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SEVENTEEN AGAiNが歌う、優しさのための「不関与」

SEVENTEEN AGAiNが歌う、優しさのための「不関与」

SEVENTEEN AGAiN『ルックアウト』
インタビュー・テキスト・編集
矢島大地(CINRA.NET編集部)
撮影:永峰拓也

誰かを蔑んだり罵ったり、戦争は常にそこで起きている。

―今の時代に生きるヤブさんにとって、“戦争は終わりにしよう”で歌っている戦争とはどういうもので、どういう部分で個人的感情と結びついたんですか。

ヤブソン:戦争というものを、直接的なテーマとして今までは歌にできなかったんですよね。簡単に歌えるテーマじゃないし、歌にする必要もないって思っていました、それは今も思っています。なぜなら、戦争は、「歌」という抽象的な表現法よりも、もっと現実的に表さなくちゃいけないことだと思うから。だけど、今回は歌おうと思えたんです。

ヤブソン

―それは、なにを感じたからなんですか。

ヤブソン:それはきっと……ずっと、それに対する回答は根幹として持ち続けてはいたんですよね。だってそもそも、俺はそうやって人が傷つけ合うのが嫌いだからこそパンクを好きになったんだよなって思いますし。

―個人間レベルでの争いや傷つけ合いがより一層目や耳に入る時代になったし、その中で、ヤブソンさんにとってのパンクの原風景――自発的な生き方に最も寛容な音楽であることを見つめ直したということですか。

ヤブソン:そう、パンクの、それぞれの生き方に一番寛容である部分が好きだし、それはパンクの内包している優しさだとも思うんです。だからこそ、今起きている争いって何に起因するのか考えたんです。なんでこんなに傷つけ合ってるのかなって……。それでできたのが “戦争は終わりにしよう”だったんですね。

たとえば<どんなにかわっても / 君は君のままだよ / そうだ、おわりにしよう>というところがありますけども……これは単純に人を寛容することを表すだけではなくて、今は人と人の距離感が近すぎるからこそ傷つけ合ってしまうことがあるよなと思い書いた歌詞なんです。<君は君のままだよ>っていうのは、「俺たちはよくも悪くもそんなに近くにいないぜ?」ってことでもあり。様々なネガティブな感情の根幹に、自分と他人の距離感はとても重要な原因があるんじゃないかって思うんです。だからこそ、昨今の人と人との距離感の歪さに理由がある気がしたんですね。

ヤブソン

―SNSをはじめとして距離感がバグっているから、お互いに干渉し合ったり、お互いのことを我が物顔で語って傷つけたりするということですよね。

ヤブソン:そう。だから<どんなにかわっても / 君は君のままだよ>っていうのは、俺の中での「不関与」なんです。不寛容や無関心ではなくて。自分と人に対して優しくあるためには、距離感を間違えたらいけない。人の人生を知った気になって勝手に語る人がいるけど、それによってたくさんの争いが起こってるんじゃないかなって。

―今日ここまで話していた、ご自身の人間観やパンク観とそのまま通ずる話ですよね。つまり“戦争は終わりにしよう”は、その思想をそのまま描き切れた曲だとも言えますか。

ヤブソン:確かにそうですね。だからこそ、“戦争は終わりにしよう”に至る物語を書きたくて『ルックアウト』というアルバムを作ったところがあるんですよね。少し視野を広げてみれば、全体主義に傾きそうな時代や、ナショナリズムみたいなものは怖いっていう感情でもあるんですよ。人が大きな力で無理やり固められたとして、その瞬間だけはポジティブな気持ちで団結できるのかもしれない。でも必ずいつかそれは絶対に歪みが生じる。

その瞬間に団結できたとしても、自分たちはみんな同じだっていう感覚を持つのは無理なんですよね。逆に言えば、集まったとしても、またバラバラになってそれぞれの人生に戻っていくことが大事なんですよ。そういう距離感があるからお互いを面白がれる。作為的に団結させると、息苦しいものになってしまうんですよね。

SEVENTEEN AGAiN『ルックアウト』ジャケット写真
SEVENTEEN AGAiN『ルックアウト』ジャケット写真(Amazonで見る

―人と人が繋がりやすくなったと見えて、実は、どこでも監視されているような感覚を覚える人が多い時代でもあると思うんです。誰にも見せられない裏側の声ばかりが増大したり、孤独や断絶がむしろ深まったりする向きも同時にあるというか。

ヤブソン:人が寂しさを埋めたくて距離を近づけようとしたっていうのも、わかることはわかる。だけど、寂しさや手持ち無沙汰な気持ちが増大してネガティビティを生んでいるんじゃないかって……もともと俺たちはこんなに寂しかったんだっけ? って思っちゃうんですよ。俺らの前の時代の大人がどうだったかは想像することしかできないけど、でもきっと、知らないことや見えないことにもっと不関与だったと思うんです。これは、古きよき時代がどうっていう話じゃなくて。だからこそ「人の渦」みたいなところとは別の場所へ行こうとする歌になると思うんです。

ヤブソン
ヤブソン
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リリース情報

SEVENTEEN AGAiN『ルックアウト』
SEVENTEEN AGAiN
『ルックアウト』(CD)

2019年7月10日(水)発売
価格:2,160円(税込)
KKV-074

1. ピリオド
2. サンライズ
3. ルックアウト
4. Don't Know Why
5. So Young
6. Calling Dark
7. 悲しい顔しないでよ
8. 意味はないなんて強がらないで
9. 戦争は終わりにしよう
10. 記念日

イベント情報

『ルックアウト レコ発ツアー』

2019年9月21(土)
会場:宮城県 仙台FLYING SON

2019年9月22日(日)
会場:山形県 酒田hope

2019年9月28日(土)
会場:神奈川県 横浜F.A.D

STARVINGMAN & LINK split CD『ichigo』
SEVENTEEN AGAiN『ルックアウト』
発売記念 合同企画ライブ

2019年10月12日(土)
会場:宮崎県 宮崎ぱーく

2019年10月13日(日)
会場:佐賀県 佐賀大学校内

2019年10月14日(月祝)
会場:福岡県 博多・四次元

2019年10月19日(土)
会場:大阪府 大阪 NOON

2019年10月20日(日)
会場:愛知県 名古屋zion

2019年10月22日(火祝)
会場:東京都 某所 ツアーファイナル

プロフィール

SEVENTEEN AGAiN(せぶんてぃーん あげいん)

2000年代中旬に活動を開始。ヤブソン(Vo,Gt)、ロッキー(Ba)、スズキカズ(Dr)による3ピースパンクバンド。ライブハウスを起点にアンダーグラウンドで広域に亘るネットワークを構築し続ける。投げ銭制の自主企画『リプレイスメンツ』を主催するなど、人それぞれの価値観を問いながらD.I.Y.な活動を展開。ギターポップからインディーロック、オルタナティブロックまでを消化した音楽性を持つ。2019年7月10日に、3rdフルアルバム『ルックアウト』をリリースした。

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