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放送作家・倉本美津留が語る音楽仕事 最新の企画は「怖い童謡」

放送作家・倉本美津留が語る音楽仕事 最新の企画は「怖い童謡」

LINE RECORDS
インタビュー・テキスト
麦倉正樹
撮影:鈴木渉 編集:久野剛士、野村由芽

ようわからへんものが、やっぱり時代を作っていくと思う。(倉本)

―今回のLINE RECORDSからのリリースも含めて、昨今の「音楽の発信の仕方」「音楽の聴き方」の変化については、どのように感じているのでしょう?

倉本:レコードをターンテーブルに乗っけて、A面からB面に裏返す……で、傷つけたら兄貴に怒られるから、なるべくそーっと持って……とか、そんな頃から音楽を聴いてますからね。聴くときは襟を正してちゃんと集中して、見るのはジャケットだけみたいな(笑)。

そんな時期からいままで、一応体験してきているわけで……もちろん、サブスクで好きな曲をすぐに聴けるのは最高やし、自分が好きそうな曲をレコメンドしてくれるのも便利だと思う。だけど、自分から探しに行って寄り道するみたいなことが少なくなってきてるのは、ちょっともったいなあとは思っていて。でも、多分それとは違うことが、このあとに起こってくるんだろうなって思うんですよね。

左から:倉本美津留、田中大輔

―それはどういうことでしょう?

倉本:いまの若い子を見てると、やっぱりキャパがでかいというか、我々よりも使っている脳のパーセンテージが増えてるんじゃないかと思うんです。どっちがいいとかではなく、両方とも同時に楽しむことができる。頭の中がパンパンにならないんですよね。

たとえば、いまアナログがまた売れたりしているのだって、「あ、ここに、こんなおもろいもんあるんだ」ぐらいの軽い気持ちだと思うんです。あっちもこっちも楽しむことができる。新しくて面白いものっていうのは、そういうところから生まれるような気がするんですよね。それこそ、レコードをスクラッチして、楽器にした人が出てきたように。

―なるほど。スクラッチなんて、それまでの常識では、考えられなかったことですもんね。

倉本:誰かがやり始めたわけじゃないですか。もう「何やっとんねん!」って話ですよね。レコードは傷つけたらアカンと思って育ってきた人間にとっては(笑)。でも、そこから新しいものが増えていったわけで。レコードを発明した人間とかそれを作っている人間が、まったく意図しなかった楽しみ方が、生まれてくる。それがやっぱり、面白いんですよね。

倉本美津留

―それこそ、倉本さんの“それではみなさんさようなら”も、本人の意図しない形で話題になったわけで。

倉本:多分、僕のことを知らないひとたちが聴いて、面白がってるんだと思うんですよね。だけど、それが一番理想的な広がり方なのかなと思ったりもして。BABYMETALって、僕が「校長」をやっている「さくら学院」の出身で、いわば僕の教え子たちなんですよね。

倉本美津留が「校長」を務める、さくら学院"マセマティカ!"

―なるほど。BABYMETALを輩出したアイドルユニット「さくら学院」にも倉本さんは携わっているんですね。

倉本:「さくら学院」は学校をモチーフにやっているから、クラブ活動っていうのがあるんですよね。で、そのクラブの中に重音部「BABYMETAL」っていうのがあったんです。最初はグループ内のいちユニット、いち企画だったんですよね。でも、あの新しさでアイドルの枠を飛び越えていった。YouTubeなんかを介して海外への飛び火も早かったですよね。

もともとはさくら学院のクラブ活動だった、BABYMETAL"ギミチョコ"

―ピコ太郎さんもそうですが、いわゆるマーケティングみたいなものとは全然関係ない広がり方をしたというか。

倉本:そう。だからやっぱり、好きだからずっとやってるとか、そういうことって大事なんですよね。僕もしつこいタイプです。「怖い童謡」なんて、実はもう30年近く前から、自分の中ではある企画なので。それをしつこく言い続けてたら、面白がってくれる人と出会って、いまこうして形になろうとしているっていう(笑)。

―ちなみに、この企画というのは、これからいつ頃、どんな形で動いていく予定なのでしょう?

田中:スケジュールとしては、倉本さんの“それではみなさんさようなら”を課題曲とした一般公募のオーディションがスタートして、そこで選ばれた人たちの音源を新たにレコーディングして、7月1日の「童謡誕生100周年」の記念日にリリースしたいと思っています。

田中大輔

『怖い童謡オーディション』イメージビジュアル
『怖い童謡オーディション』イメージビジュアル(サイトを見る

―それは、オーディションで選ばれた人が歌う“それではみなさんさようなら”になるのですか?

田中:それとあと数曲、倉本さんプロデュースで、いま考えているところですね。

倉本:うん、“それではみなさんさようなら”は課題曲なので、リリースしますけど、その他にいま、8曲ぐらいオリジナルの「怖い童謡」の候補があるので、そこからさらに絞ったものをレコーディングしたいと思っています。いや、もう面白い曲があるんですよ。これを子どもが歌ったら、どうなるんやみたいな(笑)。

―それを楽しみにしつつも……。

倉本:ようわからへんものが、次の時代を作っていくと思うんですよね。正直、僕らもどうなっていくのか、よくわかってないところがある。ただ、いまこれをやらなアカンっていう変な使命感だけはもっています。

左から:倉本美津留、田中大輔

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イベント情報

倉本美津留 x LINE RECORDS「怖い童謡」オーディション

募集期間:2018年5月14日(月)~5月31日(木)
対象者:
全国の少年少女グループ
合唱団
14歳~21歳の男女

プロフィール

倉本美津留(くらもと みつる)

放送作家。NHK Eテレの子ども番組『シャキーン!』『ダウンタウンDX』『M-1グランプリ』『浦沢直樹の漫勉』などを手がける。これまでの仕事に『ダウンタウンのごっつええ感じ』『伊東家の食卓』『たけしの万物創世記』他多数。近著に「ことば絵本 明日のカルタ」(日本図書センター)「倉本美津留の超国語辞典」(朝日出版社)。また、ミュージシャンとしての顔ももつ。サカイ引越センターCMソング「ここち」、「東京23区おぼえ歌」、NHKみんなのうた「月」など、ジャンルレスに楽曲を発表している。

田中大輔(たなか だいすけ)

LINE RECORDS事業プロデューサー。1976年神奈川県生まれ。大学卒業後、CD・レコードショップのバイヤーを経て、2002年ユニバーサルミュージック合同会社に入社。数々のアーティストのマーケティング・メディアプランナーを担当し、2015年LINE株式会社に入社。定額制オンデマンド型音楽配信サービス「LINE MUSIC」に従事、2017年3月に「LINE RECORDS」を発足。

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