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Lucky Kilimanjaro熊木の節目になった、エモめの30歳、夏

Lucky Kilimanjaro熊木の節目になった、エモめの30歳、夏

タフヴァイナル
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:寺内暁 編集:久野剛士 (CINRA.NET編集部)

30年間生きてきて、いろいろやった気になってたんです。でも、まだまだ知らないことやできないことがあると知った。

―この夏それぞれの意味合いでトピックになった2曲がこうして1枚の7インチになったわけですが……。

熊木:夏が終わる感すごいですよね(笑)。

―2020年の夏は熊木くんにとっても「エモめの夏」でしたか?(笑)

熊木:不思議な感じでしたね。思ったより「悔しい」感じじゃなくて、「もっとやらないと」とか「もっと曲を作ろう」みたいな。実際にリリースはしていたし、「お客さんになにか届けよう」という想いで必死でした。夏フェスがなかったのはちょっと退屈というか、普段だったら土日はずっとライブで、すごいスピードで夏が過ぎていたと思うんですけど、ゆっくり曲を作りながら過ぎていったので、そういう意味では違いますね。ただ、やることがライブから制作に変わっただけだし、こういう状況でも楽しんでもらえるように、ひたすら作り続けることには変わらなかったです。

熊木幸丸

―3月にメジャー1stアルバムが出て、テレビへの露出もあって、今年は夏フェスでがっつりオーディエンスを踊らせるイメージだったと思うから、それとは大きく違ってしまったと思うんですけど……。

熊木:まあでも、コントロールできないことを悲しんでも仕方がないですし、逆に言うと、曲は作れるわけですから。僕はクリエイターで、いつもと違う体験をしたからこそ書ける曲があると思うから……やるしかないって感じです。

Lucky Kilimanjaroの1stアルバム『!magination』を聴く(Apple Musicはこちら

―“HOUSE”の歌詞の通り、もともとインドア派ではあるだろうしね(笑)。

熊木:でもこれだけ長い期間、家で曲を作ってると外の体験が制作に生きてたんだなっていうのをすごく感じました。飲みの席でのちょっとした友達との会話とかがインスピレーションの源になってて、「あれってどういうことだったんだろう?」って考え始めるのをきっかけに歌詞を書いていたり。自分はインドア派だと思ってたけど、外で起きるちょっとしたことに影響されてたんだなって。

―だとすると、ここ数か月の曲作りはインスピレーションの源が変わってたりする?

熊木:今回の期間で……たとえば政治のことだったり、自分には知らないことやできないことがたくさんあるんだなっていうのは実感して、それが今の制作の基盤になってますね。今年30歳になるんですけど、30年間生きてきて、いろいろやった気になってたんです。でも、まだまだ知らないことやできないことがあるし、まだまだ変わり続けるんだなって思うと、今の状況も含めてちょっと怖くなりました。そういう自分の内面が今のインスピレーションの源になってると思います。

―30歳の区切りの年が、思いもよらぬ年になったと。

熊木:あと僕、今年から音楽だけで生活をしていて。だから、今年は節目感が本当すごくて(笑)。そんな中で、自分のできないこと、もっと勉強しなくちゃいけないこと、挑戦しなくちゃいけないことがたくさんあると思ったので、その想いをそのまま歌詞にしようと思って、今も曲を書いてる最中です。

自分のアイデアを考えてるときが、その人にとって一番大事な時間だと思うんです。

―バンドを始めた当初はとにかく音楽のことを考えていて、でも徐々に聴き手のことを考えるようになり、聴き手にパワーを与えたいと思うようになったって、以前の取材で話してくれましたよね(参考:Lucky Kilimanjaroの所信表明。怒りを捨て、自分の人生を踊れ)。そこから、今は改めて自分自身のことを考えるタームになったのかも。

熊木:今も聴いてくれる人にパワーを与えたいとは思ってるんですけど、与え方を間違っちゃいけないと思います。やっぱり、みんなが自分で考えられるのがいいと思ってるから、僕が連れて行ってあげるんじゃなくて、その人自身が新しいことを知る、新しいことに触れる、その体験が一番大事なんじゃないかと改めて思いました。自分はそれができてると思ってたけど、まだまだできてねえなって、自戒になった期間でしたね。

熊木幸丸

―“君が踊り出すのを待ってる”という曲もあるし、このフレーズは今年の夏にリリースされた“太陽”にも出てきますよね。つまりは、受動的になるのではなく、能動的であることの重要性をこれまでも歌っていて、その気持ちがより強くなったと。

熊木:強くなりましたね。自分のアイデアを考えてるときがその人にとって一番大事な時間だと思うんです。そして、それは絵を描いたり、音楽を作ったりしなきゃいけないわけじゃなくて、「自分にはなにができるんだろう?」って考えて、「なにかをしよう、知ろう」と思う、その意志がその人を形作ると思うから、そういうのを大事にしてほしいですね。

