
Awesome City Clubが振り返り、明かす、実はピンチだった1年
Awesome City Club『TORSO』- インタビュー・テキスト
- 金子厚武
- 撮影:豊島望 編集:矢島由佳子
Awesome City Club(以下、ACC)の2017年は、より人間性をさらけ出すことによって、バンドの核を掴み直すような一年だったように思う。年明けに発表した『Awesome City Tracks 4』で、架空の都市から現実の世界をテーマに歌うことへと舵を切ったのもそうだし、初のアコースティックツアーもそう。その最初のハイライトがベスト盤のリリースと同時期に行われた『RISING SUN ROCK FESTIVAL 2017』での素晴らしいステージ……だと思っていたのだが、その日はバンドにとって悲劇と喜劇が交錯するような、非常に重要な一日だったという。新たな季節の始まりを告げる新作EP『TORSO』は、まさにそこからの再生を刻んだ一枚なのである。
また、ACCは4月22日に開催されるCINRA主催『CROSSING CARNIVAL』に出演が決定。建築家・デザイナー・アーティスト、遠藤治郎とのコラボレーションが予定されている。2018年という年は、2020年のカルチャーフェス開催を掲げる掲げるACCにとって本格始動の年となりそうだ。
『TORSO』で大きな役割を担ったatagiと、パフォーマーとして輝きを増すとともに、フェス開催にも強い意欲を示すPORINに、バンドの「今」を生々しく語ってもらった。
実は、僕、『RSR』のライブのあとに、「やめます」って話をしようとしていたんです。(atagi)
—CINRA.NETとしては約1年ぶりの取材になります。なので、まずは2017年を振り返ってもらえますか?
atagi(Vo,Gt):2017年は……もう、すごかったですね。やばかったです(笑)。
—え、どういうこと?
atagi:バンドとしても、自分としても、ヤバい時期があって……PORINに聞いたらどう言うかはわからないですけど、自分はそう感じてました。
—PORINさん、どうですか?
PORIN(Vo,Syn):私にとっては、表現の仕方を見つけ出した一年だった気がします。2017年は夏フェスで大きいステージに立つことがすごく多かったんです。『RISING SUN ROCK FESTIVAL』(以下、『RSR』)とか『ap bank fes』とか、憧れのステージに立つことが多くて、気合いもめっちゃ入っていて。なので、アウトプットの面では、バンドとして成長できた一年だったなって。
—僕は『RSR』のライブを観ているんですけど、あの日は本当によかったですね。
atagi:あの日は自分たちのなかでも不思議な日だったというか……機材トラブルで、ほとんどベースの音が出てなかったんですよ(笑)。なのに、「それでもいい」ってなんなんだろうって。がむしゃらな感じがよかったのかもしれないんですけど……。
—PORINさんが見つけた「表現の仕方」というのは?
PORIN:夏フェスに向けてパフォーマンスを磨こうと思って、ダンスの先生についてもらったんです。そこからめっちゃ変わりました。最初は「なんでミュージシャンがダンスしなきゃいけないの?」って思ってたんですけど(笑)、やっていくうちに、仕草ひとつ変えるだけで歌の届き方が全然違ってくることがわかって。実際にお客さんの反応も全然違って、すごく自信がつきました。
—「振り付け」みたいなことではなくて、歌を歌うと自然と体が動くわけで、身体表現に磨きがかかったということなんでしょうね。そんなPORINさんの手応えの一方で、atagiくんが「ヤバかった」というのは?
atagi:僕とPORINの話を比べてもわかるように、メンバーそれぞれの見ている景色が違いすぎたというか。実は、僕、さっき話した『RSR』のライブのあとに、「やめます」って話をしようとしていたんです。本当にキツいな、もう限界かもと思って。
でも、幸か不幸か、『RSR』のライブがすごくよくできちゃったんですよね。あのライブがつまらなかったら、自分のなかで吹っ切れたはずなのに、またそこで尾を引かれた部分があって。そこからメンバーとしっかり話し合う場を設けて、「こう思ってたんだよね」ということとか、少しずつ吐露しだしたというか。
—それまでは、自分のなかに溜め込んでしまってたということ?
atagi:そうですね。まあ、「やめる、やめない」を考えてしまうときって、社会人なら誰でも経験あると思うんですけど……そのときは「もう……」って感じになってしまってたんです。
—なぜ限界を感じてしまったのでしょう?
atagi:一時の快感というものはあるんですけど、その刹那的な楽しさよりも、倦怠感が勝ってきてたというか……やってることが上手いこと形になってくれないなって思ったり、本当に自分がやりたいこととバンドがやりたいことが噛み合わない瞬間があるなって思ったり。
—PORINさんは当時のバンドのムードをどう感じていましたか?
PORIN:ちょっとマンネリというか、みんなが生き生きしていない感じはあったと思います。なので、この状況を打破しなきゃいけないと思って、自分はダンスを習い始めたというのもあったんです。
『RSR』のときは、atagiの話をチラッとだけは聞いていたので、みんな死ぬ気だったというか、「ここでいいライブしなきゃ、このバンドは終わる」くらいのつもりだったんですよ。だから、ああいうライブになったんだと思う。
atagi:あとから聞いたんですけど、ユキエちゃん(Dr)もそういう気持ちだったらしくて。「見たことないバンドマジックみたいなものが、ここに来てまだ出るんだ」という感触が、あの日はあったんですよね。
リリース情報

