特集 PR

燃え殻インタビュー。もしSNSがなかったとしても、僕らは出会う

燃え殻インタビュー。もしSNSがなかったとしても、僕らは出会う

『SNS展』
インタビュー・テキスト
宮田文久
撮影:豊島望 編集:宮原朋之

SNSって、「趣味もビジュアルも違うのに気が合う」みたいなことが可能になる場ですよね。

—SNSが当たり前のものになった現代のコミュニケーションをどう感じていますか。

燃え殻:リアルな現実だけだとできないこともあると思うんです。SNSって、「いろんな人が世の中で生きている」ということが確認できるわけで、「趣味もビジュアルも違うのに気が合う」みたいなことが可能になる場ですよね。

燃え殻

—たしかに。

燃え殻:先日、『フリースタイルダンジョン』(即興のラップで競い合うテレビ番組)で審査員をされている作家のLilyさんとお会いしたら、全然違う人間同士のはずなのに、めちゃくちゃ気が合ったんです。たぶんそれは、SNSがあったからこその気の合い方なんですよね。僕のTwitterを見て「あんた、面白いね」ってずっといってくれていたので。

—会ってみて、どうでしたか?

燃え殻:特に映画『バッファロー'66』(1998年)の話ですごく盛り上がって。

—ヴィンセント・ギャロが監督・主演の映画ですよね。

燃え殻:僕が当時、渋谷のシネマライズで観たといったらLilyさんが、「え、私も観た!」って。あのセクシーな格好で(笑)。「その当時、筑波に住んでいて、初めて彼氏とエッチして、テンション上がって、筑波から渋谷まで行って観た」と。

—公開当時、渋谷でニアミスしていたんですね。

燃え殻:Lilyさんは当時アムラーでしたし、お互いにまったく違うところで生きていたはずなのに、同じように『バッファロー'66』を見て感動していた、ということがわかった。それはきっと、SNS的な出会い方ですよね。

人は基本、A面で会いますよね。ちょっとカッコよく自分を見せたり、取り繕ったりして。でもSNSでは、最初からB面で会うんです。

—本来は繋がりにくい人やものをSNSが繋げてくれる、ということは、たしかにありますよね。

燃え殻:だって、僕が高校でLiLyさんと同じクラスだったら、口利いてないもん(笑)。それこそ、映画『桐島、部活やめるってよ』(2012年)みたいに、Lilyさんはイケメンと付き合い、僕はゾンビ映画を撮るわけですよ。でもそれが、SNSがあることによって「あんた、面白いじゃん。あれ観たの?」「観ました」みたいな感じになる。それがSNSのすごくいいところだなと思っている。

何ていうんでしょうね。裏側で会うというか、「B面で会う」みたいな。人は基本、A面で会いますよね。ちょっとカッコよく自分を見せたり、取り繕ったりして。でもSNSでは、最初からB面で会う。「あー疲れた」なんていってて、「あー疲れた、とかいってるわコイツ」と思う(笑)。でも、そのB面だからこそ出会えた人たちがいるんです。

燃え殻

福島:SNSがきっかけの新しい出会いはありますし、『SNS展』も、そういった意味で良いきっかけになると思うんです。SNSをめぐる問いの投げかけがあって、それについてじっくり考える。それを経由してまた新たな人に出会ったり、ゆるい繋がりができたり。そこに価値がある気がします。

SNSでの投稿を見ていると、まさにB面というか、その人の人となりがいろんな形で見えてきますよね。その新たな一面を見て、お互いまた刺激を受け合うことがある。それは、コミュニケーションの本質的な部分に近づいていくことなのではないかと感じます。

福島広大(LINEモバイル)
福島広大(LINEモバイル)