Lucky Kilimanjaro『太陽』を聴く(Apple Musicはこちら

―人がなにかをやろうと思ったときに、なかなか行動に移せない理由って、やっぱり固定観念に捉われちゃうからだと思うんですね。でも、今年はあらゆるものに一度リセットが押されて、フラットになった印象があるので、自分が本当にやりたいこととストレートに向き合うきっかけにもなるのかなっていう希望的観測もあります。

熊木:そこはまだ僕の中でも明確な答えは出てなくて、リセットされたわりに、意外とみんな同じ意見を持ってますよね。しかも、自分の意見ではなく、外から取り入れたものを自分の意見にしちゃってるなって感じていて。いろんな要因が複雑に絡み合って、「自分を出す」って本当に大変なことですよね。周りと違うことや自分の行動を非難されることに対する恐怖だったりがある。どう乗り越えて自らの答えを出し行動に移すか。それに対する答えは僕もまだ持ってなくて、たくさんのインプットと歌詞を書くことで、見つけ出せたらなと思っています。

―書くことで、自分の答えをブラッシュアップしていこうと思われてるんですね。

熊木:僕自身、今まで続いていたことが強制的にリセットされたことで、自分のアイデンティティを改めて考えるきっかけにはなったけど、まだ答えは見えていないので、人それぞれだと思うんですよね。この期間に自分のアイデンティティを確立できた人もいれば、恐怖は人を同調化させるから、逆に流されて自分を見失ってしまった人もいると思う。なので、自分のアイデンティティを手に入れた人のことはもちろん応援したいし、それと同時に、自分の意見を持てなかった人に対して、持てるようにするのも、自分たちの音楽でやりたい。そのためにも、まずは自分の中で答えを出すために、いろんな歌詞を書かなきゃいけないなと思ってます。

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リリース情報

Lucky Kilimanjaro『エモめの夏 / HOUSE』
Lucky Kilimanjaro
『エモめの夏 / HOUSE』(7インチアナログ盤)

2020年9月23日(水)発売
価格:1,980円(税込)
TBVC-0001

[SIDE-A]
1. エモめの夏

[SIDE-B]
1. HOUSE

※お一人様5枚までの購入が可能です。

イベント情報

『Lucky Kilimanjaro presents TOUR “2020 Dancers”』

2020年9月24日(木)
18:00開場 / 19:00開演
会場:東京都 恵比寿 LIQUIDROOM

2020年11月13日(金)
18:15開場 / 19:00開演
会場:愛知県 名古屋 JAMMIN’

2020年11月14日(土)
17:00開場 / 18:00開演
会場:大阪府 梅田 CLUB QUATTRO

チケット:前売り3,900円(ドリンク代別)

『Lucky Kilimanjaro Presents TOUR “2020 Dancers FINAL”』

2020年12月11日(金)
18:00開場 / 19:00開演
会場:東京都・恵比寿ガーデンホール

サービス情報

『タフヴァイナル』
『タフヴァイナル』

タフビーツは2004年に立ち上げたインディーズレーベルです。2019年、私たちはアナログレコード事業の立ち上げという大きなチャレンジに挑みます! 動機はいたってシンプルです。ミュージシャンが求める“理想の音”を追求したいから。始動のために、東洋レコーディング株式会社と組み、彼らの持つ工場でアナログレコードを生産する体制を作りました。海外から新たに導入した最新のプレス機を使い、熟練の技術者と一緒に、今世の中に流通しているレコード以上の美しい音を追い求め、今まさに邁進しています。4月から生産ラインがスタート予定です。どんな音が仕上がるのか、まだ私たちも分かりません。でも、私たちがこれまでに信頼関係を築き上げてきたミュージシャンや、職人と一緒に、未だ聴いたことのない最高の音作りをしていきたいと思っています。

プロフィール

Lucky Kilimanjaro
Lucky Kilimanjaro(らっきー きりまんじゃろ)

熊木幸丸(Vo)を中心に、同じ大学の軽音サークルの仲間同士で結成され、2014年、東京を拠点にバンド活動開始。「世界中の毎日をおどらせる」をテーマに掲げた6人編成によるエレクトロポップ・バンド。スタイリッシュなシンセサウンドを軸に、多幸感溢れるそのライブパフォーマンスは唯一無二の存在感を放つ。2018年11月に1st EP『HUG』にてメジャーデビュー。 2019年11月、バンド自身初となるワンマンライブ『FRESH』@渋谷WWWは、4か月前の7月には既に即完状態。2020年3月にはメジャーでは初のフルアルバム『!magination』のリリース。

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