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Stamp×FIVE NEW OLD 上に昇るより、前に進むことこそが進化

Stamp×FIVE NEW OLD 上に昇るより、前に進むことこそが進化

Stamp『EKAMAI DREAM 1』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:山川哲矢(Showcase) 編集:中田光貴(CINRA.NET編集部)

とても幸福なコラボレーションである。「違う世界を見たい」「様々な場所にいる人と音楽でつながりたい」――そんな純粋な欲求同士が出会うことで生まれたコラボレーション。

2000年代の半ばより活動を開始し、タイで国民的な人気を誇るシンガーソングライターのStamp(スタンプ)と、日本の新世代バンド、FIVE NEW OLDのHIROSHI。世代も国境も超えた両者のコラボは、2018年にリリースされたFIVE NEW OLDのアルバム『Too Much Is Never Enough』に収録されている“Good Life feat. Stamp”で最初に花開いた。そして、8月7日にリリースされるStampの新作アルバム『EKAMAI DREAM 1』収録の“Die Twice feat. HIROSHI from FIVE NEW OLD”にて、両者は再びタッグを組んだ。“Die Twice”は、憂鬱が軽快にスキップを始めたようなアンビバレントな感触が魅惑的な、ファンキーな1曲だ。

英語 / タイ語 / 日本語の楽曲が収録された本作『EKAMAI DREAM 1』は、とても重層的なレイヤーの中からStampという個人の居場所を伝える作品だ。「タイのポップスター」であり、「国境もジャンルも越境するボーダレスな音楽家」であり、「音楽を愛する、ただの孤独な男」でもある――そんなStampの多面的な表情を、本作は見事に映し出している。

CINRA.NETでは、来日したStampと、アジアツアーを終えたばかりのHIROSHIの対談を実施。話は両者の関係の始まりから、それぞれの目から見るタイと日本の音楽シーンの違い、さらによりドープな表現論へと広がっていった。

「タイで売れそう」じゃなくて、もっと自分が心から「作りたい」と思うような音楽を作りたい。(Stamp)

―StampさんとHIROSHIさんのコラボレーションは、“Good Life feat. Stamp”がはじまりだと思うんですけど、具体的にどういった経緯で、このコラボは実現したのでしょう?

HIROSHI:FIVE NEW OLDは、前から「海を越えた人と一緒に音楽をやりたい」「アジアの人たちと接点を持ちたい」という気持ちが強かったんですよね。そうしたら一昨年、知り合いが『SUMMER SONIC』を観にきていたStampさんと偶然出会って、「彼は、タイでとても有名なスターなんだよ」って教えてくれたんです。

左から:HIROSHI(FIVE NEW OLD)、Stamp
左から:HIROSHI(FIVE NEW OLD)、Stamp

HIROSHI:そのあと、Stampさんのライブを観に行ったんですけど、歌唱力も、スター性も、本当にすごかった。で、そのライブのときに挨拶をさせてもらって、すぐに「一緒になにかやろう!」という話になって作ったのが“Good Life”でした。Stampさんって、スターなのにフットワークがめっちゃ軽いんですよ(笑)。

Stamp:そもそも、僕は自分がスターだとは思っていないですよ!(笑)

―ははは(笑)。

Stamp:ただ、自分がやりたいことは全力でやりたいですし、誰かが「一緒にやりたい」と言ってくれたのなら、その気持ちには乗りたいです。

なにより、僕も彼らの作品を聴いたり、ライブを観たりして、「本当に素晴らしい曲を作るバンドだな」って思ったんです。サウンドにインターナショナルな感覚があるのと同時に、さりげなく日本的なメロディの美しさを感じさせる部分もある。FIVE NEW OLDとのコラボレーションは、自分の気持ちに突き動かされるままに動いた結果、という感じですね。

HIROSHI:コップンカップ(タイ語で「ありがとう」の意)。

Stamp:(日本語で)いえいえ(笑)。

―StampさんとFIVE NEW OLDの関係性って、「国」という枠組みを超えて自分たちの音楽を響かせたいという気持ちを各々が持っていて、それが重なり合ったからこそ生まれた、とても幸福なものだと思うんです。Stampさんは去年から日本での活動も本格化されていますけど、外へと向かっていく意識はどのようにして培われたものなのでしょうか?

Stamp:それは、「自分自身を進化させたい」という意識からくるものだと思います。僕はタイで活動を始めて10年ほど経ちますけど、タイの音楽のトレンドというか、「こういう曲をやれば、タイの人は喜んでくれるだろう」ということは、なんとなく実感できるんです。

でも、それに慣れすぎてしまっている気がしてきたんですよね。いつも同じ味の料理を作ろうとしてしまっている、というか。タイの音楽と海外の音楽は、聴き比べると全然違うものなんですよ。そういう前提の中で、「タイで売れそう」じゃなくて、もっと自分が心から「作りたい」と思うような音楽を作りたいという意識が芽生えてきたんです。

