特集 PR

Hump Backが「生活」を歌う理由。人の優しさを信じるために

Hump Backが「生活」を歌う理由。人の優しさを信じるために

Hump Back『人間なのさ』
インタビュー・テキスト・編集
矢島大地(CINRA.NET編集部)
撮影:小杉歩
2019/08/31

弱音を吐かず前を向いて生きていこうと焚きつけるライブでの姿には強さと頑固さが強烈に滲みつつ、歌の中では、自分や人の生活の中にある悲しみも抱き締めようとする。笑顔と涙、喜びと切なさ。それらを相反するものとして捉えて引き裂かれることもなく、「そりゃそうでしょ、だって生きてるんだから」と笑顔で語れるところがHump Back・林萌々子の面白さであり、彼女らの歌の核心になっている。悲しいから楽しいことを求めるし、幸せがあるから落胆と切なさもあるーーそれらすべては生きていくことにおける同線上にあると歌い鳴らすのがHump Backの歌の居心地よさだ。

今ここにある生活を想い、誰もが必死に生きているのだと感じ取って、温かなメロディにしていく。そして人の生活を見つめれば見つめるほど、そりゃ毎日が思い通りになることなんてないよなと理解し、だからこそ爆音と大きな歌でここにある日常をなんとかドラマにしたいと願う。たったそれだけだが、それだけの中にたくさんの人の生き様が確かに存在するのだと伝える「ささやかだけど揺るぎない存在証明」がHump Backの歌なのだと思う。

そして、その歌がかつてなく潔いソングライティングに結実したのが、7月17日にリリースされたフルアルバム『人間なのさ』だ。この作品を掲げて、Hump Backは47都道府県ツアーへと赴く。そんなタイミングだからこそ、その手、その足で人の日常に近づいて寄り添ってきたライブ観を切り口に、林の歌の核心にあるものを訊いた。

自分にとってのライブ……大人になったら、あんなに大きい声を出して走り回れる場所ってなかなかないじゃないですか。

―先日リリースされたアルバム『人間なのさ』には、“僕らは今日も車の中”という曲があって。その曲でも歌われている通り、ご自身の生活がバンドとライブとツアーとともにあることを心底幸せに感じられている方だと感じているんですが、林さんご自身は、改めてHump Backをどういうバンドだと捉えられていますか。

:肯定でも否定でもない、「そこにある音楽」を鳴らしてるバンドやと思いますね。今、生活とおっしゃいましたけど、まさに自分の生活の中にあるものを歌って、それをバンドで鳴らしてるだけというか。それはポリシーというよりも、自分が好きなものを好きな音に乗せたらそうなった、っていう感じなんですけど。

Hump Back(はんぷ ばっく)<br>大阪府出身。2009年、林萌々子(Vo, Gt)を中心に高校の軽音楽部で結成されたロックバンド。何度かのメンバーチェンジを経て、2016年より林萌々子、ぴか(Ba, Cho)、美咲(Dr, Cho)の3人で活動。2016年12月に初の全国流通盤『夜になったら』を発表。2017年にもミニアルバム『hanamuke』をリリースし、2018年にシングル『拝啓、少年よ』でメジャーデビュー。7月17日に満を持しての1stフルアルバム『人間なのさ』を発売した。
Hump Back(はんぷ ばっく)
大阪府出身。2009年、林萌々子(Vo, Gt)を中心に高校の軽音楽部で結成されたロックバンド。何度かのメンバーチェンジを経て、2016年より林萌々子、ぴか(Ba, Cho)、美咲(Dr, Cho)の3人で活動。2016年12月に初の全国流通盤『夜になったら』を発表。2017年にもミニアルバム『hanamuke』をリリースし、2018年にシングル『拝啓、少年よ』でメジャーデビュー。7月17日に満を持しての1stフルアルバム『人間なのさ』を発売した。

―生活の中にある好きなものって、言葉にするとどういうものなんだと思います?

