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国府達矢の苦闘の歴史。空白の15年を埋めるべく七尾旅人と語る

国府達矢の苦闘の歴史。空白の15年を埋めるべく七尾旅人と語る

国府達矢『ロックブッダ』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:タイコウクニヨシ 編集:山元翔一

国府達矢が、15年ぶりのアルバム『ロックブッダ』を3月21日にリリースした。1990年代末に小林武史プロデュースのもと、「MANGAHEAD」というユニットでデビュー。その後、幾度かの浮上と長い沈黙を繰り返してきた国府にとって、2018年はキャリア史上もっとも重要な年となるかもしれない。去年以降、国府はライブ活動を活発化させ、この『ロックブッダ』を皮切りに、既に完成している計3枚のアルバムのリリースが、年内に予定されている。

その国府達矢からの直接的な影響を公言し、長きに渡って彼を支え続けた音楽家がいる。それが、七尾旅人だ。2007年の3枚組アルバム『911FANTASIA』では作中においても国府の名に触れ、そして、この十数年間、インタビューなどでも常に、自身を突き動かした存在として、七尾はその名前を挙げ続けた。きっと、七尾の存在を通して「国府達矢」の名前に接してきた人も多いはずだ。

今回、『ロックブッダ』のリリースを祝し、国府と七尾の対談が実現した。こうしてメディアの上で2人が相見えるのは初めてだという。結果、この記事は2人の20年間をまとめる長大なクロニクルとなった。これは、巨大な才能を持って生まれた2人の音楽家の魂の交流記であり、偶然にも同じ時代、同じ場所に生み落とされた兄弟の、悪戦苦闘・波乱万丈の物語である。

国府さんは、いまに至るまで、僕にとってはすごく重要な人で……だから、今日は普段の対談みたいに喋れないよ(笑)。(七尾)

—まず、国府さんと七尾さんの直接的な関係性は、どのようにしてはじまったのでしょうか?

国府:1990年代の後半だよね。当時、僕らは同じテープオーディションを受けていて。

七尾:そう。そもそもは同じディレクターに発掘された新人として出会ったんです。なので、結びつきが強いんですよね。

左から:七尾旅人、国府達矢
左から:七尾旅人、国府達矢

七尾:僕らが出会った1998年頃は、CD売上がピークの時代で、会社もイケイケドンドンだったから、僕らみたいな売れるんだかよくわからない変わった新人とお試し的に契約が結ばれるケースも多かったんでしょうね。その翌年くらいから急坂を転がり落ちるように景気は冷え込んでいくんですが、そういう時代の最後に、不思議な縁で出会って、深く共感しあったという。最初に話したのって、電話でしたよね?

国府:そうだっけ? 僕のタビィ(国府による七尾旅人の愛称)との最初の記憶は、レーベルの打ち上げで隣に座って、『ジョジョの奇妙な冒険』(荒木飛呂彦による漫画)の話をしたとき。あのとき、タビィが「人と『ジョジョ』の話をしたの、久しぶりだなぁ」って言っていたのは、すごく覚えている。

七尾:それは初めて直接会ったときですね。実は、人と『ジョジョ』の話をしたの、初めてだったんだよ。話し相手がいなかったので。ちょっとイキがっちゃったんですね(笑)。なんか小中学生みたいで甘酸っぱいな。

国府:イキがってたんや(笑)。いまでも覚えているのは、当時、1週間くらい籠って曲作りをしていたときに、最初に言ったディレクターの人がタビィの音楽を聴かせてくれて。そこで初めて聴いたんだけど……明らかに天才じゃないですか。いわゆる神童というか。

七尾:いやいや……。その合宿先から電話をくれて、初めて話したのだと思います。すごく嬉しかったのを覚えてる。

国府:当時のタビィは、本当に透き通るような少年っていう感じだった。いまにも崩れてしまいそうで、透明感があって、繊細で……感性だけが実在化しているような感じだったね。

左から:七尾旅人、国府達矢

七尾:まぁ、10代だったし、センシティブではありましたね。僕は、国府さんには最初から親戚の兄ちゃんみたいな距離の近さを感じていて。国府さんは奈良から、僕も高知の田舎から高校を辞めて飛び出してきたっていうバックボーンも似ていたから。

国府:お互い「中卒」っていう(笑)。

七尾:そうそう(笑)。当時、国府さんにはすごく励まされたんですよ。僕は、まだ18~9歳で、国府さんは20代前半。あの頃、僕に対して子どもみたいな親密な言葉をかけてくれるのは国府さんくらいだった。

当時、国府さんはときどき僕の家にゲーム機を持って遊びに来たんですよ。気兼ねなく「遊ぼうや」って接してくれる人も初めてだったし、本当に兄弟みたいな感じだったんです。そこからいろんなことがあったけど、いまに至るまで、僕にとってはすごく重要な人で……だから、今日は普段の対談みたいに喋れないよ(笑)。

国府:なんか三者面談みたいな感じやな(笑)。

左から:国府達矢、七尾旅人

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リリース情報

国府達矢『ロックブッダ』
国府達矢
『ロックブッダ』(CD)

2018年3月21日(水)発売
価格:2,808円(税込)
PECF-1149

1. 薔薇
2. 感電ス
3. いま
4. 祭りの準備
5. アイのしるし
6. weTunes
7. 続・黄金体験
8. 朝が湧く
9. 蓮華
10. Everybody's @ buddha nature

イベント情報

『国府達矢「ロックブッダ」リリース記念ライブ』

2018年4月20日(金)
会場:東京都 新代田 FEVER
出演:
国府達矢(ROCK BUDDHA FORM)
七尾旅人
skillkills

『skillkills / 国府達矢 (ROCK BUDDHA FORM) 九州ツアー』

2018年5月24日(木)
会場:熊本県 NAVARO
skillkills
国府達矢(ROCK BUDDHA FORM)
Mulletcut!

『UTERO 8th Anniversary Live』

2018年5月25日(金)
会場:福岡県 UTERO
skillkills
国府達矢(ROCK BUDDHA FORM)
New oil deals
the perfect me

プロフィール

国府達矢
国府達矢(こくふ たつや)

1998年、MANGAHEADとしてデビュー。2001年、国府達矢としてライブ活動を開始。2003年、国府達矢『ロック転生』をリリース。2007年、salyuに楽曲提供開始。2011年、salyu×salyu『s(o)un(d)beams』に2曲作詞で参加。2011年、ロックブッダシングル『+1Dイん庶民』をリリース。2017年7月より自主企画弾き語りイベント『onzou』を開始。すでに完成している3枚のオリジナル・アルバムのリリースを控え本格的に活動を再開。

七尾旅人(ななお たびと)

シンガーソングライター。これまで『911FANTASIA』『リトルメロディ』『兵士A』などの作品をリリースし、『Rollin' Rollin'』『サーカスナイト』などがスマッシュヒット。唯一無二のライブパフォーマンスで長く思い出に残るステージを生み出し続けている。即興演奏家としても、全共演者と立て続けに即興対決を行う「百人組手」など特異なオーガナイズを行いアンダーグラウンド即興シーンに地殻変動を与え続ける。その他、ビートボクサー、聖歌隊、動物や昆虫を含むボーカリストのみのプロジェクトなど、独創的なアプローチで歌を追求する。開発に携わって来た配信システムDIY STARSを使って「DIY HEARTS東日本大震災義援金募集プロジェクト」や、世界中の貧困地域、紛争地域から作品を募り流通回路を開く「DIY WORLD」も開設。年内にニューアルバム発売予定。

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