特集 PR

THE ORAL CIGARETTES・山中が語る、表現者が今果たすべき使命

THE ORAL CIGARETTES・山中が語る、表現者が今果たすべき使命

THE ORAL CIGARETTES『SUCK MY WORLD』
インタビュー・テキスト
天野史彬
編集:矢島由佳子(CINRA.NET編集部)

アートワークやミュージックビデオも含めてすべてを見てもらわないと、伝わり切らない。

―今作に収録されたシングルのジャケットやミュージックビデオ(以下、MV)には、共通して「○(円)」が描かれていたりしますけど、今作は、音楽だけではなくてアートや映像もクロスさせてコンセプトを伝えているということを、山中さんはSNSなどでも常々仰っていましたよね。

山中:そうですね。『SUCK MY WORLD』というアルバムは、どこか一部を切り取られてしまうとすごく難しい表現になってしまうと思います。アートワークやMVも含めてすべてを見てもらわないと、伝わり切らない……それはやっぱり、自分が伝えたいと思っていることの規模感が大きすぎたからですね。一瞬で伝えることはすごく難しかった。

だからこそ、2年間という時間をかけてシングルを1作1作出して、常にヒントを出し続けていくことで、自分たちのリスナーに対して「これはなんなんだろう?」ということを考えてもらうきっかけをずっと作り続けたかったんです。そうすれば、俺が考えていることに興味を持ち続けてくれるだろうし、それに、パッと出た答えよりも、考え続けて出た答えのほうが、その人の心にはきっと残りますよね。

―そう思います。

山中:今は特に情報が溢れていて、簡単に答えがわかってしまう時代だから。俺が若い頃は、海外のアーティストの情報が知りたいがために、海外から雑誌を取り寄せて英語を頑張って和訳していましたけど、今は、SNSがあればなんでも知ることができてしまう。そういう状況が俺は嫌なので、「答えを出さない」というアプローチを徹底してやってきました。

左:『ワガママで誤魔化さないで』(2019年3月13日リリース)、右:『Don’t you think(feat.ロザリーナ)』(2019年9月6日リリース)
左:『Shine Holder』(2019年12月18日リリース)、右:『Tonight the silence kills me with your fire』(2020年2月14日リリース)
左:『Dream In Drive』(2020年3月25日リリース)、右:『Naked』(2020年4月15日リリース)
左:『Slowly but surely I go on』(2020年4月22日リリース)、4段目右:アルバム『SUCK MY WORLD』ジャケット
1段目左:『ワガママで誤魔化さないで』(2019年3月13日リリース)、1段目右:『Don’t you think(feat.ロザリーナ)』(2019年9月6日リリース)、2段目左:『Shine Holder』(2019年12月18日リリース)、2段目右:『Tonight the silence kills me with your fire』(2020年2月14日リリース)、3段目左:『Dream In Drive』(2020年3月25日リリース)、3段目右:『Naked』(2020年4月15日リリース)、4段目左:『Slowly but surely I go on』(2020年4月22日リリース)、4段目右:アルバム『SUCK MY WORLD』ジャケット(Amazonで見る

―音楽以外の表現に対しても積極的であるスタンスは、山中さんのなかでどのように培われたものなのだと思いますか?

山中:3年前くらいに、「自分ひとりでなにができるんだろう?」と悩んでいた時期があったんです。音楽でいうと、今はトラックも簡単に作れる時代になっていますよね。そういうなかで、サウンド面が優先されている兆候があるなと思っていて。「こういうサウンドが海外で人気だから、そういうものを作ろう」みたいな。そして、それを「イケてるな」ってはやし立てている……。俺は、それはロックバンドがやるべきことではないと思うんです。やっぱり「人間」が見えてこないと、音楽は誰がやっても一緒になってしまうんですよね。

どの時代に生きて、どんな成果を起こした人間も、結局は人間なわけで。「それなら、自分は今を生きる人間として、なにを表現できるんだろう?」「みんなを扇動していく人間として、自分はどうあれるんだろう?」と考え始めたんです。

そのタイミングで、クラブシーンとか、いろんな界隈に顔を出すようになったんですよね。自分ひとりの人間力で、オーラルという名刺を使わずに、山中拓也としていろんな場所に乗りこんでいったときに、自分がどれだけ魅力のある人間だと思ってもらえるのか試してみようと思った。音楽以外の部分にもこだわり始めたのは、その時期にできた友達たちの影響がすごく大きいです。いろんな世界を教えてもらったし、「山中拓也はこういうものが好きなんだな」と客観的に見る作業にもなりました。

―改めて、音楽以外の部分で自分に大きな影響を与えているのはどんなものだと思いますか?

