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言葉を忘れるほどの孤独が生んだ、haruka nakamuraの音楽

言葉を忘れるほどの孤独が生んだ、haruka nakamuraの音楽

インタビュー・テキスト
金子厚武

東京に来てずっと一人ぼっちだったり、大切な人が亡くなってしまったり、人生の中で闇を経験することがあったんですけど、闇がないと光は生まれないんですよね。

―sonoriumは教会のような作りとのことですが、アルバムには聖歌隊のCANTUSも参加していますし、宗教音楽っていうのもnakamuraさんにとって重要なものと言えそうですね。

nakamura:僕自身は無宗教なんですけど、家の近所に教会があって、そこに行くのが好きなんです。普段あまり人がいないんですけど、たまにおばあちゃんが一人で来てお祈りしているのを見かけて。誰かが何かに、一心に祈りを捧げてる時間って尊いし美しいなと思っていて、そういう時間そのものが好きなんですよね。

―その祈りを捧げている感覚と、アンサンブルによって光になっていく感覚っていうのは、共通のものがありそうですね。

nakamura:一緒ですね。人が生まれて死ぬまでの間にはいろんなことがあって、きっと誰にでも祈りたくなるような時間があると思うんですけど、まさに祈りの感覚と演奏してるときの感覚はリンクしてると思います。

―CANTUSが参加した“光”は、まさにこのアルバムのクライマックスだと思いました。

nakamura:あの曲を作ったのは、Nujabesさんが亡くなったことがショックで、音楽を作る気にもなれなかったときに、彼に最後に聴いてもらっていた“twilight”(『twilight』に収録)を何となく逆再生して聴いてたんです。そうしたら、それがまるで聖歌みたいに聴こえて、そこから一気に作ったのが、“光”で。“twilight”って、陽が沈んだあとの薄明かりのことをいうじゃないですか? それを逆再生するってことは、もう一度光が戻っていくような感覚だと思ったんです。“光”に歌詞がないのは、“twilight”を逆再生して聴こえてきた音をそのままCANTUSに歌ってもらったからなんですよね。あ、そもそもNujabesさんと直接会うきっかけを作ってくれたのが、CANTUSのリーダーの太田美帆さんだったんですよ。

―Nujabesさんが亡くなって、nakamuraさん自身が闇の中にいたときに、文字通り光に導いてくれたのが“光”だったと。

nakamura:ホントにそういうことですね。やっぱり、闇に沈むほど、光を求めるんだと思います。東京に来てずっと一人ぼっちだったり、大切な人が亡くなってしまったり、人生の中で闇を経験することが僕にもあったし、誰にでもあると思うんですけど、闇がないと光は生まれないんですよね。やっぱり、どっちもある。アルバムも最初の方は「闇」に潜っていく感じで、そこから徐々に「光」に向かっていくように作りました。

撮影:haruka nakamura
撮影:haruka nakamura

音楽に生かされて、音楽で生きてるって感じがしますね。時代の流れもあって、「こんな道も生まれてきたんだな」って思うんですよね。

―アルバムが完成して、今後に関してはどうお考えですか?

nakamura:sonoriumで3日間公開録音をやって、結構達成感があったので、「これで『PIANO ENSEMBLE』は終わりになってしまうのかな」ってちょっと思ったりもしたんです。ただ、その後にrieちゃん(Violin)の出産があって、代わりにno.9 orchestraのふーちゃんに参加してもらったんですけど、彼女はrieちゃんとは真逆のタイプの子で。そうしたらまた違う爆発が生まれて、このアンサンブルにはまだまだいろんな側面がありそうだなと思ったんです。rieちゃんの偉大さも再確認できましたしね。なので、このアンサンブルでどこまでいけるのか、みんなでいけるところまで続けていきたいと今は思ってます。

rie nemoto 撮影:Yatoo Takashi
rie nemoto 撮影:Yatoo Takashi

―音楽で食べていくという意識は芽生えましたか?

