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三上亮×遠藤幹大 現代美術版ホームドラマは「家」が主人公?

三上亮×遠藤幹大 現代美術版ホームドラマは「家」が主人公?

三上亮、遠藤幹大『Under Her Skin』
インタビュー・テキスト
内田伸一
撮影:豊島望 編集:宮原朋之(CINRA.NET編集部)

この家を知り、近辺を歩き回る中で、自分の身体や価値判断が変容していく感覚がありました。(遠藤)

—この日本家屋に配された3つの作品が、多様な「境界」を行き来していることがわかってきました。2人がこうした表現を通してやりたかったことは、何でしょうか?

三上:やっぱり、面白いものを作りたいのだと思います。そして僕自身は、その面白さというのは「発見」だと考えています。たとえば数学の問題で「この図形のここの角度を求めなさい」みたいなときに、そこへシンプルな補助線を1本引くだけで、答えが出るようなことがありますよね。

それまで見えていなかったことに気づくことができる、そういう瞬間に僕は感動します。自分たちの映像や音を通した投げかけが、この世界における補助線になりえたらいいなと考えています。

三上亮

遠藤:今回の作劇は、いわゆる一般的なドラマの作り方とは明らかに違います。ただ、自分自身この街の外からやってきてこの家を知り、近辺を歩き回る中で、自分の身体や価値判断が変容していく感覚がありました。観てくれる人にもそういった感触が届けば嬉しいですね。

—オープニングの日には、足立区立郷土博物館の学芸員で、この地域の研究をなさっている多田文夫さんとのトークもありました。多田さんは今回の作品にとても興味を示していましたね。

三上:多田さんは、僕らから見ると探偵や刑事のようなんです。歴史について、「こうだったはずだ」とまず考えて、その裏付けを探していく。裏付けが見つからないうちは、自分の考えを公には発表できないというお立場で、そこは僕らと正反対かもしれません。

僕らにとっては、事実や状況はすでにあって、そこからどう表現につなげるかが主な仕事です。でも、アプローチは違っても常に「想像」している点では一緒で、まして多田さんがお持ちの、この街に対するリテラシーは僕らよりずっと豊かなので、面白がってもらえたのかなと思います。

「仲町の家」内観 / 土日月、祝日は一般に開放されている
「仲町の家」内観 / 土日月、祝日は一般に開放されている
仲町の家 内観
仲町の家 内観

—開催側の方に聞いたのですが、あるご老人がこの家の見学にきて、今回の展示に出会ったとき、ご自分の俳句の師匠の教えだった「モノが語る声を理解できないと、俳句は読み解けない」という言葉を思い出したそうです。とても興味深く思ったのと同時に、この展示が過去だけに向いているのではなく、今とこれからの話なのだろうと改めて感じました。

三上:家屋としてはとても古い歴史を持つ場所ですが、文化サロンとしての「仲町の家」は、まだ幼い存在とも言えると思います。そこでの最初のアート展なので、地域や場所に馴染ませすぎないというか、多少振り切った感があってもよいと思っていたのですが、そういうお話を聞くと嬉しいですね。

遠藤:この場所はコミュニティスペースとして、いろいろな人々や営みをつなぐ場所になると思います。その一方で、そういった直接的な関わりとは異なる過程で生まれる「つながり」も世界にはあると考えていて、今回の作品は、そうしたことがやれていたらいいなと思います。

左から:三上亮、遠藤幹大
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イベント情報

三上亮、遠藤幹大『Under Her Skin』
三上亮、遠藤幹大
『Under Her Skin』

2018年9月29日(土)~2019年3月4日(月)
会場:東京都 北千住 仲町の家
時間:10:00~17:00(入場は30分前まで)
休場日:火~金曜(祝日は開場)
料金:無料
※2月2日(土)、3日(日)、9日(土)、10日(日)の展示は休み

プロジェクト情報

アートアクセスあだち 音まち千住の縁(音まち)

アートを通じた新たなコミュニケーション(縁)を生み出すことをめざす市民参加型のアートプロジェクトです。足立区千住地域を中心に、市民とアーティストが協働して、「音」をテーマにさまざまなまちなかプログラムを展開しています。日本家屋「仲町の家」も文化サロンとして土日月・祝日にオープン中。

イベント情報

『表現(Hyogen)|音の間(おとのま)
日本家屋の空間でうまれる音楽のかたち』

2019年2月2日(土)、3日(日)、9日(土)、10日(日)
会場:東京都 北千住 仲町の家
時間:13:30~16:00
料金:無料

4日間の制作の成果と、表現(Hyogen)のオリジナルナンバーや即興演奏を交えたコンサートを開催

2019年2月10日(日)
時間:18:00開演(17:30開場)
出演:表現(Hyogen)
会場:東京都 北千住 仲町の家
料金:1500円
定員:20名(要予約)

『IMM|フィリパピポ!! ザ・ファイナル』

2019年2月16日(土)
会場:東京都 千住 東京藝術大学 千住キャンパス 第7ホール
料金:無料 ※フード・ドリンクは有料
時間:17:00-20:00(ステージ開始 17:30)
定員:100名(先着順・事前申込優先)

千住タウンレーベル presents「千住持ち寄りレコード鑑賞会」

2019年2月17日(日)
10時30分~12時30分
会場:東京都 北千住 仲町の家
参加費:無料
持ち物:馴染み深い、思い出のある、かけてみたいレコード
レコードをお持ちでなくてもご参加いただけます

プロフィール

三上亮(みかみ りょう)

1983年、神奈川県生まれ。アーティスト。2008年、東京藝術大学音楽学部音楽環境創造科卒業。2011年、東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了。

遠藤幹大(えんどう みきひろ)

1985年、三重県生まれ。映像作家。2008年、京都造形芸術大学映像舞台芸術学科卒業。2013年、東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻修了。

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