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haruka nakamuraが語る、PIANO ENSEMBLEの活動を終える理由

haruka nakamuraが語る、PIANO ENSEMBLEの活動を終える理由

haruka nakamura PIANO ENSEMBLE『光』
インタビュー・テキスト
金子厚武
編集:矢島由佳子

haruka nakamuraが、近年活動の主軸としていた「haruka nakamura PIANO ENSENBLE」名義の新作『光』を完成させた。闇から光への道筋を描いた『音楽のある風景』を2014年に発表して以降、彼らは2年半に及ぶツアーを敢行。広島・世界平和記念聖堂を始め、各地の教会や文化財といった会場を回るなかで、即興を主体としたバンドの演奏は刻一刻と変化し、その姿を聖歌隊のCANTUS、14歳の歌姫・うらら、兄妹ユニット・baobabの歌声とともに収めたのが『光』という作品だ。ジャケット自体が示しているように、まさに「光」そのものとなった、PIANO ENSENBLEの到達点がここで鳴らされている。

東京カテドラル聖マリア大聖堂で行われたツアーファイナルの1週間後、CINRA.NETでは『音楽のある風景』リリース時以来となるharuka nakamuraへのインタビューを行った。前回はその生い立ちも含め、音楽家としてのバックグラウンドを語ってもらったが、今回はこの2年半の道程をじっくりと回想。そこにはたくさんの人々との出会いと別れがあり、そんな市井の人々の祈りを天に昇華させるような、美しい音楽の存在があった。

感覚として「あ、今日が最後だ」って、腑に落ちてしまって。

―2年半に及ぶツアーが、7月21日の東京カテドラル聖マリア大聖堂でファイナルを迎えました。まずは、現在の心境を話していただけますか?

nakamura:ツアーの最中は「終わりたくない」って気持ちももちろんあったし、「haruka nakamura PIANO ENSENBLE」としてまた新しいアルバムを作ってツアーをしようと思えば、できると思うんです。でも、2年半かけてメンバーと一緒に音楽を作り上げてきて、PIANO ENSEMBLEにおいては「ここまでだな」ってところに来たと思っていて。最後のカテドラル教会で演奏している最中に、「ホントに最後だな」って思いました。

―ツアーとともに、PIANO ENSEMBLEとしての活動自体も一区切りだと。

nakamura:そうです。「これ以上伸び代がない」ということではないし、やろうとすればまた新しくやることもできるとは思うんですけど、カテドラル教会での演奏中に、感覚として「あ、今日が最後だ」って、腑に落ちてしまって。なので、今は手放した気持ちというか、「終わったなあ」っていう。

haruka nakamura PIANO ENSENBLEライブの様子 撮影:Takeshi Yoshimura(TKC)
haruka nakamura PIANO ENSENBLEライブの様子 撮影:Takeshi Yoshimura(TKC)

haruka nakamura 撮影:Takeshi Yoshimura(TKC)
haruka nakamura 撮影:Takeshi Yoshimura(TKC)

―『音楽のある風景』(リリース時のインタビュー記事:言葉を忘れるほどの孤独が生んだ、haruka nakamuraの音楽)から始まり、2年半で1つの円環を描いたというか。

nakamura:『音楽のある風景』を作ったときから、なんとなくここまでの流れは考えていて。あれは即興的に生まれた純度の高い状態のアルバムだったけど、それからツアーをして完成したのが『光』という。最初からそうしたいというイメージはありました。

崖っぷちに立たされて、「なんとかしないと」って感覚が全員にあったはず。

―ツアーでは日本各地の教会や重要文化財、さらには海外と、ホントに様々な場所で演奏をされてきましたよね。昨年8月には、広島の世界平和記念聖堂での公演もありました。

nakamura:世界平和記念聖堂でやらせていただくことはすごくハードルが高いんですけど、たまたま神父様が神学校時代に僕の音楽を聴いてくれていたんです。それで一昨年に岡山のルネスホールのライブに来ていただいて、広島の主催者と一緒になって話をして。そうじゃないと、あの場所でライブなんてできなかった。

世界平和記念聖堂でのライブの様子 撮影:Takeshi Yoshimura(TKC)
世界平和記念聖堂でのライブの様子 撮影:Takeshi Yoshimura(TKC)