- Awesome City Club
『TORSO』初回限定盤(CD+DVD) -
2018年3月14日(水)発売
価格:3,132円(税込)
VIZL-133[CD]
1. Magnet
2. ダンシングファイター
3. yesから二人始めましょう
4. 燃える星
5. エイリアンズ(Studio Live ver.)
[DVD]
『Awesome Talks Acoustic Show 2018 ~New Year Special~(2018.01.14 at Billboard Live Tokyo)』
1. 青春の胸騒ぎ
2. WAHAHA
3. Girls Don't Cry
4. エンドロール
5. Sunriseまで
6. what you want
7. アウトサイダー
8. ASAYAKE
9. 今夜だけ間違いじゃないことにしてあげる
10. Don't Think, Feel
※DVDは初回限定盤に付属
- Awesome City Club
『TORSO』通常盤(CD) -
2018年3月14日(水)発売
価格:1,944円(税込)
VICL-649671. Magnet
2. ダンシングファイター
3. yesから二人始めましょう
4. 燃える星
5. エイリアンズ(Studio Live ver.)
イベント情報
- 『Awesome Talks -One Man Show 2018-』
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2018年5月24日(木)
会場:北海道 札幌 PENNY LANE242018年6月2日(土)
会場:熊本県 DRUM Be-9 V22018年6月3日(日)
会場:長崎県 DRUM Be-72018年6月9日(土)
会場:石川県 金沢 AZ2018年6月10日(日)
会場:新潟県 CLUB RIVERST2018年6月17日(日)
会場:宮城県 仙台 darwin2018年6月23日(土)
会場:広島県 SECOND CRUTCH2018年6月24日(日)
会場:香川県 高松 DIME2018年6月28日(木)
会場:東京都 新木場 STUDIO COAST2018年7月7日(土)
会場:大阪府 なんばHatch2018年7月8日(日)
会場:愛知県 名古屋 CLUB DIAMOND HALL2018年7月16日(月)
会場:福岡県 DRUM LOGOS

- 『CROSSING CARNIVAL'18』
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2018年4月22日(日)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-EAST、TSUTAYA O-WEST、TSUTAYA O-nest、duo MUSIC EXCHANGE出演:
KOHH
Chara×韻シストBAND
GRAPEVINE
大森靖子
藤井隆
おとぎ話
前野健太
Awesome City Club
world's end girlfriend × Have a Nice Day!
THE NOVEMBERS
GAGLE
WONK
Tempalay
King Gnu
LILI LIMIT
料金:前売6,000円 当日6,500円(共にドリンク別)
プロフィール

- Awesome City Club(おーさむ してぃ くらぶ)
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2013年春、それぞれ別のバンドで活動していたatagi、モリシー、マツザカタクミ、ユキエにより結成。2014年4月、サポートメンバーだったPORINが正式加入して現在のメンバーとなる。メンバーそれぞれの多種多様な音楽的ルーツをMIXした、男女ツインヴォーカルの男女混成5人組。2015年、ビクターエンタテインメント内に設立された新レーベル「CONNECTONE(コネクトーン)」より、第一弾新人としてデビュー。2015年4月8日に1stアルバム『Awesome City Tracks』をリリースし、iTunesロックチャートで1位を獲得するなど話題を呼んだ。デビューから「Awesome City Tracks」シリーズとしてコンスタントに2年間で4枚のアルバムをリリース、2017年にはベストアルバムを発表。2018年3月14日、バンドの新章幕開けとなるEP『TORSO』をリリース!その他にも、クリエイターやファッションブランド等とのコラボレーションも積極的に行い、カルチャーとしても注目を集める存在となっている。