インタビュー

King Gnuが泥臭さと共に語る、若者とロックバンドが作る「夢」

King Gnuが泥臭さと共に語る、若者とロックバンドが作る「夢」

インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:小田部伶 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)

人と直接会うことの大切さとか、こうやって人と一緒になにかをやることの意味については、最近よく考える。(井口)

—『Sympa』というアルバムタイトルは、どういった理由でつけられたのでしょうか?

常田:これは、「シンパを募る」とか言うときの意味での「シンパ」(同調者、共鳴者の意)ですね。「これからシンパを集めていくぞ」っていう気持ちもあるし、これまでの活動も背負っているっていう意味もあって。「今、みんなストーリーを求めているんじゃないか?」っていう気がするんです。

俺が「バンドをやる」って言って、3人が入ってきてくれて、スタッフも増えて……そういうストーリーに、ロックバンドとしての夢があると思う。もちろん、ストーリー云々ではなく、「鳴ってる音が全てだ」っていう気持ちも、自分のなかにはあるんです。でも、自分が今まで歩んできた道のりは、どうしたって音楽に反映されていくものなので。

—常田さんが言う「ストーリー」って、「人生」とも言い換えることができるのかなと思うんです。リードトラックである“Slumberland”の<Rock'n roller sing only 'bout love and life.(所詮ロックンローラーは愛と人生しか歌えないんだ)>というラインは、すごく明確に、今、King Gnuが表現すべきことを言い切っていると思うんですよね。

常田:“Slumberland”に関していうと、井上陽水の“傘がない”っていう曲があるじゃないですか。<都会では自殺する若者が増えている 今朝来た新聞の片隅に書いていた だけども問題は今日の雨 傘がない>……っていう。あの曲に似た質感で、“Slumberland”の歌詞は書いたつもりです。

「テレビでいろいろ言っているけど、そんなことは重要じゃないんだ」っていう。すごく若者チックな歌詞だと自分では思っていて。宣誓みたいな曲で、自分たちのことをキッパリと言い切っていると思います。

—新聞やテレビって、世界の時事的なものごとを報道するものの象徴でもありますよね。特に今は、社会的 / 政治的なモチーフも含めて、「なにを歌うのか?」ということはポップスを生み出す人たちには強く問われている時代だと思う。この曲は、そういう意味でのKing Gnuのステートメントとしても受け止めることができるのかなと思いました。

常田:そうですね。そこに関しても端的に言っているなと思います。俺は、政治のことや社会のことって、あくまで「いち個人」として考えることだと思うので。そういう気持ちも含めて、King Gnuは「愛と人生」しか歌えないっていうことですね。

—アルバムのリリースに先駆けて、“It's a small world”のミュージックビデオも公開されましたけど、一貫して、King Gnuは歌詞において「小さな世界」について歌っていると思うんです。「1対1」の関係性、「個人」の感情の動き……今作でも、それは一貫しているし、より強まっている気がします。

常田:それは、俺らが、4人ともシャイだからじゃないですか(笑)。

勢喜:器用じゃないからこうなるっていう。

勢喜遊(King Gnu)
勢喜遊(King Gnu)

—ははは(笑)。……でも、政治や社会は「いち個人」として考えるべきだっていう話にも繫がると思うんですけど、今、「小さな世界」を描くことに対して、時代的な必然性もあると思うんですよね。

常田:そうですね……まぁ、人はそれぞれみんな違いますからね。

—井口さんはどう思います?

常田:理は家から出ないもんね?

