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Kvi Babaが語る、生きる覚悟。愛はもらうものではなく手渡すもの

Kvi Babaが語る、生きる覚悟。愛はもらうものではなく手渡すもの

Kvi Baba『Happy Birthday to Me』
インタビュー・テキスト・編集
矢島大地(CINRA.NET編集部)
2020/06/01

『Happy Birthday to Me』。Kvi Babaの3rd EPのタイトルは、明確な意志を持って、自身の脱皮と生まれ変わりに対して捧げられたものである。歌、音、リリックの視線。すべてが、これまでのものとは違う近さと温かさをもって響いてくる。

崖の下から這い上がってくるようだった声は、跳ねるように躍動。引き続きタッグを組んだBACLOGICのトラックは、泣き叫ぶギターやヘヴィなビートよりも、メロディアスなフレーズが前に出るものへと変化。そしてリリックは、痛みや死に怯えながら生を求めるものから、Kvi Babaなりの生きる意味と理由を直接的に綴るものへ。<生まれて今 初めて書く / Love Song / 綺麗事だけじゃないぞ Fight Song>(“Fight Song”)。孤独と絶望を背景にして進んできたストーリーを自分自身へのエールソングへと昇華した、素晴らしい変化作であり、本質作である。

ユースの孤独と鬱屈を掬う現行のエモの在処として、オルタナティブロックや90's emoを食らってきたクラウドラップ。その潮流と共振する音楽性・精神性を持つ存在として注目を集めたKvi Babaだが、そういった位置づけを自らはみ出していくように、端から素晴らしかったメロディと歌を存分に飛ばしている。「気鋭のラッパー」から駆け上がり、より自由に今を表す存在へと飛んでいくための序章がここに刻まれていると言えるだろう。泣き喚くばかりだった「あの頃」とは違う、本当の強さを手に入れるための一歩を踏み出したKvi Babaに、今の自分を語り尽くしてもらった。

今までのネガティブさっていうのは「遠回り」だった。だけど、どうせ希望に向かうんだったらそのまま歌えばいいっていう、「どうせ」の使い方を見つけた感じがしたんです。

Kvi Baba『Happy Birthday to Me』を聴く(Apple Musicはこちら

―“Fight Song”や“Talk to Myself”をはじめとして、晴れやかでポジティブなエールソングが根幹を固めているEPだと感じました。デビューから今までがあった上での音楽的な脱皮・変化を果たした作品だとも思いますし、一方では、曲にし続けてきたことの一番本質的な部分にある「生きていく」という想いをドンと歌った作品だとも感じますが、ご自身ではどんな作品ができたと思われていますか。

Kvi Baba:成長した部分もありつつ、変わらず「自分だな」って思える作品なんですけど……でも、これまでよりも体と心にいい作品ができたかなって思います。

―それはどういう部分に対して思います?

Kvi Baba:屁理屈ばっかり歌うのをやめたのが成長だと思います。だからポジティブなことも歌にできるようになったのかな。以前は、成長できないから自分の中のネガティブなことを吐き出すしかなかった気がするんですよ。ただ、ネガティブな部分をポジティブな部分にどう昇華したらいいのかっていう歌だったのは前も同じだったと思うんですよ。

―そうですね。

Kvi Baba:その点で言うと、根本は変わらないまま昇華の仕方に成長が表れてきたのかなっていう気がしますね。表現がうまくなったというか……同じものを歌ってるんだけど、歌い方が変わったっていう言い方が近いかな。

Kvi Baba“Fight Song”を聴く(Apple Musicはこちら

Kvi Baba(くゔぃ ばば)<br>1999年生まれ。大阪府・茨木出身。2017年よりSoundCloud上で立て続けに楽曲を発表し音楽活動をスタート。トラップ、オルタナティブロックを飲み込んだ音楽性を持つ。2019年2月に1st EP『Natural Born Pain』を、同年3月に2nd EP『19』を立て続けにドロップ。2019年9月25日に1stアルバム『KVI BABA』を発表し、2020年5月29日に『Happy Birthday to Me』をリリースした。
Kvi Baba(くゔぃ ばば)
1999年生まれ。大阪府・茨木出身。2017年よりSoundCloud上で立て続けに楽曲を発表し音楽活動をスタート。トラップ、オルタナティブロックを飲み込んだ音楽性を持つ。2019年2月に1st EP『Natural Born Pain』を、同年3月に2nd EP『19』を立て続けにドロップ。2019年9月25日に1stアルバム『KVI BABA』を発表し、2020年5月29日に『Happy Birthday to Me』をリリースした。

