
安達寛高(乙一)×Cö shu Nie『シライサン』対談 死の捉え方を語る
Cö shu Nie『PURE』- インタビュー・テキスト
- 平賀哲雄
- 撮影:ヤオタケシ 編集:矢島由佳子(CINRA.NET編集部)
小説家・乙一としても知られる安達寛高の初長編監督作品『シライサン』が、2020年1月10月に公開される。その主題歌を現在アニメ『PSYCHO-PASS サイコパス 3』エンディングテーマでも話題沸騰中のCö shu Nie(コシュニエ)が担当することになり、今回の対談が実現した。
かねてより乙一作品の大ファンであったCö shu Nieの中村未来、松本駿介、藤田亮介。そして、Cö shu Nieの音楽性や詞世界を大絶賛する安達寛高(乙一)。相思相愛の邂逅は、映画『シライサン』に想定外のドラマを生み出すに至ったようだ。
ジャパニーズホラーの常識を覆す映画と、その世界観を驚愕的な再現力で音楽化してみせた主題歌、これぞ奇跡のコラボレーションと言える出逢いについて、リスペクトの念を伝え合いながら語り合う有意義な対談。ぜひともご覧頂きたい。
Cö shu Nieの音楽の中には死の気配をすごく感じた。それが心地よかったです。(安達)
―Cö shu Nieのみなさんは、乙一作品の大ファンなんですよね。今回初めて主題歌担当という形で関わることになったわけですが、監督に対してどんな印象を持たれていましたか?
中村(Vo,Gt,Key,Manipulator):全知全能。
安達:いやいや……。
中村:世界を生み出せる。あんなにも深く物語を作れるというのは……。この対談、緊張しますね!
一同:(笑)。

Cö shu Nie(こしゅにえ)
メンバーは、中村未来(Vo,Gt,Key,Manipulator)、松本駿介(Ba)、藤田亮介(Dr)。声の表情で魅せる切ない女性ボーカルと、繊細でカオスなバンドサウンド。シーケンスで華やかに彩る独創的な世界観で、ロックもポップも越えて、軽やかに行進するバンド。2018年、『asphyxia』をソニー・ミュージックレーベルズからリリース。Apple MusicのNew Artist選出されるなど、海外を含めて2500万回再生を突破。2019年には、テレビアニメ『約束のネバーランド』EDテーマとして“絶体絶命”“Lamp”という異例の2曲が起用。10月にはアニメ『PSYCHO-PASS サイコパス 3』EDテーマに抜擢された“bullet”をリリースし、12月に待望の1stアルバム『PURE』をリリースする。2020年、1月から全国ツアーを開催し、3月6日には追加公演としてZepp Tokyoでワンマンライブを行う。
中村:でも本当に、全知全能の人だと思います。『ZOO』(2003年、集英社)という作品をきっかけにファンになったんですけど、それを読んだのがバンドを始めたての頃で、本当に衝撃的な出逢いでした。
松本(Ba):自分は中村から教えてもらったんですけど、漫画『少年少女漂流記』(2007年、集英社)を読んでからのファンで。作品のイメージだとさっぱりした人なのかなと思いきや、インタビューなどを読んでいるとほっこり系の人だったりもして、「どっちが本当の乙一さんなんだろう?」と思ったり(笑)。だから、今日こうして初めてお会いできるのを楽しみにしていました。
安達:こんなおっさんですみません(笑)。
藤田(Dr):僕は最初に『平面いぬ。』(2003年、集英社)を読んで、そこから中村さんにいろんな作品を教えてもらったんです。いつも本を読むときは音楽をかけるんですけど、乙一さんの作品は音楽をかけずに読みたくなる、どっぷり浸かれる作品ばかりでどんどんハマっていきました。

安達寛高(あだち ひろたか)
別名、乙一。1978年生まれ、福岡県出身。1996年『夏と花火と私の死体』で『第6回ジャンプ小説大賞』を受賞し小説家デビュー。『シライサン』が長編監督デビューとなる。乙一名義で執筆する原作小説『小説シライサン』が角川文庫より発売中。
―監督は、Cö shu Nieの音楽にどんな印象を持たれていましたか?
安達:アンニュイな感じというか……死の気配を音楽の中にすごく感じて。それが心地よかったですね。あと、「どうやったらこんな歌詞が書けるんだろう?」って……。
中村:そんな!……埋まりたいです。
安達:(笑)。
安達:詞を書くときは、映像みたいなものが浮かんでくるんですか?
中村:大体、先に曲があるので、その音から風景とかイメージを浮かべながら言葉に落とし込んでいます。え、こんな話でいいんですか? 私の詞の書き方なんて……。
―恐縮し過ぎです(笑)。
中村:いや、本当に恐縮です。なんて言ったらいいか分からない(笑)。
安達:映画『シライサン』のエンドロールにCö shu Nieさんの“inertia”が流れてくるんですけど、そこで「ストッキング」という言葉が出てきて、すごくドキッとしたんですよね。自分で小説を書いていて「ストッキング」という言葉が出てきたことはなくて、これは女性じゃないと出てこない言葉なんだろうなと思ったり……。
中村:恐縮すぎる。……緊張する!
一同:(笑)。
リリース情報

