特集 PR

徳澤青弦×トウヤマタケオ ルーツも拠点も違う2人が活動する理由

徳澤青弦×トウヤマタケオ ルーツも拠点も違う2人が活動する理由

Throwing a Spoon『Bored to death』
インタビュー・テキスト
三宅正一
撮影:前田立 編集:中田光貴(CINRA.NET編集部)

作品が人間ドラマみたいなニュアンスを帯びているのは偶発的なんですよね。(徳澤)

—前作からこの5年というのはお二人のタイム感で言うとどういう感覚ですか?

徳澤:あっという間に5年経っちゃいましたね。でも、録音は2年前にしていたから、ようやくリリースできるという感じで。

トウヤマ:2016年の秋かな? 2年半前か。

—リリースまでにそこまで時間がかかった要因は?

徳澤:収録曲のチョイスがどうしても定まらなかったんです。本当はもうちょっと違う路線も考えていて……どうしようかなってずっと考えていたらあっという間に時間が経っちゃいました。

1stはもうちょっと曖昧なニュアンスがあったんですけど、この2ndアルバムを作るにあたって、思ったより楽曲がしっかりしちゃったんですよ。それで、これはちょっと寝かしたほうがいいかなと思ったんです。

—曲に曖昧なニュアンスがなくなっていったというのは、お二人の中で前作を経てこのデュオの性格が形成されていったからなんでしょうか?

徳澤:それもあると思うし、あとは僕が東京に住んで、トウヤマさんが尾道に住んでいるという環境の違いの影響もあると思います。異なるバイオリズムで生きていて、相手がどういうスタンスかわからないままで会うから。そこでどちらかが脱力していたらいいんですけど。

トウヤマ:たしかになあ。1stは模索してるところから始まっていったけど、今回はお互いのイメージがそれぞれできていたというのはあるかもしれない。

トウヤマタケオ
『awakening』(2014年)収録曲

—あらためて、どういう作品になったと思いますか?

徳澤:まだなんとも言えないんですよね(笑)。どうでしたか?

—ストーリー性を感じましたね。人の営みの尊さや厳しさのようなものも感じつつ、最後にはささやかな希望を抱けるイメージが浮かぶ。ある意味では非常に人間くさい作品でもあると思いました。

徳澤:そうなんですよ。人間くささがありますよね。1stを作っているときはその場の空気感を大事しようというムードが二人の中であって。それはこのデュオのコンセプトでもあると思うんですね。二人がそこにいる空気感を録音するというか。

前作も「せーの」で録ったんですけど、今作も求道会館でやったライブの日とお客さんがいない日の2日間で録音したんです。なのでほとんどライブ盤と言えるんですね。今作は「二人の空気感を録音する」というコンセプトがブレなければいいと楽観視していたところがあって、作品が人間ドラマみたいなニュアンスを帯びているのは偶発的なんですよね。

—結果的に人間くさい作品になったことに必然性は感じませんか?

徳澤:必然とは思わないけど、1stと2ndは二人でやれることの両極の作品になったと思いますね。

—でも、音楽像としてもうひとつの表情であり性格を出せたとも言えますよね?

徳澤:そうそう。2ndを作るときに3rdのことも考えていたので。これはこれでありだなという状況ではあるんですよ(笑)。

—トウヤマさんはどうですか? 今作の感触は。

トウヤマ:言い方が変わるだけかもしれないけど、「曲だな!」という感じですね。「ええ曲あるなぁ」みたいな感触が自分の中であります。

徳澤:本当はあと数曲入れたかったんですけど、ちょっと作品として詰まりすぎちゃって曲数を減らしたんですよ。

左から:徳澤青弦、トウヤマタケオ

—徳澤さんは以前、コンサートのMCで「踊れるような曲を作りたい」と言われていましたが、“Pew, Mew, Drink, Brink”はまさしくそういった曲に仕上がっているように感じます。

徳澤:その発言、責任感ゼロのたわごとです。ごめんなさい(笑)。この曲は、その発言は関係なく、今回のアルバムを作るにあたって出来た曲のひとつです。だけど短時間の作曲で勢いよく産まれてきた曲なので、「踊れる曲」と受け止められたのは、あながち間違いではないかもしれません。

