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Lucky Kilimanjaro熊木の節目になった、エモめの30歳、夏

Lucky Kilimanjaro熊木の節目になった、エモめの30歳、夏

タフヴァイナル
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:寺内暁 編集:久野剛士 (CINRA.NET編集部)

レコードレーベル発信の国産レコードプレスカンパニー「TUFF VINYL(タフヴァイナル)」と、CINRA.NETの共同制作で、Lucky Kilimanjaro初の7インチ『エモめの夏 / HOUSE』がリリースされる。「世界中の毎日をおどらせる」をテーマに掲げるバンドだけに、アナログのリリースはまさに待望。今年の7月に発表された最新曲“エモめの夏”と、STAY HOME期間とのリンクも話題となった「家アンセム」である“HOUSE”の組み合わせは、バンドが過ごした今年の夏の締め括りにふさわしいアイテムだと言える。

3月にメジャー1stアルバム『!magination』を発表し、今年は夏フェスへの出演も多数予定されていただけに、バンドの中心人物である熊木幸丸にとって、この夏は当然複雑な思いを抱えて過ごす時間になったことだろう。しかし、そこは持ち前の未来志向を持って、自らのアイデンティティを見つめ直すことで、現在はこの先をしっかりと見据えている。7インチリリース日の翌日、9月24日にはひさびさの有観客ライブをリキッドルームで開催。夏が過ぎ去っても、心躍る気持ちは止められない。

Lucky Kilimanjaro(らっきー きりまんじゃろ)<br>熊木幸丸(Vo)を中心に、同じ大学の軽音サークルの仲間同士で結成され、2014年、東京を拠点にバンド活動開始。「世界中の毎日をおどらせる」をテーマに掲げた6人編成によるエレクトロポップ・バンド。スタイリッシュなシンセサウンドを軸に、多幸感溢れるそのライブパフォーマンスは唯一無二の存在感を放つ。
Lucky Kilimanjaro(らっきー きりまんじゃろ)
熊木幸丸(Vo)を中心に、同じ大学の軽音サークルの仲間同士で結成され、2014年、東京を拠点にバンド活動開始。「世界中の毎日をおどらせる」をテーマに掲げた6人編成によるエレクトロポップ・バンド。スタイリッシュなシンセサウンドを軸に、多幸感溢れるそのライブパフォーマンスは唯一無二の存在感を放つ。

音楽って僕らがどう伝えたいか以上に、聴いた人がどう受け取るかだったりもする。

―Lucky Kilimanjaroとしては初の7インチのリリースですね。

熊木:僕はレコードを聴く文化が全然なかったので、自分から「アナログを出したい」って提案することはなかったんですけど、仲のいいDJさんとかお客さんからは「アナログ出してほしい」ってよく言われてました。なので、作りたいなっていうのはなんとなく思っていて。特に今はライブがなかなかできなくて、作品しかお客さんに届けられないタイミングなので、今回こういう取り組みができて嬉しかったです。

―CDから配信へと主流が移っていく中で、逆にアナログの市場が再燃するというのがここ数年の動きとしてあるわけですが、熊木くんはこの時代にアナログをリリースすることの意味合いをどのように捉えていますか?

熊木:僕は基本ずっとデジタルで音楽を聴いてるんですけど、まず音の種類が違うので、そこが面白いなって。僕はCD世代なので、CDを開けるときの興奮とか、そういう「モノとして楽しむ」文化は、デジタルで失われた感覚かなっていうのはあります。その点、アナログはCD以上にモノとしての魅力があるアイテムだと思いますね。

熊木幸丸
熊木幸丸

―今年の夏にリリースした“エモめの夏”と、昨年リリースの“HOUSE”という2曲を選んだのは、どんな理由があったのでしょうか?

熊木:「アナログ出してほしい」って、DJの人から特によく言われたのが“HOUSE”だったんです。しかも、今年はSTAY HOME期間があって、その中でたくさん聴いてもらったのもあったから、ぜひ出したいなって。“エモめの夏”は個人的にかなり気に入っていて、僕の中でレコードっぽい曲というか、昔のディスコをリミックスしたような感覚で作った曲だったので、逆にアナログに戻ってくるような感覚で(笑)、そういう意味でもぴったりだなと思いました。

Lucky Kilimanjaro『HOUSE』を聴く(Apple Musicはこちら

―確かに“HOUSE”は今年に入って別の意味合いが加わった1曲になりましたよね。

熊木:当然、作った当時は全く想定していなかったんですけど、音楽って僕らがどう伝えたいか以上に、聴いた人がどう受け取るかだったりもするので、たくさんの人が改めて聴いて、自粛期間にちょっとでも楽しんでもらえたのであれば、それはよかったです。

―もともとは「HOUSE MUSIC」=「家MUSIC」っていうアイデアからできた曲なわけですよね?