—『SNS展』には、燃え殻さんも自ら作品を出展されますが、どんな作品を展示するのでしょうか? 複数のブラウン管テレビが積み重なった作品と伺っていますが……。

燃え殻:いや、まだ全然できてないから、当日までに変わっちゃうかもしれないけど……(笑)。僕が書いたテキストを、シンガーのBOMIさんに読んでいただいて、猥雑な喧騒の街中を複数のモニターに流すんです。それらのテキストが、ある瞬間ひとつの文章になる、というようなことを考えています。

—BOMIさんは、まさに街中にひとりで立っているような空気の似合う方ですよね。

燃え殻:生っぽくて……、いまの女の子の集合体、という感じがすごくしますね。何でもやっちゃうし、歌もすごく上手いんだけど、普通にボンヤリもするし、ちゃんと悩んでいる。そんな彼女が、SNSをイメージした僕の文章を読んでくれたら嬉しいな、と思って頼みました。

燃え殻

Page 2
前へ 次へ

イベント情報

『SNS展 #もしもSNSがなかったら』
『SNS展 #もしもSNSがなかったら』

2018年5月19日(土)~5月27日(日)
会場:東京都 秋葉原 3331 Arts Chiyoda メインギャラリー

時間11:00~20:00
参加アーティスト・キュレーター:
のん
菅本裕子
小山健
能町みね子
燃え殻
濱田英明
たなかみさき
最果タヒ
塩谷舞
UMMMI.
藤原麻里菜
東佳苗

プロフィール

燃え殻(もえがら)

神奈川県在住。テレビ美術制作会社で企画・人事担当として勤務。会社員でありながら、コラムニスト、小説家としても活躍。『文春オンライン』にて人生相談コーナーを担当。雑誌『CREA』にエッセイを発表。2017年6月30日、小説『ボクたちはみんな大人になれなかった』(新潮社)が発売された。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

BIM“Wink”

BIMの新作『NOT BUSY』より“Wink”の映像が公開。ゆるめに結んだネクタイは軽妙洒脱でも、背伸びはしない。どこか冴えない繰り返しのなかで<だって俺らの本番はきっとこれから>と、吹っ切れなさもそのままラップして次へ。BIMの現在進行形のかっこよさと人懐っこさがトレースされたようなGIFアニメが最高にチャーミング。(山元)

  1. Ken Yokoyama、個の力強さが問われる時代に示す音楽家の矜持 1

    Ken Yokoyama、個の力強さが問われる時代に示す音楽家の矜持

  2. 三浦春馬が日本の未来を切り開いた五代友厚役 映画『天外者』12月公開 2

    三浦春馬が日本の未来を切り開いた五代友厚役 映画『天外者』12月公開

  3. 相葉雅紀と松本潤が新聞の見開き広告で向かい合う オリジナル壁紙も 3

    相葉雅紀と松本潤が新聞の見開き広告で向かい合う オリジナル壁紙も

  4. 『保健教師アン・ウニョン』Netflixで配信。キャストや見どころ紹介 4

    『保健教師アン・ウニョン』Netflixで配信。キャストや見どころ紹介

  5. STUTSがマイクをとる 数々の音楽家から受けた刺激と経験を武器に 5

    STUTSがマイクをとる 数々の音楽家から受けた刺激と経験を武器に

  6. 機材で聴くヒップホップ。90年代の音を支えたSP-1200 6

    機材で聴くヒップホップ。90年代の音を支えたSP-1200

  7. 伊藤万理華が主演、青春SF映画『サマーフィルムにのって』2021年公開 7

    伊藤万理華が主演、青春SF映画『サマーフィルムにのって』2021年公開

  8. MONOEYES、新アルバム『Between the Black and Gray』本日リリース&PV公開 8

    MONOEYES、新アルバム『Between the Black and Gray』本日リリース&PV公開

  9. 安斉かれんというアーティスト。『M』で注目された21歳の真の顔 9

    安斉かれんというアーティスト。『M』で注目された21歳の真の顔

  10. Dos Monosからの挑戦状に、自由な発想で表現。リミックス座談会 10

    Dos Monosからの挑戦状に、自由な発想で表現。リミックス座談会