:人……ですかね。人が好きです。人と生活ってほぼイコールやと思うんですけど、たとえば人が残していった生活の跡を見るのが好きなんですよ。洗濯物、服の溜まり場になってる部屋の一角、帰り道に見たマンションに電気が点いていくところ……人の生活の匂いがするところが好きなんですよ。

―人が好きなのは、どうしてなんだと思いますか。

:うーん………なんでかは上手く言えないんですけど。ただのフェチみたいなもんやと思うんですけどね(笑)。

―(笑)。じゃあゆっくり訊いていきますね。“僕らは今日も車の中”と歌うくらい、Hump Backは年中バンに乗って、ライブをして、ツアーを回ってますよね。つまり生活そのものが、いろんな土地でいろんな人と出会う旅になっていると思うんですけど。ライブバンドとして日々を過ごしていくのも、そうやって人の生活に触れていくためなんですか。

:いや、そこはもっと単純に「行けていない土地に出会ったことがない人がいるなら出会いたい」っていう気持ちが大きいと思いますね。どんなに生身のライブで人と触れ合っても、それぞれの生活を全部知ることはできないっていうこともわかってる。だけど、人と出会うことはやっぱりとても楽しいことじゃないですか。そのためにライブをやっているんやと思います。

―ご自身にとってのライブって、自分のどういう部分が表れてくるものだと感じられてます?

:言い方は難しいんですけど、「ライブが生きがいで、ライブにこれだけのものを懸けていて」っていう感じでもないんですよ。ただ間違いなく、自分を解放できる場所ではあって。

単純に、大人になったらあんなに大きい声出して、大きい音出して、走り回れる場所ってなかなかないじゃないですか。そういう意味での解放感を感じられるのが、私にとってのライブやと思ってて。……とはいえ、別に普段から抑え込んでるものがあるかと言ったら、私の場合まったくないんですけど(笑)。

林萌々子(Hump Back)
林萌々子(Hump Back)

―ははははは。はい。自分をどういう人間だと思います?

:私、日常にストレスとかしんどさを自覚することが全然なくて。それに、昔から結構根性論タイプやったんです。何に関しても「簡単にしんどくなってたらあかん」って思うし、しんどさを乗り越えようっていうのとも違う、ただ「自分はこんなことでは潰れない」っていつも思うんですよね。しんどさに鈍感なだけなんかな(笑)。

たとえばね、私は自分の肩こりとかにも気づかないんですよ。痛みに強いし、痛みがあっても大丈夫って思ってる。逆に言えば、しんどいこととかダメなことよりも先に楽しいことを見つけるほうが大事やっていう気持ちがあるんですよね。ちょっとしたしんどさも根性論でやり過ごそうとする気がするというか。

2019年5月12日に行われた日比谷野外大音楽堂公演

―だからか――失礼を承知の上で敢えてこういう言い方をしますけど、昔のライブでは「あなたも前を向いて強く生きていけ」っていう、結構説教臭いところがありましたよね。

:はははははは。それは私も実感してる部分ですね(笑)。とにかくやるしかないんやっていう。

―ただ、その歌とライブ両面において変化も多く見られるのが、『人間なのさ』という作品だと思ったんです。人にも自分にも、生活の中で上手くいかないこともたくさんある。そういう前提も理解した上で、日々を愛して人に優しくしたい、というふうに歌の器が大きくなったなあと感じていて。その辺りは、自分でどういう感覚があります?

:ああー、確かにそうかもしれないですね。自分でも、「生活」を見つめれば見つめるほど、そこには根性論だけではないものがたくさんあるっていう感覚が生まれてきたと思うんですよ。大きいと思うのは――月に数日くらい、私は障がいを持っている子供たちに運動を教える仕事を続けてるんですね。

そこでいつも思うのは、その子たちにはサポートが必要やから人のサポートがついているだけで、目が悪いからメガネをかけたり、足が折れたから松葉杖をついたり、っていうのと一緒のことなんですよね。その中で、他人の「しんどい」と自分の「しんどい」の物差しが合うことは一生ないんやなって実感することが多くて。仕事と子供たちを通じて、人を許せたり人を受け入れたりできることが増えてきたと思います。

林萌々子(Hump Back)
Page 1
次へ

リリース情報

Hump Back『人間なのさ』初回限定盤(CD+DVD)
Hump Back
『人間なのさ』初回限定盤(CD+DVD)

2019年7月17日(水)発売
価格:3,024円(税込)
VPCC-80701

1. LILLY
2. 拝啓、少年よ
3. サンデーモーニング
4. コジレタ
5. 生きて行く
6. オレンジ
7. Adm
8. クジラ
9. 恋をしよう
10. ナイトシアター
11. 僕らは今日も車の中

初回限定盤付属DVD内容:
「“髪はしばらく切らないツアー”2019.5.12 日比谷野外音楽堂公演」

Hump Back
『人間なのさ』通常盤(CD)

