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結城萌子と冨田明宏が対談。音楽家が惚れる彼女の魅力を紐解く

結城萌子と冨田明宏が対談。音楽家が惚れる彼女の魅力を紐解く

結城萌子『innocent moon』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:前田立 編集:川浦慧(CINRA.NET編集部)
結城萌子

萌子さんは漠然とした不安とか感情に対して怒りを持っていて、抗う。(冨田)

―『うる星やつら』のラムちゃんって、か弱いヒロインではなくて、自分の意志を持って、自由に行動するヒロインじゃないですか? 生きづらさを感じて、つい悲観的に物事を考えてしまうからこそ、ラムちゃんのような生き方に憧れるのかなって。

結城:強くて、たくましい女の子が好きなんだと思います。ラムちゃんもそうですし、ウテナ(『少女革命ウテナ』)とかもそう。儚くて、今にも壊れそうな女の子にも魅力は感じるんですけど、それよりも、強くて、倒れても何度も這い上がってくるような女の子が好きですね。

冨田:ラムちゃんは優しいですよね。あたるくんはスケベで浮気性だけど、電撃与えたら許しちゃうでしょ?(笑) それでも絶対に嫌いにならないのは、強いし、優しいよね。ウテナもそうだし、うさぎちゃん(『美少女戦士セーラームーン』)もそうか。

結城:泣き虫だけど、月の王国のプリンセスなので。大きい使命を背負っている作品が好きなのかもしれない。『エヴァンゲリオン』もそうですし、14歳とか、中学2年生の子が出てくる作品が好きなんです。

冨田:「セカイ系」と言われるやつですよね。

結城:私自身も、14歳から時が止まっている気がします。

結城萌子

―たしかに、結城さんはアニメのヒロインっぽさがあるかもしれません。繊細さや儚さも持っているんだけど、すごく目力があって、芯の強さを感じさせるし、「歌の世界に呼び戻された」っていう話もありましたけど、それが今の結城さんにとっての大きな使命でもあるというか。

冨田:萌子さんは漠然とした不安とか感情に対して怒りを持っていて、抗う。そこが他の人とは違うところなのかなと思います。「悟り世代」って言葉がありますけど、あれは「悟り」じゃなくて「諦念」だと思っていて、「諦めの世代」だと思うんです。悟っているんじゃなくて、悟らざるを得なくて、目標や目的を持つことすら諦めている。だから、漫然とただ生きちゃう。

なんでもない普通の自分が、異世界だと超人でハーレムという世界が待っている、みたいな「異世界転生もの」って、ある種の逃げかもしれない。でも、萌子さんの場合は、さっきの吹奏楽の話もそうですけど、逃げないで、抗いますよね。音楽にしても、自分の目標のために、今の道を選んだわけで。

冨田明宏

結城:逃げようと思えばいくらでも逃げられますけど、結局それって偽りだと思うんです。自分にコンプレックスがあって、自分じゃない誰かになりたいと思って、声優を志した部分もあるんですけど、「キャラクター=自分」ではないので、「自分を生き続けなきゃいけない」というのは自覚しています。なので、「異世界転生もの」に自分を投影してる人に対しては、「なんで自分でやらないの?」って思っちゃうんですよね。

川谷さんも生きづらそうじゃないですか?(冨田)

―楽曲については、結城さんと川谷くんでどんなやりとりがありましたか?

結城:川谷さんがなぜ私と音楽活動をしようと思ったのか、その理由は直接聞けてないんです。最初は、川谷さんから「こういう表現をしてほしい」みたいなリクエストがあるのかと思っていたんですが「やりたいようにやってほしい」って言ってもらいました。なので、私はアイドルさんみたいにつねに笑顔でいるのは難しいから、変に作ることなく、このままの素をベースにしようと思って。

―川谷くんは直感を大事にする人だと思うので、歌声はもちろん、素の結城さんになにか感じるところがあったんじゃないかとも思うんですよね。

冨田:それは僕もめちゃくちゃ感じます。川谷さんも生きづらそうじゃないですか? でも、それを怒りに変えて音楽にできる人だと思っていて。コミュニケーションはほとんどとってないって話でしたけど、すでにシンクロしているんだろうなって、作品を聴いて改めて感じました。

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リリース情報

結城萌子『innocent moon』
結城萌子
『innocent moon』

2019年8月28日(水)発売
価格:1,620円(税込)
WPCL-13091

1. さよなら私の青春
2. 散々花嫁
3. 幸福雨
4. 元恋人よ

プロフィール

結城萌子
結城萌子(ゆうき もえこ)

3月31日、千葉県生まれ。幼少期よりアニメや漫画、ゲームに親しみながら育ち、物心ついた時には将来は声優か漫画家になりたいという志をもっていた。2019年8月28日に『innocent moon』でワーナーミュージックよりデビュー。

冨田明宏(とみた あきひろ)

ロンドン留学から帰国後、大手レコード店に入社。バイヤーを勤めながら音楽ライターとして洋楽ロックやJ-POP、アニソンの分野で活動。2010年創刊のアニメ音楽専門誌『リスアニ!』のスーパーバイザーを担当。日本武道館で開催されている『リスアニ!LIVE』総合MC。現在は音楽プロデューサーとして黒崎真音、ClariSの発掘 / プロデュースを手がける。また声優・内田真礼、飯田里穂ほかの音楽プロデュースを担当。Hifumi,inc所属。

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