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Taiko Super Kicksが鳴らす、閉塞した世界への静かなる反抗

Taiko Super Kicksが鳴らす、閉塞した世界への静かなる反抗

Taiko Super Kicks『Fragment』
インタビュー
北沢夏音
インタビュー・テキスト:天野史彬 撮影:馬込将充 編集:山元翔一

 

閉じ籠っている状態のときって、「なにかする」っていうことが大変だったりするじゃないですか。(伊藤)

北沢:あと、歌詞を1曲目から10曲目まで順番に読んでいくと、閉じ籠っていた人が、新しい一歩を踏み出していくまでの記録っていう感じがする。

伊藤:それはやっぱり、自分自身がそうだったから。私小説的であるがゆえに、『Many Shapes』よりも、歌詞の意味は伝わりやすいんじゃないかと思うんですよ。

北沢:うん、そうだと思う。いま、社会的にも、精神的にも、閉じ籠ってしまう人は多いと思うから。閉じることでしか、自分を守ることができない人もたくさんいる。

だから、8曲目“悪いこと”の<窓から窓へ飛び移っては 知らない友達を作る>っていうヴァースは「そうだよなぁ」って思うし、それに続く9曲目“無縁”の出だし、<あなたのことだと思っていないことはほとんど、あなたのこと 無縁でいるのは、何より簡単で何より難しい>っていうのは、すごいパンチライン。これは、真実を凝縮させた、ひとつの結論に近い歌詞だと思った。

北沢夏音

伊藤:ありがとうございます。ここまでバチッと歌詞で言い切ったのは、これまでなかったです。ハッキリと言いすぎて、心配になったぐらいで。

北沢:これって、いろんなことが当てはまる歌詞だよね。日々、勝手に飛び込んでくるニュースも、無縁でいたいニュースばかりだけど、でも、無縁ではいられないことばかりで。

伊藤:生きていくって、そういうことですよね。「どうでもいいよなぁ」って思うことも「なんで、こんなことが起こるんだろう?」って思うこともある。

北沢:ただ、その次の“フラグメント”の、<プロレスでも見てみようか それもありだ>っていうのは、不思議なフレーズだよね。「プロレス」っていうのは、なにかの隠喩?

伊藤:いや、「プロレス」っていう言葉自体にそこまで意味はないんですけど、ただ「ちょっと見てみようかな」って思う……その「なにかする」っていうことが、大事だなって思っていて。閉じ籠っている状態のときって、「なにかする」っていうことが大変だったりするじゃないですか。「家を出る」とか、「買い物に行く」とか、そういうことからしか、始まらないなって思うんです。

左から:こばやしのぞみ、伊藤暁里

「気づき」を与えてくれる作品って、謎を秘めているけど、ハッとするような強いメッセージもあるもので。(北沢)

—北沢さんの世代だと、音楽のなかに理想を見る感覚って、もっと根強くあったと思うんです。たとえばサニーデイ・サービスにも、理想主義的な側面は強くあったと思うし。そんな北沢さんの個人的な視点で見たとき、タイコのすごく地に足の着いたスタンスというのは、どのように映りますか?

北沢:僕自身、未だに理想主義的な部分はある人間なんですけど、ただ、いま現在の生きづらさのなかで、「音楽はエスケープの道具になり得るのか?」と問われれば、もうなり得ないような気もするんですよね。

さっき暁里くんが言ったように、賞味期限は短いけど刺激が強いものが増えてくるし、もっとしっかり聴かれるべきものでも、さっさと摂取されて忘れられてしまうのかもしれない。一枚のアルバムと向き合ってじっくり聴くような、一つひとつのものをよく咀嚼して自分の血肉にしていく作業って、いまはどんどんとやりづらくなっている。

伊藤:そうですよね。

北沢:でも、それって「そういう時代だから仕方がないよね」で済ませていいことではないと思う。「気づき」を与えてくれる作品って、この『Fragment』のように、謎を秘めているけど、ハッとするような強いメッセージも含んでいるものなんですよね。荒川洋治さんの詩のように、受け取った人が血を流すかもしれないけど、そこからなにかが生まれるきっかけになるようなもの。そういう音楽が、もっと世代やジャンルを超えて出てきてほしいなと思う。