- Cö shu Nie
『PURE』初回生産限定盤(CD+DVD) -
2019年12月11日(水)
価格:4,180円(税込)
AICL-3788~9
※クリア三方背ケース/デジパック/フォトブックレット[CD]
1. who are you?
2. asphyxia
3. bullet
4. scapegoat
5. character
6. CREAM
7. サイコプール≒レゴプール
8. iB
9. 絶体絶命
10. Lamp
11. inertia
12. gray[DVD]
「2019.8.24 Cö shu Nie Tour 2019 "Psychedelic Experiment” at LIQUIDROOM」
1. who are you?
2. サイコプール≒レゴプール
3. 絶体絶命
4. defection
5. PERSON.
6. asphyxia
- Cö shu Nie
『PURE』通常盤(CD) -
2019年12月11日(水)
価格:3,300円(税込)
AICL-37901. who are you?
2. asphyxia
3. bullet
4. scapegoat
5. character
6. CREAM
7. サイコプール≒レゴプール
8. iB
9. 絶体絶命
10. Lamp
11. inertia
12. gray
イベント情報
- 『Cö shu Nie Tour 2020 “PURE” –who are you?-』
-
2020年1月24日(金)
会場:京都府 KYOTO MUSE2020年1月26日(日)
会場:兵庫県 神戸 VARIT2020年1月31日(金)
会場:埼玉県 HEAVEN'S ROCKさいたま新都心VJ32020年2月2日(日)
会場:愛知県 名古屋 Electric Lady Land2020年2月8日(土)
会場:福岡県 DRUM Be-12020年2月10日(月)
会場:岡山県 YEBISU YA PRO2020年2月14日(金)
会場:群馬県 高崎 club FLEEZ2020年2月16日(日)
会場:石川県 金沢 AZ2020年2月21日(金)
会場:栃木県 HEAVEN'S ROCK宇都宮VJ22020年2月23日(日)
会場:宮城県 仙台 darwin2020年2月28日(金)
会場:大阪府 BIGCAT
- 『Cö shu Nie Tour 2020 追加公演 ”PURE” – I am I –』
-
2020年3月6日(金)
会場:東京都 Zepp Tokyo
作品情報

- 『シライサン』
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2020年1月10日(金)から全国公開
監督・脚本:安達寛高(乙一)
主題歌:Cö shu Nie“inertia”
出演:
飯豊まりえ
稲葉友
忍成修吾
谷村美月
染谷将太
江野沢愛美
配給:松竹メディア事業部
書籍情報

- 『小説 シライサン』
-
2019年11月21日(木)発売
著者:乙一
価格:704円(税込)
発行:KADOKAWA
プロフィール

- Cö shu Nie(こしゅにえ)
-
声の表情で魅せる切ない女性ボーカルと、繊細でカオスなバンドサウンド。シーケンスで華やかに彩る独創的な世界観で、ロックもポップも越えて、軽やかに行進するバンド。2018年、『asphyxia』をソニー・ミュージックレーベルズからリリース。Apple MusicのNew Artist選出されるなど、海外を含めて2500万回再生を突破。2019年には、テレビアニメ『約束のネバーランド』EDテーマとして“絶体絶命”“Lamp”という異例の2曲が起用。10月にはアニメ『PSYCHO-PASS サイコパス 3』EDテーマに抜擢された“bullet”をリリースし、12月に待望の1stアルバム『PURE』をリリースする。2020年、1月から全国ツアーを開催し、3月6日には追加公演としてZepp Tokyoでワンマンライブを行う。

- 安達寛高(乙一)(あだち ひろたか / おついち)
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1978年生まれ、福岡県出身。1996年『夏と花火と私の死体』で『第6回ジャンプ小説大賞』を受賞し小説家デビュー。その後、『きみにしか聞こえない』(2001年刊 / 2007年映画化)、『死にぞこないの青』(2001年刊 / 2008年映画化)、『暗いところで待ち合わせ』(2002年刊 / 2006年映画化)、『GOTH リストカット事件』(2002年刊 / 2008年映画化)、『くちびるに歌を』(中田永一名義、2011年刊 / 2015年映画化)など、様々なジャンルの小説を発表、映画化を重ねて注目を浴びてきた。またアニメーション映画『ホッタラケの島 ~遥と魔法の鏡~』(2009年 / 佐藤信介監督)に共同脚本家として参加。大学時代に自主映画を撮り始め、2007年以降、『立体東京』『一周忌物語』『Good Night Caf feine』『リビング・オブ・ザ・リビングデッド』を監督・製作。本作が長編監督デビューとなる。乙一名義で執筆する原作小説『小説シライサン』が角川文庫より発売中。
関連チケット情報
- 2021年3月11日(木)
- Co shu Nie
- 会場:EX THEATER ROPPONGI(東京都)
- 2021年3月13日(土)
- Co shu Nie
- 会場:BIGCAT(大阪府)