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NOT WONKが表す、現代のパンクとは「真面目に生きること」

NOT WONKが表す、現代のパンクとは「真面目に生きること」

NOT WONK『Down The Valley』
インタビュー・テキスト
石井恵梨子
撮影:木村篤史 編集・聞き手:矢島大地(CINRA.NET編集部)
2019/06/05

苫小牧にいいバンドがいる。そんな噂からNOT WONKを知ったのが2015年のこと。今が何年かわからなくなる感覚に襲われた。陰りのあるUKメロディック、ポップパンク、そしてエモ。1990年代から2000年代中盤にかけて享受していた海外のインディバンドたちの、不器用だが鮮烈な息遣いが蘇ってくるようだった。もっとも、翌年に出た2作目『This Ordinary』のレビューを書いた直後から、私は加藤修平(Vo,Gt)への認識を改めざるを得なくなるのだが。

ライブを見るたびに発見があった。「わかる、懐かしい」だった印象は「なにこれ?」になり、次第に「これはバケモノじゃないか」に変化する。決定打が3rdアルバム『Down the Valley』だ。時代やジャンルの枠組みに囚われて考えている限り、彼らがこうも鮮やかに「最新」を更新していける理由はわからないだろう。NOT WONKが鳴らしているのは、攻撃性ではなく、この時代に必要な寛容性を掲げた、実にしなやかなパンクロックなのだ。

カラ元気のパンクじゃなくて、単純明快に歌のよさ。そこは今も基準にしてるかもしれない。

石井:私、「NOT WONKのライブ最高」とかツイートするたびに「セカンドアルバム酷評してなかった?」みたいな声を投げられることがあって、未だに(苦笑)。

加藤:ははは! いちいち飛んでくるんだ(笑)。

NOT WONK『This Ordinary』を聴く(Apple Musicはこちら

石井:そう。確かに『This Ordinary』が出た時、ライブを見ないまま「懐かしい」って音楽誌にレビューを書いたんですよね。それに対して、NOT WONKのレーベルオーナーの安孫子さんが激怒した。確かに理解のない書き方だったと思ってますけど、あれは加藤さんにとっても腹立たしいものでした?

加藤:……いや? もちろん作った時の自分の気持ちはあるから「同じこと感じてくれたら嬉しいな」とは思いますけど。でも、どんな人に聴いて欲しいとか、どう思って欲しいとか、作品を出した時点で言いだすのは緩慢な気がする。それこそNOT WONKの2ndアルバムを聴いて100人が同じ気持ちになるほうが気持ち悪いじゃないですか。むしろ100通り意見があるほうが僕は嬉しくて。

だから怒る筋合いはないし、それこそ「懐かしい」って言葉も新鮮でした。僕はいろんな音楽聴いてきたうえで「これが今、僕が思う一番最新のアルバム!」と思ってたから。どこがどういうふうに懐かしい要素だと感じられたんだろうって、そこは訊いてみたいなと思ってた。

NOT WONK(のっと うぉんく)<br>shuhei kato、kohei fujii、akim chanからなる北海道・苫小牧出身の3ピース。2015年5月に『Laughing Nerds And A Wallflower』でデビューし、新人ながら驚異的なセールスを記録。2016年には2ndアルバム『This Ordinary』をリリース、続けて放たれた『Penfield』では、パンクとオルタナティブロック、ネオソウルまでを一気に消化した新たな音像を提示した。
NOT WONK(のっと うぉんく)
shuhei kato、kohei fujii、akim chanからなる北海道・苫小牧出身の3ピース。2015年5月に『Laughing Nerds And A Wallflower』でデビューし、新人ながら驚異的なセールスを記録。2016年には2ndアルバム『This Ordinary』をリリース、続けて放たれた『Penfield』では、パンクとオルタナティブロック、ネオソウルまでを一気に消化した新たな音像を提示した。

石井:単純に世代の違いですよね。私は1990年代のメロディック、あとハードコアやインディシーンからエモが生まれていくのをリアルタイムで見ていた。そのシーンもスクリーモとかに取って代わられて、いつの間にか縮小したり消えていったりして。だから、消えたはずの音が2010年代に苫小牧から聴こえてくるのは変な感じがしましたね。いきなりタイムトリップさせられたような。

加藤:あぁ、なるほど。

石井:もちろんこれは加藤さんが何を聴いてきたのかという話で。以前のインタビュー読んだら、最初はMEGA CITY FOURがきっかけだったとか。

加藤:そうです。なんかMEGA CITY FOUR好きな人、僕の周りにめちゃくちゃ多いんで。

石井:……どんな環境?(笑)

加藤:みんなの共通認識がそこなんですよね。MEGA CITY FOURって、多くの人にとってのGreen DayとかThe Get Up Kidsみたいなバンドというか一一。