トウヤマ:僕もこの曲を「踊れる曲」という解釈をしたことはありませんが、そう言われればそうですね。でも、どの曲でもそうですが、グルーヴ感は意識しています。

Throwig a Spoon“Pew, Mew, Drink, Brink”を聴く(Apple Musicはこちら
Page 3
前へ 次へ

リリース情報

Throwing a Spoon『Bored to death』
Throwing a Spoon
『Bored to death』(CD)

2019年4月17日(水)発売
価格:2,160円(税込)
cote006

1. Rondeau
2. Epitaph
3. Arp
4. Bored to death
5. Pew, Mew, Drink, Brink
6. Quartet

イベント情報

『Bored to death リリース音楽会』

2019年5月10日(金)
会場:岡山県 城下公会堂

2019年5月11日(土)
会場:広島県 なかた美術館

2019年6月14日(金)
会場:石川県 shirasagi / 白鷺美術

2019年6月15日(土)
会場:福井県 ataW

2019年7月5日(金)
会場:東京都 求道会館

2019年7月6日(土)
会場:愛知県 JAZZ茶房 靑猫

2019年7月7日(日)
会場:大阪府 島之内教会

プロフィール

Throwing a Spoon
Throwing a Spoon(すろーいんぐ あ すぷーん)

チェリストの徳澤青弦と、ピアニストのトウヤマタケオによるデュオ。隙のある曲作りと節度ある即興によって極上の楽曲を構築している。作曲と演奏にボーダーレスな二人だからこそ生まれる独自の室内楽。静かな衝動と美しさと隙。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

BIM“Wink”

BIMの新作『NOT BUSY』より“Wink”の映像が公開。ゆるめに結んだネクタイは軽妙洒脱でも、背伸びはしない。どこか冴えない繰り返しのなかで<だって俺らの本番はきっとこれから>と、吹っ切れなさもそのままラップして次へ。BIMの現在進行形のかっこよさと人懐っこさがトレースされたようなGIFアニメが最高にチャーミング。(山元)

  1. 『マッドマックス 怒りのデス・ロード』 時代を先取りした画期的作品 1

    『マッドマックス 怒りのデス・ロード』 時代を先取りした画期的作品

  2. 坂口恭平の権力への抵抗。音楽は記憶を思い出させ人を治療する 2

    坂口恭平の権力への抵抗。音楽は記憶を思い出させ人を治療する

  3. 能町みね子が『ヨコトリ』で考えた、わからない物事との対峙 3

    能町みね子が『ヨコトリ』で考えた、わからない物事との対峙

  4. 『鬼滅の刃』劇場版公開記念集英社連合企画、20誌それぞれにオリジナル付録 4

    『鬼滅の刃』劇場版公開記念集英社連合企画、20誌それぞれにオリジナル付録

  5. ラブリーサマーちゃん、真摯さを胸に語る ノイジーな世界に調和を 5

    ラブリーサマーちゃん、真摯さを胸に語る ノイジーな世界に調和を

  6. King Gnuが日本初の「レッドブル・アーティスト」に 「Go Louder」始動 6

    King Gnuが日本初の「レッドブル・アーティスト」に 「Go Louder」始動

  7. 柳楽優弥、三浦春馬、有村架純が戦時下の若者役 映画『太陽の子』来年公開 7

    柳楽優弥、三浦春馬、有村架純が戦時下の若者役 映画『太陽の子』来年公開

  8. 勝井祐二と山本精一が語る 踊るという文化とROVOが瀕する転換点 8

    勝井祐二と山本精一が語る 踊るという文化とROVOが瀕する転換点

  9. 暮らしと仕事と遊びとアート。すべてを越えて繋がる東東京の生活 9

    暮らしと仕事と遊びとアート。すべてを越えて繋がる東東京の生活

  10. 小栗旬×星野源、野木亜紀子脚本の映画『罪の声』場面写真一挙公開 10

    小栗旬×星野源、野木亜紀子脚本の映画『罪の声』場面写真一挙公開