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東野祥子、白井剛、鈴木ユキオ鼎談 ダンスは世の中を見るための窓

東野祥子、白井剛、鈴木ユキオ鼎談 ダンスは世の中を見るための窓

Tokyo Tokyo FESTIVAL スペシャル 13『DANCE TRUCK TOKYO』
インタビュー・テキスト
島貫泰介
撮影:前田立 編集:川浦慧(CINRA.NET編集部)

SNSや情報技術の力で個人発信が容易な時代になった。大変なことは多いけれど、個人と世界の距離は縮まっている。(鈴木)

―ちょっと辛口な意見ですが、プライベートでコンテンポラリーダンスの公演を観に行ったりすると、観客がいつもの顔ぶれってことも多いんです。それだけシーンの団結が固いということでもあるし、そのなかで培われる技術的な、あるいは批評的な深さもあると思うんですが、いっぽうで変化のなさを物足りなく感じることもある。

東野:踊る側からしても、つねに意外性は持ちたいと思ってますよ。「ふむふむ、こういう感じね」で終わるようにはしたくない。

白井:1990年代の、コンテンポラリーダンスってものが日本に入り始めて盛り上がってきたころって、それが面白いかは判断できないけど、とりあえず観てみるか、ってノリがありましたよね。

今考えると、海外のシーンとはまるで違う、ガラパゴス的な環境が広がっていたと思うんだけど、いろんな価値観を持った表現が次々と現れて、面白い人がたくさんいたんですよね。それ自体が自分にとってはすごくドキドキする状況で、ある意味ではいま以上に「社会」ってものがあった。

白井剛
白井剛

鈴木:そうだね。そういう環境だったから僕らもデビューすることができたし。

白井:でも、いまは「いろんなものがある」ってことが常識になって、身体表現の多様性も当たり前になった。そして、個人ごとの洗練が求められる時代、自分たちでも深化を求めたくなるモードになっていった。

技術のこと、コンセプトのこと、あるいは海外に伝わるための作品のあり方。そういったことを真面目に取り組んでいるうちに、初期のダンスシーンにあった、ウブだけれど刺激的だったものが次第に丸くなっていったわけです。かつてのドキドキ感を、なにをやればいま取り戻せるか、っていうのはすごく悩みどころです。

―現代○○と名前につく表現は、みんなその時期を迎えている気がします。成熟を迎えているということかもしれないですが。

白井:シーンに関わる人が増えて、全体が盛り上がっていけば、あらゆるものは自ずと社会化していきますからね。

―「社会」って言葉を発したときに、その言葉にどんな意味合いが込められているかによっても違うのかな、と。東京における社会、地方における社会、日本における社会。それぞれに固有のあり方があるはずで。

鈴木:経済との関係も大きいかな。1990年代はすでにバブルは弾けていたけれど、それでもその時代にできた芸術文化支援の土台がちゃんとあって、非常にコアな表現であっても作り手の好奇心と経済状況がうまく噛み合って、面白いものが出てくる時代だった。しかし、その後に助成を行う企業がどんどん減っていって、みんな「さあどうしようか?」と別の頭を働かせるモードになっていった。

鈴木ユキオ(すずき ゆきお)<br>振付家・ダンサー。世界40都市を超える地域で活動を展開し、しなやかで繊細に、空間からはみだすような強靭な身体・ダンスは、多くの観客を魅了している。モデル、音楽家との共同制作、子供や障害のある方へのワークショップなど、活動は多岐に渡る。2008年トヨタコレオグラフィーアワード『次代を担う振付家賞』等受賞多数。
鈴木ユキオ(すずき ゆきお)
振付家・ダンサー。世界40都市を超える地域で活動を展開し、しなやかで繊細に、空間からはみだすような強靭な身体・ダンスは、多くの観客を魅了している。モデル、音楽家との共同制作、子供や障害のある方へのワークショップなど、活動は多岐に渡る。2008年トヨタコレオグラフィーアワード『次代を担う振付家賞』等受賞多数。

東野:そう。だから私たちもそれぞれの活動の仕方を模索しているんです。

鈴木:さらに時代が進むと、SNSや情報技術の力で個人発信が容易な時代になった。大変なことは多いけれど、個人と世界の距離は縮まっている。それを好意的に見れば、ダンストラックのような企画も興味深い事象だと思うんです。

