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Suchmos・YONCEが語る、急激な状況変化が起きた2年間のすべて

Suchmos・YONCEが語る、急激な状況変化が起きた2年間のすべて

Suchmos
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:小見山峻 ヘアメイク:及川恒亮(darlin.) 編集:矢島由佳子(CINRA.NET編集部)
2019/07/24

「売れてほしくない」とは思ってないし、面白いものができたと思ってるけど、『THE ANYMAL』がもてはやされるのも、それはそれで変だなって思うんですよ。

―最初に話してくれたように、『THE ANYMAL』制作中は一人で抱えてしまう部分があったというか、コミュニケーション面での難しさがあったわけですよね。

YONCE:みんなから出てくるサウンドや展開のアイデアとかに対して、俺はどういう言葉を歌えばいいのかが、ぼんやりしていたというか。そこがハモらないと曲とは呼べないし、まして録れないから、「まだまとまってない、ごめん」みたいな。

それは結局、メンバーに見せたくない部分、歌にしたくない部分があって、それを出すべきじゃないと勝手に思い込んじゃってたからで。ここまでの道のりを一緒に過ごしてきて、ネガティブな部分を出さずにやってきたからこそ、「これを俺が歌う必要あるのか?」って思っちゃったんです。でも、「今の俺からそういう気持ちが出てきちゃうんだったら、もうしょうがないじゃん」って。そこに辿り着くまでにすごく時間かかっちゃったんですけど、レコーディングの途中で「歌っていいよね」と思えて、そこでスッキリできました。

YONCE

―今の話は“Hit Me, Thunder”のことですよね。<深い話は無しにしよう わかり合えなくたってお前が好きさ 思想や言葉 傷の場所も違うけど お前が好きさ>という歌詞が、YONCEさんの本音としてこぼれた。どんなタイミングで生まれた曲だったのでしょうか?

YONCE:レコーディングに入るとき、“VOLT-AGE”を作ったときのことを反芻したり、これまでの時間の決算というか、俺の中で消化できなかったこと、ずっと噛み砕けてなかったことを、今のうちに出しておかないとまずいと思ったんですよね。ただ、最近ライブで“OVERSTAND”をやってて、あの曲ができたときと根本は変わってないというか。

Suchmos“Hit Me, Thunder”を聴く(Apple Musicはこちら

Suchmos“OVERSTAND”を聴く(Apple Musicはこちら

―ああ、<I&I あなたは私 分かりたい 分からない気持ち>っていう。曲調もブルージーだし、今思えばあそこから始まってるんですね。

YONCE:“Hit Me, Thunder”ができたときは、「分かりたい」というよりは、分からなくても一緒にいる意味はあるはずで、それは「こいつのこういうところがいいなって思ったから」だし、「こいつのこういうところに惚れて、一緒に音楽を作るのが面白いと思ったから」だよなって思った。

これってバンドメンバーに限った話じゃなくて、自分の周りにいる人みんなに言えることで。「すべてを分かり合う以前に、直感的にいいと思ったんだよな」ってことを、かっこつけて歌うとこうなるっていう(笑)。

―確かに今の話はコミュニケーション全般に言えることで、もう少し言えば、SNSの時代のコミュニケーションに欠けてる部分かもしれない。

YONCE:ネットとかの目に見えない距離感は、俺は単純に苦手というか、よく分かんなくて。人間関係ってすげえ難しいと思うんですよ……こんなこと何十億年も前から言われてると思うんですけど(笑)。

誰のことも嫌いじゃないし、でも誰とでも仲良くするっていうのは難しくて、一人でいる時間もすげえ好きだし。自分の気持ちを「言えなくてごめん」みたいに思う一方で、「言わないから愛おしいんじゃん」と思う部分もあって。未解決なことって、未解決のままでもいいと思うんですよ。

YONCE

YONCE:あの、最近あんまりやらなくなったけど、「未確認生物を追え」みたいな、ネッシーとかUFOの番組あるじゃないですか?

