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羊文学・塩塚が語る、愛と許し 聴き手の「よりどころ」となる歌を

羊文学・塩塚が語る、愛と許し 聴き手の「よりどころ」となる歌を

羊文学『ざわめき』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:松永つぐみ 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)
羊文学

聴き手の「よりどころ」となるように。羊文学が歌う、「愛」と「休憩」の感覚

―“サイレン”と“夕凪”は『MOOSIC LAB 2019』で公開された映画『ゆうなぎ』に使われていた曲で、“夕凪”は映画のために書き下ろしたんですよね?

塩塚:そうです。映画自体は淡々としていて、明るくはないけど、ものすごく暗いわけでもなく。だから“夕凪”のメロディーはカラッとしたものにしようと最初から決めていました。

こういう“Step”とか“ハイウェイ”みたいな感じは、私たちの得意分野っていう意識があるんですけど、この曲も重苦しくなり過ぎず、聴いた人がその先を見れるような曲になったんじゃないかなと思います。“夕凪”はすごく気に入っていて、映画がなければ出てこなかった表現ができたという実感があります。

羊文学“夕凪”を聴く(Apple Musicはこちら

―1曲目の“人間だった”に対して、終わりを迎えつつある恋愛の様子を歌った“恋なんて”がラストに置かれているのも印象的でした。

塩塚:「戦争をしない」とか「差別をしない」とかって、本当は言うほどのことでもないというか、当たり前のことで、全然特別なことじゃないと思うんです。なので、“人間だった”みたいな曲と、“恋なんて”みたいな日常的な男女の別れの曲が横並びになっているのは、大切なことだと思っています。

最後の曲にしたのは、“祈り”で壮大に終わるっていうのはあんまり私たちらしくないし、エモーショナルになり過ぎるのもなって思ったからで。“恋なんて”はギリギリにできたんですけど、『きらめき』を聴いて、羊文学いいなって思ってくれた人にも、ちゃんととっつきやすい空気感を作りたかったんです。

羊文学“恋なんて”を聴く(Apple Musicはこちら

―“祈り”も今回の作品のなかで大事な曲なのかなと。<夜の中で君が一人泣くことは / どんな訳があるとしても許されているから>と、この曲はまさに「許し」を歌っている曲で。

塩塚:“祈り”は一昨年の年末にめっちゃ嫌なことがあって、「なんでこんな年末の夜中に、一人で廊下で号泣してるんだろう?」と思ってできた曲です(笑)。私、「もうバンド辞めたい」っていう気持ちから曲ができることがあって、この曲も「バンド辞めたいソング」ですね(笑)。

―“若者たち”もそうなんですよね(笑)。

塩塚:そうですね。でも確かに、“祈り”が一番「許し」の感じですね。たとえばですけど、悲しいことがあって泣いてる人も、犯罪をしてしまって泣いてる人も、その瞬間に「泣く」っていう権利は誰にでもあるわけで。

泣いたところで絶対にまた朝はくるから、泣いたらすむわけじゃないけど、でも泣くこと自体は誰にでも許されている。我慢して、ギリギリまで感情を閉じ込めた結果、崩壊しちゃう人って、身の回りにもいるし、ニュースとかでも見るから、そういう人たちにも届けばいいなって思っています。

羊文学“祈り”を聴く(Apple Musicはこちら

―キリスト教系の学校に通っていたという話もありましたが、モエカさんにとっての「祈り」とはどんな感覚なのでしょうか?

塩塚:「祈り」は私にとってかなり身近なものですね。キリスト教には「主の祈り」というものがあって、学校のみんなそれを暗記していて、自分ではどうしようもないことに出会ったときに、自分よりもっと大きなものの力を信じて、それを唱えるんです。

嫌なことがあると、「これも神様の計画だ」って私は思うようにしてて……なんか宣教みたいですけど(笑)、でも本当にそう思うというか、それによって諦めがつくというか。

塩塚モエカ

―ポジティブな諦めの感覚っていうのは、「許し」の話にも通じますね。

塩塚:諦めるのは「その人がダメだから」とか「弱いから」じゃない。どうにもならないときは誰にでもあって、そういうときは自分より大きいものの力を頼ってもよくて……だから、「祈り」って、一旦休憩みたいな気持ちっていうか。何かに立ち向かわなくちゃいけないときってあると思うんですけど、そのために一旦立ち止まるってことかもしれない。

これは「自分のための祈り」ですけど、「自分以外の誰かのための祈り」になると、他人の幸せを想ったり、愛を再確認する瞬間でもあると思います。私は別に「誰かのために」って生きているわけじゃないけど、ライブをしてるときには、「ライブが終わって、みんなが会場から出て、明日からも幸せに生きていってほしいな」って思うんです。だから、私にとって自分のための祈りは「休憩」で、人のための祈りは「愛」なんです。

塩塚モエカ
羊文学『ざわめき』ジャケット
羊文学『ざわめき』ジャケット(Amazonで見る
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リリース情報

羊文学『ざわめき』
羊文学
『ざわめき』(CD)

2020年2月5日(水)発売
料金:1,540円(税込)
PECF-1178 felicity cap-325

1. 人間だった
2. サイレン
3. 夕凪
4. 祈り
5. 恋なんて

イベント情報

『felicity live 2020』

2020年3月12日(木)
会場:東京都 渋谷 WWW X

出演:
七尾旅人
羊文学
ROTH BART BARON
料金:4,000円(ドリンク別)

プロフィール

羊文学
羊文学(ひつじぶんがく)

塩塚モエカ(Vo,Gt)、ゆりか(Ba)、フクダヒロア(Dr)からなる、柔らかくも鋭い感性で心に寄り添い突き刺さる歌を繊細で重厚なサウンドにのせ、美しさを纏った音楽を奏でる3人組。2012年結成。2017年に現在の編成となり、EP3枚、フルアルバム1枚、配信シングル1曲、そして2019年12月にクリスマスシングル『1999 / 人間だった』をリリース。生産限定盤ながら全国的なヒットを記録。2020年2月5日に最新EP『ざわめき』のリリース、そのリリースより先行してのワンマンツアー(1/18大阪・梅田シャングリラ、1月31日東京・恵比寿LIQUIDROOM)はSOLD OUTに。2020年、しなやかに旋風を巻き起こしていきます。

関連チケット情報

2020年3月12日(木)
felicity live 2020
会場:WWW X(東京都)

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