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奇妙礼太郎の変化。「どうせ」が口癖だった自分とサヨナラをして

奇妙礼太郎の変化。「どうせ」が口癖だった自分とサヨナラをして

『奇妙礼太郎ライブハウスツアー2018 "9"』
インタビュー・テキスト
矢島大地
撮影:村井香 編集:矢島由佳子

9月26日にリリースされたアルバム『More Music』は、奇妙礼太郎11変化とでも言いたくなるほどに歌表現の幅が拡張され、1曲1曲への没入と憑依が凄まじい作品だ。ロックンロール、フォーク、ブルース、日本歌謡、ジャズ――奇妙が敬愛する吉田省念と、盟友である田渕徹(グラサンズ)の手掛けた楽曲が彩り豊かに駆け回る中、目の前にある音楽とひたすら向き合い、奇妙が新たな歌と表現方法を掴んでいる作品だとも言えるだろう。

端から「歌うこと」への執念と業を強く感じさせる表現者であった奇妙が、ここにきてさらなる進化と真価を見せながら、より自由に音楽の上で跳ね回っているアルバム『More Music』。歌うたいとしての凄みを改めて見せつけるとともに、その新章を強烈に印象付ける作品を通じて、改めて奇妙にとっての歌とはなにかを訊いた。

振り返ってみたら、美味しいラーメンの、辛い部分だけを出してたんちゃうかっていう気がして。

奇妙:(インタビューを開始するなり)僕ね、朝から郵便局にめっちゃ電話してから来たんですよ。

奇妙礼太郎
奇妙礼太郎

—はい(笑)。それまたどうして?

奇妙:毎週火曜日にブーケが届くようにしてるんですよ。固めのボール紙みたいなのに包まれて送られてくるんですけど、ウチのポストって、それが入りにくい形なんですね。だからポストに入らないときは、郵便局の人がブーケを持って帰るわけです。

それに気づいたのがブーケを持って帰られて1週間くらいで、焦って連絡して。それで再配達してもらってポストを見たら、枯れた花が可哀そうに干からびてまして(笑)。だから、「できたら花が元気なうちに無理矢理にでもポストへ突っ込んどいてほしい」っていう電話を郵便局にかけてから、今日インタビューに来たんです(笑)。

奇妙礼太郎

—でも今の話とは逆で、音楽的にも歌唱的にも瑞々しいアルバムをリリースされたところだと思うんですけど。

奇妙:おー! 上手いですねえ(笑)。でも確かに、瑞々しいですね。1曲目からそういう感じやなって僕も思います。

アルバム『More Music』1曲目“エロい関係”

—奇妙さんの歌の幅が一気に拡張された作品だと感じました。1曲1曲での声色、歌唱の幅が凄まじい作品で。ご自身では、どういう作品を作れたという実感がありますか?

奇妙:自分の音の範囲が全部で10くらいあったとしたら、今までの僕は1か2くらいのところだけしか使ってなかったんですよ。その部分しか聴いてもらう意味がないなって自分で思っちゃってたんです。

でも、真ん中の5くらいの部分とか、なんなら下のほうの8とか9も使ってみたらいいのにって、友達やミュージシャン仲間から言われたりすることもあって。それに自分自身でも、ニュートラルなところを8割くらい使いながら、必要なところだけ1、2あたりのピークの声を使えばいいんかな? って、ここ1年くらい考えてたんですよね。それを作品でやってみようかなって。だから、こうして歌い方が広い作品になったのかなっていう気がしますね。

手を広げながら、上の一部を「1、2」と指して説明する奇妙礼太郎
手を広げながら、上の一部を「1、2」と指して説明する奇妙礼太郎

—どうして、そう考えるようになったんだと思いますか?

