとしてはどんな感じだったんですか? 前向きだったのか、ズーンとしちゃってたのか。
原田:そんなに、ズーンって感じではなかったよね。
諸石:11月のワンマンのあとは、活動自体少し落ち着いて。とにかく次の対バンツアーに向けて動き出した、って感じだったかな。
池田:私は……少しこもってました(笑)。実家に長く帰ったりもして、そのあいだに色々なことを考えました。でも、その時間があってよかったなと思っていて。そこで出した答えはもう全然揺るがないから、必要な時間だったなって。
―どういう思考回路を経て、最終的に前向きな答えが出せたんですか?
池田:信じてきたものとかやってきたことを、自分のなかでどこに置いたらいいんだろうと思ったり。自分の気持ちが、なんかこう……追いついてないなって思うところもあって。でも、色々なことを考えてたら、答えが見えてきたんです。
―バンドにとっての音楽、だけじゃなく、たとえば広告を作ってる人とか、一般企業で働いてる人にとってもそうだと思うんですけど、自分が信じたことや頑張ったことに数字的な結果が伴わなかったときって、かなりショックが大きいと思うんですよ。そういう場合に、池田さんはどうやって起き上がってまた前を向けたのだろうって。
池田:私の場合、結局、歌以外のことは全然できないなって思ったんですよね。これは別にかっこいい話とかではなく、本当に、他のことが全然できないんですよ。だからやっぱり歌を歌いたいなって思ったし。
もちろん、待ってくれてるお客さんがいたことにも助けられました。あとは(原田)茂幸くんが自分でも言ってたみたいに、ズーンともなんともなってなくて、「曲作り続けて、やるでしょ」みたいな、変わらない感じだったんですよ。その姿に「そうだよな」って思わされたし、「茂幸くんの作る歌をちゃんと歌いたいな」と思ったんです。
リリース情報

- Shiggy Jr.
『SHUFFLE!! E.P.』初回限定盤(CD+DVD) -
2017年11月22日(水)発売
価格:2,484円(税込)
VIZL-1265[CD]
1. 誘惑のパーティー
2. 僕は雨のなか
3. 二人のストーリー
4. Juuuump!!
5. 約束
[DVD]
1. 僕は雨のなか(Music Video)
2. 僕は雨のなか(MVメイキング)

- Shiggy Jr.
『SHUFFLE!! E.P.』通常盤(CD) -
2017年11月22日(水)発売
価格:1,620円(税込)
VICL-648821. 誘惑のパーティー
2. 僕は雨のなか
3. 二人のストーリー
4. Juuuump!!
5. 約束
イベント情報
- 『Shiggy Jr. NEW EP「SHUFFLE!! E.P.」リリース記念 アコースティックミニライブ & サイン会』
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2017年11月25日(土)
会場:大阪府 タワーレコード梅田NU茶屋町店 6Fイベントスペース2017年11月25日(土)
会場:愛知県 名古屋 パルコ西館1Fイベントスペース2017年11月26日(日)
会場:東京都 タワーレコード渋谷店 4F イベントスペース
- 『Shiggy Jr. presents「High 5 Anniversary」』
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2017年12月5日(火)
会場:東京都 恵比寿 LIQUIDROOM
プロフィール

- Shiggy Jr.(しぎー じゅにあ)
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2012年12月、池田智子(Vo)、原田茂幸(Gt,Vo)を中心に結成。2013年11月にリリースした1st EP『Shiggy Jr. is not a child.』が、WEBを中心に話題となり注目を集める。2014年2月に森夏彦(Ba)、諸石和馬(Dr)が加入し、現体制となる。7月、2nd EP『LISTEN TO THE MUSIC』をリリース。江口寿史がジャケットにイラストレーションを描き下ろした事も話題となり、インディーズとしては異例のヒットを記録。2015年6月24日に1st single『サマータイムラブ』でユニバーサルシグマよりメジャーデビュー。2016年10月26日、1stアルバム『ALL ABOUT POP』をリリース。2017年9月には新たなステージへと向かう、赤坂BLITZファイナルを含む2年ぶりのワンマンツアーも大盛況に終え、フジテレビドラマ『ぼくは麻理のなか』の主題歌に書き下ろしの新曲“僕は雨のなか”が決定。そして、11月22日にはバンドにとって新機軸と言える全5曲を収録した、約1年ぶりの新譜『SHUFFLE!! E.P.』のリリースが決定している。今活躍を期待されているシティポップバンドShiggy Jr.。