2019年7月17日(水)発売
価格:2,376円(税込)
VPCC-86281

1. LILLY
2. 拝啓、少年よ
3. サンデーモーニング
4. コジレタ
5. 生きて行く
6. オレンジ
7. Adm
8. クジラ
9. 恋をしよう
10. ナイトシアター
11. 僕らは今日も車の中

ライブ情報

『僕らの夢や足は止まらないツアー』

2019年9月2日(月)
会場:東京都 Zepp Tokyo

2019年9月4日(水)
会場:千葉県 千葉LOOK

2019年9月13日(金)
会場:愛知県 Zepp Nagoya

2019年9月16日(月・祝)
会場:大阪府 Zepp Osaka Bayside

2019年9月21日(土)
会場:山形県 酒田MUSIC FACTORY

2019年9月22日(日)
会場:秋田県 Club SWINDLE

2019年10月4日(金)
会場:新潟県 新潟LOTS

2019年10月5日(土)
会場:福井県 福井CHOP

2019年10月11日(金)
会場:高知県 X-pt.

2019年10月12日(土)
会場:愛媛県 WStudioRED

2019年10月14日(月・祝)
会場:岡山県 CRAZYMAMA KINGDOM

2019年10月18日(金)
会場:北海道 小樽GOLDSTONE

2019年10月19日(土)
会場:北海道 CASINO DRIVE

2019年10月21日(月)
会場:北海道 BESSIE HALL

2019年10月22日(火・祝)
会場:北海道 札幌PENNY LANE24

2019年11月1日(金)
会場:山梨県 KAZOO HALL

2019年11月3日(日・祝)
会場:富山県 Soul Power

2019年11月4日(月・振休)
会場:石川県 vanvanV4

2019年11月21日(木)
会場:鹿児島県 SR HALL

2019年11月23日(土・祝)
会場:宮崎県 SR BOX

2019年11月24日(日)
会場:大分県 T.O.P.S Bitts HALL

2019年11月30日(土)
会場:岩手県 Club Change WAVE

2019年12月1日(日)
会場:青森県 LIVE HOUSE FOR ME

2019年12月6日(金)
会場:奈良県 生駒RHEBGATE

2019年12月8日(日)
会場:和歌山県 和歌山CLUB GATE

2019年12月12日(木)
会場:熊本県 Django

2019年12月14日(土)
会場:佐賀県 SAGA GEILS

2020年1月7日(火)
会場:京都府 KYOTO MUSE

2020年1月8日(水)
会場:兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎

2020年1月18日(土)
会場:茨城県 mito LIGHT HOUSE

2020年1月19日(日)
会場:栃木県 宇都宮HELLO DOLLY

2020年1月21日(火)
会場:神奈川県 F.A.D YOKOHAMA

2020年1月31日(金)
会場:福岡県 Zepp Fukuoka

2020年2月1日(土)
会場:長崎県 ホンダ楽器 アストロスペース

2020年2月10日(月)
会場:群馬県 高崎clubFLEEZ

2020年2月11日(火・祝)
会場:埼玉県 HEAVEN'S ROCK Kumagaya VJ-1

2020年2月13日(木)
会場:静岡県 Shizuoka UMBER

2020年2月14日(金)
会場:滋賀県 滋賀U★STONE

2020年2月21日(金)
会場:香川県 高松オリーブホール

2020年2月22日(土)
会場:徳島県 club GRINDHOUSE

2020年2月24日(月・振休)
会場:広島県 広島CLUB QUATTRO

2020年2月29日(土)
会場:宮城県 Rensa

2020年3月1日(日)
会場:福島県 郡山HIP SHOT JAPAN

2020年3月13日(金)
会場:鳥取県 米子 AZTiC laughs

2020年3月14日(土)
会場:島根県 松江 AZTiC canova

2020年3月15日(日)
会場:山口県 周南RISING HALL

2020年3月19日(木)
会場:三重県 M'AXA

2020年3月21日(土)
会場:岐阜県 yanagase ants

2020年3月22日(日)
会場:長野県 ALECX

2020年3月25日(水)
会場:東京都 東京国際フォーラム ホールA

2020年4月17日(金)
会場:愛知県 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール

2020年4月19日(日)
会場:大阪府 大阪城野外音楽堂

2020年5月23日(土)
会場:沖縄県 桜坂セントラル

プロフィール

Hump Back
Hump Back(はんぷ ばっく)

