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タフヴァイナルの最先端レコード事業。仕掛け人がビジョンを語る

タフヴァイナル
インタビュー・テキスト
黒田隆憲
撮影:垂水佳菜 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)
タフヴァイナルの最先端レコード事業。仕掛け人がビジョンを語る

インディーズレーベルが、なぜレコードプレス事業を?

今年15周年を迎えるインディーズレーベル「タフビーツ」が、株式会社Recozの協力のもと東洋レコーディング株式会社と連携して、アナログレコード事業「タフヴァイナル」を立ち上げる。

イスラエルはテルアビブ発のロックバンド・Boom Pamや、沖縄民謡の大御所・大城美佐子、アイヌの伝統弦楽器「トンコリ」を現代に復活させたOKI率いる・OKI DUB AINU BANDなど、ジャンルや国籍を問わず良質な作品を輩出し続けてきたタフビーツ。彼らがアナログレコード事業を立ち上げるきっかけとなったのは、「ミュージシャンが求める『理想の音』を国内で実現したかったから」と、レーベル代表の神尾元治は語る。

神尾:私たちのような小さなレコードレーベルは、アーティストとの信頼関係で成り立っています。CDの売上低迷が続き、ストリーミングやサブスクリプションなど新しいサービスが普及していくなか、どんな形で作品をリリースしていくべきかをアーティストと話し合ったところ、「アナログレコードを出したい」という声が非常に多かったんです。

神尾元治(かみお もとはる)有限会社タフビーツ代表取締役。高校を卒業後、渋谷CSVという伝説のレコードショップで働きながらバンド活動を始める。30歳の時に当時のバンド仲間に「神尾くんみたいな人が裏方にいたらミュージシャンが喜ぶと思うよ」という言葉を鵜呑みにし、バンド活動に区切りをつけ裏方への道へ方向転換する。喜納昌吉&チャンプルーズの元ギタリスト、平安隆のマネージャーを務め、その後インディーズレーベルのリスペクトレコードに入社。CD制作やマネージメント等を学び、2004年タフビーツを設立。ロック、ジャズ、ワールドミュージック、民謡とジャンルにこだわる事なく、世界中の良質な音楽を発信し続けている。
神尾元治(かみお もとはる)有限会社タフビーツ代表取締役。高校を卒業後、渋谷CSVという伝説のレコードショップで働きながらバンド活動を始める。30歳の時に当時のバンド仲間に「神尾くんみたいな人が裏方にいたらミュージシャンが喜ぶと思うよ」という言葉を鵜呑みにし、バンド活動に区切りをつけ裏方への道へ方向転換する。喜納昌吉&チャンプルーズの元ギタリスト、平安隆のマネージャーを務め、その後インディーズレーベルのリスペクトレコードに入社。CD制作やマネージメント等を学び、2004年タフビーツを設立。ロック、ジャズ、ワールドミュージック、民謡とジャンルにこだわる事なく、世界中の良質な音楽を発信し続けている。

神尾:僕もRecoz代表の宇都(孝志)さんも、特にアナログレコードのマニアというわけではなくて。ただ、ミュージシャンが求めているものを実現に近づけ、一方でビジネスとしても成立させることができるかを常に考えているんですね。

そこで神尾と宇都がイメージしたのは、デトロイトにある「Third Man Records」だった。2001年にジャック・ホワイト(ex.The White Stripes、The Raconteurs、The Dead Weather)が、自らの音源をアナログ盤でリリースするために設立した同レーベルには、自身のバンドはもちろん、The Black Bellesやワンダ・ジャクソン(1950~1960年代に活躍した「ロカビリーの女王」の異名で知られるシンガーソングライター)ら幅広い年代のアーティストが所属。ライブ会場やスタジオ、レコードショップが併設されており、そこで行われたライブやレコーディングの模様が、たった数時間で「音源」となり購入できるという画期的なスタイルは、世界中で大きな話題となった。

神尾:レコードをプレスしている様子を見学可能にして、それこそThird Man Recordsのようにカフェやライブスペースを併設したら面白いんじゃないか、というのが僕と宇都さんの当初の計画でした。もしくは、ジャマイカにある町工場のようなプレス工場をイメージしていました。

ただ、実際にはそんな簡単な話ではなかったという。

プレススピードは約30秒に1枚。蒸気ボイラーレスの最新式プレスマシンとの出会い

アナログレコードが作られる工程は、「カッティング」「メッキ加工」そして「プレス」と大きく分けて3つある。「カッティング」とは、アーティストから預かったマスター音源を、レコードのフォーマット(LPやSP、7インチシングルなど)に合わせ、音量や音質などを調整してラッカーディスクに溝を刻むこと。「メッキ加工」とは、このラッカーディスクの表面を銀でコーティングし、表面にニッケルをメッキすることである。こうしてできあがった「マスタースタンパー」から複製した「凸版スタンパー」で、塩化ビニールを「プレス」しレコードが完成するというわけだ。

