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OKAMOTO’Sが大人と少年の間で語る、28歳で迎えた10周年の心境

OKAMOTO’Sが大人と少年の間で語る、28歳で迎えた10周年の心境

OKAMOTO'S『BOY』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:垂水佳菜 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)
OKAMOTO’S

バンドって人間的にものすごく不自然。(ショウ)

—「Boy」と「Man」の狭間にある「言い切れなさ」が、過去でも未来でもない「今」なんだっていうリアルさもありますよね。

レイジ:この「言い切れない」感じって、きっと俺たちだけじゃなくて多くの人が抱く感覚でもあると思うんですよ。

ショウ:そうだね。この感覚はミュージシャンに限らないことだと思う。大学を卒業して社会に出て5~6年経った人が、「違う道もあるかも」って考えはじめたり、あるいは結婚したりという転機の期間が、今の自分たちくらいの年齢からはじまる気がします。

人生における大きな決断を、もう1回自分の意思でするタイミングというか。世の中のことも俯瞰して見えるようになってくるし、「このまま続けるのか?」といった悩みが出てくる。続けるとしても、「自分を新鮮なまま保てるのか?」という不安も出てくるし。

ハマ:僕らは人間的に、そういう部分に人一倍不安を抱くタイプでもあって。さっきレイジと話したヒップホップの人たちのように、折れずにポリシーを貫くスタンスに憧れを感じる部分もありますけど、同時に僕らはこの10年間で、折れないとわからなかったこともたくさん経験してきたので。

ショウ:あと、このアートワークをデザインしてくれた北山(雅和)さんと話していたとき、「どのくらいの『BOY』感なの?」と訊かれて。俺としては「中2くらいの感じです」と答えたんです。

反抗期になって、食卓から離れるときに背中を向けた状態で、父親に「くそジジイ」なんて呟いてバンッと扉を閉める、というか……。面と向かって「死ね」と言うほどは極悪じゃなくて(笑)。見ていないところで中指を突き立てている感じ……そういう温度感がいいなと思いました。

オカモトショウ
オカモトショウ

OKAMOTO'S『BOY』ジャケット
OKAMOTO'S『BOY』ジャケット(Amazonで見る

—なるほど……。「面と向かって言わない感じ」って、この「BOY」という言葉のニュアンスを捉えるうえで、すごく重要なポイントかもしれないですね。

ショウ:あと、最近よく考えることは、狂信的に音楽が好きで「音楽しかない」と思える人じゃない限り、「音楽で食っていこう」なんて思わないですよね。お金を稼ぎたかったら、絶対に他のことをやったほうがいいと思うし。

それに、音楽じゃなくても「表現することが好き」な人の場合、そのとき自分の周りにいる、自分が面白いと思った人と何かを表現するほうが自然だと思っていて。そういう意味で、バンドって人間的にものすごく不自然で。10年や20年、同じ人と、同じ形態で、同じように作品を作り続けることって、本当に不自然なことだと思うというか。人間なら、人生のそのときどきで自分のブームがあって、結婚したり子どもが生まれたりして変わっていくほうが自然なはずなのに、それでもひとつの形にこだわりながら音楽を続けていく……。

—人間、変わっていくことのほうが自然なんだっていうのは、僕も思います。

ショウ:でも、不自然さを受け入れたうえでバンドを続けているのは、強烈に音楽が好きで、「音楽しかない」と胸を張って言い切れるからなんです。別に、「音楽に救われた」なんて言うつもりはありませんが、「これしかない」って、たしかに俺らは言える。そういう感覚も、この「BOY」という言葉に込めたかったのかもしれない。

OKAMOTO’S『BOY』を聴く(Apple Musicはこちら

芸術って「言いようのないもの」を、できる限りのことで体現しようとしてきたものですよね。(ハマ)

ハマ:ここまで話してきた「言い切れない」感覚、あるいは強烈に何かを好きでいるような感覚って、男女問わず持っているものだと思うんです。もちろん、女性の場合は「GIRL」でもいいと思いますが、僕たちは男女問わず、その感覚そのものを「BOY」と名づけてみたということだと思います。

ショウが「中2くらいの感じ」と言いましたが、たとえば、伊集院光さんが「中二病」という言葉を考えついたのも、みんながモヤっとしていたものを捉えてみせた、すごい発明だったと思っています。それとはもちろんニュアンスも違うものですが、もっともっと形がないものを、俺らは「BOY」と呼んでみた。

ハマ・オカモト
ハマ・オカモト

—みなさんの話を聞いていて、思い出した存在がいて。僕、チャーリーXCXが大好きなんですよ。

レイジ:え、そうなんですか(笑)。

—はい(笑)。チャーリーXCXは2017年に“Boys”という曲を出していて、そのちょうど1年後に、“Girls Night Out”という曲を出したんです。僕は彼女と世代も国籍も性別も違うけど、彼女が歌う「Boy」や「Girl」という言葉の持つ力に、ものすごく惹かれ続けていて。彼女が歌う「Girl」という主体にも、僕は感情移入できてしまうんですよね。「これは一体、なぜなんだろう?」って考えたんですよ。そこで出た答えが、まさに「名づけようのないものを名づけてみせた」感覚だったんです。