井口:そうね。でも最近、LINEとかSNSとかばかりやっていて、余計、家から出なくなって、人と会わなくなった。連絡も取れちゃうし、「飲みに行こうか」って約束しても、直前に「やっぱり体調悪いからやめるわ」って簡単に言えちゃうし。だからこそ人と直接会うことの大切さとか、こうやって人と一緒になにかをやることの意味については、最近よく考えるようになりましたね。

—それで言うと、常田さんのソロプロジェクト「Daiki Tsuneta Millennium Parade」のアルバムタイトルは『http://』(2016年)でしたし、King Gnuの改名前のプロジェクト名「Srv.Vinci(サーバ・ヴィンチ)」は、インターネット関連用語の「サーバ」と「(レオナルド・)ダ・ヴィンチ」をくっつけた造語だった。振り返ると、常田さんのソロ時代の作品には、インターネットに対する言及が端々にあったと思うんです。でも、King Gnuでは、それはあまりないですよね。基本的に「街」や「人」のことを表現している印象があります。

常田:あぁ~、そうですね。でも俺は、根本的にネットにはめちゃくちゃ疎いです。ソロ名義の作品では、イメージとして「ネットによって変わっていく世界」みたいなものを作品化したり、そこに宇宙的なロマンを感じていただけで、そこまでネットに執着していたわけではないんですよね。俺はどちらかというと、昔から「人と人」っていう感じです。基本的にはずっと、スモールな世界について考えていると思います。

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リリース情報

King Gnu『Sympa』DVD付初回生産限定盤
King Gnu
『Sympa』DVD付初回生産限定盤(CD+DVD)

2019年1月16日(水)発売
価格:3,900円(税込)
BVCL-928 / 929

[CD]
1. Sympa I
2. Slumberland
3. Flash!!!
4. Sorrows
5. Sympa II
6. Hitman
7. Don't Stop the Clocks
8. It's a small world
9. Sympa III
10. Prayer X
11. Bedtown
12. The hole
13. Sympa IV

[DVD]
・“Tokyo Rendez-Vous”PV
・“McDonald Romance”PV
・“Vinyl”PV
・“あなたは蜃気楼”PV
・“Flash!!!”PV
・“Prayer X”PV
・“It's a small world”PV
『King Gnu 1st ONE-MAN LIVE at Shibuya WWW(2018.01.28)』
・Tokyo Rendez-Vous
・あなたは蜃気楼
・Vinyl
※初回プレス分に『King Gnu One-Man Live Tour 2019“Sympa”』チケット先行申し込み用のシリアルナンバー封入

King Gnu
『Sympa』通常盤(CD)

2019年1月16日(水)発売
価格:2,900円(税込)
BVCL-930

1. Sympa I
2. Slumberland
3. Flash!!!
4. Sorrows
5. Sympa II
6. Hitman
7. Don't Stop the Clocks
8. It's a small world
9. Sympa III
10. Prayer X
11. Bedtown
12. The hole
13. Sympa IV

イベント情報

『King Gnu One-Man Live Tour 2019“Sympa”』

2019年3月3日(日)
会場:東京都 新木場 STUDIO COAST

2019年3月7日(木)
会場:愛知県 名古屋 ダイアモンドホール

2019年3月9日(土)
会場:福岡県 DRUM LOGOS

2019年3月17日(日)、3月18日(月)
会場:大阪府 BIGCAT

2019年3月21日(木・祝)
会場:香川県 高松 MONSTER

2019年3月22日(金)
会場:広島県 広島CLUB QUATTRO

2019年3月30日(土)、3月31日(日)
会場:北海道 札幌 cube garden

2019年4月5日(金)
会場:宮城県 仙台 Rensa

2019年4月12日(金)
会場:東京都 新木場 STUDIO COAST

プロフィール

King Gnu(きんぐ ぬー)

東京藝術大学出身で独自の活動を展開するクリエイター・常田大希が2015年にSrv.Vinciという名前で活動を開始。その後、メンバーチェンジを経て、常田大希(Gt,Vo)、勢喜遊(Dr,Sampler)、新井和輝(Ba)、井口理(Vo,Key)の4名体制へ。『SXSW2017』、『Japan Nite US Tour 2017』出演。2017年4月26日、バンド名をKing Gnuに改名し新たなスタートをきった。

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