山中:やっぱり、映画が与えてくれたものは自分にとって大きいなと思います。特に(ラース・フォン・)トリアー作品と(スタンリー・)キューブリック作品は、ひたすらに自分の世界観に合っていたというか、自分が表現したいと思っている「生の人間」を、彼らは表現していたなと思います。その二人の監督の存在はデカいですね。そのあとにダニー・ボイルの存在を知ったり。

今、挙げた人たちに共通しているのは、人間の汚い部分にフォーカスを当てながらも、それを皮肉っぽく表現していくバランスの取り方が上手いんですよね。ただ、「うわ、しんどいなぁ」ってなるだけでは終わらないところが、自分にはすごくしっくりきたんだと思います。

山中拓也

俺、今まで生きている理由がよくわからなかったんですよ。でも去年の夏に、気絶してしまったことがあって。

―先ほど、今作のコンセプトは「自分の人生を遡っていくことにもつながっていた」と仰っていましたが、具体的に、前作と今作の間で起こった、山中さんの内面的、人間的な心境も変化も伺いたいです。

山中:なんというか……それはスピリチュアルな話になっちゃうんですけど(笑)。

―うん、聞かせてください。

山中:俺、今まで生きている理由がよくわからなかったんですよ。インディーズのときにすごく大きな病気をして、医者にも「諦めてください」って言われたんです。それにもかかわらず、なんで今まで生き残っていて、なんでこうやってステージに立たせてもらっているのか……そういうことが、よくわからないまま生きてきている感じがあって。だから、オーラルの歌詞には死生観を書いたものが多かったんですけど、去年の夏に、頭を鈍器で殴られたような感覚で気絶してしまったことがあったんですよ。

―えぇ!?

山中:そのときに見た夢が、過去と現在と未来が一致して続いているっていう夢だったんです。過去軸と現在軸と未来軸があって、それが何周も回って、同じところで止まって、また何週も回って、同じところで止まる……そんな意味のわからない夢なんですけど(笑)。

そのときに、「もしかしたら、自分は何回も山中拓也をやり直しているのかな」という感覚になってきたんですよね。毎回毎回、そのときの生き方によって山中拓也がアップデートされていく、というか。言うなれば、「輪廻転生」ってそういうことなんじゃないかなって思ったんです。そういうことを感じ始めてから、出会う人、一緒に仕事をする人、そういう人たちは奇跡でも偶然でもなく、必然で出会っているんじゃないかとも思うようになって。それが、自分の思考回路が変わっていく瞬間だったような気がします。

―なるほど……すごい体験ですね。

山中:そうですね(笑)。それから、過去に起こったことも、未来に起こることも知っておきたいと思うようになった。その欲求が原動力に変わったし、それを作品にして出していくことが、自分のやるべきことなんだなと思ったんですよね。

今言った出来事は、言ってしまえば、自分が今生きていることの使命を見る瞬間だったような気もしているんです。「俺が生きている理由ってこれか」みたいな。今まで、自分がすべてを選択して生きてきていると思っていたんですけど、そうじゃなくて、自分は選択させられていて、生かされていたんだって思ったんですよね。

Page 3
前へ 次へ

リリース情報

『SUCK MY WORLD』初回盤A(CD+DVD)
THE ORAL CIGARETTES
『SUCK MY WORLD』初回盤A(CD+DVD)

2020年4月29日(水)発売
価格:4,290円(税込)
AZZS-104

[CD]
1. Introduction
2. Tonight the silence kills me with your fire
3. Fantasy
4. Dream In Drive
5. Maze
6. Don't you think (feat.ロザリーナ)
7. Hallelujah
8. Breathe
9. ワガママで誤魔化さないで
10. Shine Holder
11. Naked
12. Color Tokyo
13. From Dusk Till Dawn
14. The Given
15. Slowly but surely I go on

[DVD]
『PARASITE DEJAVU ~2DAYS OPEN AIR SHOW~』DAY1 ONE MAN SHOW at 泉大津フェニックス(2019.9.14)
1. BLACK MEMORY
2. What you want
3. WARWARWAR
4. N.I.R.A(Redone)
5. GET BACK
6. 瓢箪山の駅員さん
7. LIPS(Redone)
8. ワガママで誤魔化さないで
9. カンタンナコト
10. DIP-BAP(feat.KAIRI)
11. ハロウィンの余韻(Redone)
12. 僕は夢を見る(Redone)
13. 5150
14. PSYCHOPATH
15. 狂乱 Hey Kids!!
16. See the lights
17. LOVE(Redone)
18. 容姿端麗な嘘
En1. Don't you think(feat.ロザリーナ)
En2. 起死回生STORY

THE ORAL CIGARETTES
『SUCK MY WORLD』初回盤B(CD+Blu-ray)

2020年4月29日(水)発売
価格:5,390円(税込)
AZZS-105

[CD]
1. Introduction
2. Tonight the silence kills me with your fire
3. Fantasy
4. Dream In Drive
5. Maze
6. Don't you think (feat.ロザリーナ)
7. Hallelujah
8. Breathe
9. ワガママで誤魔化さないで
10. Shine Holder
11. Naked
12. Color Tokyo
13. From Dusk Till Dawn
14. The Given
15. Slowly but surely I go on