大阪府出身。2009年、林萌々子(Vo, Gt)を中心に高校の軽音楽部で結成されたロックバンド。何度かのメンバーチェンジを経て、2016年より林萌々子、ぴか(Ba, Cho)、美咲(Dr, Cho)の3人で活動。2016年12月に初の全国流通盤『夜になったら』を発表。2017年にもミニアルバム『hanamuke』をリリースし、2018年にシングル『拝啓、少年よ』でメジャーデビュー。7月17日に満を持しての1stフルアルバム『人間なのさ』を発売した。

関連チケット情報

2019年9月29日(日)
PIA MUSIC COMPLEX 2019
会場:新木場・若洲公園(東京都)
2019年10月5日(土)〜1月11日(土)
SPARK!!SOUND!!SHOW!!
会場:千葉LOOK(千葉県)
2019年10月8日(火)
Survive Said The Prophet
会場:BIGCAT(大阪府)
2019年10月14日(月)〜3月14日(土)
Hump Back
会場:CRAZYMAMA KINGDOM(岡山県)
2019年10月18日(金)〜10月22日(火)
Hump Back
会場:小樽 GOLDSTONE(北海道)
2019年10月25日(金)〜10月27日(日)
ボロフェスタ2019
会場:KBSホール(京都府)
2019年10月31日(木)〜12月26日(木)
2
会場:SHELTER(東京都)
2019年11月9日(土)〜11月15日(金)
四星球
会場:NEVERLAND(奈良県)
2019年11月9日(土)
愛はズボーンpresents 「アメ村天国2019」
会場:心斎橋アメリカ村周辺のライブスペース複数会場(大阪府)
2019年11月16日(土)
四星球
会場:松阪M’AXA(三重県)
2019年11月21日(木)〜2月1日(土)
Hump Back
会場:鹿児島SRホール(鹿児島県)
2020年2月24日(月)〜3月15日(日)
Hump Back
会場:広島クラブクアトロ(広島県)

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

カネコアヤノ“光の方へ”

カネコアヤノの新作『燦々』より、すでに先行配信もされている屈指の名曲“光の方へ”のスタジオライブ映像。Tシャツ一枚に素足の飾り気ない佇まいが、音源よりも強気な歌声が、遠くを見つめたり、マイクをすっと見据えたり、手元を確認したりする一瞬一瞬が、いちいちかっこいい。カネコアヤノは、常に、今が一番最高なアーティストだと思う。(山元)

  1. PEDROのアユニ・Dと田渕ひさ子が語る「音楽が開く心の扉」 1

    PEDROのアユニ・Dと田渕ひさ子が語る「音楽が開く心の扉」

  2. ヨルシカインタビュー 自分を滅却し、芸術に人生を捧げた2人の決断 2

    ヨルシカインタビュー 自分を滅却し、芸術に人生を捧げた2人の決断

  3. 『HiGH&LOW THE WORST』ドラマ版が完結。映画に向けてキャストをおさらい 3

    『HiGH&LOW THE WORST』ドラマ版が完結。映画に向けてキャストをおさらい

  4. 三浦春馬が歌いながらダンスする「グロップ」新CM 振付はs**t kingzが担当 4

    三浦春馬が歌いながらダンスする「グロップ」新CM 振付はs**t kingzが担当

  5. ビリー・アイリッシュ×Bershkaがコラボ、カプセルコレクション発売 5

    ビリー・アイリッシュ×Bershkaがコラボ、カプセルコレクション発売

  6. 伊藤健太郎、玉城ティナ、秋田汐梨が荒れた教室に 『惡の華』メイキング 6

    伊藤健太郎、玉城ティナ、秋田汐梨が荒れた教室に 『惡の華』メイキング

  7. Hump Backが「生活」を歌う理由。人の優しさを信じるために 7

    Hump Backが「生活」を歌う理由。人の優しさを信じるために

  8. 星野源、全楽曲のストリーミング配信が解禁 8

    星野源、全楽曲のストリーミング配信が解禁

  9. 佐久間由衣の主演映画『“隠れビッチ”やってました。』主題歌はKitri新曲 9

    佐久間由衣の主演映画『“隠れビッチ”やってました。』主題歌はKitri新曲

  10. 吉田豪が見た『全裸監督』と村西とおる 過去の危ない体験談を語る 10

    吉田豪が見た『全裸監督』と村西とおる 過去の危ない体験談を語る