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デビューから10年を迎えるシャムキャッツ 目指すは争いなき場作り

デビューから10年を迎えるシャムキャッツ 目指すは争いなき場作り

『Park Live』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:エレナ・トゥタッチコワ 編集:石澤萌(CINRA.NET編集部)

「音楽の力」みたいなものを、より信じられるようになってきたから、その力を使いたいなって。(夏目)

シャムキャッツは去年、5枚目となるフルアルバム『Virgin Graffiti』をリリースしたばかりだが、この日はその新作から楽曲も多く披露。特に、ライブ終盤に繰り広げられた“BIG CAR”“逃走前夜”“このままがいいね”、そして本編ラストを飾った“MODELS”へと至る流れの熱量の高さは圧巻だった。『Virgin Graffiti』の収録曲たちは、ライブという表現の場に、一体どのような影響をもたらしたのだろうか?

—今日は『Virgin Graffiti』収録の楽曲が多く演奏されていましたけど、あのアルバムの曲がセットリストに入ることで、ライブの手応えに変化があったりもしましたか?

夏目:『After Hours』(2014年3月、3rdアルバム)、『TAKE CARE』(2015年3月、2ndミニアルバム)、『Friends Again』(2017年6月、4thアルバム)の3作は、それぞれに一貫したムードのあるコンセプチュアルなアルバムだったから、ライブも、おのずとその作品のムードに即したものになっていて。

でも、『Virgin Graffiti』は音楽的な参照点やテーマを絞らないバラエティに富んだアルバムになったから、どういうライブにしていきたいかっていうコントロールも、前より自由にできるようになったんですよね。

シャムキャッツ『Virgin Graffiti』を聴く(Apple Musicはこちら

—今回、参照点を絞らない方向性にしたのは、原点回帰とも言えますかね?

夏目:あぁ~、どうだろう。参照点を持たず、それぞれの曲が行きたい方向に行かせるっていうやり方自体は『はしけ』(2009年4月、1stアルバム)の頃に近いし、原点回帰とも言えますね。でも、いろんな経験を経てきたおかげで、1曲1曲に対する「これはどういう曲なんだろう?」「これはどういう音にしたらいいんだろう?」っていう考察の精度や感性が、昔に比べると格段に高まっているんですよね。

—今日のライブの後半、“BIG CAR”“MODELS”へと続いていった流れに、すさまじく興奮させられました。特に“逃走前夜”や“このままがいいね”の絶妙なダンスフィーリングは、曲ごとの方向性がバラバラな『Virgin Graffiti』において、唯一、一貫したトーンを生み出す要素になっているのかな、と思うのですが。

夏目:具体的に「踊らせよう」っていうことではないんだけど、『Friends Again』のツアーを回っているとき、自分たちが思っている以上に、お客さんが曲に感動してくれているっていう実感があったんですよね。そういう現場を目の当たりにしていくうちに、曲を作ることによって人の心を動かせるというか……聴いた人たちが何かアクションを起こしたくなるような表現をもっとできるんじゃないか? っていう気持ちが芽生えてきて。

『Virgin Graffiti』では、そういう作品を目指そうっていうのはありましたね。もともと信じていた「音楽の力」みたいなものを、より信じられるようになってきたから、その力を使いたいなって。

夏目知幸

—なるほど。音楽が、人に作用していくことを求めた。

夏目:あと、この2~3年は、個人的にはクラブミュージックばかり聴いていたっていうのが大きくて。クラブミュージックの、聴く人をアップリフトして、違う段階へと導くことができる機能美みたいなものを感じたのがきかっけで、ハマったんです。作品作りに「形式」と「内容」っていうゾーンがあるとしたら、「形式」の面では、俺たちはどうしたってバンドなんですよ。でも、その「形式」に向かうアプローチの仕方であったり、「内容」そのものに関しては、クラブミュージック的な観点を持つことは可能かもなと。

今回は、そういう観点を持ちながら、バンドの表現に落とし込んでいった感じなんですよね。だから、“もういいよ”みたいなロック然としている曲でも、「曲を作ろう」と思う発端は、僕なりにダンスミュージックの感覚に近くなっているっていう感じはあると思います。

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イベント情報

『Park Live』

2019年1月27日(日)
会場:Ginza Sony Park 地下4階

ライブハウスともクラブとも一味違う、音楽と触れ合う新たな場となる"Park Live"。音楽との偶発的な出会いを演出します。
開催日:毎週 金曜日20:00 - 、不定期

リリース情報

シャムキャッツ『Virgin Graffiti』
シャムキャッツ
『Virgin Graffiti』(アナログ盤)

2019年3月6日(水)発売
価格:3,000円(税込)
TETRA-1013

[SIDE-A]
1. 逃亡前夜
2. もういいよ
3. 完熟宣言
4. She's Gone
5. おしえない!
6. Stuffed Baby
[SIDE-B]
1. カリフラワー
2. BIG CAR
3. 俺がヒーローに今からなるさ
4. あなたの髪をなびかせる
5. まあだだよ

プロフィール

シャムキャッツ
シャムキャッツ

メンバー全員が高校三年生時に浦安にて結成。2009年のデビュー以降、常に挑戦的に音楽性を変えながらも、あくまで日本語によるオルタナティブロックの探求とインディペンデントなバンド運営を主軸において活動してきたギターポップバンド。サウンドはリアルでグルーヴィー。ブルーなメロディと日常を切り取った詞世界が特徴。2016年からは3年在籍したP-VINEを離れて自主レーベルTETRA RECORDSを設立。より積極的なリリースとアジア圏に及ぶツアーを敢行、活動の場を広げる。代表作にアルバム『AFTER HOURS』『Friends Again』、EP『TAKE CARE』『君の町にも雨は降るのかい?』など。2018年、『FUJI ROCK FESTIVAL ’18』に出演。そして2018年11月21日、5枚目となるフルアルバム『Virgin Graffiti』を発売した。

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