奇妙:人が出されへん声を出すことに価値があると思ってたし、それ以外は意味がないっていう考え方やったんですよ。自分しか出されへん声を出さないと誰も食べへん、誰も食べへんねやったら出さんとこ、って。でも振り返ってみたら、全体で食べて初めて美味しいラーメンの、辛い部分だけを出してたんちゃうかっていう気がして。

野球で言うと、バーンと打って「凄い飛んだ! 見て!」っていう感じやったんです。それも面白いけど、一回球場をゆっくり歩いて見て回ってみましょう、と思ったんですよね。ここに売店があって、ここにご飯屋さんがあって、ここでお客さんが盛り上がってて――ホームランだけじゃなくて、そうしてトータルで見てみるのも楽しいんじゃないかと思うようになって。

奇妙礼太郎

—そういう発想から、吉田省念さんと田渕徹さんと作品を作ろうと思ったんですか?

奇妙:そうですね。自分だけがどうこうっていう考え方じゃなくなってきたんですよ。それに元々、ひとりで作るのはそんなに得意ではなくて。

—それはどうして?

奇妙:ひとりでものを作るとしたら、自分自身と向き合わないと実感を伴ったものが作れないと思うんですね。だけど今までを振り返ると、自分のことを自分で考えるようなことをしてなかった。そうなると、歌にすることもないし、出てくるわけがない。

ものを作るって、凄く正直なことやと思うんですね。技術として曲を作ったり歌詞を書いたりっていうことは、なかなかできなくて。だからこそ今回は、ずっと僕がファンやった吉田省念くんと一緒にやろうってお願いして、楽器もほぼ省念くんに弾いてもらっていて、僕はでき上がった世界に自分をどう置くかだけを考えて歌いましたね。

左から:田渕徹、奇妙礼太郎、吉田省念
左から:田渕徹、奇妙礼太郎、吉田省念
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イベント情報

『奇妙礼太郎ライブハウスツアー2018 "9"』

2018年10月26日(金)
会場:香川県 高松DIME

2018年10月28日(日)
会場:福岡県 BEAT STATION

2018年11月2日(金)
会場:愛知県 名古屋 CLUB QUATTRO

2018年11月3日(土)
会場:大阪府 梅田 CLUB QUATTRO

2018年11月4日(日)
会場:広島県 セカンドクラッチ

2018年11月9日(金)
会場:宮城県 仙台 MACANA

2018年11月11日(日)
会場:北海道 札幌 cube garden

2018年11月18日(日)
会場:東京都 鶯谷 キネマ倶楽部

リリース情報

奇妙礼太郎『More Music』
奇妙礼太郎
『More Music』(CD)

2018年9月26日(水)発売
価格:3,024円(税込)
WPCL-12933

1.エロい関係
2.強靭な肉体
3.セカンドライン
4.眠れないなぁ
5.ロックンロールコンプレックス
6.東京23区
7.穴
8.星
9.More Music
10.同じ月を見ている
11.水面の輪舞曲

プロフィール

奇妙礼太郎
奇妙礼太郎(きみょう れいたろう)

TENSAI BAND II(ex.天才バンド)・アニメーションズのボーカルとしても活動中のバンドマンでありロックボーカリスト。泥臭くストレートで朴訥としたロックンロールから、ラブ・アンド・ユーモアなフォークまで歌い上げ、少し泣き声混じりの切ない歌声と、むき出しのソウルで人々を魅了する。その歌声は様々なCM歌唱でも起用されお茶の間にも届けられている。2017年09月、メジャー1stフルアルバム『YOU ARE SEXY』をリリース。2018年9月26日に、メジャー2ndアルバム『More Music』をリリースし、『奇妙礼太郎ライブハウスツアー2018 "9"』を開催。

関連チケット情報

2019年6月1日(土)
hoshioto’19
会場:葡萄浪漫館(岡山県)
2019年6月11日(火)〜6月11日(火)
奇妙礼太郎
会場:ビルボードライブ東京(東京都)
2019年6月13日(木)〜6月13日(木)
奇妙礼太郎
会場:ビルボードライブ大阪(大阪府)
2019年6月14日(金)
奇妙礼太郎/松井洋介
会場:ムジカジャポニカ(大阪府)
2019年7月13日(土)〜7月15日(月)
夏びらき MUSIC FESTIVAL 2019
会場:アリーナ立川立飛(東京都)

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