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若葉竜也×中島歩×吉村界人 20代の若手俳優たちの歩く、役者道

若葉竜也×中島歩×吉村界人 20代の若手俳優たちの歩く、役者道

『素敵なダイナマイトスキャンダル』『モリのいる場所』
インタビュー・テキスト
麦倉正樹
撮影:伊藤惇 編集:山元翔一

いまの時代というか状況に、違和感を感じているからこういう作品を作るんじゃないかと思う。(吉村)

―2作品とも、携帯電話やインターネットのない時代の話であるというのもポイントかもしれないですね。

若葉:そうですね。『素敵なダイナマイトスキャンダル』は、場所と場所の距離感みたいなものがすごく面白いんですよね。いまは、東京から大阪までって2〜3時間で行けたりするじゃないですか。だけど、映画の舞台になった1970〜80年代っていうのは、もっと感覚的な距離感があって……そこにドラマチックなものが、いっぱい詰まっていたと思うんですよね。

末井さん自身も岡山の出身ですけど、そういう人が東京に抱く憧れとか、上京する覚悟って、いまとは全く違うと思うんですよね。人との距離感みたいなものも、インターネットがあるいまとは全然違う。そういうところが、いまは逆に新鮮に見えるんじゃないですかね。

若葉竜也
若葉竜也

吉村:僕も『素敵なダイナマイトスキャンダル』を観させてもらったんですけど、すごく面白かったです。やっぱり、いまの時代というか状況に、何か違和感みたいなものを感じているからこういう作品を作るんじゃないかと思うんです。その違和感を、過去を描くことによって浮き彫りにするというか。あと、この2作品って両方とも、ものを作る人が主人公の映画なんですよね。熊谷さんは画家だし、末井さんも最初は看板描きをやっていたし。

『素敵なダイナマイトスキャンダル』より
『素敵なダイナマイトスキャンダル』より

『モリのいる場所』より
『モリのいる場所』より

吉村:そうやって何かを描く時間って、ある意味、自分と世界との距離感を確かめるというか、自分と対話して、自分の物差しを確かめているような感じがあるじゃないですか。特に熊谷さんの場合は、庭にある植物とか虫とかを、じーっと見つめながら、何かを感じている人だし。そういうところに、監督たちは、同じようにものを作る人間として、何かシンパシーを感じたんじゃないですかね。

吉村界人
吉村界人

冨永さんがやりたいことって一貫していて、要は人間をちゃんと描くってことだと思う。(若葉)

―両方の画に出演している中島さんから、それぞれの映画の中身について、簡単に説明してもらってもいいですか?

中島:両方とも、なかなか説明するのが難しい映画ですよね(笑)。

若葉:『素敵なダイナマイトスキャンダル』に関しては……冨永さんがやりたいことって一貫していて、要は人間をちゃんと描くってことだと思うんです。だから、登場人物たちが、みんなすごく生々しいんだと思います。

『素敵なダイナマイトスキャンダル』より
『素敵なダイナマイトスキャンダル』より

若葉:僕、その前の『南瓜とマヨネーズ』(2017年)っていう映画も、冨永さんと一緒にやっていているんですけど、あの人ってすごく天邪鬼なんですよね。なので、スタッフも役者も、台本を読んで、こういう感じだろうなと想定して現場に行っても、それと全然違うことをさせられるっていう(笑)。

中島:(笑)

若葉:冨永さんの現場は、それがすごくいいんですよね。作品について言うと、単純に、この原作である末井さんのエッセイが面白いというか、あの人自身がすごく面白い。仮に末井さんがいまの時代に二十歳だったとしても、きっと何かを成し遂げていたと思うんです。そういうところに冨永さんも、反応したんじゃないですかね。

中島:あとこれは冨永さんが言っていたことなんですけど、原作エッセイを初めて読んだとき、自分の人生を肯定してくれる感じがあったみたいで。冨永さん自身の、自意識過剰なだけで、まだ何者でもなかった大学時代を、すごく肯定してくれた本だったとおっしゃっていたんですよ。

映画のなかに「お前ら、女の股に巣食う便所虫か!」っていう台詞があって、まったくその通りなんですけど(笑)、そういう人たちすらも、ちゃんと肯定している映画になっているというか。

―その一味を中島さんも演じてたじゃないですか。

中島:そうなんですよね(笑)。でも、そういう人たちを喜劇的かつ魅力的に描いているところに、この映画の面白さがあると思うんですよね。

左から:吉村界人、中島歩
左から:吉村界人、中島歩

『素敵なダイナマイトスキャンダル』より
『素敵なダイナマイトスキャンダル』より

いま、自意識でおかしくなっちゃってるような若い人は、きっと救われるところがあると思います。(中島)

