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池松壮亮が明かす 生きづらい現代日本で、映画に取り組む覚悟

池松壮亮が明かす 生きづらい現代日本で、映画に取り組む覚悟

ドラマ25『宮本から君へ』
インタビュー・テキスト
中山治美
撮影:神藤剛 編集:久野剛士

片足じゃなく、両足どっぷり映画の世界に突っ込んでやろうと思ったんです。

—監督・脚本は映画『ディストラクション・ベイビーズ』(2016年)でも一緒に組んだ真利子哲也監督です。企画当初から、真利子監督の名前が上がっていたのでしょうか?

池松:はい、はじめから上がっていました。ちょうど僕が学生をやっていた頃、真利子監督は自主映画界のスターで、全部話題をもっていっていましたからね。僕も真利子監督の自主映画作品を色々と拝見しまして、キレのある映像とシチュエーションの作り方が上手くて、「この人はスゴイんじゃないか」と思ってました。

池松壮亮

池松壮亮も出演した真利子哲也監督『ディストラクション・ベイビーズ』予告編

—池松さんの学生時代というと、日本大学藝術学部(以下、日芸)映画学科監督コース時代となります。なぜ演技コースではなく、監督コースだったのでしょうか?

池松:実はですね、高校まで過ごした福岡時代、あまり映画を見ていなかったんです。高校卒業後の進路を考えたときに、進学は気が進まなかったのですが、とはいえまだ社会に出たくないなと思って、大学に行こうと決めました。担任に相談したところ、日芸ではこれだけの著名人を輩出しているし、多分、大学の設備も素晴らしいはずだから、4年間、何かを探すにはいい場所なのではないか? と勧められました。

最初は演技コースを勧められたんですけど、「絶対に嫌だ」と拒否しました。僕は演技を人から教わったことはないですし、諸先輩からも「お芝居は人から教わるものではない」と言われてきた。だから、「なんで人から教わらなければならないんだ?」と思ったんです。映画学科にはほかにもいろんなコースがあったのですが、役者である僕が監督コースに進学するのも面白いんじゃないかと思いまして。片足じゃなく、両足どっぷり映画の世界に突っ込んでやろうと思ったんです。

本当に大学時代の4年間は、たくさんの映画と出会い、「映画とは何か?」を考え始めた時期でもありました。福岡から上京して寂しかったし、友達もできなかったけど、映画館の中が一番落ち着いたんです。最初の1年間は姉と一緒に住んでいたのですが、「学校へ行ってくる」と言っては映画館に行くか、寝るか、考え事をしていました。

池松壮亮

いまの世の中の価値観として、「真っ当であること」が歪み始めていると思います。

—大学卒業後は思考から実践編へ移るがごとく、とにかく映画によく出演していましたね。2014年は『紙の月』ほか8本も出演しています。その中で、ニートとか、人妻と恋に落ちる役とか、ダメンズや不器用な役柄が本当に多い印象があります。

池松:そうですね。でも、人間っぽくて、そういう役は嫌いじゃないんです。しかも彼らの中にはちゃんと大義名分もあるので、ギリギリ救いもあると思って演じています。なんか、いまの世の中、「真っ当であること」の価値観が歪み始めていて、純粋な人や志のある人がすごくないがしろにされがちだと思うんです。こだわりや心が切り離されて、生きづらそうにしている。そういう人に対しての共感がすごくあります。

—池松さんにとっても、いまの世の中は生きづらいですか?

池松:2018年、大なり小なり、生きづらさを一切感じていない人がいたとすれば、それは嘘だと思いますよ。

 

ドラマ25『宮本から君へ』甲田美沙子役の華村あすか / ©「宮本から君へ」製作委員会
ドラマ25『宮本から君へ』甲田美沙子役の華村あすか / ©「宮本から君へ」製作委員会

—2、3年前まで、あれほど多くの作品に出演されていましたが、『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』(2017年)で一旦、仕事のペースは落ち着いたのでしょうか?

池松:そうですね。パーッと働いて、ちょっと休んで作戦を練って、また働いて。その繰り返しです。とはいえ、自分自身の内面をたくさん吐き出すというのは、その分、出ていってしまうということです。僕みたいに、自分の内側から出るものを吐き出すタイプは、ずっとそのスタイルを続けていくことはできないので、自ずとペースダウンの時期が来たという感じですね。

ドラマ25『宮本から君へ』神保和夫役の松山ケンイチ / ©「宮本から君へ」製作委員会
ドラマ25『宮本から君へ』神保和夫役の松山ケンイチ / ©「宮本から君へ」製作委員会

—その間、プライベートではどんなことをしているのですか? 旅に出るとか?

池松:旅には出ないですけど、まぁ、脳内の旅、心の旅ですね。本を読んだり、映画を見たり……。

—結局、仕事と直結することなんですね?

池松:そうですね。そういうことが好きなのでしょうね。

池松壮亮

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リリース情報

ドラマ25『宮本から君へ』

2018年4月6日(金)から毎週金曜24:52~25:23にテレビ東京、テレビ大阪ほかで放送

脚本・監督:真利子哲也
原作:新井英樹『定本 宮本から君へ』(太田出版)
主題歌:エレファントカシマシ“Easy Go”
主演:池松壮亮
出演:柄本時生
星田英利
華村あすか
新名基浩
古舘寛治

プロフィール

池松壮亮(いけまつ そうすけ)

1990年7月9日生。福岡県出身。A型。03年『ラストサムライ』で映画デビュー。2014年には『愛の渦』、(三浦大輔監督)、『ぼくたちの家族』(石井裕也監督)などの話題作に次々と出演し、日本アカデミー賞新人俳優賞、ブルーリボン賞助演男優賞を受賞する。2017年『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』(石井裕也監督)に出演し、第9回TAMA映画祭で最優秀作品賞、第39回ヨコハマ映画賞にて主演男優賞を獲得。2018年にはドラマ『宮本から君へ』で主演を務めるほか、映画『万引き家族』(6月8日公開、是枝裕和監督)『君が君で君だ』(7月7日公開、松居大悟監督)『散り椿』(9月28日公開、木村大作監督)が公開予定。

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