凸版スタンパー
凸版スタンパー
プレス直後のレコード
プレス直後のレコード

このうち1番目の工程である「カッティング」と、3番目の「プレス」は日本でも限られた場所で行われているが、2番目の工程である「メッキ加工」の難易度が非常に高く(取り扱うための許可も下りにくい)、現在国内でその技術を持つ職人も極めて少ない。となると、神尾と宇都が当初イメージしていた「Third Man Recordsのような空間」を作るのは、現段階では不可能に近い。

神尾:国内でカッティングからプレスまで一括でできる東洋化成さんや、海外の工場にオーダーすればいいわけですが、それだと制作予算的に厳しかったり、海外の場合は納期が読みにくい。

もっとドメスティックに、自分たちが欲しい分だけ低コストかつ効率的に作ることはできないか? そんなことを考えながらいろいろ調べていたところ、カナダの「Viryl Technologies」というメーカーが、WarmToneという新型のプレスマシンを開発したことを2年前にネットで知り、直接メールで連絡を取りはじめました。そこから紆余曲折ありましたが、去年の8月、ついに現地まで実物を見に行くことができたのです。

コンピュータによって制御された全自動のWarmToneは、旧来のプレスマシンとは違い、蒸気ボイラーを使わず約30秒に1枚のスピードでレコードをプレスすることができるという。「カッティング」と「メッキ加工」は外部に発注したとしても、「プレス」を国内でやるだけでコスト削減につながる。そう考えた神尾は、CDやDVDのプレス工場を持つ東洋レコーディング株式会社と連携することによって、WarmToneの導入を実現した。

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事業情報

『タフヴァイナル』
『タフヴァイナル』

タフビーツは2004年に立ち上げたインディーズレーベルです。2019年、私たちはアナログレコード事業の立ち上げという大きなチャレンジに挑みます!動機はいたってシンプルです。ミュージシャンが求める“理想の音”を追求したいから。始動のために、東洋レコーディング株式会社と組み、彼らの持つ工場でアナログレコードを生産する体制を作りました。海外から新たに導入した最新のプレス機を使い、熟練の技術者と一緒に、今世の中に流通しているレコード以上の美しい音を追い求め、今まさに邁進しています。4月から生産ラインがスタート予定です。どんな音が仕上がるのか、まだ私たちも分かりません。でも、私たちがこれまでに信頼関係を築き上げてきたミュージシャンや、職人と一緒に、未だ聴いたことのない最高の音作りをしていきたいと思っています。
※現在「制作デスク」を募集中。応募締切日:2019年5月7日(火)

プロフィール

神尾元治(かみお もとはる)

有限会社タフビーツ代表取締役。高校を卒業後、渋谷CSVという伝説のレコードショップで働きながらバンド活動を始める。30歳の時に当時のバンド仲間に「神尾くんみたいな人が裏方にいたらミュージシャンが喜ぶと思うよ」という言葉を鵜呑みにし、バンド活動に区切りをつけ裏方への道へ方向転換する。喜納昌吉&チャンプルーズの元ギタリスト、平安隆のマネージャーを務め、その後インディーズレーベルのリスペクトレコードに入社。CD制作やマネージメント等を学び、2004年タフビーツを設立。ロック、ジャズ、ワールドミュージック、民謡とジャンルにこだわる事なく、世界中の良質な音楽を発信し続けている。

宇都孝志(うと たかし)

横浜市出身。大学卒業後、大手総合不動産デベロッパーを経て2001年に現 株式会社HOUSE BUILDを設立。同時に音楽好きが高じてミュージックバー「Sun's cafe」をオープン。ルーツミュージックを中心とした様々なアコースティックライブを行う。2010年には株式会社Recozを設立し、音楽レーベル、マネージメント事業、ブライダル事業等を手掛ける。現在、都市型デザインハウスの開発・分譲事業をはじめ、建築事業、不動産仲介事業など数々のグループ会社を傘下に有する「株式会社HOUSE BUILDホールディングス」の代表取締役CEO。既存のあり方に捉われない総合デベロッパーとして、住む人の豊かで幸せな暮らしをトータルに提案する。

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一聴・一見すると繊細に織られたアンサンブルに柔和な印象を抱く。が、極太のベースがリズムとメロディの両方を引っ張っていく様は超アグレッシヴでもある。観客も含めて会場に漂う空気は一貫して緩やかなものでありながら、なによりも3音の鋭い合気道を存分に楽しめるライブ映像だ。ビルドアップした低音に歌心を置くスタイルはまさに今だし、音の余白も心地いい。ポップとエッジィの両極をあくまで愛嬌たっぷりに鳴らす台湾出身の3ピースバンド、その魅力を1カット1カットが十二分に伝えている。(矢島大地)

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