熊木:本当にそれだけですね(笑)。なにかしらの意味があったわけじゃなくて、「家が好き」っていうのをハウスミュージックで表現したいっていう、それだけで作った曲なので、「こういう状況でも家で楽しめる」とか、「暗闇の中の希望」みたいな意味はなくて。もちろん、外で遊ぶのがダメっていうわけでもなく、単純に「家で遊ぶのがめちゃめちゃ好き」っていうのを、主張っぽく言ってみようと思った曲です。言っちゃえば、ふざけただけなんですけど、でもそれで結果的にみんなの心がちょっとでも柔らかくなる曲になったのであれば、僕らとしてはすごくよかったなと思います。

完成したばかりの7インチを初視聴。デジタルとはどう違うか。

―では早速、完成したばかりの7インチを試聴してみましょうか。

完成した初の7インチ『エモめの夏 / HOUSE』を聴く熊木
完成した初の7インチ『エモめの夏 / HOUSE』を聴く熊木
完成した初の7インチ『エモめの夏 / HOUSE』を聴く熊木

―聴いてみていかがですか?

熊木:キックがアナログっぽいですね。ふっくらするっていうか……キックとベースがきれいに出てますね。やっぱり、低音がきれいなのがレコードの特徴なんですかね?

―僕カッティングの現場に立ち会わせてもらったんですけど、2曲とも低域がボリューミーに入っているので、針飛びをしないように、音量や音域を調整したとエンジニアさんがおっしゃってました(参考:タフヴァイナルの最先端レコード事業。仕掛け人がビジョンを語る)。

熊木:ベースがブンブン唸ってますからね。でもタイトで、アナログのふくよかさがあって……こっちのほうがかっこいいな(笑)。

カッティング中の様子。マスター音源を、レコードのフォーマットに合わせて、音量や音質などを調整する。
カッティング中の様子。マスター音源を、レコードのフォーマットに合わせて、音量や音質などを調整する。
カッティングマシンで、ラッカーディスクに溝を刻む。この工程が、楽曲を熊木の語る「ふくよかな音」に仕上げている。1周の長さが異なる内側と外側で掘るだけで、音が変わると言われており、今回は7インチのため、盤の内側に掘っていく。
カッティングマシンで、ラッカーディスクに溝を刻む。この工程が、楽曲を熊木の語る「ふくよかな音」に仕上げている。1周の長さが異なる内側と外側で掘るだけで、音が変わると言われており、今回は7インチのため、盤の内側に掘っていく。

―あはは。普段曲作りする上で、帯域は結構気にしますか?

熊木:昔はめっちゃ気にしてましたけど、最近はやっと「大体この辺があるかないか」っていうツボがわかるようになってきました。なので、今はどっちかっていうと、いかにシンプルにかっこよく聴かせるかっていうのを考えることが多くて、たくさんのアイデアを1曲に詰め込むのではなく、わりと1アイデアで勝負したいっていうのがあって。

振動をあてて溝を掘るので、削る作業中も楽曲の音が聞こえる。削りカスは、ホースによって吸い上げられる。
振動をあてて溝を掘るので、削る作業中も楽曲の音が聞こえる。削りカスは、ホースによって吸い上げられる。

―“エモめの夏”とかはまさにそういう作りですよね。

熊木:そうですね。1ループで曲が終わる感じが好きなので、そのためにはずっと気持ちいいビートでありたいと思うから、そこは最近、よりこだわるようになりました。昔の曲を今聴くと、拙いなって思う部分がいっぱいあるんですよ。当時は「最強じゃん」って思ってましたけど(笑)、自分も成長したというか、やっぱり耳って変わってくるので、「もっとこうやればよかった」っていう部分が出てきちゃうんですよね。

Lucky Kilimanjaro『エモめの夏』を聴く(Apple Musicはこちら

―アナログの音に触れることで、また耳も変わるかもしれないですね。

熊木:僕こういうふっくらした音が、もともと大好きなんです。でもタイトに、クリアに聴かせたいっていうのもあって、今っぽい作り方のほうがいいかなって思ったり、そこをハイブリッドにすることで面白い感じになるかなって思ったりします。

掘られた溝の形を確認。異常がないか、エンジニアの「目」で最終確認する。まさに職人の技。
掘られた溝の形を確認。異常がないか、エンジニアの「目」で最終確認する。まさに職人の技。

―音の面でも今の時代感や視聴環境は意識しますか?