Stamp(すたんぷ)<br>シンガソングライター。1982年タイのバンコク生まれ。タイを代表する音楽賞では40以上の賞を受賞し、トップアーティストのみが任される音楽オーディション番組では審査員を務める。また、現在は自ら主宰する「123Records」に所属し、新人アーティストの育成にも力を入れている。2018年、FIVE NEW OLD のフルアルバム『Too Much Is Never Enough』に”Good Life feat. Stamp“で参加。日本国内のイベントにも出演するなど積極的に日本、海外展開を仕掛けている。
Stamp(すたんぷ)
シンガソングライター。1982年タイのバンコク生まれ。タイを代表する音楽賞では40以上の賞を受賞し、トップアーティストのみが任される音楽オーディション番組では審査員を務める。また、現在は自ら主宰する「123Records」に所属し、新人アーティストの育成にも力を入れている。2018年、FIVE NEW OLD のフルアルバム『Too Much Is Never Enough』に”Good Life feat. Stamp“で参加。日本国内のイベントにも出演するなど積極的に日本、海外展開を仕掛けている。

―それは、「タイの音楽シーンを変えたい」というよりも、Stampさん自身の内面的な問題として、進化を望んでいたということでしょうか?

Stamp:そうですね。僕自身、これまでの10年間の活動の中で、行き詰ってしまったこともあって、尊敬している先輩に相談したことがありました。その人は「人が進化することは、同じ場所で上に飛ぶことではなくて、前に進むことなんだ」というアドバイスを僕にくれたんです。「上に上に」と行こうとするよりも、まだ自分が見たことのない場所を目指すほうがいいんだって。

そういうところから、「自分を変えたい」という意識を強く持つようになったし、海外での活動や、海外アーティストとのコラボにも積極的になっていきました。

HIROSHI:音楽をやっていると「上に上に」を、どうしても求めてしまいがちになりますよね。でも、それだと自分自身を見失ってしまう危険性もあると、僕も思っていて。

突拍子もないところからなにかを取ってくるんじゃなくて、自分の中で物事の見方が変わったり、今までとは違った答えを見出した瞬間に、新しい道が開けるんだろうと思う。それもきっと、「上」に行くことじゃなくて、「前」に進むことなんだろうと思います。

HIROSHI(ひろし)<br>2010年神戸にて結成のバンド、FIVE NEW OLDのボーカル、ギター。パンクロックバンドとしてキャリアをスタートさせながらR&B、ブラックミュージック、ゴスペルなどの要素を昇華させたロックサウンドに、英語で歌われる爽やかなメロディーとコーラスワークスタイリッシュな洋楽ポップスさながらで心地よくノれると、幅広い世代からの支持を受ける。これまでに邦楽洋楽、さらにジャンルの枠を超えた顔ぶれのアーティストとの対バンを重ね、ライブバンドとしてのキャリアを確実に積んでいる。
HIROSHI(ひろし)
2010年神戸にて結成のバンド、FIVE NEW OLDのボーカル、ギター。パンクロックバンドとしてキャリアをスタートさせながらR&B、ブラックミュージック、ゴスペルなどの要素を昇華させたロックサウンドに、英語で歌われる爽やかなメロディーとコーラスワークスタイリッシュな洋楽ポップスさながらで心地よくノれると、幅広い世代からの支持を受ける。これまでに邦楽洋楽、さらにジャンルの枠を超えた顔ぶれのアーティストとの対バンを重ね、ライブバンドとしてのキャリアを確実に積んでいる。
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リリース情報

『Tones』
Stamp
『EKAMAI DREAM 1』

2019年8月7日(水)
価格:2,484円(税込)
TFCK-87470

1. JETLAGGER
2. Bangkok Summer(English ver.)
3. Die Twice feat. HIROSHI from FIVE NEW OLD
4. How to Live Without You
5. On the Day He Made You
6. Coldest Memory
7. OHM feat. P.O.P(Japan)
8. Million Views(Japanese ver.)
9. DAMN!!
10. It Could Be Love
11. Kwam Kid

プロフィール

Stamp(すたんぷ)

シンガソングライター。1982年タイのバンコク生まれ。タイを代表する音楽賞では40以上の賞を受賞し、トップアーティストのみが任される音楽オーディション番組では審査員を務める。また、現在は自ら主宰する「123Records」に所属し、新人アーティストの育成にも力を入れている。2018年、FIVE NEW OLDのフルアルバム『Too Much Is Never Enough』に“Good Life feat. Stamp”で参加。日本国内のイベントにも出演するなど積極的に日本、海外展開を仕掛けている。

HIROSHI(ひろし)

2010年神戸にて結成のバンド、FIVE NEW OLDのボーカル、ギター。パンクロックバンドとしてキャリアをスタートさせながらR&B、ブラックミュージック、ゴスペルなどの要素を昇華させたロックサウンドに、英語で歌われる爽やかなメロディーとコーラスワークがスタイリッシュな洋楽ポップスさながらで心地よくノれると、幅広い世代からの支持を受ける。これまでに邦楽洋楽、さらにジャンルの枠を超えた顔ぶれのアーティストとの対バンを重ね、ライブバンドとしてのキャリアを確実に積んでいる。

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