インタビュー

サカナクション山口がD.A.N.を取材「正直、D.A.N.は羨ましい」

サカナクション山口がD.A.N.を取材「正直、D.A.N.は羨ましい」

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:伊藤惇 編集:川浦慧、矢島由佳子

D.A.N.が約2年ぶりとなる2ndアルバム『Sonatine』を、7月18日に発表した。彼らの名を世に広めた1stアルバム『D.A.N.』のリリース後は、全国各地のフェスやイベントへの出演、James BlakeやThe xxといった海外の大物アクトのオープニングを経験。外部からのさまざまな刺激を受けつつも、決してぶれることはなく、むしろ自分たちの信念をより強固に貫くことによって、素晴らしい作品を作り上げてみせた。

そんなD.A.N.の音に早くから魅了されていた1人がサカナクションの山口一郎。2016年に開催された『SAKANATRIBE NF CAMP in JOIN ALIVE』にD.A.N.を招き、その後もLIQUIDROOMのパーティーで共演するなど、親交を深めていた。先日行われたワンマンツアー『SAKANAQUARIUM2018』東京公演のMCでは、D.A.N.との会話のなかの「染みながら踊る」という言葉が、「やりたかったことを思い出させてくれた」とも語っている。

そこでCINRA.NETではD.A.N.と山口一郎の対談を企画。今回は山口にインタビュアーを担当してもらい、ミュージシャン同士の対話から、D.A.N.の魅力を引き出してもらった。日本における「バンドによるダンスミュージック」のトップランナー2組の、世代を超えた対話をぜひ楽しんでいただきたい。

「よくわかんないんだけど、みんながいいって言ってる」ものに対しては、神秘性を見出すんだよね。D.A.N.はその位置にいる。(山口)

—今回は山口さんにインタビュアーをしていただこうという企画なのですが、これまでに両者でじっくり話をしたことってあるんですか?

山口:去年、年末のLIQUIDROOMのイベント(『NEW YEAR PARTY 2018』)にどっちも出てて、前から話してみたいと思ってたから、同じ日に出てたOGRE YOU ASSHOLE(以下、オウガ)の出戸くんと僕と、そのときは市川くんと3人で結構しゃべりましたね。そのとき話したのは、日本人は「染みながら踊る」タイプの人が多いから、バンドのフィジカルやサウンドでそこにどれだけ連れていけるかが、日本で活動するときの勝負になるんじゃないかって。

D.A.N.は染みながら踊れるオリジナリティーを持っていると思うし、話してみて、同じ種族だって感じたというか。ジャンル関係なく「いいものはいい」とリアクションしてきた人たちなんだろうと思いました。

山口一郎(サカナクション)
山口一郎(サカナクション)

—僕は先日のサカナクションのZepp Tokyo公演を観させてもらったんですけど、MCでその話をされていましたよね。D.A.N.と「染みながら踊る」という話をして、自分たちがもともとやりたかったことを思い直したと。

市川(Ba):僕が思う「染みながら踊る」っていうのは、インナートリップして、自分のなかに入り込んだ後に出てくる、一人ひとりの全然違う踊り方で。それこそ、踊ってなくてもそれはそれで全然いいんです。ライブを観ていて、その人のなかのパーソナルな部分が出てくるのが「染みている」状態。そういう内側に入り込んでいくようなことを僕らはやりたいんです。

だから、作品では余白を多めにとって考える余地を与えて、人によっては懐かしく聴こえたり、人によっては新しく聴こえたりするような、多角的なものを作りたいんですよね。そうすれば、その人のなかにしかない原風景が見えてきて、普遍にも繋がるかなって。

市川仁也(D.A.N.)
市川仁也(D.A.N.)

