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タムくんとタイの作家に訊く、タイのキャラクター文化急成長の訳

タムくんとタイの作家に訊く、タイのキャラクター文化急成長の訳

『タイキャラトーキョー in ROPPONGI』
インタビュー・テキスト
島貫泰介
撮影:鈴木渉 編集:川浦慧

日本から約4000km離れた熱帯の国、タイ。料理や観光で日本人にも馴染み深い国だが、この10年のアジア各国の経済成長の影響で、タイを取り巻くカルチャーシーンはさらに大きく変わっているという。その例のひとつがキャラクタービジネスの変化だ。SNSが普及し、日本と同じようにLINEやFacebookが活用される同国では、ネットを介して人気のキャラクターが次々と誕生している。

この記事では、その代表的なクリエイター3名を紹介しようと思う。黄色のモコモコがかわいい羊「Shewsheep(シューシープ)」を生み出したPoptoday(ポップトゥデイ)。タイ屈指の人気を誇る、独身OLという設定のうさぎ「Jay The Rabbit(ジェイ・ザ・ラビット)」のJJ。そして日本とタイのハイブリッドな人気キャラクター「マムアン」の作者として知られるタムくんこと、ウィスット・ポンニミット。彼ら3人が考える、キャラクターの魅力、そして日本との接点について話を聞いた。

自分が描いているキャラクターだから、自分のアバターみたいになるのかも。(Poptoday)

—Poptodayさん、日本に来るのは初めてですか?

Poptoday:もう何度も来てます。東京、大阪、あと京都や奈良にも行ったことがありますよ。僕はデザインを勉強しているので、日本のデザインには興味がある。デザインだけじゃなくて社会環境とかにも日本人的なスタイルを感じます。面白い国ですよね。

Poptoday
Poptoday

—Shewsheepが生まれたきっかけって何ですか? シュークリームと羊を合体させようと思ったのはなぜ?

Shewsheep
Shewsheep(Instagramで見る

Poptoday:作ったのは5年前かな。最初に羊のキャラを作ったんだけど、まだコンセプトはありませんでした。とりあえず造形が先行で、そこから「羊って何だろう?」とか、いろいろ考えたんです。羊ってあまり仕事をしているイメージがない。牛や他の動物よりもぜんぜん仕事をしてない。1日中食べてばっかりで、毛を伸ばしてばかりいる。それが仕事、みたいな。食べて、伸ばして、な生き物だなって思ったんです。

それと、羊のキャラ=食べる、ってことを考えていったときに「チューイング(噛む)」の意味とかけて、「シューシープ」にしたんです。

—シュークリームだから、自分で食べるだけでなくて、自分が食べられちゃうって感じもありますよね。その矛盾が楽しい。

Poptoday:あ、じつはShewsheepはシュークリームじゃないんですよ!

—え、そうなんですか? どう見てもシュークリームですけど(笑)。本人が他の食べ物と一緒に食べられそうなイラストもあって、タイではシュークリームをナンプラーにつけて食べたりするのかと思ってました。

Poptoday:ナンプラーにはつけないよ(苦笑)。でも、たしかにシュークリームと勘違いしている人はいっぱいいます。

—日本だと、動物と食べ物の合体したキャラが大勢いるものですから。失礼しました。

Poptoday:たしかにね。僕がShewsheepを考えたときに念頭にあったのはリラックマでした。リラックスしているクマがいるように、この子はチューイングしてる羊なんです。

Poptoday

—共感を持ちやすい、羊みたいにスローな生活を送っているようなキャラなんですね。

Poptoday:自分の性格を反映しているのかも。自分も食べるのが大好きで、新しい店がオープンするとすぐお試しで行くし、新しいお菓子が発売されたら、おやつの時間にみんなでシェアします。

あとは言い訳癖も似てるな。Shewsheepは食べるときに「今日だけは食べちゃおう」みたいな言い訳を言うんです。そして、自分も食べたり遊んだりするときについつい言い訳を探してる。夜遅くまで仕事するから、コーヒーを買いに外出しよう……でも買うのはコーヒー味のアイスクリームだったり(笑)。自分が描いているキャラクターだから、自分のアバターみたいになるのかも。

—最初に発表したのはネットですか?

Poptoday:そう。Facebookでした。ちょっと試しにイラストを描いてみて、セリフを添えてアップしたら、たくさんの人が「いいね!」をくれたんです。最初の頃は食べ物周辺の話をメインにしていたんですけど、それを見たサラリーマンの友だちが「これは俺たちそのものじゃないか!」って言ったんですね。つまり、僕らは食べ物のことしか考えてない(笑)。

—だとすると、ShewsheepはPoptodayさんや周辺の友だちと同い歳くらいの設定?

