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『リズと青い鳥』企画 Homecomingsと武田綾乃の音楽×文学対談

『リズと青い鳥』企画 Homecomingsと武田綾乃の音楽×文学対談

Homecomings『Songbirds』、『リズと青い鳥』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影・編集:山元翔一

「箱庭」っていう世界観が、ホムカミとしても共感できる部分だった。(畳野)

—『リズ』の主題歌を担当するにあたって、“Songbirds”はどのような意識を持って制作されたのでしょうか?

畳野:最初に山田監督とお話させていただいたとき、学校という「箱庭」を意識しているとおっしゃっていて。その「箱庭」っていう世界観が、ホムカミとしても共感できる部分だったんです。

“Songbirds”を収録したEPの2曲目に入っている“Play Yard Symphony (for New Neighbors)”は、たまたま「箱庭」をテーマに作った楽曲で。そういうふうに世界観を共有できたのが大きかったです。山田監督も「いままでどおりのホムカミで作ってください」って言ってくださって。

“Play Yard Symphony (for New Neighbors)”の原曲。EP『SYMPHONY』(2017年)収録

—今回、ホムカミが主題歌に起用されたのは山田監督の意向だそうですけど、監督がバンドの世界観を深く理解されていたのは、大きなことだったんですね。

畳野:そうなんです。なので、「いままでどおりにやっていいんだな」って、いい意味で気楽に作れました。あと、歌詞は福富(優樹 / Gt)くんが書いているんですけど、山田監督が私たちの“HURTS”をすごく好きだとおっしゃっていたので、“Songbirds”には“HURTS”の世界観も取り込んでいて。

1stシングル『HURTS』(2015年)表題曲

畳野:“Songbirds”の歌詞を一つひとつ取っていくと、“HURTS”や“Play Yard Symphony”で使われていた言葉が含まれているんです。なので、全体としては「2つの線がずっと続いていく」っていう『リズ』の世界観を意識したテーマになっているんだけど、同時に、これまでホムカミが描いてきたこともたくさん含んだ曲になっています。

変わっていくものを普遍的な存在にしたいっていう意識は、私にもあるような気がします。(武田)

—“Songbirds”のミュージックビデオは、ホムカミと縁の深い映画館で撮られているんですよね。「映画とホムカミ」というところでは、そこもすごく自然に着地しているような気がします。

畳野:あのビデオの舞台になっているのは「京都みなみ会館」という映画館で。私たちはそこで『New Neighbors』という映画と音楽のイベントをやっていたんですけど、そこが移転のために3月で閉館してしまったんです。ビデオの舞台に選んだのは、あの場所にあった「みなみ会館」を映像として残しておきたいなと思ったからで。

映画館に限らず、私は、ずっとあったのになくなってしまったものの存在に気づくと、「あぁ、なくなっちゃったなぁ」って切なくなったりするんです。変わっていくことが嫌なわけではないんだけど、「あっ……」って思う、というか。

武田:それ、激しく共感します。

畳野:もちろん、新しいものができたらできたでいいんですけど、なにかがなくなってしまうことの「寂しさ」……というよりは「切なさ」と言ったほうがいいかもしれないです。その切なさが、自分たちはすごく大切なものだと思っていて。前に進んではいるんだけど、「こういうこともあったよね」って、なにかを思い出すような切なさを上手く表現していけたらいいなというのは、常に考えていますね。

武田:変わっていくものを普遍的な存在にしたい、その「瞬間」を切り取りたいという意識は、私にもあるような気がします。私が『ユーフォ』を、自分の地元の宇治を舞台にして書こうと思ったのは、変化してしまうもの、形を変えてしまうものを残したいっていう気持ちがあったからなんです。作品のなかに残してしまえば、それは永遠に存在できるので。

『ユーフォ』は一人ひとりのキャラクターが愛おしくなるというか。(福田)

—ちなみに3人は、『リズ』の主人公である希美とみぞれ、どちらに自分は近いと思いますか?

3人:う~ん………(熟考)。

—すみません、難しい質問でしたか(笑)。

武田:本当に難しい(笑)。両極端な2人ですからね。

鎧塚みぞれ / 『リズと青い鳥』より
鎧塚みぞれ / 『リズと青い鳥』より

傘木希美 / 『リズと青い鳥』より
傘木希美 / 『リズと青い鳥』より

福田:でも私は、希美の気持ちがわかるなって思うんです。私は人に対抗心をあまり持たないんですけど、「羨ましいな」って思ってしまう、人に嫉妬しちゃうところは希美に共感します。ただ、映画を観て、原作を読んでも、希美の気持ちって、最終的にはわからない部分も多いんですよね。