石井:いやいや、Green Dayはわかるけど、そもそもみんな普通に知ってるようなバンドじゃない(笑)。UKメロディックって、SNUFFやLeatherfaceが有名だし、好きな人も多いと思うけど。それに比べるとMEGA CITY FOURはもう少しインディ寄りだった印象で。

MEGA CITY FOUR『Soulscraper』を聴く(Apple Musicはこちら

加藤:僕は普通にみんなが知ってるバンドだと思ってた。僕らが活動してきた北海道の先輩とかもMEGA CITY FOURの話ができる人ばっかりなんです。それはどういう文脈かっていうと、札幌にはメロディックのバンドが多いんで。SNUFFY SMILEというレーベルがあって、Navel(SNUFFY SMILEから作品を出した愛知のバンド / MEGA CITY FOURのカバー曲がある)がいて、栄森さん(SNUFFY SMILE主宰者)が当時のUKメロディックをどんどん日本に紹介していった流れがあるから。その情報が札幌に溜まっているのは全然不自然じゃなかった。

情報が届く範囲って端に行けば行くほど薄れていくじゃないですか。東京ではいろんな情報を発信できる場所がたくさんあると思うけど、札幌や苫小牧まで届くものってたかが知れてるんですよ。そのぶん、それが熱狂的に残ってることはよくあって。

NOT WONK『Down The Valley』ジャケット。NOT WONKの地元・苫小牧で加藤が自ら撮影した写真が並ぶ。
NOT WONK『Down The Valley』ジャケット。NOT WONKの地元・苫小牧で加藤が自ら撮影した写真が並ぶ。(Amazonで見る
NOT WONK

石井:昔、札幌のレコード屋の店長が若いバンドにFUGAZIを教え込んで、Bloodthirsty Butchersとかeastern youthがこぞってD.C.ハードコアを深掘りしていったという都市伝説みたいな実話があるんですけど。そういう局地的なアンテナが、札幌のシーンでは今も機能していると。

加藤:そうですね。MEGA CITY FOURに出会うまでFAT WRECKとかEPITAPHのバンドを聴いてましたけど、やっぱりそれとは違う感覚があって。ギターの音色が歪んでなかったり。あとはカラ元気のパンクじゃなくて、単純明快に歌がいいところが好きでした。そこは今も基準にしてるかもしれない。

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リリース情報

『Down The Valley』初回限定盤(CD+DVD)
NOT WONK
『Down the Valley』初回限定盤(CD+DVD)

2019年6月5日(水)発売
価格:3,240円(税込)
CTCR-14963B

1. Down the Valley
2. Subtle Flicker
3. Of Reality
4. Shattered
5. Come Right Back
6. Count
7. Elation
8. I Won’t Cry
9. The Bare Surface, I’ve Longed For You
10. Love Me Not Only In Weekends

【DVD】
[DVD]
「『HERE FOR GOOD』24th March 2019 LIVE HOUSE FEVER」

1.Down the Valley
2.Subtle Flicker
3.Of Reality
4.Shattered
5.Come Right Back
6.Count
7.Elation
8.I Won't Cry
9.The Bare Surface, I've Longed For You
10.Love Me Not Only In Weekends
11.Landfall
12.Not All
13.Laughing Nerds And Wallflower
14.This Ordinary
15.Give Me Blow

NOT WONK
『Down the Valley』通常盤(CD)

2019年6月5日(水)発売
価格:2,700円(税込)
CTCR-14964

1. Down the Valley
2. Subtle Flicker
3. Of Reality
4. Shattered
5. Come Right Back
6. Count
7. Elation
8. I Won’t Cry
9. The Bare Surface, I’ve Longed For You
10. Love Me Not Only In Weekends

ツアー情報

『Down The Valley TOUR』

2019年6月15日(土)
会場:北海道 札幌BESSIE HALL

2019年6月29日(土)
会場:大阪府 十三FANDANGO

2019年7月6日(土)
会場:福岡県 小倉Cheerz

2019年7月7日(日)
会場:福岡県 public space YOJIGEN

2019年7月13日(土)
会場:愛知県 名古屋HUCK FINN

2019年7月14日(日)
会場:東京都 渋谷 WWW X

プロフィール

NOT WONK(のっと うぉんく)

shuhei kato、kohei fujii、akim chanからなる北海道・苫小牧出身の3ピース。2015年5月に『Laughing Nerds And A Wallflower』でデビューし、新人ながら驚異的なセールスを記録。2016年には2ndアルバム『This Ordinary』をリリース、続けて放たれた『Penfield』では、パンクとオルタナティブロック、ネオソウルまでを一気に消化した新たな音像を提示した。

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