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Kacoが語る歌手人生のスタート地点 根拠なき自信で人生は変わる

Kacoが語る歌手人生のスタート地点 根拠なき自信で人生は変わる

Eggs
インタビュー・テキスト
黒田隆憲
撮影:垂水佳菜 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)
2019/01/15
Kaco

「間違いも含めて、あなたなんだよ」と、その人の全てを包み込めるような歌詞が書けたらいいなと思いました。

—“たてがみ”というタイトルには、どんな由来がありますか?

Kaco:この曲は、大地にしっかりと足をつけた女性が、向かい風に吹かれながら立っているイメージなんです。その髪が、まるでたてがみのように風になびいている。そこからタイトルを持ってきました。

以前、NEWSさんに提供した“madoromi”という曲があって、それを聴いてくれた私と同世代の女性がお手紙をくださったんです。「大好きなおじいさんが亡くなってしまい、すごく悲しい気持ちでいたけど、NEWSの曲を聴いてがんばろうって思えた」と。でもその手紙からは、気丈に振る舞おうとしている彼女の「強さ」と同時に「脆さ」も感じたし、そうやって生きている女性は他にもたくさんいるんじゃないかと思ったんですよね。自分自身も含め、そんな女性に「ひとりじゃないんだよ」って語りかけるような、玄関先でお母さんが「はい、行ってらっしゃい」って見送ってくれるような、そんな歌詞を目指しました。

—<疲れ果てた夜の岸辺に 仰げば月は美しい>というラインが、とても美しいですよね。手を差し伸べるのではなく、見守るようにそっと佇む月の距離感に、愛とリスペクトを感じます。

Kaco:月って、夜だけじゃなくて朝方も見えるし、昼間の空に浮かんでいるときもある。実は、ずっとそばにいてくれる天体なんですよね。ギラギラと照らしてくれる太陽も素敵だけど、そっと見守る月のほうが母親に近い存在なのかなと思います。

—<正しさも 間違いも全部 どうだっていい 味方でいるから>という部分もグッときました。

Kaco:このラインは、高橋さんとセッションする前から絶対に入れたいと思っていました。「自分にとって、お母さんってどういう存在だっただろう?」と考えたとき、自分の娘が正しかろうが間違ってようが、そのときは厳しい言葉をかけたとしても、最終的には味方になってくれる唯一の存在だなって。

「君は正しい、だからがんばれ」と歌う曲はたくさんあるけど、「間違いも含めて、あなたなんだよ」と、その人の全てを包み込めるような歌詞が書けたらいいなと思いました。

Kaco

—そうした歌詞へのこだわりは、以前ブログに「ケータイで音楽が聴ける世の中だけど、歌詞カードの中身もぜーんぶこだわってじっくり作ったこのCDを、あなたの手に渡したいです。」と書かれていたところからも伺えます。

Kaco:今作を出す前に、『ヒペリカムの実』(2018年)という手書きのエッセイをつけた音源をリリースしたんです。言葉って、声に出して発したときと、文字にしたときとでは伝わり方が違うと思うんです。声の抑揚やアクセントによるニュアンスを抜きにして、平坦な文字の連なりとして読んだからこそ、受け手がイマジネーションを広げやすいということもあるんじゃないかなって。そういう意味で、歌詞カードは私の表現手段として大事なものだと思っていますね。

Kaco『たてがみ』ジャケット
Kaco『たてがみ』ジャケット(タワーレコードオンラインで見る

初対面のsugarbeansさんに向かって、「私の歌を聴け」と言わんばかりに披露してみせたんですよね。

―あと、今作でsugarbeansが参加したことについて、「出会って5年の願いが叶いました」「恥ずかしいけどよくやった、と褒めたいKaco(当時20歳)の話はどこかで話すね」とTwitterに書いてあったのが、とても気になったのですが(笑)。

Kaco:その話、どこかでしたかったんです!(笑) 私、下北沢のSEED SHIPというライブハウスに仲のいいPAエンジニアがいるんですけど、あるとき彼女が、「今日、めちゃくちゃいいライブがあるから来なよ」って誘ってくれたんです。それでふらっと立ち寄ったら、sugarbeansさんが演奏されていて。もう、音の積み方からリズムの取り方からとにかくカッコいいし、弾いている姿にも惹きつけられたんですよね。

Kaco

Kaco:終演後、恐れ多くもsugarbeansさんに話しかけました。当時、売っていた2曲入りのデモ音源をお渡ししながら、「私、音楽をやりはじめたばっかりのKacoという者です」って。そしたらそばにいたPAの子が、「今、歌って聴かせたらいいやん」って言うんですよ(笑)。今なら当然、遠慮しますけど、当時19歳だった私は怖いもの知らずというか……(笑)。初対面のsugarbeansさんに向かって、「私の歌を聴け」と言わんばかりに披露してみせたんですよね。

