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アナログフィッシュ×呂布カルマ 小さな声でも人に刺さる言葉

アナログフィッシュ×呂布カルマ 小さな声でも人に刺さる言葉

Analogfish『Still Life』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:小田部伶 編集:久野剛士、山元翔一

いまの時代は「愛している」って、自分の想いをストレートに言っちゃいけない雰囲気がある。(下岡)

—今回、アナログフィッシュの新作『Still Life』のラストトラック“Pinfu”に呂布さんのラップがフィーチャーされていますが、この曲で、それまでのアルバムを覆うメロウなトーンがガラッと変わりますよね。

下岡:そうですね。呂布くんとは一昨年の『りんご音楽祭』で初めて会ったんだけど、今年、笹口騒音(シンガソングライター)がイベントに呼んでくれて。そこに呂布くんも出ていたんですよね。で、せっかく会えるなら、一緒に曲をできないかなって思って、ちょうどそのとき作っていたトラックを呂布くんに送ったんです。そしたら、ラップしてくれて。それがすごくよかったから、アルバムに入れようと思ったんですよね。でも、曲調的に途中に入れるところがなくてさ(笑)。

呂布:ははは(笑)。

下岡:それで、最後に入れました。でも、それによって地に足がついたというか、締まった感じがしてよかったです。

下岡晃(アナログフィッシュ)

呂布:アルバムを聴かせてもらったんですけど、後半が特にいいなと思って。最近のモードなのかわからないですけど、いい意味で「諦め」を感じるというか。「現状を変えよう!」っていう意識をそのまま書くんじゃなくて、一歩引いている感じがある。それに、見たいところだけを見るんじゃなくて、いまの時代の空気感全体を見ているような視点があるし……そういう意味でも、ここ最近のアナログフィッシュの作品と繋がりがあるアルバムだなって感じました。

下岡:自分の中では、アルバムとしては『最近のぼくら』(2014年)に繋がっている感じがあるんですよね。今回は、ラブソングという形でやってみようっていうのが最初にあって。ラブソングっていうものを自分のいまの気分で書いてみたら、こういう形になってきました。

—出発点として「ラブソング」というテーマが生まれてきたのは、どうしてだったのでしょうか?

下岡:『Almost A Rainbow』(2015年)の中に入れた“No Rain (No Rainbow)”は、ラブソングの形でありながらも、自分の言いたいことが言えている……そういう意味でも美しい歌詞が書けたなと思っていて。ラブソングでも、使い方によってはこういう歌詞が書けるんだなっていう実感が、あの曲ができたときにあったんですよね。今回は、それを広げてみようと思ったんです。

ただ、作っていくうちに「ラブソングでありながら、自分の言いたいことを言う」っていう当初の構想が底抜けしちゃって、あんまりそうならなかったんですよね。シンプルに「ラブソング」というところに寄っていった感覚がある。

Analogfishー"No Rain (No Rainbow)"(Apple Musicはこちら

—今作の中心に位置している“静物 / Still Life”の歌詞は、どこか“No Rain (No Rainbow)”の歌詞の続編のように思えました。あの曲で対話していた2人の、その後の物語というか。

下岡:うん、僕もそう思います。

—意識的に繋げていた、ということでしょうか?

下岡:意識していないこともないんだけど……それがどこまでできたのかは、自分でも判別がついていない部分が多くて。ただ、“静物 / Still Life”の歌詞にある<"愛している"なんて 言っちゃいけないと思っていたよ>っていう言葉には、時代性があるなと自分では思っていて。

「愛している」って、とても個人的な思いを伝える言葉だけど、それを言っちゃいけない気がしてしまう……そういう気分が、いまの時代にはあるなって思うんですよね。やっぱり、同調圧力のようなものがSNSで可視化されたことで、より強まった部分もあるだろうし……。こういう話は、Twitterでよく話題になっている呂布くんに聞いたほうがいいのかもしれないけど。