Poptoday:男性の羊で、仕事をする世代です。新卒っていうよりは、働いて数年が経って、サラリーマン生活に順応している世代かな。

Shewsheep
Shewsheep(Instagramで見る

—生活感溢れる設定に、個人的にせつなくなっちゃいます(笑)。日本だと子どもっぽいキャラクターが多いので、同年代のリアルな設定は新鮮です。

Poptoday:ターゲットを考えて作ったキャラクターではないので、ちょうど自分や自分の周辺の世代を反映してたんでしょうね。それと、タイでFacebookをやっているメイン層はサラリーマン世代なので、そこに届いたという側面もあると思います。最近は若い人にも認知されるようになってきて変化を感じます。

けろけろけろっぴは僕のお手本です。(Poptoday)

—Shewsheepは、たくさんの企業ともコラボしています。自分の創造したキャラが人気を得て、拡散していくのをどう感じていますか?

Poptoday:嬉しいですよ。ハローキティもいろんな商品とコラボして、グッズとして身の回りに置いて使えるじゃないですか。それをShewsheepができているのは嬉しい。自信にもなりますからね。

ShewsheepのiPhoneケース
ShewsheepのiPhoneケース

—怠け者みたいな設定からはじまったシューが、いまやめちゃくちゃ働き者になっているのが面白い。

Poptoday:おいしいごはんを食べるためにはたくさん働かないとね(笑)。

—リラックマの名前を挙げていましたが、他の日本のキャラクターにも影響を受けたりはしましたか?

Poptoday:影響はいろんなものから受けています。西洋のものも好きだし、日本のものも好き。でも、特筆すべきなのは、やっぱりサンリオ。子どもの頃から身の回りにグッズがたくさんありましたからね。Shewsheepにとって「みんなに楽しく使ってほしい」というのは大きな目標なので、グッズにはこだわります。

もっとシリアスなキャラクターも好きだけど、そういうキャラは、たとえば気軽に使うスマホのケースに似合うかといえば難しい。でもサンリオのキャラクターは、身につけたり持ち歩いたりするのにとてもマッチしてる。けろけろけろっぴは僕のお手本です。

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イベント情報

『タイキャラトーキョー in ROPPONGI』
『タイキャラトーキョー in ROPPONGI』

2018年7月14日(土)~7月29日(日)
会場:東京 六本木ヒルズ アート&デザインストア
参加キャラクター:BLOODY BUNNY(ブラッディバニー)、Durian THE MASK(ドリアン・ザ・マスク)、Jay the Rabbit(ジェイ・ザ・ラビット)、MAJORY(マジョリー)、Mamuang(マムアン)、MEAW(ミャオ)、Shewsheep(シューシープ)
主催:タイ国大使館商務参事官事務所

クリエイターワークショップ

人気キャラクターのクリエイターによるワークショップを開催します。
2018年7月14日(土)、7月15日(日)
会場:東京 六本木ヒルズ アート&デザインストア

プロフィール

Poptoday(ぽっぷとぅでい)

2003年にチュラロンコーン大学建築学部インダストリアルデザイン学科卒業後、グラフィック・デザイナーとして活動。2006にLiffolabを創設し、グラフィック、キャラクター、ゲームのデザイナーとして活躍。2012年にShewsheepをスタート。

JJ(じぇいじぇい)

PR・マーケターとして広告代理店に勤務する傍ら、SNSにアップしたうさぎのイラストが友人にシェアされ瞬く間に人気に。うさぎの名前JAYは自らのニックネームJJから。現在は独立し、連載や企業タイアップを中心に活躍中。

ウィスット・ポンニミット

1976年、タイ・バンコク生まれ。愛称はタム。バンコク、シラパコーン大学デコラティブアート学部卒。1998年バンコクでマンガ家としてデビューし、2003年から2006年まで神戸に滞在。2009年『ヒーシーイットアクア』により文化庁メディア芸術祭マンガ部門奨励賞受賞。現在はバンコクを拠点にアーティスト・マンガ家として作品制作の傍ら、アニメーション制作・音楽活動など多方面で活躍する。主な作品に「マムアン」シリーズ、『ブランコ』(小学館)、『ヒーシーイット』シリーズ(ナナロク社)など。2016年には、新刊『ヒーシーイットレモン』刊行、個展「ほっとすぽっと」開催、くるりの楽曲「琥珀色の街、上海蟹の朝」PV制作を手掛けたほか、さいたまトリエンナーレ2016にも参加。

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