[Blu-ray]
『PARASITE DEJAVU ~2DAYS OPEN AIR SHOW~』DAY1 ONE MAN SHOW at 泉大津フェニックス(2019.9.14)
1. BLACK MEMORY
2. What you want
3. WARWARWAR
4. N.I.R.A(Redone)
5. GET BACK
6. 瓢箪山の駅員さん
7. LIPS(Redone)
8. ワガママで誤魔化さないで
9. カンタンナコト
10. DIP-BAP(feat.KAIRI)
11. ハロウィンの余韻(Redone)
12. 僕は夢を見る(Redone)
13. 5150
14. PSYCHOPATH
15. 狂乱 Hey Kids!!
16. See the lights
17. LOVE(Redone)
18. 容姿端麗な嘘
En1. Don't you think(feat.ロザリーナ)
En2. 起死回生STORY

THE ORAL CIGARETTES
『SUCK MY WORLD』通常盤(CD)

2020年4月29日(水)発売
価格:3,300円(税込)
AZCS-1090

1. Introduction
2. Tonight the silence kills me with your fire
3. Fantasy
4. Dream In Drive
5. Maze
6. Don't you think (feat.ロザリーナ)
7. Hallelujah
8. Breathe
9. ワガママで誤魔化さないで
10. Shine Holder
11. Naked
12. Color Tokyo
13. From Dusk Till Dawn
14. The Given
15. Slowly but surely I go on

プロフィール

THE ORAL CIGARETTES
THE ORAL CIGARETTES(じ おーらる しがれっつ)

2010年奈良にて結成。メンバーは、山中拓也(Vo,Gt)、鈴木重伸(Gt)、あきらかにあきら(Ba,Cho)、中西雅哉(Dr)。人間の闇の部分に目を背けずに音と言葉を巧みに操る唯一無二のロックバンド。メンバーのキャラクターが映えるライブパフォーマンスを武器に全国の野外フェスに軒並み出演。2017年6月には初の日本武道館公演、2018年2月には地元関西にて大阪城ホール公演を開催し両日とも即日完売。リリースした作品は常に記録を更新し、2018月6月リリース4th アルバム『Kisses and Kills』はオリコン初登場1位を獲得。9月から半年に渡りアリーナ4公演含む全国ワンマンツアー『Kisses and Kills Tour 2018-2019』、2019年5月には初のアジアツアー『KK Tour 2019 in Shanghai/Beijing/Taipei』を開催した。そして、8月に初のベストアルバム『Before It’s Too Late』をリリースし、9月には大阪泉大津フェニックスにて初の野外自主イベント『PARASITE DEJAVU ~2DAYS OPEN AIR SHOW~』を開催、2日間で約4万人を動員した。BKW!!(番狂わせ)の精神でロックシーンに旋風を巻き起こしている。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

BIM“Wink”

BIMの新作『NOT BUSY』より“Wink”の映像が公開。ゆるめに結んだネクタイは軽妙洒脱でも、背伸びはしない。どこか冴えない繰り返しのなかで<だって俺らの本番はきっとこれから>と、吹っ切れなさもそのままラップして次へ。BIMの現在進行形のかっこよさと人懐っこさがトレースされたようなGIFアニメが最高にチャーミング。(山元)

  1. 『名探偵ピカチュウ』、キャラ造形や原作との違いの意図を探る 1

    『名探偵ピカチュウ』、キャラ造形や原作との違いの意図を探る

  2. 土屋太鳳が凶悪事件を起こす女性役 映画『哀愁しんでれら』来年公開 2

    土屋太鳳が凶悪事件を起こす女性役 映画『哀愁しんでれら』来年公開

  3. 吉田類がリモート収録で乾杯、BS-TBS『吉田類の酒場放浪記』特別編 3

    吉田類がリモート収録で乾杯、BS-TBS『吉田類の酒場放浪記』特別編

  4. 坂本龍一のドキュメンタリー映画『CODA』が1週間限定で無料配信 4

    坂本龍一のドキュメンタリー映画『CODA』が1週間限定で無料配信

  5. 『SONGS』特別編に嵐、宇多田、あいみょん、椎名林檎、ミスチル、欅坂46ら 5

    『SONGS』特別編に嵐、宇多田、あいみょん、椎名林檎、ミスチル、欅坂46ら

  6. 蒼井優と高橋一生が夫婦役、黒沢清監督ドラマ『スパイの妻』放送日決定 6

    蒼井優と高橋一生が夫婦役、黒沢清監督ドラマ『スパイの妻』放送日決定

  7. 星野源『おげんさんと(ほぼ)いっしょ』急遽放送、初のリモート収録に挑戦 7

    星野源『おげんさんと(ほぼ)いっしょ』急遽放送、初のリモート収録に挑戦

  8. ヨーヨー・マ、バッハ『無伴奏チェロ組曲』全曲をライブ配信 8

    ヨーヨー・マ、バッハ『無伴奏チェロ組曲』全曲をライブ配信

  9. 有安杏果、結婚を発表。その経緯、お相手など、赤裸々に語る 9

    有安杏果、結婚を発表。その経緯、お相手など、赤裸々に語る

  10. YOASOBI、ボカロ文化と繋がる「物語音楽」の新たな才能の真髄 10

    YOASOBI、ボカロ文化と繋がる「物語音楽」の新たな才能の真髄