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butajiが語る、自らが何者かを知って。愛のあり方は多様でいい

butajiが語る、自らが何者かを知って。愛のあり方は多様でいい

butaji『中央線』
インタビュー・テキスト
渡辺裕也
撮影:木村篤史 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)
2020/01/28

butajiのニューシングル“中央線”で何度も繰り返される「君を愛している」という言葉を聴き、筆者がまず思い出したのは、彼が2018年に発表したアルバム『告白』の1曲目が“I Love You”だった、ということだ。あるいは、もしかすると『告白』と“中央線”の主題はそこまで変わらないのではないか、と。

事実、今回のシングルに収録されている2曲は、どちらも『告白』のリリース前からライブで頻繁に披露されており、タイミングとしては『告白』に収録されてもおかしくなった。しかし、結果として“中央線”“same things, same time”はシングル作品としてこのたび発表される運びとなった。

“I Love You”が表現していたのは「怒り」だった。それは自分の「I Love You」という感情が他者に受け入れられなかったこと、互いの感情をいつまでも理解し合えないことへの怒りであり、『告白』はその怒りが徐々に冷めていく過程を描いた作品でもあった。

一方、今作“中央線”でbutajiはこうも歌っている。<それでも愛している / まだ まだ / それを受け取ったの>。『告白』における「愛」は、報われないものだった。しかし、その愛が報われないものだったとしても、誰かを愛さずにはいられないのが人であり、“中央線”はそんな人の生き方、多様な愛のあり方を肯定した歌のように聴こえる。つまり、“中央線”と『告白』は地続きであり、同時にbutajiの新たなモードを伝えている作品なのではないかと。

何よりも、この2作のジャケット写真を並べてみるといい。『告白』のときに俯いていた彼は今、とても穏やかな表情でしっかりと前を見据えている。では、早速そのbutajiに今回のニューシングルが生まれた背景と、現在の心境を伺ってみよう。

butaji(ぶたじ)<br>藤原幹によるソロユニット。幼稚園頃からバイオリンを習い始め、クラシックに親しむ。2018年に2ndアルバム『告白』をリリースし、七尾旅人を招いてリリースパーティーを開催。2019年12月、初のシングルとなる『中央線』を発表した。
butaji(ぶたじ)
藤原幹によるソロユニット。幼稚園頃からバイオリンを習い始め、クラシックに親しむ。2018年に2ndアルバム『告白』をリリースし、七尾旅人を招いてリリースパーティーを開催。2019年12月、初のシングルとなる『中央線』を発表した。

「『告白』のときに自分が困窮していたのって、振り返って考えるとシスジェンダー的な思想だったのかもしれない」

―『告白』のリリースから1年と数か月が経ちました。あれからbutajiさんを取り巻く環境にはどんな変化がありましたか? butajiさんの心境も、きっと『告白』の頃とはだいぶ違うんじゃないかなと思って。

butaji:そうですね。とはいえ、ガラッと何かが変わったなんてことはまったくなくて。僕自身、『告白』を出すことでいろんなことが変わるんだろうなと予測してたんですけどね。実際はそんなこと全然なかった。甘かったですね、考えが(笑)。

butaji『告白』を聴く(Apple Musicはこちら

butaji:ただ、あのアルバムを通じて友達ができたのは変化したところかな。『告白』のジャケット写真を撮っていただいた植本一子さんとも仲よくなれたし。

イラストレーター / コミック作家のカナイフユキさんとか、現代美術家のミヤギフトシさんとか、セクシュアリティーに関する問題を取り上げることで社会とつながろうとしている方々に知り合えたのは大きかったです。

―セクシュアルマイノリティーに関する問題を取り上げた雑誌『Over magazine』にbutajiさんのインタビューが掲載される、ということもありましたね。

butaji:僕自身も『Over magazine』から学んだことがいろいろありました。先ほど名前を挙げた方々にしてもそう。みんな自分の内面を深く掘り下げていて、それを表現として外側に出している。そういう方々の作品を目の当たりにすると、自分の考えはまだまだ浅いんだなと思えたし、何よりもそれで僕自身が救われたんです。

butaji

butaji:やっぱりずっとひとりで考えてると疲れちゃうから、周りから刺激をもらったり、新たな知見を与えてもらえると気持ちが楽になるんですよね。

―自分と同じような悩みを抱えている友人が、以前はあまりいなかったということ?

butaji:そう。なので、今は話せる人がいるってことが単純に楽しいんです。

―自分の考えがまだ浅いというのは、具体的には何を指しているのでしょうか?

butaji:そうだな……たとえば『告白』のときに自分が困窮していたのって、振り返って考えるとシスジェンダー的(生まれたときに割り当てられた性別と性同一性が一致し、それに従って生きる人)な思想だったのかもしれないと思ったり。

要は、「こうあるべき」みたいに自分で自分を絡め取っちゃっていたんじゃないかなと。なので、“中央線”ではその「こうあるべき」から自分自身を解放したかったのかもしれない。

butaji
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リリース情報

butaji『中央線』
butaji
『中央線』(CD)

2019年12月18日(水)発売
価格:1,320円(税込)
btj-1001

1. 中央線
2. same things, same time

イベント情報

『Eggs×CINRA presents exPoP!!!!! volume129』

2020年1月30日(木)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest

出演:
butaji
Hainuwell
工藤将也
ジオラマラジオ
料金:無料(2ドリンク別)

プロフィール

butaji
butaji(ぶたじ)

藤原幹によるソロユニット。幼稚園頃からバイオリンを習い始め、クラシックに親しむ。2013年にBandcampにてEP『四季』や『シティーボーイ☆』を発表し、2015年には初となる全国流通アルバム『アウトサイド』を発表。2018年に2ndアルバム『告白』をリリースし、七尾旅人を招いてリリースパーティーを開催。2019年より主催イベント「VARIANT」を始動、同年12月、初のシングルとなる『中央線』を発表した。

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