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西太志の止まらない創作。互いに結びつき伸びる絵画、立体、映像

西太志の止まらない創作。互いに結びつき伸びる絵画、立体、映像

shiseido art egg
インタビュー・テキスト
島貫泰介
撮影:前田立 編集:川浦慧(CINRA.NET編集部)

最近は映像を撮ってみたい。「槍みたいなものを絵に向けて投げつけている自分の姿が思い浮かぶんです」

―コロナウイルスの影響で変更も多くあった今回の個展ですが、どのような内容になると予想していますか?

西:最初に言ったように、自分のスタジオの一部を持っていくというコンセプトは変わっていませんね。そのなかで絵画とインスタレーションをどう見せるか、というのが核になってくると思います。

資生堂ギャラリーの空間っておもしろいじゃないですか。導線が2種類あって、階段を歩いて地下に降りていくのと、エレベーターで直接地下から入るのでは全然違う経験で。

資生堂ギャラリー内の様子「渡邊 耕一展 Moving Plants」(2018)展示風景 資生堂ギャラリー(撮影:加藤 健)
資生堂ギャラリー内の様子「渡邊 耕一展 Moving Plants」(2018)展示風景 資生堂ギャラリー(撮影:加藤 健)
資生堂ギャラリー内の様子「渡邊 耕一展 Moving Plants」(2018)展示風景 資生堂ギャラリー(撮影:加藤 健)

西:空間自体が大きなホワイトキューブと小さなホワイトキューブに分かれていて、前者には大型のペインティング、そして後者ではスタジオの備品をほとんど移築して、それを使ってドローイング感覚で机や段ボール、脚立、木材などをほぼ即興で組み立てた上に立体を配置した空間を作る予定です。階段のある廊下スペースから見下ろすとスタジオのインスタレーションが見えてくるし、階段やエレベーターから降りていくと目の前に広がっているのは大型のペインティング。そういう2面性みたいなものを効果的に使えればな、と思っています。

すり寄ってくるはなちゃんと遊ぶ西さん
すり寄ってくるはなちゃんと遊ぶ西さん

―展示を見る経験としても、絵画と立体やインスタレーションがゆるやかに結びついてるわけですね。

西:今回の展示には関係ないものですが、最近、映像を撮ってみたいとぼんやり考えているんですよ。槍みたいなものを絵に向けて投げつけている自分の姿がなんとなく思い浮かぶんですよね……。

―あ、自分が登場しちゃうんですか?

西:どうでしょう(笑)。絵を見た人からは「これって自画像ですか?」と聞かれることがたまにあって、そういうつもりは全然ないんですけど、いざ映像について構想していくとやっぱり自分が出るしかないのかなあ、と悩んでます。自分が出ていたとしても、それは100%自分ではなくて、他者でもあるような感覚ではあるんですけどね。自分だとはわからないように、たぶんマスクでもかぶるんじゃないでしょうか。

絵、立体、映像。それらは「ときに結びつきながら、それぞれの分野で伸びていく」

―マスクというと、まるで西さんの作品に登場する人物のようでもありますね。それが観れる日を楽しみにしています。

最後にちょっと広げた話を聞いてしまうんですが、西さんは「絵画の死」という考えについてどう思っていますか? 写真の登場以降、肖像や風景を記録するという社会的機能を司る役割から絵が後退し、そのあとに登場するさまざまな実験を経て「絵画にできることはもうない」と語られることもしばしばあります。と言いながらも、絵画のエッセンスは他の領域に伝播しながら、かたちを変えてあり続けているわけですが。

西:批評や文章を書く人からすると「絵画の死」みたいな言い切りは便利なのかもしれないですけど、作ってる側はまったくそんな風には思ってない人が多いと思うし、自分もそうです。

自分が好きなアーティスト、例えばフランク・ステラや榎倉康二は絵画的なことを基盤にしつつも、その世界を広げるようなことをしてきた人たちですよね。あるいはさらにさかのぼって、高校生のときに好きだった(エドガー・)ドガも、印象派的な絵画を描きつつバレリーナの彫刻を作っていたりする。しかも本物のバレエ服を着させたりして、かなり変な感じがあるけれど、あれもドガなりのリアリティの模索だと思うんですよね。

あとはルーチョ・フォンタナもキャンバスに切り込みを入れたことで絵画史に記憶されましたが、彼も陶芸をやっていたりする。ピカソも立体をたくさん作ってますよね。つまり、歴史に名前を残している画家の多くは、べつに絵画だけにとどまらず、やりたいことをやってきた人たちばかりなんです。

西太志

―たしかに。

西:絵は死なないですし、もちろん立体も映像も死なない。ときに結びつきながら、それぞれの分野でそれぞれに伸びていくんだと思います。その状況から、いまだって新しい絵画は山ほど生まれています。それこそVRとかデジタル的な技術を携えてくることもありますよね。それは単純な「拡張」ではなくて、単にやられてないことが山ほどあるし、これからも生まれてくる。そういう感覚が自分にはしっくり来ますね。

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イベント情報

『shiseido art egg 14th』
西太志展

2020年10月2日(金)~10月25日(日)
会場:東京都 資生堂ギャラリー
平日 11:00~19:00 日・祝 11:00~18:00
毎週月曜休(祝日が月曜にあたる場合も休館)
入場無料
事前予約制

作家によるギャラリートーク
西太志展

作家本人が会場で自作について解説するギャラリートークを、各展覧会開始後に資生堂ギャラリーの公式サイトにてオンライン配信いたします。

プロフィール

西太志(にし たいし)

1983年、大阪府生まれ。2015年、京都市立芸術大学大学院 美術研究科修士課程 絵画専攻油画修了。静岡県在住。主な活動として、2020年『月の裏側をみる』FINCH ARTS(京都)、2018年『NIGHT SEA JOURNEY』GALLERY ZERO(大阪)個展や、2016年『シェル美術賞展2016』国立新美術館(東京)などがある。

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