レイジ:なるほど。

—彼女が歌う「Girl」や「Boy」って、額面的な「女の子」や「男の子」というニュアンスを超えるんですよね。性別や年齢の問題ではなく、ひとえに、定義づけられない自分自身の存在を「Girl」と呼んでみた。そして、そんな自分自身が魅了され、同時に、わかり合うことのできない他者の存在を「Boy」と呼んでみた――そんな感覚がある。まさにOKAMOTO’Sの『BOY』も、そういうことなんじゃないか? って。

ショウ:ものすごくきれいにまとめていただいた(笑)。「自分」と「他者」の定義づけか……たしかにそういうことのような気もしますね。

—ポップカルチャーが生まれはじめた1950年代には、「ティーンエイジャー」という言葉が、「大人と子どもの狭間にいる人」の存在を捉えたという話がありますけど、どれだけ時代が変わっても、やはり「どれでもない人」を語る言葉は、求められるものなんだろうなと。

ハマ:やっぱり芸術って「言いようのないもの」を、できる限りのことで体現しようとしてきたものですよね。音楽も同じで、音色を決めたり、歌詞を書いたり、曲を作ったり……そういう行為は、やっぱり言葉にできないものを表現しようとするということなんだろうなって、改めて思います。

レイジ:だからこそ「これが俺たちだ!」っていうことなのかもしれないよね。OKAMOTO’Sはずっと、自分たちで自分たちのことがわからなくてモヤモヤしてきたけど、10年間考え続けてやっと出てきた言葉が「BOY」だったのかもしれない。

OKAMOTO’S
OKAMOTO’S
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リリース情報

『BOY』初回生産限定盤
OKAMOTO'S
『BOY』初回生産限定盤(CD+DVD)

2019年1月9日(水)発売
価格:4,104円(税込)
BVCL-951/2

[CD]
1. Dreaming Man
2. Hole
3. FOOL
4. Higher
5. ART(FCO2811)
6. 偶然
7. NOTHING
8. Animals
9. DOOR
10. Dancing Boy
[DVD]
レコーディングドキュメンタリー

OKAMOTO'S
『BOY』通常盤(CD)

2019年1月9日(水)発売
価格:3,564円(税込)
BVCL-953

1. Dreaming Man
2. Hole
3. FOOL
4. Higher
5. ART(FCO2811)
6. 偶然
7. NOTHING
8. Animals
9. DOOR
10. Dancing Boy

OKAMOTO'S
『BOY』完全生産限定アナログ盤(12インチアナログ)

2019年1月9日(水)発売
価格:4,860円(税込)
BVJL-30

イベント情報

『OKAMOTO'S 10th ANNIVERSARY LIVE “LAST BOY”』

2019年6月27日(木)
会場:東京都 九段下 日本武道館
料金:メンバー直筆サイン入りオリジナルチケット5,500円 一般5,400円

『OKAMOTO’S 10th ANNIVERSARY LIVE TOUR 2019 "BOY"』

2019年4月6日(土)
会場:神奈川県 横浜BAY HALL

2019年4月13日(土)
会場:静岡県 浜松窓枠

2019年4月14日(日)
会場:三重県 松阪M'AXA

2019年4月20日(土)
会場:長野県 長野CLUB JUNK BOX

2019年4月21日(日)
会場:石川県 金沢EIGHT HALL

2019年5月16日(木)
会場:青森県 青森Quarter

2019年5月18(土)
会場:北海道・札幌PENNY LANE 24

2019年5月19日(日)
会場:北海道・札幌PENNY LANE 24

2019年5月23日(木)
会場:京都府 京都磔磔

2019年5月25日(土)
会場:香川県 高松MONSTER

2019年5月26日(日)
会場:滋賀県 滋賀U☆STONE

2019年6月1日(土)
会場:広島県 広島CLUB QUATTRO

2019年6月2日(日)
会場:鳥取県 米子AZTiC laughs

2019年6月8日(土)
会場:群馬県 高崎club FLEEZ

2019年6月9日(日)
会場:宮城県 仙台RENSA

2019年6月13日(木)
会場:鹿児島県 鹿児島CAPARVO HALL

2019年6月15日(土)
会場:福岡県 福岡DRUM LOGOS

2019年6月16日(日)
会場:熊本県 熊本B.9 V1

2019年6月22日(土)
会場:愛知県 名古屋DIAMOND HALL

2019年6月23日(日)
会場:大阪府 なんばHatch

プロフィール

OKAMOTO'S
OKAMOTO'S(おかもとず)

オカモトショウ(Vo)、オカモトコウキ(Gt)、ハマ・オカモト(Ba)、オカモトレイジ(Dr)による、中学校からの同級生で結成された四人組ロックバンド。2010年、日本人男子としては最年少の若さでアメリカ・テキサス州で開催された音楽フェス『SxSW2010』に出演。アメリカ7都市を廻るツアーや豪州ツアー、香港、台湾、ベトナムを廻ったアジアツアーなど、海外でのライヴを積極的に行っている。2019年1月6日には8枚目となるオリジナルアルバム「BOY」の発売が決定。さらには6月27日に自身初となる東京・日本武道館でのワンマンライブの開催が発表された。

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