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池松壮亮が明かす 生きづらい現代日本で、映画に取り組む覚悟

池松壮亮が明かす 生きづらい現代日本で、映画に取り組む覚悟

ドラマ25『宮本から君へ』
インタビュー・テキスト
中山治美
撮影:神藤剛 編集:久野剛士

現代の日本で、役者はどう振る舞うべきか? 映画初出演作はトム・クルーズ主演『ラスト サムライ』と、俳優・池松壮亮の芸歴は実に華々しい。だが、どんなに注目を浴びようが、いやむしろ、喧騒が大きくなればなるほどそこから逃れるように小さなバジェットの作品や深夜ドラマに好んで出演し、社会の片隅に生きる人たちを真摯に演じてきた。

その池松が、一転、新井英樹の同名漫画原作のドラマ『宮本から君へ』(テレビ東京系)で熱血営業マンの主人公・宮本浩役に挑む。そこにはどんな心境の変化があったのか? 池松の胸の内を聞いた。

自分は宮本浩のような人間にはなれずに生きてきました。

—池松さんは『第9回TAMA映画賞』で、『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』『続・深夜食堂』『デスノート Light up the NEW world』『永い言い訳』の4作品の演技が評価されて「最優秀男優賞」を受賞しました。2017年11月18日に行われた授賞式では、丸刈りで出席して話題になりましたが、ドラマ『宮本から君へ』の撮影に入っていたからだったのですね。あれから4ヵ月、だいぶ髪も伸びました。

池松:伸びましたね。みなさん多分、「何かおイタでもしたバツか?」と思われていたのでしょうけど、ちゃんと仕事をしていました。『宮本から君へ』で、主人公・宮本浩を演じる上でとても重要なシーンでしたので、頭を丸めたんです。

池松壮亮
池松壮亮

—丸刈りから、作品への意気込みを感じました。

池松:新井英樹さんの原作はもともと好きで、僕が21、22歳の頃に初めて手にしたんです。昨年ドラマを録り終えて、ようやく発表出来るまでに至りました。

宮本浩役を演じる坊主姿の池松壮亮 / ©「宮本から君へ」製作委員会
宮本浩役を演じる坊主姿の池松壮亮 / ©「宮本から君へ」製作委員会

新井英樹『宮本から君へ』©新井英樹/太田出版
新井英樹『宮本から君へ』©新井英樹/太田出版(Amazonで見る

池松:本当は、原作と同じ20代前半で演じたかった。だからもうこれ以上、年を重ねると、僕は宮本を演じられないと思っていたんです。それでも27歳のいまなら、まだイケるんじゃないかと思いまして。

ただ、いざ演じてみると、ここまで自分自身を問われる役はなかった。「本当に自分は宮本を演じる資格があるのか?」それを毎日、自分に問いながら、撮影の2ヵ月間を過ごしました。

—それは「宮本浩の持つ、仕事への純真な情熱だったり、新入社員特有のがむしゃらさを自分が出せるのか?」ということでしょうか?

池松:言い出したらキリがないんですけど、常に誰かのことを考え、自分の身に降りかかることを自分のせいにしかできなくて、誰かが間違った言動をしたことに対して「間違っている」と言わなければ気が済まない。自分が出会った役の中でも、宮本浩は最も勇気がある人なのではないかと思うんです。

池松壮亮

—役者としても経験を重ねると、多少なりとも自分の癖や、「こう見せよう」とする自我が出てしまいます。それを全部取っ払わないと出来ない役かもしれませんね。

池松:そうですね。多分、外側だけ作って宮本役に取り組むこともできたと思うんです。でも俳優として、それだけではこの役は演じられないと思いました。自分は宮本浩のような人間にはなれずに生きてきましたから。

ドラマ25『宮本から君へ』予告映像

ドラマ25『宮本から君へ』中野靖子役の蒼井優 / ©「宮本から君へ」製作委員会
ドラマ25『宮本から君へ』中野靖子役の蒼井優 / ©「宮本から君へ」製作委員会

—と、言いますと?

池松:僕は自分自身を汚してまで何かに泥臭く挑むことはしたことがないし、人もたくさん傷つけてきました。人の思いだけでなく、自分の心まで殺して生きてきたと思います。さらに誰かのせいにしたり、自分の思いとは裏腹に社会に対してそれなりに順応しようとして生きていた。そうやって逃げてきたことの方が多いんですよ。

でも宮本浩はものすごくピュアで、真っ直ぐな心を持った人。このドラマを、僕はあまり宮本浩の成長物語だとは思ってないんです。人を巻き込んで、迷惑をかけながらも、宮本浩はずっと同じことしか言っていない。自分の信念を証明しようとしているだけなんじゃないかと思うんです。

人間というのはこの地球上で、本当に小さな存在でしかない。そこに対して宮本浩は、誰よりも自分の可能性を信じて模索している人だと思います。そういう意味でも、僕はもっと社会や周囲に流されて生きてきたなと考えさせられました。

—『宮本から君へ』というタイトルの意味を何だろう? と考えさせられるのですが、池松さんの場合は、演じながら自分の内面を見つめざるを得ない状態になったのですね。

池松:本当にそうです。作品に触れる人それぞれに問いかける、とんでもないタイトルですよね。

ドラマ25『宮本から君へ』場面写真 / ©「宮本から君へ」製作委員会
ドラマ25『宮本から君へ』場面写真 / ©「宮本から君へ」製作委員会(サイトを見る

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リリース情報

ドラマ25『宮本から君へ』

2018年4月6日(金)から毎週金曜24:52~25:23にテレビ東京、テレビ大阪ほかで放送

脚本・監督:真利子哲也
原作:新井英樹『定本 宮本から君へ』(太田出版)
主題歌:エレファントカシマシ“Easy Go”
主演:池松壮亮
出演:柄本時生
星田英利
華村あすか
新名基浩
古舘寛治

プロフィール

池松壮亮(いけまつ そうすけ)

1990年7月9日生。福岡県出身。A型。03年『ラストサムライ』で映画デビュー。2014年には『愛の渦』、(三浦大輔監督)、『ぼくたちの家族』(石井裕也監督)などの話題作に次々と出演し、日本アカデミー賞新人俳優賞、ブルーリボン賞助演男優賞を受賞する。2017年『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』(石井裕也監督)に出演し、第9回TAMA映画祭で最優秀作品賞、第39回ヨコハマ映画賞にて主演男優賞を獲得。2018年にはドラマ『宮本から君へ』で主演を務めるほか、映画『万引き家族』(6月8日公開、是枝裕和監督)『君が君で君だ』(7月7日公開、松居大悟監督)『散り椿』(9月28日公開、木村大作監督)が公開予定。

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