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haruka nakamuraが語る「静寂な空間にいると、耳は開いていく」

haruka nakamuraが語る「静寂な空間にいると、耳は開いていく」

『LIVE in the DARK‐w/Quartet‐』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:豊島望 編集:矢島由佳子

表現は、その人の時間の流れを変えたり、時空ごと違うところに持って行っちゃったりすることができる。(haruka nakamura)

—プラネタリウムというドーム型の会場での生演奏というのは、音響的にも特殊ですよね。

haruka:普通のホールとはまったく違う、不思議な音の反射をしているので、そこもかなりチャレンジングだと思います。すごく複雑な反射をしていて、場所によって音の聴こえ方が全然違うんです。

演奏者も、普段のモニタリング環境とはまったく違う状況でやっていて。しかも暗闇のなかなので、譜面も白黒反転させてなんとかやってますけど、まだ暗譜してるわけでもないし、彼らは今が一番大変だと思います。でも、1年後にはモノにしてるだろうから、やがて彼らが空間を支配するときが訪れると思う。そういう意味でも、これからどんどん変わっていくんだろうなって。

KokonQuartet。『LIVE in the DARK‐w/Quartet‐』の様子
KokonQuartet。『LIVE in the DARK‐w/Quartet‐』の様子

—確かに、あの暗闇のなかで演奏するのって、かなり大変ですよね。

佐野:準備はすごく大変でした(笑)。普通の譜面だと、譜面台の灯りが楽譜にハレーションして六等星が飛んでしまうので、harukaさんがおっしゃったように、黒に白字で印刷をしていて、その紙も光沢のないマット紙を使っています。

あと譜面台もハレーションしないように、黒のマットダンボールを敷いているし、コントラバスとファーストバイオリンの両サイドは、演奏の邪魔にならないギリギリまで囲いを詰めて、横からの光漏れを防いだり、かなりDIY的なことをやっているんです。

佐野大介

—実際に映像も加わっての初演をご覧になって、harukaさんはどんな感想を持たれましたか?

haruka:やっぱり、自分の音楽が星空のなかで響くのは感動的でした。映像として出てくる海の朝焼けや夕焼けというのも、もともと自分の音楽のなかにある要素ですし。

しかも、そこに理恵ちゃんがいることが、やっぱり新鮮な驚きがあるんですよ。理恵ちゃんも言ってたけど、haruka nakamura PIANO ENSEMBLEの音楽って、1回終わらせたものなんです(参考記事:haruka nakamuraが語る、PIANO ENSEMBLEの活動を終える理由)。もうやるつもりもなかったし、やらないと決めていた曲にもう1回取り組むのは、新鮮な作業だったと言っていて。その彼女の姿を見られたことも感動的でしたね。

佐野:『LIVE in the DARK –w/Quartet-』は、普段の『LIVE in the DARK』よりも星空の時間が長いので、音と星により浸ってもらえると思います。あとはやっぱり完全アンプラグドだとデジタルはあまり合わないので、実写の映像を多く使っているんですけど、非日常を演出するために、実写すぎない実写にするというか、エフェクトをかけて淡い記憶のようなイメージを作っているんですね。その雰囲気も楽しんでいただきたいです。

左から:佐野大介、haruka nakamura

haruka:尊敬する星野道夫さん(写真家、1996年没)の言葉で、「もうひとつの時間」というのがあるんです。その言葉を「表現」にとって捉えると、たとえばすごく面白い映画を観たりすると、時間を忘れるじゃないですか? 表現は、その人の時間の流れを変えたり、時空ごと違うところに持って行っちゃったりすることができる。僕はそういう「もうひとつの時間」を作りたくてライブをしているし、プラネタリウムも「もうひとつの時間」を演出している場所だと思うんです。

なので、『LIVE in the DARK –w/Quartet-』は決して僕が普段やっていることからかけ離れたことではなくて。佐野さんが目指しているところと、僕がやりたいことは、もともと近しいものだと思うんですよね。

haruka nakamura

—以前のインタビューで「1人の時間を大切にしたい」ということをおっしゃっていて、プラネタリウムで星を見る感覚に近いと思ったし、今のお話を聞いて、それって「もうひとつの時間」なんだなと思いました。

haruka:ああ、そうかもしれないですね。今ひとつの「気づき」をもらえて、静かに感動しています。星野道夫さんは、今こうして話したりしているのと同じ時間に、北海道やアラスカでは熊が鮭を食べたりしていることを想像できるかどうかで、人生が変わってくると言っていて、そういう意味で「もうひとつの時間」という言葉を使っていたんです。本当は同じ時間軸に存在している、大いなる自然を、日々感じられているかどうか。大きな「気づき」だと思うんですよね。

でも、そういう大切なことって、よく忘れちゃうんですよ。だからこそ、音楽を通じて「もうひとつの大切な時間や感覚」という気づきを発信していきたいし、自分でも常に気づいていたい。それが音楽と日常との関わり方だし、暗闇で星を見るということも、きっと「気づき」に繋がる行為だと思うんですよね。

『LIVE in the DARK‐w/Quartet‐』
『LIVE in the DARK‐w/Quartet‐』(サイトを見る

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イベント情報

LITDメインビジュアル
『LIVE in the DARK‐w/Quartet‐』

2018年5月25日(金)より毎週金曜日に開催
[1st]OPEN 19:45 START 19:30
[2nd]OPEN 21:00 START 20:45
会場:東京都 押上 コニカミノルタプラネタリウム“天空”in 東京スカイツリータウン®

楽曲制作:haruka nakamura
演奏:KokonQuartet
弦編曲:堀田星司

プロフィール

haruka nakamura(はるか なかむら)

音楽家 / 青森出身。代表作はnujabesと共作した“lamp”、奥山由之がMV監督を手掛けた“arne”、岩倉しおりとコラボレーションした8cm CD“アイル”、PIANO ENSEMBLE名義での“光”など。カロリーメイトCM「すすめ、カロリーナ。」、NHK BSプレミアム『ガウディの遺言』、『星野道夫 旅をする本の物語』、杉本博司『江之浦測候所』などの映像音楽を担当。自身の楽曲が原題となり劇伴も務めた映画『every day』が公開。evam evaとのコラボレーションでは長年に渡り演奏会を重ね、アルバム『ゆくさき』を発表。tamaki niimeなどともコラボレーションを行う。柴田元幸の朗読とのセッションを繰り返し、それを録音したアルバム『ウインドアイ』を発表。ミロコマチコとのライブペインティングセッションシリーズを継続中。「FOLKLORE」として旅を続けている。

佐野大介(さの だいすけ)

2014年8月コニカミノルタプラネタリウム株式会社にPR・広報担当として入社。SNSをはじめデジタルマーケティング・PRを主に担当。現在は作品のアーティストキャスティングから、プラネタリウムでの音楽イベント『LIVE in the DARK』のプロデュースも担当している。プラネタリウム入社前は、大手音楽レーベルにて販促担当として関西・四国エリアの媒体を担当していた。

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