Taiko Super Kicks『Fragment』ジャケット
Taiko Super Kicks『Fragment』ジャケット(Amazonで見る

—そこに「世代」は関係ない。

北沢:うん、どんな世代にも通じるものだと思う。もちろん、タイコの音楽にある平熱感や、ことさら理想主義を標榜しない、地に足の着いた感じって、いまの世代ならではのものだとは思うんだけど、そう言いつつも、「理想を持っていないわけじゃないぞ」っていう気概はすごく感じる。社会や時代と個人の間に生じる緊張関係や葛藤をパワーに変えるのが、ロックンロールだから。

伊藤:そうだとしたら、僕らはロックンロールかもしれないですね。

北沢:うん、2018年のロックンロールだよ、Taiko Super Kicksは。

左から:こばやしのぞみ、伊藤暁里、北沢夏音

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リリース情報

Taiko Super Kicks『Fragment』
Taiko Super Kicks
『Fragment』(CD)

2018年2月7日(水)発売
価格:2,484円(税込)
TSK-001

1. たたかいの朝
2. 景色になる
3. 汗はひき
4. 遅刻
5. うわさ
6. のびていく
7. バネのように
8. 悪いこと
9. 無縁
10. フラグメント

イベント情報

『Taiko Super Kicks presents “Fragment” Release Tour』

2018年3月4日(土)
会場:台湾 台北Revolver

2018年3月17日(土)
会場:愛知県 金山ブラジルコーヒー
出演: Taiko Super Kicks
mei ehara
テト・ペッテンソン

2018年3月23日(金)
会場:福岡県 福岡UTERO
出演:
Taiko Super Kicks
よあけ
yound

2018年3月24日(土)
会場:岡山県 岡山BLUEBLUES
出演:
Taiko Super Kicks
カネコアヤノ
and more

2018年3月25日(土)
会場:京都府 京都UrBANGUILD
出演:
Taiko Super Kicks
本日休演
接近!UFOズ
ギリシャラブ

2018年3月30日(金)
会場:渋谷TSUTAYA O-nest

プロフィール

Taiko Super Kicks
Taiko Super Kicks(たいこ すーぱー きっくす)

伊藤暁里(Vo,Gt)、樺山太地(Gt)、大堀晃生(Ba,Cho)、こばやしのぞみ(Dr)により結成。東京都内を中心に活動中。2014年8月、ミニアルバム『霊感』をダウンロード・フィジカル盤ともにリリース。2015年7月、『FUJI ROCK FESTIVAL'15「ROOKIE A GO-GO」』に出演。2015年12月23日、1stアルバム『Many Shapes』をリリース。そして、2018年2月7日、最新アルバム『Fragment』をリリースする。

北沢夏音(きたざわ なつを)

1962年東京都生まれ。ライター、編集者。92年『Bar-f-out!』を創刊。著書に『Get back,SUB! あるリトル・マガジンの魂』(本の雑誌社)、共著に『次の本へ』(苦楽堂)、『冬の本』(夏葉社)、『音盤時代の音楽の本の本』(カンゼン)、『21世紀を生きのびるためのドキュメンタリー映画カタログ』(キネマ旬報社)など。ほかに『80年代アメリカ映画100』(芸術新聞社)の監修、山口隆対談集『叱り叱られ』(幻冬舎)の構成、寺尾紗穂『愛し、日々』、森泉岳土『夜のほどろ』(いずれも天然文庫)の企画・編集、『人間万葉歌 阿久悠作詞集』三部作、ムッシュかまやつ『我が名はムッシュ』、やけのはら『SUNNY NEW BOX』などのブックレット編集・執筆も手がける。2017年8月、サニーデイ・サービスにとって初の単行本となる共著『青春狂走曲』(スタンド・ブックス)を上梓。

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