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倉持裕、倉科カナ、上白石萌歌が描く悪人 現代の善悪のせめぎ合い

倉持裕、倉科カナ、上白石萌歌が描く悪人 現代の善悪のせめぎ合い

『お勢、断行』
インタビュー・テキスト
島貫泰介
撮影:豊田和志 編集:川浦慧(CINRA.NET編集部)ヘアメイク:野中真紀子(éclat)、永朋子(allure) スタイリスト:多木成美(Cコーポレーション)、道端亜未 衣装協力:STELLAR HOLLYWOOD、RPKO / THÉ PR

「汚い部分を『ない』ものにせず『ある』んだと言う。そういう表現のほうが私は好きです」(倉科)

―興味深いテーマです。

倉持:ある罪に対して、これだけの罰を与えるぞ、となったときに躊躇を覚えるんです。そこで時間軸を前後して、過去にあったことや未来に起こりうることを示すことで「本当にこの量の罰でよいのか?」という疑問が、観る人に浮かぶと思うんです。犯罪を起こすに至った理由が後から見えてくることで、さっき自分が感じた罰があまりにも重いものに思えてきたり。そうやって、観客の心を揺さぶることができれば、と。

倉科:『お勢、断行』には悪人ばっかり登場しますけど、倉持さんが描く悪人ってすごく多面的で人間味があって、共感できるんですよね。特に今回は女性の役が多くて、その誰もが毒々しさを抱えているけれど、そこには美しさすら感じるところがある。だから不思議な予感ですけど、この作品はとても美しいものになる気がしています。悪に飛躍しすぎることで現れる美しさ、というか。

―つるっとした人間よりも、多面的で複雑な人間こそが面白くて美しい?

倉科:それは絶対にそう。汚い部分って誰しも持っていますから、それを「ない」ものにせず「ある」んだと言う。そういう表現のほうが私は好きです。そこに嘘をつくことは偽物にしか思えなくて、なんの興味もわかない。人間っていびつなものですよ。

倉科カナ

上白石:私はまだ人の複雑さがわからないですけど、稽古場でご一緒する俳優さんたちの佇まいからは、人生……って言っちゃうと大げさですけど、生きていることの複雑さ、豊かさを感じます。それは、できるならずーっと見ていたいような魅力があって。この作品では、そのことにもっと深く触れられる予感もしていて、楽しみ。それはちょっと荒っぽい学びなのかもしれないですけど(笑)。

倉持:『お勢、断行』って、言ってしまえば取り返しのつかないことをしてしまった人たちの話ですけど、倉科さんの演じるお勢、萌歌ちゃんが演じる晶は、そのことに関わって宙ぶらりんになってしまったことを観客に伝える存在なのかもしれない。

さっき萌歌ちゃんが、劇場を出た後にも作品が続く、ってことを言ってくれましたけど、芝居ならではのよさはまさにそういうものだと思うんです。すべてを見終えた観客が、どのくらい作品に想いを奪われるか、しがみついていられるか、というような表現が演劇。その余韻を持たせられたらきっと作品としての「勝ち」。

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作品情報

『お勢、断行』
『お勢、断行』

2020年2月28日(金)~3月11日(水)
会場:東京都 世田谷パブリックシアター

原案:江戸川乱歩
作・演出:倉持裕
音楽:斎藤ネコ
出演:倉科カナ、上白石萌歌、江口のりこ、柳下大、池谷のぶえ、粕谷吉洋、千葉雅子、大空ゆうひ、正名僕蔵、梶原善

プロフィール

倉持裕(くらもち ゆたか)

1972年生まれ、神奈川県出身。2000年劇団ペンギンプルペイルパイルズを旗揚げ、主宰。以降すべての劇団作品の脚本・演出を手がける。『ワンマン・ショー』にて第48回岸田國士戯曲賞受賞。舞台脚本・演出作品多数、近年では、映画、TVドラマの脚本も手がけ、活動の幅を広げている。近作に「神の子どもたちはみな踊る」(演出)、劇団☆新感線「けむりの軍団」(脚本)、「鎌塚氏、舞い散る」(作・演出)など。5月から7月に、作・演出を手がける「リムジン」の上演が控えている。

倉科カナ(くらしな かな)

1987年12月23日生まれ。2009年にNHK連続テレビ小説『ウェルかめ』の主演を演じ一躍注目を浴びる。2017年『奪い愛、冬』(テレビ朝日)での主演、2018年『春が来た』(WOWOW)、『トクサツガガガ』(NHK)、2019年『ミラー・ツインズ』(東海テレビ・WOWOW)、シーズン5を迎えた『刑事7人』(テレビ朝日)、舞台では2016年『ライ王のテラス』(演出:宮本亜門)などに出演。近作では主演映画『あいあい傘』が2018年に公開された。2019年『チャイメリカ』(演出:栗山民也)に出演。倉持作品への出演は『誰か席に着いて』(2017年)以来二度目となる。

上白石萌歌(かみしらいし もか)

2011年、第7回「東宝シンデレラ」オーディショングランプリ受賞。以降、テレビ、映画、舞台など幅広く活躍。主な出演作に、舞台『魔女の宅急便』(2017年)、『続・時をかける少女』、『るろうに剣心』(2018年)、テレビドラマ『3年A組ー今から皆さんは、人質ですー』(2019年)、大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』(2019年)など。2019年、「adieu」名義で音楽活動も本格的にスタート。2018年『羊と鋼の森』で第42回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。

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