―ああ、ありますね。確かに、最近あんまり見ないですけど。

YONCE:今の科学技術を使えば解き明かせるのかもしれないけど、それはしなくていいことだと思うんですよね。最近そんなことをぼんやり考えてて。音楽の中にもきっとそういう「神秘」があると思うんです。解読できない部分というか。それはバンドメンバーの中にも、人対人の中にも絶対あるけど、その中で生きていたいなって思う。

―『THE ANYMAL』はまさにそういう作品ですよね。決してコマーシャルな作品ではないと思うけど、音楽の神秘性が詰まっていて、それを自分なりに解読していく楽しさもある。

YONCE:うん、そういうトーンで埋め尽くされてる気がします。それって優しさというか、温かい気持ちだと思うんですよ。歌ってることはもどかしさとか、やり切れない気持ち、憤りだったりするけど、「そういう気持ちを持ってるやつが好き」みたいな。

YONCE

―『THE ANYMAL』を完成させて世に出してからは、どういった手応えを感じていますか?

YONCE:言葉ではいろいろ悩んだし、6人で描くサウンドのアイデアもかなりいろんな変遷を辿って、レコーディング中はトライ&エラーの時間が長かったけど、最後の“BUBBLE”を録り終わるまで、1曲1曲できあがるたびにすげえ感動したんですよ。「またやったことないことやってる」っていうのをみんなで確認しながらやってる感じで。それはかけがえのない経験になりました。

まあ、「売れてほしくない」とは思ってないし、面白いものができたと思ってるけど、このアルバムがものすごくもてはやされるのも、それはそれで変だなって思うんですよ。発売から少し経って、みんなで言ってるのは、「カロリーマジたけえ」ってことで(笑)。今はもっと気楽なテンションで制作するのがいいんじゃねえかって話をしてるところです。

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イベント情報

『Suchmos THE LIVE YOKOHAMA STADIUM』

日程:2019年9月8日(日)
会場:神奈川県 横浜スタジアム

リリース情報

『Suchmos THE LIVE YOKOHAMA -2018.11.25 YOKOHAMA ARENA-』(Blu-ray)
Suchmos
『Suchmos THE LIVE YOKOHAMA -2018.11.25 YOKOHAMA ARENA-』(Blu-ray)

2019年7月17日(水)発売
価格:5,940円(税込)
KSXL-280

1. A.G.I.T.
2. YMM
3. Alright
4. DUMBO
5. Get Lady
6. Fallin'
7. BURN
8. STAY TUNE
9. In The Zoo
10. Pacific Blues
11. FUNNY GOLD
12. MINT
13. YOU'VE GOT THE WORLD
14. 808
15. GAGA
16. VOLT-AGE
17. Life Easy

『Suchmos THE LIVE YOKOHAMA -2018.11.25 YOKOHAMA ARENA-』(DVD)
Suchmos
『Suchmos THE LIVE YOKOHAMA -2018.11.25 YOKOHAMA ARENA-』(DVD)

2019年7月17日(水)発売
価格:4,860円(税込)
KSBL-6335

1. A.G.I.T.
2. YMM
3. Alright
4. DUMBO
5. Get Lady
6. Fallin'
7. BURN
8. STAY TUNE
9. In The Zoo
10. Pacific Blues
11. FUNNY GOLD
12. MINT
13. YOU'VE GOT THE WORLD
14. 808
15. GAGA
16. VOLT-AGE
17. Life Easy

『THE ANYMAL』(CD)
Suchmos
『THE ANYMAL』(CD)

2019年3月27日(水)発売
価格:2,916円(税込)
KSCL-3152

1. WATER
2. ROLL CALL
3. In The Zoo
4. You Blue I
5. BOUND
6. Indigo Blues
7. PHASE2
8. WHY
9. ROMA
10. Hit Me, Thunder
11. HERE COMES THE SIX-POINTER
12. BUBBLE

プロフィール

Suchmos
Suchmos(さちもす)

YONCE(Vo)、HSU(Ba)、OK(Dr)、TAIKING(Gt)、KCEE(Dj)、TAIHEI(Key)の6人グループ。2013年1月結成。ROCK、JAZZ、HIP HOPなどブラックミュージックにインスパイアされたSuchmos。メンバー全員神奈川育ち。Vo.YONCEは湘南・茅ヶ崎生まれ、レペゼン茅ヶ崎。バンド名の由来は、スキャットのパイオニア、ルイ・アームストロングの愛称サッチモからパイオニアとなるべく引用。2019年3月27日にニューアルバム『THE ANYMAL』をリリース。9月8日には、結成当初から公言しつづけてきた、地元・横浜スタジアムでのワンマンライブ『Suchmos THE LIVE YOKOHAMA STADIUM』を開催する。

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