—それはsugarbeansさんもびっくりしたでしょうね(笑)。

Kaco:今回、久しぶりに会って、「普通あんなことする人いないから」と言われました(笑)。けど、覚えてくださっていたわけですよね。今考えると顔から火が出るくらい恥ずかしいですけど、「自分、よくやった!」とも思っています。今回、誰にピアノを頼もうかという話になったとき、5年前に「いつか一緒にやりたい」と思ったsugarbeansさんのことを思い出して、お願いすることにしました。

Kaco

歌手として生きていて、聴いてくれた人の「力」になれること以上に嬉しいことなんてない。

—今日の取材ではKacoさんのこれまでを振り返ってきましたが、「歌」に対する意識は活動当初からどのように変わりましたか?

Kaco:先日、そのことを強く実感する出来事があったんですよ。『語り-gatari-』という、the LOW-ATUS(細美武士×TOSHI-LOW)や大木伸夫さん(ACIDMAN)、フルカワユタカさん(ex.DOPING PANDA)が出演する弾き語りイベントで、オープニングアクトをやらせてもらったのですが、それを観てくださった方からメールをいただいて。

その方は奥様が病気で苦しんでいて、「自分はそばにいるのに、うまく支えられていない気がする」と悩んでいたそうなんです。でも、私の歌う“たてがみ”をライブで聴いて、<あなたはあなたで幸せになれ>というラインに救われたと書いてくださったんですよね。

Kaco

Kaco:それを読んだときに、「ああ、歌を歌う意味って、こういうことなんだな」と感じて。歌手として生きていて、聴いてくれた人の「力」になれること以上に嬉しいことなんてないなと思うんです。

そのことがあってからは、歌に対する姿勢もさらに大きく変わった気がします。観てくれた人にも、それが伝わっているみたいなんですよね。やっぱり、自分の歌と、それを聴いてくれた人の気持ちっていうのは、とても深く繋がっているんだなって実感しています。

—最初は「自分が歌っていて楽しい」だけだったのが、「人のために歌うことが全て」とまで思うようになったのは、とても大きな変化ですよね。

Kaco:本当にそう思います。メッセージを送ってくれなくても、私の知らないときに、知らないところで、私の歌を聴いて「がんばろう!」と思ってくれる人もきっといて。そうやって広がっていくことを信じて、これからも曲を作り歌っていきたいです。

Kaco
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アプリ情報

『Eggs』
『Eggs』

アーティストが自身の楽曲やプロフィール、活動情報、ライブ映像などを自由に登録・公開し、また、リスナーも登録された楽曲を聴き、プレビューや「いいね」等を行うことができる、アーティストとリスナーをつなぐ新しい音楽の無料プラットフォーム。登録アーティストの楽曲視聴や情報は、「Eggsアプリ」(無料)をダウンロードすると、いつでもお手もとでお楽しみいただけます。

料金:無料

リリース情報

『たてがみ』
Kaco
『たてがみ』(CD)

2019年1月16日(水)発売
価格:2,160円(税込)
EGGS-037

1. 夢から醒めた夢
2. 涙の割りかた
3. 書きかけのファンタジー
4. 猫になれたら
5. あいそうろう
6. たてがみ

イベント情報

『exPoP!!!!! volume117』

2019年1月31日(木)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest

出演:
Kaco
絶対忘れるな
ロイ-RöE-
and more!!!!!

プロフィール

Kaco
Kaco(かこ)

2018年1月に発売されたNEWSのシングル『LPS』では「madoromi」の楽曲提供を行い、アニメ『魔法使いの嫁』第14話では挿入歌「Rose」を作詞、作曲、歌唱にて参加するなど、今、注目の新進気鋭のシンガーソングライター。15歳から作詞作曲を始め、高校ではコーラス部に所属しイタリア歌曲のレッスンへ通い、進学の為に上京。在学中に本格的に音楽活動を開始する。2016年にリリースした自主盤『影日和(かげびより)』では、運命的な出会いからChara、藤原さくら等のライブサポートをしているKan Sano氏がピアニストとして参加することになる。2017年10月には、全国流通盤としてリリースした『身じたく』において、Superflyやアンジェラアキを手がけた松岡モトキ氏をサウンドプロデューサーとして迎え、ピアノ弾き語りはもとより、バンド編成を主体にした骨太の内容に仕上がる。2018年10月22日、自己紹介盤として、ワンコインCDをリリース。この作品は、ギタリスト、サウンドプロデューサーとして数多くのアーティストから信望の厚い小倉博和氏がアコースティックギターで参加した。2019年1月、3rdミニアルバム『たてがみ』をリリース。3月には東京、大阪にてワンマンライブが決定している。

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