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社会の抑圧を肌で感じるペンギンラッシュが、音楽で自由を表す

社会の抑圧を肌で感じるペンギンラッシュが、音楽で自由を表す

ペンギンラッシュ『七情舞』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:南阿沙美 編集:久野剛士、矢島大地(CINRA.NET編集部)

自分にとってリアルじゃないと「嘘じゃん」って思うから、自分の言葉で歌いたい。(望世)

―アルバムのラストソング“青い鳥”に関しては、「私なりの応援歌」「私たちなりのPOPS」というコメントもあるように、他の曲とは色合いが異なりますね。

望世:“青い鳥”は真結がデモを作ってくれて、これまでより優しい印象で、ちょっと懐かしさも感じたので、他の曲みたいに反骨の意味合いを含めるよりは、この雰囲気のまま曲にしたいと思ったんです。

昔はすごく光り輝いてたのに、いまは落ちこぼれちゃって苦しんでいる人が身近にいて、その人を応援したいと思って歌詞を書きました。“晴れ間”もその人が思ってるんじゃないかなっていうことを私なりに想像して書いたので、この2曲は繋がってるイメージですね。

―真結さんはどんなイメージで“青い鳥”のデモを作ったのでしょうか?

真結:この曲をいつどうやって作ったかって、あんまり話したことがない気がします。……めっちゃ疲れたときに、帰り道でボーっと空を見ながら歩くことが多いんですね。ちょうどそのときは満月で、すごくきれいだな、小さいことで悩んでられないなって思って……普段こんなこと話さないから恥ずかしいんですけど、そういうときに作った曲です。デモを送るときに「MOON」っていう仮タイトルをつけたので、曲調とタイトルから汲み取って、歌詞を書いてくれたんだと思うんですけど、すごくぴったりだなって。

真結
真結

望世:初めて聞いた……よかった、合ってる歌詞で(笑)。

―基本的には「身近な人への応援歌」だと思うんですけど、『No size』をリリースして、聴き手の存在を実感したことによって、その人たちのことを意識しながら、「応援歌」であり「POPS」を書いた、という側面もあったりはしますか?

望世:いや、それはないですね。自分にとってリアルじゃないと「嘘じゃん」って思っちゃうので、やっぱり自分の言葉で歌いたい。もちろん、ただ自分で消化するためだけに歌ってるわけではなくて、「人それぞれの解釈で聴いてほしい」っていうのが根本にあるんですけど。

―クリエイティブの根幹はあくまで自分自身。でも、それを限定することなく、聴き手それぞれの解釈に委ねる。やはり、その基本姿勢はかなり徹底されていますね。

望世:そうですね……こういう取材とかで、改めて気づかされますね。

曲のイメージを色で表すとか、そういうことはあんまりしたくなかったんです。(真結)

―アレンジに関しては、「ABサビ」の定型からは完全に逸脱した“悪の花”がリードトラックになっていたり、何度となく転調を繰り返す“アンリベール”があったりしますね。強烈な色のある曲を集めようというバンド全体のコンセンサスはあったんですか?

望世:もともとそういう曲を作りたいとは思ってて……それを表現する力がついてきたっていうことかもしれない。

真結:「この曲はこういう変わった展開で作ろう」みたいな感じではないんですよね。やっぱり「作ってみたら、こうなった」っていう感じなんですけど、そうやって作った曲に色があるといってもらえるのは嬉しいです。

ペンギンラッシュ『No size』を聴く(Apple Musicはこちら

―初の全国流通盤である『No size』を出したことによる意識の変化が反映されているんでしょうか?

望世:前作はレコーディングも自分たちだけで考えていたし、自分たちだけで進めた部分も多かったんですけど、前作を出したあとから楽曲制作部分など含めていろんな人と関わるようになる中で、気持ちの部分での変化はあったと思います。ただ、音楽的な面での変化に影響があったわけではなくて、もちろん、意見を求めたりもしたんですけど、そこまで口を出してくるということもないですし、自由にやらせてもらってます。

望世
望世

真結:今回CD購入特典として、私がデザインして、望世が文章を書いたセルフライナーノーツが店舗限定でついてくるんですけど、その配布のアイデアは今関わってくれているスタッフと一緒じゃないとできなかったことですね。前作もセルフライナーノーツを作ってはいるんですけど、私が自宅で印刷して、製本までやったのを、ライブで手渡ししてたんです。なので、数が限られてたんですけど、今回はもっと多くの人に見てもらえるかなって。

―セルフライナーノーツの色合いがモノクロなのにはなにか意味がありますか?

真結:単純にモノクロが好きっていうのもあるんですけど(笑)、色があるとちょっと具体的な感じになっちゃうから、曲のイメージを色で表すとか、そういうことはあんまりしたくなかったんです。曲を聴きながら読んでくれると思うんですけど、色があると余計な情報になっちゃうかもしれない。その人の聴きたいように聴いてほしいのでモノクロにしてるっていうのもありますね。

―自分たちも自由な発想で曲作りをしているし、聴き手もそれぞれの解釈でいい。前作の『No size』というタイトルにも、「形やジャンルに囚われたくない」という意図があったように、「限定しない」というのはペンギンラッシュの表現の核なんでしょうね。

真結:確かに、そうかもしれない。聴く人の自由でいいと思ってます。

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リリース情報

ペンギンラッシュ『七情舞』
ペンギンラッシュ
『七情舞』(CD)

価格:1,944円
NCS-10227

1. 悪の花
2. アンリベール
3. 契約
4. 能動的ニヒリズム
5. モノリス
6. 晴れ間
7. 青い鳥

イベント情報

『「七情舞」東名阪レコ発ツアー“七情に舞う”』

2019年6月27日(木)
会場:愛知県 名古屋 新栄APOLLO BASE
出演:
けもの

2019年7月5日(金)
会場:東京都 代官山SPACE ODD
出演:
集団行動
showmore

2019年7月12日(金)
会場:大阪府 心斎橋CONPASS
出演:
Lucky Kilimanjaro
RAMMELLS

ワンマンライブ『Rush out night 2019』

8月18日(日)名古屋 新栄APPLO BASE
OPEN 17:30/START 18:00

プロフィール

ペンギンラッシュ
ペンギンラッシュ

名古屋出身。2014年、高校の同級生だった望世(Vo / Gt)、真結(Key)を中心に新たなJ-POPの開拓を目指し結成。2017年にサポートをしていた浩太郎(Ba)とNariken(Dr)が加入し現4人体制に。2ndシングル『yoasobi』は、タワーレコードが未流通&デモ音源をウィークリーランキング形式で展開する「タワクル」企画にて、名古屋パルコ店で2017年4月から1年以上TOP5に毎週チャートイン。『SAKAE SP-RING』では2018年、2019年と2年連続で入場規制が掛かるなど地元の名古屋にて多くの支持を集めている。2018年8月の1stアルバム『No size』は、J-WAVE8月のSONAR TRAXに続き、「東海アーティストレコメンド2018」、「@FM ROOKIEAWARD」、「Eggsマンスリープッシュ」などに選出。そして2019年6月6日、2ndアルバム『七情舞』をリリース。

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