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イベント情報

『DANCE TRUCK TOKYO』
Tokyo Tokyo FESTIVAL スペシャル 13
『DANCE TRUCK TOKYO』

2019年9月5日(木)18時30分~20時30分
会場:東京都 新宿中央公園 水の広場

2019年9月22日(日)18時~19時、20時~21時、
会場:東京都 中央卸売市場 足立市場
※2ステージ入替制

2019年10月12日(土)18時~20時
会場:東京都 狛江 多摩川河川敷

2019年10月26日(土)、27日(日)18時~20時
会場:東京都 渋谷 宇田川町空き地

2019年11月4日(月・休)16時30分~18時
会場:東京都 府中 けやき並木通り

※2020年開催情報は別途発表

主催:東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
企画・制作:全日本ダンストラック協会
共同制作:NPO法人Offsite Dance Project

出演:
東野祥子
白井剛
鈴木ユキオ
ANTIBODIES Collective
川村美紀子
新人Hソケリッサ!
OrganWorks
白神ももこ
田村興一郎
Aokid
小暮香帆
米澤一平
向雲太郎
Abe“M”ARIA
五十嵐結也
きたまり
メガネ(座)
森下真樹 / 森下スタンド
入手杏奈 / 坂本弘道
Somatic Field Project
鉄割アルバトロスケット
ロクディム
しでかすおともだち
ZVIZMO(伊東篤宏×テンテンコ)
KAMOSU
テニスコーツ
Dill
灰野敬二
山川冬樹
Jon(犬)
森川祐護(Polygon Head)
and more

DANCE TRUCK TOKYO オーディション
2019年9月24日(火)13:00~16:00頃
会場:都内の文化施設内 特設会場(応募受付後に詳細をお知らせします)
募集作品:4tトラックの荷台スペースで上演する10分以内のパフォーマンス(ジャンル不問)
選考:東野祥子、白井剛、鈴木ユキオ
参加費:無料
応募期間:2019年9月1日(日)~10日(火)
申込・問合せ先:NPO法人Offsite Dance Project内「DANCE TRUCK TOKYO オーディション担当」

『Tokyo Tokyo FESTIVAL』とは

オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に向けて東京を文化の面から盛り上げるため、多彩な文化プログラムを展開し、芸術文化都市東京の魅力を伝える取組です。

『Tokyo Tokyo FESTIVAL スペシャル13』」とは

斬新で独創的な企画や、より多くの人々が参加できる企画を幅広く募り、『Tokyo Tokyo FESTIVAL』の中核を彩る事業として、東京都及び公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京が実施するものです。国内外から応募のあった2,436件から選定した13の企画を、『Tokyo Tokyo FESTIVAL スペシャル13』と総称し、オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に向けて、順次展開していきます。

プロフィール

東野祥子(ひがしの ようこ)

ANTIBODIES Collective 振付家・ダンサー。90年代後半より舞台芸術から音楽シーンにて作品を発表。2000 年~2014年「Dance Company BABY-Q」を主宰。トヨタコレオグラフィーアワード[次代を担う振付家賞](グランプリ)など受賞多数。2015年には「ANTIBODIES Collective」を結成。ジャンルレスなアーティストの集合体として国内外にて活動を展開。2011 年から「全日本ダンストラック協会」の代表を務める。

白井剛(しらい つよし)

振付家・ダンサー。1998年「study of live works 発条ト(ばねと)」、2006年「AbsT」設立。2000年バニョレ国際振付賞など国内外の賞を受賞。様々な対象と響きあう独自の身体性、感性と知性をくすぐる作品性が評され、音楽・美術・文学など他ジャンルとのコラボレーションやワークショップも企画される。

鈴木ユキオ(すずき ゆきお)

振付家・ダンサー。世界40都市を超える地域で活動を展開し、しなやかで繊細に、空間からはみだすような強靭な身体・ダンスは、多くの観客を魅了している。モデル、音楽家との共同制作、子供や障害のある方へのワークショップなど、活動は多岐に渡る。2008年トヨタコレオグラフィーアワード[次代を担う振付家賞]等受賞多数。

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