―Kvi Babaさんが前回のインタビューでおっしゃったことをよく覚えているんですけど、いちいち絶望してしまうのは、絶望してしまうほどの理想や希望を持っているからこそだっていう話をしてくれて。ネガティブから始まったとしても、生きたいっていう本音を奮い立たせるための歌である点は一切変わっていないですよね。

Kvi Baba:うん、ネガティブって言いつつも、それはポジティブに向かうためのものとして歌ってきて。痛みや絶望が自分の歌にはたくさん出てきてましたけど、見方を変えればそれが前向きなものになるっていう……そういうふうに見方や光の当て方を変えている感じだったし、僕個人の部屋にこもって日記を書くようにネガティブを吐き出して、それが聴き手次第の解釈でどう転がるかっていう感じだった。

Kvi Baba『KVI BABA』(2019年)を聴く(Apple Musicはこちら

Kvi Baba:だけど今回は初めて、自分で答えを出しに行ってるんです。それは決して不自由なことでもなく、これが正解だって自分に言い聞かせるようなことでもなく、むしろ自分を自由にするために、自分の答えを出す必要があったんですよね。

―とはいえ、以前は吐き出さないとやっていられないネガや絶望がたくさんあったわけですよね。だけど今作は歌のトーンがグッと晴れやかになって、トラックの質感も非常に温かいものになっている。この変化の背景に何があるのか、思い当たることはありますか。

Kvi Baba:なぜかって言ったら……去年の末くらいに、実際にぶっ壊れるところまで行っちゃったからだと思います。

―何がどうぶっ壊れたのか、教えてもらうことはできます?

Kvi Baba:人と揉めたり、人に裏切られたりっていうことが増えて、以前所属していたレーベル(マネジメント)を抜けて。体調も壊してしまって、本当に死ぬかもしれないっていう状況になっちゃったんですよ。Kvi Babaとしてはポジティブな状況になっていってるはずなのに、ネガティブなままの自分のままだと失うものがたくさんあって。そうなった時、ただただ純粋に「生きていく」っていうところに向かうしかなかったんです。

―ネガや傷からポジティブに向かう、ある種の反動を使うことすら現実的じゃなくなったというか。

Kvi Baba:そうそう。今までの自分のネガティブさっていうのは、ポジティブに行くための「遠回り」だったんですよ。それこそ反動として使ってただけ。だけど、どうせ希望に向かうんだったらそのまま歌えばいいっていう、「どうせ」の使い方を自分の中で見つけた感じがしたんです。人間関係のめんどくさいことに巻き込まれてしまったり、それで人間不信になってしまったり……それも含めて、ネガに行く反動で希望を歌うよりもっと直接的なルートを選ばないと本当に壊れてしまうって思うようになったんですよね。

―傷や痛みが証になって自分を形成するっていうことも、人間にはあると思うんですよ。ただ、シンプルに考えて、痛みだけじゃ生きていけないですからね。

Kvi Baba:そう、今回一番デカかったのはそこで。体壊して、仲間だったはずのレーベルと揉めて抜けて。そういう時に、さらにカサブタを剥がすようなことをしていても、実際に不健康になっていくだけだったから。新しいOSを搭載して、新しいルートで向かって行くしかなかったですね。

Kvi Baba
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リリース情報

Kvi Baba『Happy Birthday to Me』
Kvi Baba
『Happy Birthday to Me』

2020年5月29日(金)配信
価格:1,222円(税込)

1. Fight Song
2. No Clouds
3. By Your Side
4. Talk to Myself
5. Fight Song (Remix) feat. VIGORMAN&NORIKIYO
6. Decide feat. RYKEY

プロフィール

Kvi Baba(くゔぃ ばば)

1999年生まれ。大阪府・茨木出身。2017年よりSoundCloud上で立て続けに楽曲を発表し音楽活動をスタート。トラップ、オルタナティブロックを飲み込んだ音楽性を持つ。2019年2月に1st EP『Natural Born Pain』を、同年3月に2nd EP『19』を立て続けにドロップ。2019年9月25日に1stアルバム『KVI BABA』を発表し、2020年5月29日に『Happy Birthday to Me』をリリースした。

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