武田:そうなんですよ。希美は……いい子なんですけどねぇ(笑)。

—武田さん、すごくしみじみと言いますね(笑)。

武田:『第二楽章』(『響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章』 / 2017年、宝島社より刊行)の「後編」を書いているとき、希美を書くのが本当に大変だったんです(苦笑)。途中、希美に対して「なんで、この子はこんなことをするのか、わからない!」って思ってしまったときもあって……あの作品は、私自身も希美に出会うまでに時間がかかったんです。みぞれはわかりやすいんですよ。でも、希美に対しては、これまでの私の向き合い方が甘かったなって感じさせられました。

『リズと青い鳥』より
『リズと青い鳥』より

—ご自身が生み出したキャラクターであっても、その動きというのは簡単に把握できるものではないんですね。

武田:そうですね。私は相当細かくキャラクター設定をしてから書きはじめるタイプなんですけど、「この子はこういう子で、こういう行動をとるから、こういう展開になるんだ」って、あらかじめ決めていても、書いているうちにそうではなくなるんですよね。

「この子はそんな子じゃないぞ」っていうことが見えてきて、すべての骨組みが崩れて、そこから、一人ひとりのキャラクターに向き合う作業がはじまる。そうやって当初の設定よりもキャラクターを優先して書くので、最終的に、締め切りがギリギリになるんですよねぇ……(笑)。

福田:(笑)。『ユーフォ』は一人ひとりのキャラクターが愛おしくなるというか、「この子のこういうところは好きやなぁ」とか「こういう子、いるよなぁ」とか、考えながら追いたくなるんですよね。

福田穂那美(Homecomings)
福田穂那美(Homecomings)

『リズと青い鳥』より
『リズと青い鳥』より

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リリース情報

{作品名など}
Homecomings
『Songbirds』(CD)

2018年4月25日(水)発売
価格:1,296円(税込)
LACM-14743

1. Songbirds
2. Play Yard Symphony (for New Neighbors)
3. Songbirds (Miniascape sunset)

Homecomings
『Songbirds』(アナログ7インチ)

2018年4月25日(水)発売
価格:1,620円(税込)
EMF-085

[SIDE-A]
1. Songbirds
[SIDE-B]
1. Songbirds (Miniascape sunset)

作品情報

『リズと青い鳥』
『リズと青い鳥』

2018年4月21日(土)から全国公開

監督:山田尚子
脚本:吉田玲子
原作:武田綾乃『響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章』(宝島社文庫)
主題歌:Homecomings“Songbirds”
音楽:牛尾憲輔
アニメーション制作:京都アニメーション
声の出演:
種崎敦美
東山奈央
本田望結
藤村鼓乃美
山岡ゆり
杉浦しおり
黒沢ともよ
朝井彩加
豊田萌絵
安済知佳
桑島法子
中村悠一
櫻井孝宏
配給:松竹

書籍情報

『響け! ユーフォニアム北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章 前編』

2017年8月26日(土)発売
著者:武田綾乃
価格:680円(税込)
発行:宝島社文庫

『響け! ユーフォニアム北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章 後編』

2017年10月5日(木)発売
著者:武田綾乃
価格:680円(税込)
発行:宝島社文庫

『響け! ユーフォニアム北宇治高校吹奏楽部のホントの話』

2018年4月5日(木)発売
著者:武田綾乃
価格:680円(税込)
発行:宝島社文庫

プロフィール

Homecomings
Homecomings(ほーむかみんぐす)

京都在住の4ピース・バンド。The Pains of Being Pure at Heart / Mac DeMarco / Julien Baker / Norman Blake(Teenage Fanclub)といった海外アーティストとの共演、3度に渡る『FUJI ROCK FESTIVAL』への出演など、2012年の結成から精力的に活動を展開。2016年2ndフルアルバム『SALE OF BROKEN DREAMS』、2017年に5曲入りEP『SYMPHONY』をリリース。同年新たなイベント「New Neighbors」をスタート、Homecomingsのアートワークを手掛けるイラストレーター”サヌキナオヤ”氏との共同企画で彼女たちがセレクトした映画の上映とアコースティックライブを映画館で行っている。FM802「MIDNIGHT GARAGE」での月1レギュラーコーナーは3年目に突入、2018年4月から始まった京都αステーションでのレギュラー番組「MOONRISE KINGDOM」は毎週水曜23:00放送中。また4月21日全国ロードショーとなった映画「リズと青い鳥」の主題歌を担当している。

武田綾乃(たけだ あやの)

小説家。1992年、京都府生まれ。同志社大学卒。大学在学中の2013年に宝島社第8回「日本ラブストーリー大賞」の隠し玉作品『今日、きみと息をする。』でデビュー。デビュー2作目の『響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ』がアニメ化にもなり、話題に。趣味はゲーム、美術鑑賞。

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