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PAELLASが体現する世代意識「諦めていても、絶望はしていない」

PAELLASが体現する世代意識「諦めていても、絶望はしていない」

PAELLAS『sequential souls』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:木村篤史 編集:矢島由佳子(CINRA.NET編集部)
2019/06/04

平熱感とか孤独感って、どの国の人でも持ってる感覚だなというのは改めて感じています。(Anan)

―MATTONくんの歌詞から感じられる平熱感、もしくは孤独感のようなものは、世代に通底している感覚だと思いますか?

左から:bisshi、Ryosuke Takahashi、Satoshi Anan、MATTON

Anan:多少はそうかなと思います。Spotifyとかが出てきてからなのか、多くの人にとって音楽がより身近になって、ひとりでイヤホンで音楽を聴く時間が増えた結果、パーソナルな時間に響く音楽が表立って出てくるようになった気がするんですよね。

もちろん、今までもそういう音楽を作ってる人はずっといたんだけど、そういう人たちが日の目を浴びやすくなった気がする。それが「世代」なのかはわからないけど。平熱感とか孤独感って、どの国の人でも持ってる感覚だなというのは、改めて感じています。

―PAELLASは近年アジアでの人気も高まってきていて、実際に現地でライブもしているし、SNSを見てもアジアのファンからの反応が多いですよね。

Anan:そうですね。アジアだけじゃなくて、まだ欧米には行ってないですけど、欧米もそういう音楽が増えた感じがしていて。ひとりで音楽を聴く時間が増えたのは間違いないと思うので、そこに寄り添う音楽が増えたのは、時代の流れなんじゃないかなって思います。

Satoshi Anan
Satoshi Anan

―音楽的な同時代性に関しては、どの程度意識をしていますか?

MATTON:僕は、時代感はあんまり出したくないんですよね。PAELLASの音楽と現行の音楽にリンクする部分はもちろんあると思うんですけど、僕はどちらかというとオーセンティックな音楽が好きで。1950年代から2019年まで、全部の流れを汲んだものがPAELLASの音楽だと思っています。

Anan:音楽の流れに対してはすごく興味があるので、僕は少なからず同時代性は意識しますね。新しいものが悪だとは全く思わないし、テクノロジーの進化はすごいので、そこにも食らいつきたい。その一方で、今までのアーカイブも忘れちゃいけないと思うので、そこをどう辻褄が合うようにやれるか。

その上で、自分たちの空気感やテンション感からあまり乖離しないものを作る。その一番いいポイントを探るっていうのが、PAELLASの制作において考えているところです。

bisshi:僕自身は、作ってる最中はあまり時代とかの意識はないけど、具体的に音楽として出るのは、そのときに聴いてる音楽でしかないと思っていて。ただ、ストリーミングで聴くことが増えて、新しい音楽をサジェストで知ることが増えたじゃないですか。それにコントロールされるのは嫌だなって思うんですよね。

もちろん、一人ひとりの好みに合うようにサジェストされてるとは思うんですけど、とはいえAIのパターンにも限りがあると思うから、そこにハマるのは嫌というか。「こういうの好きでしょ?」っていう感覚じゃなくて、自分の好きな音楽をちょっと違うものに作り変える。それがアーティストとして大事なことなんじゃないかと思います。

bisshi
bisshi

今日本で音楽をやってる僕らの世代は、「新しいものを作らないと評価されない」みたいな感覚ではない。(MATTON)

MATTON:「世代感」っていう話にもうちょっと付け加えると……もうこれ以上この国の発展がないことはわかってるから、ある程度諦めてはいるんだけど、いわゆる就職氷河期とかを経験したわけでもないし、めちゃめちゃ絶望してるわけでもないっていう、そういう世代の空気みたいなものはPAELLASの音や言葉にも表れてると思います。僕らより少し上の世代と違うのは、そこなのかなって。

―なるほど。

MATTON:音楽も出尽くしちゃってるじゃないですか? しかも、ストリーミングで過去のアーカイブが全部聴けちゃうし。でも、僕らより上の世代は「出尽くした」とは言いにくい世代だったというか、新しいものを作るために過去を参照して、結果それが「リバイバル」と呼ばれたとしても、自分たちの口からそれは言えなかったと思う。

でも、僕とbisshiがPAELLASを始めた2012年頃から、海外のインディシーンはハナから完全に新しいものを作ろうとはしてなくて、今まであったものを咀嚼して、その時代のプロダクションでそのときの空気に馴染むものを作って、「それでいいじゃん」ってなってきて。

MATTON
MATTON

―インディR&Bが海外で盛り上がり始めたのが、まさにその頃ですよね。

MATTON:今日本で音楽をやってる僕らの世代は、大体そこを通ってて、だから「新しいものを作らないと評価されない」みたいな感覚ではなく、もっとニュートラルだと思うんですよね。めちゃめちゃ野心があって、「絶対新しいものを作ってやる」という人は減ったのかもしれない。

―「新しいものを作る」ということに対してはある種の諦めもあるんだけど、だからといって絶望しているわけではなくて、「自分たちならではのものを作る」ということに対する熱量は、むしろ上の世代以上にある気がする。平熱的だから、それがちょっと見えにくいだけで。

MATTON:やるからには、自分たちのカラーがないと意味がないわけで。だからこそ、ちゃんと色を持ってる人だけがやっていける時代というか。そこに意識的か無意識的かはそれぞれだと思うけど、僕は少なくともそこに関しては意識的ですね。隙間を縫いつつ、自分たちの強みをチョイスして、ブレンドしてやってるつもりです。

左から:MATTON、bisshi、Ryosuke Takahashi、Satoshi Anan
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リリース情報

PAELLAS『sequential souls』
PAELLAS
『sequential souls』(CD)

2019年6月5日(水)発売
価格:3,024円(税込)
UPCH-20515

1. in your eyes
2. Horizon
3. Ride
4. mellow yellow
5. searchlight
6. [wayhome]
7. just like
8. Crystal
9. airplane
10. Weight
11. Orange(new mix)

イベント情報

『sequential souls RELEASE TOUR』

2019年6月15日(土)
会場:北海道 札幌 SPiCE

2019年6月16日(日)
会場:宮城県 仙台 MACANA

2019年6月28日(金)
会場:石川県 金沢 AZ

2019年6月29日(土)
会場:愛知県 名古屋 JAMMIN'

2019年6月30日(日)
会場:大阪府 Music Club JANUS

2019年7月6日(土)
会場:東京都 恵比寿 LIQUIDROOM

2019年7月12日(金)
会場:福岡県 INSA

プロフィール

PAELLAS
PAELLAS(ぱえりあず)

メンバーは、MATTON(Vo)、Satoshi Anan(Gt)、bisshi(Ba)、Ryosuke Takahashi(Dr)。MATTON、bisshiを中心に大阪で結成。2014年、東京に拠点を移し本格始動。様々な年代やジャンルの要素を独自のセンスで解釈し、都市の日常、心象風景にフィットするサウンドを生み出す。

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