―harukaさんの音楽の祈りの感覚と、どこか共振するものがあったのかもしれないですね。

nakamura:そうかもしれない。世界平和記念聖堂で演奏することの意味って、とても大きいんですよ。もともとは戦争があって、これからの平和のために作られた聖堂なので、今でもたくさんの人がミサに来るし、建築もすごいし、日本の教会のなかでも特別な場所で。当日もみんなお祈りに来たような雰囲気でしたね。

撮影:Takeshi Yoshimura(TKC)
撮影:Takeshi Yoshimura(TKC)

―他にツアーで特に印象に残っている日を挙げるとすると、どれになりますか?

nakamura:それは完全に、一昨年のルネスホールとその2日後の京都文化博物館です。そのひと月前に『THE PIANO ERA』っていうイベントがあったんですけど、ツアーに出て、やっていくうちに、最初の壁がそこで来たんです。

PIANO ENSEMBLEは即興性が高いので、生きものみたいな状態で、上がったり下がったりを繰り返していくんですけど、そのなかでわかりやすく「壁だな」っていうのにぶつかったのが、ちょうどそのときで。終わったあとは、「このままだと続かない」って、全員が思ったと思う。

―実際に話をしたわけではなく?

nakamura:僕たちはリハーサルもミーティングもしないですけど、演奏でわかるんです。『THE PIANO ERA』での演奏は、悪いサイクルのなかに入ってしまっている状態だったというか、もがいてる状態だった。あとから、一人のメンバーに「ルネスホールと京都文化博物館がなかったら、もうやめようと思ってた」って言われましたからね。

その2日間で息を吹き返して、新しい扉を開けることができたので、そういう意味ですごく記憶に残ってます。ルネスホールの1曲目の“nowhere”が、それまでとまったく違う感覚で、ものすごく攻めて、ぶっ壊したんです。

―その1か月の間にどんな変化があったのでしょう?

nakamura:いや、なにかがあったってわけじゃないんだと思う。この間になにか練習をしたわけでもないし。ただ、崖っぷちに立たされて、「なんとかしないと」って感覚が全員にあったはず。少なくとも、僕はすごくありました。

わかりやすく言うと、それまでの演奏は、まだそんなに熱量がなくて、もうちょっと間とか響き、静寂とインタープレイを意識してたんですけど、そこからは、爆発しようって意識に切り替わったんです。それまで内包していた熱量を、隠さずに外に出す、さらけ出していくというか。

―解放していくような?

nakamura:うん、解放ですね。そこから明らかに変わりました。この2年半のなかで、完全にターニングポイントでしたね。

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リリース情報

haruka nakamura PIANO ENSEMBLE『光』
haruka nakamura PIANO ENSEMBLE
『光』(2CD)

2017年8月8日(火)発売
価格:3,650円(税込)
AMIP-0111

[CD1]
1. nowhere
2. SIN
3. 四月の装丁
4. 音楽のある風景
[CD2]
1. 光
2. CURTAIN CALL
3. 灯台
※BOX仕様特殊パッケージ
※haruka nakamura本人の全曲解説を含む、32Pのライナーノーツ付
※CD盤のみボーナストラック2曲のダウンロードコード付

プロフィール

haruka nakamura
haruka nakamura(はるか なかむら)

音楽家。青森県出身。『grace』(2008年)、『twilight』(2010年)、『MELODICA』(2013年)の[ソロアルバム3部作]を発表後、ARAKI shin(Sax & Flute)、内田輝(Sax)、斎藤功(Percussion)、根本理恵(Violin)らと共にPIANO ENSEMBLEとして『音楽のある風景』(2014年)、『CURTAIN CALL』(EP / 2016年)、『光』(2017年8月)の[PIANO ENSEMBLE 3部作]を発表。ソロ活動の他、Nujabesとのコラボレーションや、坂本美雨 with CANTUS、畠山美由紀、まじ娘、Aimerのプロデュース、MV、remixを行う。また、NHKBSプレミアム『ガウディの遺言』テーマ曲、CITIZEN、SONY、BOTANIST、TOYOTAなどのCM音楽、自身の曲が原案となった映画『every day』の劇伴を手掛る。その他、画家・ミロコマチコ、朗読・柴田元幸、写真家の奥山由之や中川正子らとの他業種とのセッションも行う。ソロ活動と並行し、青木隼人、内田輝との「FOLKLORE」の旅を続けている。

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