呂布:俺は、なんにも気にしてないです(笑)。

呂布カルマ

下岡:ははははは(笑)。

呂布:「言葉に気をつけろ」って一般の人たちに言われても、俺は元々、そいつらの100倍くらい言葉には気をつけているし。ビビッドな言葉は、ビビッドだとわかった上で使っていますからね。「人の気持ちも考えろ」ってたまに言われるんですけど、他人の気持ちなんて考えたってわかるわけがないんだから、まずは自分から言ってみたほうがいいと思うし。

下岡:わかるよ。「気にしない」っていう呂布くんの在り方は、ひとつの正解のような気がする。ただ、僕が見ている限りでは、みんながみんな、そういうわけにはいかないんだよね。例えば一つの例として別に、「愛している」って言っていいのになと思うんだけど。

—「愛している」と言っちゃいけない気がする……下岡さんが指摘されたこの時代感覚は、僕もすごく感じます。

呂布:……俺は、「愛している」とは、そもそも恥ずかしくってあんまり言えないですけどね(笑)。

下岡:まあ、そうだよね(笑)。

呂布:「愛している」って、乱暴といえば乱暴な言い方ではあると思うんですよ。飯を食っていて「美味い!」としか言わない感じ、というか(笑)。「本当に好きなら、もっと言い方あるでしょ?」っていう感じもするし……。「愛している」って言われたら黙るしかないし、「愛している?」って聞かれたら、「う~ん……」って言うしかない。「愛している」って、リアルな言葉じゃない気はします。和訳っぽい言葉というか。

呂布カルマ

下岡:なるほどなあ。……呂布くんと喋っているときに出てくる、その呂布くん独自のルールのようなものって、面白いよね。誰かに「これって、こうじゃないですか?」って言われても、「いや、角度を変えればこう見えるし」とか、「引いてみれば、それは当たり前だし」みたいなものが、呂布くんの中には常にあるんですね。

呂布:……一応、思慮深いつもりではあるんです(笑)。

下岡:一応じゃないよ。呂布くんは思慮深いと思う。それは伝わっていると思うよ。

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リリース情報

Analogfish『Still Life』
Analogfish
『Still Life』(CD)

2018年7月25日(水)発売
価格:2,916円(税込)
PECF-1157

1. Copy & Paste
2. With You (Get It On)
3. Sophisticated Love
4. Dig Me?
5. 静物 / Still Life
6. Ring
7. Uiyo
8. Time
9. Pinfu

イベント情報

『Tour “Still Life”』

2018年9月9日(日)
会場:愛知県 名古屋 CLUB UPSET
料金:前売3,800円(ドリンク別) 当日未定

2018年9月15日(土)
会場:宮城県 仙台 LIVE HOUSE enn 3rd
料金:前売3,800円(ドリンク別) 当日未定

2018年9月17日(月・祝)
会場:大阪府 心斎橋 Music Club JANUS
料金:前売3,800円(ドリンク別) 当日未定

2018年9月24日(月・祝)
会場:東京都 渋谷 WWW X
料金:前売3,800円(ドリンク別) 当日未定

プロフィール

Analogfish
Analogfish(あなろぐふぃっしゅ)

3ピースにして2ボーカル+1コーラス。唯一無比のハーモニーを響かせる希代のロックバンド。下岡晃(Gt,Vo)が問題提起する社会的なリリックと佐々木健太郎(B, Vo.)の情熱的な人間賛歌が見事に交差する楽曲群が魅力。それを支える扇の要、斉藤州一郎(Dr,Cho)のしなやかでファットなプレイと垢抜けたコーラスワークが高い評価を得る。共演ミュージシャンはもとより、映画、小説、漫画等、各界クリエイターからのラブコールは止みません。

呂布カルマ(りょふかるま)

日本のヒップホップMC。愛知県名古屋市を拠点に活動している。JET CITY PEOPLE代表。大阪芸術大学建築学科出身の父親のもとに生まれ、小学校時代を大阪府で過ごす。中学校に入ってから愛知県名古屋市に引っ越し、中部大学の附属高校を卒業後、名古屋芸術大学美術学部に入学。大学を卒業後も、フリーターを続けながら小学生からの夢であったプロの漫画家を目指すも挫折し、本格的にラップを始める。2018年5月9日に、5枚目となる最新アルバム『SUPERSALT』をリリースした。

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