―いわゆるサクセスストーリーではない、うだつのあがらない若者たちの青春群像みたいな映画ですよね。

中島:そうですね。そういう意味では、(柄本)佑さん演じる末井さんと、峯田(和伸)さん演じる近松の関係性が、ひとつ大きな筋となっている映画だなって思っていて。

たぶん近松は、頭がよすぎたんですよね。だから、なかなか思い切ったことができないんですけど、途中から末井さんが無鉄砲にいろんなことをやりはじめて、近松が置いていかれる感じになってしまうというか。そういう青春グラフィティーも、ちゃんと描かれていると思うんですよね。

『素敵なダイナマイトスキャンダル』より
『素敵なダイナマイトスキャンダル』より

―そのあたりは、いまの若い人たちが見ても、共感できるところかもしれないですね。

中島:だからいま、自意識でおかしくなっちゃってるような若い人は、きっと救われるところがあると思います。そこを目指して作っているって監督もおっしゃっていましたし。

吉村:逆にいまの子は、こういう作品が好きそうですよね。無鉄砲な感じにちょっと憧れがあるというか。たとえば、SNSが嫌いとか言いながらもSNSをやらざるを得ないような状況があるじゃないですか。そういう矛盾みたいなものって、いまの時代、いろいろあると思うんですよね。だからこそ、しがらみとか矛盾を全部打ち破って進んでいく末井さんのパワーみたいなものに、惹かれるというか。

中島:ああいう人を見ていると、「こんなこと、やっちゃっていいんだ!」って思いますよね(笑)。ほとんど実話だし。そういう痛快さがある映画だと思います。

『素敵なダイナマイトスキャンダル』ポスタービジュアル
『素敵なダイナマイトスキャンダル』ポスタービジュアル(サイトを見る

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作品情報

『素敵なダイナマイトスキャンダル』
『素敵なダイナマイトスキャンダル』

2018年3月17日(土)からテアトル新宿ほか全国で公開中
監督・脚本:冨永昌敬
原作:末井昭「素敵なダイナマイトスキャンダル」(ちくま文庫)
主題歌:尾野真千子と末井昭“山の音”
音楽:菊地成孔、小田朋美
出演:
柄本佑
前田敦子
三浦透子
峯田和伸
中島歩
落合モトキ
若葉竜也
松重豊
村上淳
尾野真千子
ほか
配給:東京テアトル

作品情報

『モリのいる場所』
『モリのいる場所』

2018年5月19日(土)からシネスイッチ銀座、ユーロスペース、シネ・リーブル池袋、イオンシネマほか全国で公開
監督・脚本:沖田修一
出演:
山﨑努
樹木希林
加瀬亮
吉村界人
光石研
青木崇高
吹越満
池谷のぶえ
きたろう
林与一
三上博史
ほか
配給:日活

プロフィール

中島歩(なかじま あゆむ)

1988年10月7日生まれ、宮崎県出身。美輪明宏主演の舞台「黒蜥蜴」のオーディションで200名の中から選ばれ、2013年に同舞台で俳優デビュー。翌年、NHK連続テレビ小説「花子とアン」に出演し注目される。主な出演作に『グッド・ストライプス』(15)、『恋愛奇譚集』(17)、「植木等とのぼせもん」(NHK/17)などがある。

若葉竜也(わかば りゅうや)

1989年生まれ。東京都出身。1990年、若葉劇団にて1歳3ヶ月で初舞台を踏む。陰のある役からアクの強い役まで作品によって180度違った表情を見せる幅広い演技力で、数多くの作品に出演。2016年公開の映画『葛城事件』(監督:赤堀雅秋)で、第8回TAMA映画賞 最優秀新進男優賞受賞。公開待機作に、映画『パンク侍、斬られて候』(監督:石井岳龍 2018年6月30日全国公開)など多数。

吉村界人(よしむら かいと)

1993年2月2日東京生まれ。『ポルトレ -PORTRAIT-』(14)で映画主演デビュー。 以降、多数の映画、ドラマ、CMに出演。主な作品に、映画『百円の恋』(15)、『ディストラクション・ベイビーズ』(16)『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』(16)、主演作『太陽を掴め』(16)等。待機作にドラマ「スモーキング」(TX/4月19日スタート、毎週木曜深1:00)を控える等、次世代の日本映画界を背負って立つと期待される若手俳優。

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