山口:日本人って、音楽を景色で見たりとか、「染みる」ことに長けていると思う。

市川:「禅」とかもそうだと思います。「自分の内側を見る」みたいな。

山口:そういう聴き方をするリスナーがもっと増えればいいのにと思うよね。

僕は20歳くらいまでインターネットがなかったから、音源を手に入れるにしても情報は限られてたんだよね。だけど、美しくて難しいものには何かがあるだろうって感じていた。今は理解できないけど、聴いていくうちにわかるはずだと、「何とか理解したい」というモチベーションで聴いていて。でも、インターネットの時代になってからは、そうやって染みていく人が減ってるのかなと感じるんだよね。

櫻木(Gt,Vo,Syn):今の一郎さんの話は僕もすごく共感します。音楽を聴いたり本を読んだりするのって、ある程度体力がいるじゃないですか? でも、よくわかんない映画を観て、「わかんねえな」って思いながらも、何か自分の心のなかに残る質感があって、それが後になって、「こういうことか」ってハッとするとか、ある種の快感と直結するとすごく楽しくなるんですよね。

音楽を聴くこともそうだし、あらゆるカルチャーに触れることがそう。でも今は何でも便利で、簡単に音楽も聴けて、それゆえにちょっと楽してる気がするというか。体力を使って、「これをしっかり聴こう」じゃなくて、流れてきちゃいますよね。

櫻木大悟(D.A.N.)
櫻木大悟(D.A.N.)

山口:批評も変わったよね。僕の若い頃は、いいか悪いかは自分のなかだけだったけど、今って「これをいいと思ってる人はどれくらいいるんだろう?」とか「これに対してみんなどんなことを思ってるんだろう?」ということがすぐにわかるから、自分で批評しなくなっていて、むしろ、批評を見て批評するようになってる。だから、信頼の種類が変わってきてる感じがする。

ただ、「何かよくわかんないんだけど、みんながいいって言ってる」というものに対しては、神秘性を見出すんだよね。D.A.N.はその位置にいる気がする。「わからないけどわかる」っていうか、周りがみんな「D.A.N.いいよね」って言ってて、最初はよくわからなくても、聴いてみたらハマっていく。僕らがアナログな時代に音楽にハマった感覚で、D.A.N.にハマってる人が多い気がする。

櫻木:だとしたら、幸せですね。

山口:それを戦略的じゃなくやれてるのがすごい。それは音楽の力なんだろうな。

2015年に、D.A.N.が初めてYouTubeにて発表したミュージックビデオ

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リリース情報

D.A.N.
『Sonatine』初回限定盤(2CD)

2018年7月18日(水)発売
価格:3,564円(税込)
SSWB-007︎

1. Start
2. Chance
3. Sundance
4. Cyberphunk
5. Debris
6. Pendulum
7. Replica
8. Borderland
9. Orange

D.A.N.
『Sonatine』通常盤(CD)

2018年7月18日(水)発売
価格:2,484円(税込)
SSWB-008︎

1. Start
2. Chance
3. Sundance
4. Cyberphunk
5. Debris
6. Pendulum
7. Replica
8. Borderland
9. Orange

サカナクション
『SAKANAQUARIUM2017 10th ANNIVERSARY Arena Session 6.1ch Sound Around』【完全生産限定プレミアムBLOCK】(Blu-ray)

2018年7月25日(水)発売
価格:10,800円(税込)
VIZL-1415

サカナクション
『SAKANAQUARIUM2017 10th ANNIVERSARY Arena Session 6.1ch Sound Around』【完全生産限定プレミアムBLOCK】(DVD)

2018年7月25日(水)発売
価格:9,720円(税込)
IZL-1416

サカナクション
『SAKANAQUARIUM2017 10th ANNIVERSARY Arena Session 6.1ch Sound Around』【通常盤】(Blu-ray)

2018年7月25日(水)発売
価格:4,292円(税込)
VIXL-236︎

サカナクション
『SAKANAQUARIUM2017 10th ANNIVERSARY Arena Session 6.1ch Sound Around』【通常盤】(DVD)

