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原田祐馬×服部滋樹のデザイン流儀 「公共性」と「工共性」

原田祐馬×服部滋樹のデザイン流儀 「公共性」と「工共性」

『UMA / design farm展 Tomorrow is Today: Farming the Possible Fields』
インタビュー・テキスト
島貫泰介
撮影:片岡杏子 編集:久野剛士(CINRA.NET編集部)

「公」のために「工」をつくらないといけないですね。(服部)

―いままで話してきたことを踏まえて、お二人は今後のデザインについてどう思っていますか。社会のスキームの変化があって、「ソーシャルデザイン」と呼ばれるものも一般化してきて、それに対していかに打ち返すか、ってことが新しい課題になってくると思います。

原田:最初もいったように、僕も服部さんもソーシャルデザインの文脈で語られがちなんですけど、どちらかというと2人とも個人的な経験や個人的な思いから社会を見つめる方法としてのデザインを目指しているように思います。自分たちの思考と体験が一致していかないと身体が動かないというか。

服部:先輩がいない世代だからね、僕らは。「ソーシャルデザインと同じカテゴリーに入れんといてほしい」ってのは、たしかにある(笑)。社会のことが課題だなんて当たり前やんか。なのにあえて社会課題解決型とかいわれても。僕としては、ずっとクリティカルに突っ切ってきた気持ちがあるよ。

それに実際には先輩たちもそういう仕事をしてきた人が大勢いるんですよ。椅子1個で社会を変えてしまうようなデザインってものが現実にあって、それはプロダクトであると同時にソーシャルデザインでもある。

服部滋樹

原田:なので、エンツォ・マーリ、ブルーノ・ムナーリ、アッキーレ・カスティリオーニ(いずれも、イタリアのデザイナー)はすごい尊敬してますよ。

服部:最近のフィリップ・スタルク(フランスのデザイナー)もめっちゃいい感じ。フードデザインとかしてるでしょう。「デザインしない」って宣言してからの行動に痺れてる。

原田:自分がいままでつくった椅子のデータを学習させたAIスタルクをつくって、AIにデザインさせたりもしてますね。スタルクの初期がいいのはいうまでもないけれど、人気が出て消費されまくってからのいまの展開がいいんですよ。

原田祐馬

―フードデザインもAIも、ある種の自己批判性を感じますよね。自分自身の過去を振り返ってみて、さあ次はなにをしようかっていう思考のプロセスを感じます。

服部:突然ジャンプするんじゃなくてね。個人が試行錯誤してきた経過がわかるからこそ、こっちも「そっち行くんか? おもろいな!」ってなる。そこで突然の褒めだけど、祐馬のデザインには知性があるよね。磨かれた知性に魅力を感じる。

原田:AIぽいってことですか(笑)。

服部:ちがうよ! 思考と活動が結びついてるでしょう。正直、巷には下品なデザインってめっちゃ多いけれど、祐馬のはエレガントやもんな。品がよいです。

原田:ありがとうございます。ヤンキー生活圏で育ちましたけど、僕らは品のよいヤンキーなので(笑)。

デザインのこれからってことでいうと、最近「工」と「公」の関連性について考えてます。僕は、「公」って言葉を、空間や知識の共有という意味で使ったり考えたりしてるんですけど、そこに「工」が持っている「つくる」という発想が欠けている気がするんです。なんというか「工共性」みたいな造語をつくって考えたくなる。

服部:おもろいやん。

原田:いっぽう、僕らも工芸の「芸」のほうはなんとなく理解してるけれど、「工」のことを知らないですよね。それで辞書で調べたんですけど「工」の上下の横棒2本は、天と地を表していて、そこをつなぐ縦線が人らしいんです。そして「工」そのものは、道具としての台、ものをつくるための台らしいんです。そして、「工」のかたちは古代の甲骨文字からほとんど変わっていない。

服部:なるほどね。「公」のために「工」をつくらんと。

原田:そうなんです。僕も服部さんも、ものをつくってしかコミュニケーションできない人間やから(笑)。これからもプロセスを通してフィロソフィーを伝えて、つくっていくことを大切にしたいですね。

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リリース情報

『UMA / design farm展 Tomorrow is Today: Farming the Possible Fields』
『UMA / design farm展 Tomorrow is Today: Farming the Possible Fields』

日程:2020年2月25日(火)~3月28日(土)日曜・祝日休館
会場:東京都 銀座 クリエイションギャラリーG8
料金:無料

プロフィール

原田祐馬(はらだ ゆうま)

1979年大阪生まれ。UMA / design farm代表。大阪を拠点に文化や福祉、地域に関わるプロジェクトを中心に、グラフィック、空間、展覧会や企画開発などを通して、理念を可視化し新しい体験をつくりだすことを目指している。「ともに考え、ともにつくる」を大切に、対話と実験を繰り返すデザインを実践。主なプロジェクトに、香川県・小豆島町のアートプロジェクト「醤の郷+坂手港プロジェクト ー観光から関係へ」、奈良県・奈良市のたんぽぽの家と障害のある人たちの仕事づくりを実践する「Good Job! project」、福岡県・福智町での町立図書館と歴史資料館建設プロジェクト「ふくちのち」、福井県・福井市での未来につなぐ ふくい魅える化プロジェクト「make.fukui」などがある。グッドデザイン賞審査委員、京都造形芸術大学空間演出デザイン学科客員教授。

服部滋樹(はっとり しげき)

1970年生まれ、大阪府出身。graf 代表、クリエイティブディレクター、デザイナー。美大で彫刻を学んだ後、インテリアショップ、デザイン会社勤務を経て、1998年にインテリアショップで出会った友人たちとgraf を立ち上げる。建築、インテリアなどに関わるデザインや、ブランディングディレクションなどを手掛け、近年では地域再生などの社会活動にもその能力を発揮している。京都造形芸術大学芸術学部情報デザイン学科教授。

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