熊木:“HOUSE”については、現代的なファンキーハウスって、もうちょっとパキパキした音でガシガシ踊る感じですけど、ちょっといなたく、ゆるく踊れる感じで音作りしたので、アナログだとよりふっくらした音になって、いいなって思いました。“エモめの夏”は最初もうちょっとパキッとしてたんですけど、エンジニアの土岐(彩香)さんがふっくらした感じにしてくれて、それこそいい感じにハイブリッドになって、気に入ってますね。

こうして、ベテランエンジニアの手で調整され、“エモめの夏”と“HOUSE”は新しいサウンドを鳴らす。
こうして、ベテランエンジニアの手で調整され、“エモめの夏”と“HOUSE”は新しいサウンドを鳴らす。

―クラブで聴くのはもちろん、家で聴くのもいいですよね。

熊木:自動でリピート再生とかされないので、聴く時間が限定されてるのもいいですね。デジタルは垂れ流しだから、アナログのほうがより時間を大事にできる気がします。でも家でゆっくりするときは自分たちの曲よりも、グレン・ミラー(アメリカのジャズミュージシャン、1944年没)とかを聴きたいですけど(笑)。

Lucky Kilimanjaro『エモめの夏 / HOUSE』7インチジャケット
Lucky Kilimanjaro『エモめの夏 / HOUSE』7インチジャケット(こちらから購入する
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リリース情報

Lucky Kilimanjaro『エモめの夏 / HOUSE』
Lucky Kilimanjaro
『エモめの夏 / HOUSE』(7インチアナログ盤)

2020年9月23日(水)発売
価格:1,980円(税込)
TBVC-0001

[SIDE-A]
1. エモめの夏

[SIDE-B]
1. HOUSE

※お一人様5枚までの購入が可能です。

イベント情報

『Lucky Kilimanjaro presents TOUR “2020 Dancers”』

2020年9月24日(木)
18:00開場 / 19:00開演
会場:東京都 恵比寿 LIQUIDROOM

2020年11月13日(金)
18:15開場 / 19:00開演
会場:愛知県 名古屋 JAMMIN’

2020年11月14日(土)
17:00開場 / 18:00開演
会場:大阪府 梅田 CLUB QUATTRO

チケット:前売り3,900円(ドリンク代別)

『Lucky Kilimanjaro Presents TOUR “2020 Dancers FINAL”』

2020年12月11日(金)
18:00開場 / 19:00開演
会場:東京都・恵比寿ガーデンホール

サービス情報

『タフヴァイナル』
『タフヴァイナル』

タフビーツは2004年に立ち上げたインディーズレーベルです。2019年、私たちはアナログレコード事業の立ち上げという大きなチャレンジに挑みます! 動機はいたってシンプルです。ミュージシャンが求める“理想の音”を追求したいから。始動のために、東洋レコーディング株式会社と組み、彼らの持つ工場でアナログレコードを生産する体制を作りました。海外から新たに導入した最新のプレス機を使い、熟練の技術者と一緒に、今世の中に流通しているレコード以上の美しい音を追い求め、今まさに邁進しています。4月から生産ラインがスタート予定です。どんな音が仕上がるのか、まだ私たちも分かりません。でも、私たちがこれまでに信頼関係を築き上げてきたミュージシャンや、職人と一緒に、未だ聴いたことのない最高の音作りをしていきたいと思っています。

プロフィール

Lucky Kilimanjaro
Lucky Kilimanjaro(らっきー きりまんじゃろ)

熊木幸丸(Vo)を中心に、同じ大学の軽音サークルの仲間同士で結成され、2014年、東京を拠点にバンド活動開始。「世界中の毎日をおどらせる」をテーマに掲げた6人編成によるエレクトロポップ・バンド。スタイリッシュなシンセサウンドを軸に、多幸感溢れるそのライブパフォーマンスは唯一無二の存在感を放つ。2018年11月に1st EP『HUG』にてメジャーデビュー。 2019年11月、バンド自身初となるワンマンライブ『FRESH』@渋谷WWWは、4か月前の7月には既に即完状態。2020年3月にはメジャーでは初のフルアルバム『!magination』のリリース。

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