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2000年生まれ、Ran。変化することへの戸惑いと肯定

2000年生まれ、Ran。変化することへの戸惑いと肯定

Ran『無垢』
インタビュー・テキスト
タナカヒロシ
編集:タナカヒロシ、矢澤拓 撮影:田中一人
2020/08/12

島本理生の本を読んでから、いろんなことを遮断するようになった

―Ranさんが生きづらさを感じるようになったのは、何かきっかけがあったんですか?

Ran:小学校くらいまでは活発なほうだったと思うんですけど、本を読むようになってからかもしれないです。中学生のときに島本理生さんの小説『アンダスタンド・メイビー』(中央公論新社)に出会った頃から、ちょっと変わったかなと思います。

―その小説を読んで何が変わったんでしょう?

Ran:すごく行動力のある女の子が主人公なんですが、変な男に騙されたり、犯罪に巻き込まれたり。そこで助けてくれる人が必ずいるんです。でも、その人を自分から捨てなきゃいけない場面もあったりして、そこからまた新しいところに飛び込んでいくというお話です。その当時、人間関係とか友達関係とか、いろんな出来事があって、そういうときに本に助けられていたというか。この時期にいろんなことを遮断するようになっちゃったかもしれないです。

Ran

―本から影響を受けつつも、音楽をやりたいと思ったのはどうしてですか?

Ran:もともと歌うことが好きで、カバーとかを歌ってたんです。そしたらギターを持ちたいと思うようになって、そこから自分の抱える想いとか、誰にも教えられない、伝えられないことを書いてみようと思って、歌を作り始めたという感じです。阿部真央さんに憧れていたんですけど、影響という意味ではハルカトミユキさんのCDを聴いたことが大きかったかもしれないです。こういう言葉の使い方をしてもいいんだ、こういう感情を歌にしていいんだと思って。それは「音楽」というより「言葉」という括りのほうが、しっくりくる気がします。

ハルカトミユキ“夜明けの月”を聴く(Apple Musicはこちら

「曲を書いたときって、全部が敵に見えちゃうんですよ。自分に関わるなとか、近づくなとか」

―今は自分を誇れるものがないと言ってましたけど、これからこうなりたいとか、描いているものはありますか?

Ran:特にないんですよね。小さい頃は書道を習っていたので、書道の先生の資格も取りたかったし、歌が好きだったから歌に関する仕事もしたい、服も好きだったから洋服をデザインする人になりたいとか、いろいろ興味はありましたけど。

―逆に上の世代を見て思うことはありますか?

Ran:すごく適応して生きていらっしゃるなと。

―“ご飯の食べ方”で歌っている<他の奴らがやっている美しい術>は、そういう意味ですか?

Ran:そうですね。

Ran“ご飯の食べ方”MV

―何か適応したり迎合したりすることは得意ではない?

Ran:得意じゃなかったです。このアルバム自体が、いろんなものを取り入れることで、作った当時と違うものになっていくのが怖くて。この曲の私からは変わりたくないというか。曲を書いたときって、全部が敵に見えちゃうんですよ。自分に関わるなとか、近づくなとか、そういう感情で。「こういうのをしてみたら?」とか言ってくる人がいるじゃないですか。でも、「私を変えようとしないでくれ」みたいな。

―一方で、“蘇生”には<必要な言葉も耳を塞いでいたから>という歌詞がありますよね。アドバイスに対して必要性を感じるようになったとも受け取れました。

Ran:“蘇生”はターニングポイントだったなと思っていて。<今日も外面は笑っていて心の中では泣いていました>っていうフレーズを書いたときに、自分からこんな言葉が出てくるんだって思ったんです。そこから素直になれたというか、いろんなものを受け入れようとする姿勢が自分の中に生まれてきたなって思います。それまでは人と全然しゃべれなかったんですけど、少しずつしゃべれるようになって。曲にして吐き出したことで、受け入れられるようになったのかもしれないです。

―昔は何か言われても「うるせー、口出すな」みたいな。

Ran:心の中ではそう思ってました。外面では「ああ、そうですね」みたいな感じで認めておいて、心の中では納得していない。でも、そういうのは乗り越えたつもりでいます。

Ran
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リリース情報

Ran
『無垢』(CD)

2020年8月5日(水)発売
価格:1,650円(税込)
EGGS-046

1. 黒い息
2. 蘇生
3. 悲劇ごっこ
4. 靡かない
5. 環
6. ご飯の食べ方

プロフィール

Ran(らん)

2000年8月9日生まれ、福岡県出身。中学3年時にボーカルスクールへ通い始め、同時にギターとソングライティングを始める。2019年9月にwatabokuのデザインによる“ご飯の食べ方”のMカード付きTシャツを発売。正式デビュー前から話題となり、東京・福岡を中心に7大学からオファーを受け学園祭にも出演。2020年2月より音楽配信アプリ「Eggs」にて楽曲をアップロード。8月5日にデビューミニアルバム『無垢』をリリース。tvk『関内デビル』内のレギュラーコーナー「Ranのあなたの思い出、歌にします」、FM福岡『Ran Reflection Radio』にレギュラー出演中。

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