nakamura:それは今もないですね。実際はそうやって生活させてもらってるんですけど、自分の中で音楽は生活のためではなくて、人や場所とつながるためのものなんですよね。形として残すものがあとどれくらいあるかはわからないですけど、出すならホントにちゃんと遺したいと思うものだけを出したいですね。

―レコード会社に所属して、音楽で食べている人っていうのは、「いつまでに何枚の作品を出す」っていう契約があるわけですけど、でも本来なら「いいものができたから出す」っていうのが自然なはずで、nakamuraさんと音楽との関係性は今すごく健全なんじゃないかと思います。

nakamura:それができてるのは幸運だと思います。一緒にやってくれる仲間がいないとできないことだし、音楽に生かされて、音楽で生きてるって感じがしますね。10代のときは「『売れるか売れないか』しかないんだ」と思ってたんですけど、時代の流れもあって、「こんな道も生まれてきたんだな」って思うんですよね。旅をして、いろんな人と出会いながら、届く範囲に丁寧に届けること。今はそれを楽しんでます。

―では最後にもうひとつ。途中でおっしゃってた「喫茶店を開く夢」に関しては、今どうお考えですか?

nakamura:いつかやりたいですよ(笑)。ずっと構想はあって、場所は田舎の山とか海が見えるところで、細い縦長のお店で、店員は僕一人で、メニューは珈琲だけ。で、カウンターが両脇にあって、ちょうど目線に窓がある。だから、みんな誰とも向き合わないで、外の山や海を眺めたり、本とかを静かに読んでる。そういう店をやりたいんです(笑)。

撮影:haruka nakamura
撮影:haruka nakamura

―音楽に没入する時間、お祈りをする時間、珈琲を淹れる時間。やっぱり1人の時間を作るっていうことが根本にありそうですね。

nakamura:そうですね。その時間がやっぱり愛おしいのかもしれないです。

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リリース情報

haruka nakamura『音楽のある風景』(2CD)
haruka nakamura
『音楽のある風景』(2CD)

2014年12月24日(水)発売
価格:3,542円(税込)
KITCHEN. LABEL / AMIP-0057

[DISC1]
1. 夕べの祈り
2. harmonie du soir
3. dialogo
4. nowhere
5. SIN
6. 四月の装丁
[DISC2]
1. 音楽のある風景
2. 光
3. 永遠
※ボーナストラック“CALL”のダウンロードクーポン封入

イベント情報

haruka nakamura PIANO ENSEMBLE『音楽のある風景』コンサート

2015年1月12日(月・祝)OPEN 18:00 / START 18:30
会場:東京都 永福町 sonorium
出演:
haruka nakamura PIANO ENSEMBLE
CANTUS(ゲスト)
Lightning:
Chikuni
PA:Flysound
料金:前売4,500円 当日5,000円

2015年3月21日(土)OPEN 16:30 / START 17:00
会場:山形県 文翔館議場ホール
出演:haruka nakamura PIANO ENSEMBLE
料金:前売4,500円 当日5,000円

※4月に大分・由布院アルテジオ、5月に兵庫・篠山rizmなど、今後も日程が追加予定。

プロフィール

haruka nakamura(はるか なかむら)

青森県出身。少年期に鍵盤、ギターを独学で学び、2006年より本格的に活動を開始。これまでに『grace』(2008/Schole)、『twilight』(2010/Kitchen.Label)、『MELODICA』(2013/Hydeout Productions)というアルバム3部作を発表。また、Janis Crunchとの『12 & 1 song』(2011/Kitchen.Label)、AOKI,hayatoとの『FOLKLORE』(2014/fete musique)を発表。流動的なメンバー編成の即興演奏プロジェクトharuka nakamura LABOや、ギタリストAOKI, hayatoとのデュオでの活動も行う。その他、support surface、evam eva、mameなどのアパレルブランドのショーや展示会の音楽なども手掛けている。

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