2018年7月25日(水)発売
価格:4,212円(税込)
VIBL-905︎

イベント情報

『D.A.N. TOUR 2018 "Sonatine"』

2018年9月5日(水)
会場:中国 成都(Chengdu) Little Bar Space

2018年9月06日(木)
会場:中国 深圳(Shenzhen) B10 Live

2018年9月07日(金)
会場:中国 北京(Beijing) YugongYishan

2018年9月08日(土)
会場:中国 上海(Shanghai) Mao Livehouse

2018年9月20日(木)
会場:台湾 台北(Taipei) THE WALL

2018年9月21日(金)
会場:台湾 高雄(Kaohsiung) Live Warehouse

2018年9月23日(日)
会場:タイ バンコク(Bangkok) PLAY YARD by Studio Bar

2018年11月17日(土)
会場:宮城 仙台 darwin

2018年11月21日(水)
会場:福岡 BEAT STAITON

2018年11月23日(金祝)
会場:岡山 YEBISU YA PRO

2018年11月30日(金)
会場:北海道 札幌 PENNY LANE24

2018年12月05日(水)
会場:大阪 梅田 CLUB QUATTRO

2018年12月06日(木)
会場:愛知 名古屋 BOTTOM LINE

2018年12月08日(土)
会場:石川 金沢 vanvan V4

2018年12月09日(日)
会場:新潟 CLUB RIVERST

2018年12月20日(木)
会場:東京 新木場 STUDIO COAST

プロフィール

D.A.N.
D.A.N.(だん)

2014年、櫻木大悟(Gt,Vo,Syn)、市川仁也(Ba)、川上輝(Dr)の3人で活動開始。様々なアーティストの音楽に対する姿勢や洗練されたサウンドを吸収しようと邁進し、いつの時代でも聴ける、ジャパニーズ・ミニマル・メロウをクラブサウンドで追求したニュージェネレーション。2015年7月にデビューe.p『EP』を7月8日にリリース。2016年4月20日に待望の1sアルバム『D.A.N.』をリリースし、CDショップ大賞2017の入賞作品に選出。7月には2年連続でFUJI ROCK FESTIVAL'16に出演。またFUJI ROCK FES'17のオフィシャルアフタームービーのBGMで「Zidane」が起用される。2017年2月にJames Blakeの来日公演でO.Aとして出演。自主企画〈Timeless 2〉で、LAからMndsgnを招聘し2マンで共演を果たす。4月にはミニアルバム『TEMPEST』をリリース。11月に初の海外公演をLONDONで行い称賛を浴びる。滞在中にはFloating Pointsのスタジオで制作活動を行い、ジャイルス・ピーターソンのラジオ番組〈Worldwide FM〉に出演しスタジオライブを敢行。帰国後、全国7箇所でのワンマンツアー”4231”は各地ソールドアウト。2018年2月、UKのThe xx来日東京公演のO.Aとして出演。

サカナクション
サカナクション

2005年に活動を開始し、2007年にメジャーデビュー。日本の文学性を巧みに内包させる歌詞やフォーキーなメロディ、ロックバンドフォーマットからクラブミュージックアプローチまでこなす変容性。様々な表現方法を持つ5人組のバンド。全国ツアーは常にチケットソールドアウト、出演するほとんどの大型野外フェスではヘッドライナーで登場するなど、現在の音楽シーンを代表するロックバンドである。2015年、クリエイター・アーティストと共に音楽に関わる音楽以外の新しいカタチを提案するプロジェクト「NF」を恵比寿LIQUIDROOMで定期開催。また映画「バクマン。」音楽で第39回日本アカデミー賞最優秀音楽賞を受賞。音楽的な評価も受けながら「ミュージシャンの在り方」そのものを先進的にとらえて表現し続けるその姿勢は、新世代のイノベーターとして急速に支持を獲得している。

関連チケット情報

2018年9月28日(金)
GIMMICK-MAGIC 1st Anniversary Event
会場:DRUM LOGOS(福岡県)
2018年10月8日(月)
WWW&WWW X Anniversaries TIMELESS #4
会場:WWW X(東京都)
2018年11月17日(土)
D.A.N.
会場:仙台 darwin(宮城県)
2018年11月21日(水)
D.A.N.
会場:Fukuoka BEAT STATION(福岡県)
2018年11月23日(金)
D.A.N.
会場:YEBISU YA PRO(岡山県)
2018年11月30日(金)
D.A.N.
会場:ペニーレーン24(北海道)
2018年12月5日(水)
D.A.N.
会場:梅田クラブクアトロ(大阪府)
2018年12月6日(木)
D.A.N.
会場:ボトムライン(愛知県)
2018年12月8日(土)
D.A.N.
会場:金沢vanvanV4(石川県)
2018年12月9日(日)
D.A.N.
会場:新潟CLUB RIVERST(新潟県)
2018年12月20日(木)
D.A.N.
会場:STUDIO COAST(東京都)

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