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STUTSがマイクをとる 数々の音楽家から受けた刺激と経験を武器に

STUTSがマイクをとる 数々の音楽家から受けた刺激と経験を武器に

STUTS『Contrast』
インタビュー・テキスト
三宅正一
撮影:山本華 編集:川浦慧、山元翔一(CINRA.NET編集部)
2020/09/23

この数年間で受けた、周りにいる最高なラッパーやボーカリストからの刺激やインプット

STUTS

―以前のCINRA.NETの取材で、もともとは自分でラップをしたいという思いからビートを作り始めたということを話してくれましたけど(関連記事:Alfred Beach Sandal + STUTS、なぜ二人はタッグを組んだのか?)、さまざまなラッパーやシンガーを迎えながらビートメイカーでありプロデューサーとして自身の独立した音楽性を追求してきたこれまでのディスコグラフィーや外仕事を鑑みれば、STUTSくんが歌ってラップすることに驚く人は少なくないと思います。でも、これも今だからこそ実現したんだと思います。

STUTS:(歌唱やラップに)挑戦してみたいという気持ちはずっとあって、ことあるごとに録音していたんですけど、なかなか自分の納得いく感じにならなくて。かなり前にも、クラブにいるときにサイファー的なノリでフリースタイルする機会は何回かあったんですけど、それも今思い返すとすごく恥ずかしくて(笑)。

でも、それこそこの数年間でいろんな方から受けた刺激があったからこそ、このタイミングで前に進めたのかなと思います。

―たとえばその刺激で大きかったのは?

STUTS:いくつかあるんですけど、1つ大きかったのは3年前に三宅(正一)さんに紹介していただいて長岡亮介さんと2人でやったライブで(2017年11月8日に開催された『PACHINKO vol.1』に長岡亮介 + STUTS名義で出演)。

―ああ、それはすごくうれしいです。あのコラボレーションは本当に自由度の高いパフォーマンスだったし、長岡くんとSTUTSくんがエクスクルーシブなラップを披露したのもかなりフレッシュでした。

STUTS:あの時のラップも思い返すと恥ずかしさもあるけど……いや、そんなことはあまり言わないほうがいいか(笑)。

―聞かせてください(笑)。

STUTS:あのとき長岡さんとのセッションで久しぶりにラップに挑戦させてもらって、それを聴いた井坂さん(STUTSの担当ディレクター、KID FRESINOやJJJらも担当)が「いい声だね」って褒めてくれたんです。自分ではそんなこと思ってもなかったので、それをきっかけにチャレンジしたいという気持ちが生まれました。

そのあとも、いろんなラッパーやボーカリストの方がどうやって曲を作っていくか、プロセスを間近で見せていただく機会がいっぱいあったので。そのインプットも大きかったですね。

―最高のロールモデルが周りにいますしね。

STUTS:はい、最高な方々とご一緒できているのは本当恵まれたことだな、と思います。でも、今回自分ではあんまり「ラップをした」って言いたくないところがあって。やっぱり、プロのラッパーのみなさんと同じ土俵には上がれないというか。あのカッコよさは聖域だなと。僕の声はあくまで1つの音として聴いてもらえたらと思います。

STUTS

「この数年で、日本語でラップすることも歌うことにしても、挑戦しやすい時代になったと思うんです」

―“Vapor”のオケと歌メロは、かつてハービー・ハンコックがボコーダーをフィーチャーした作品『Sunlight』(1978年)を彷彿するテイストがあるなと思ったし、トラップ寄りのフロウでラップするSTUTSくんからは、緊張感というよりもリラックスしたムードが伝わってくる。

STUTS:ラップも、フリースタイルでやっていたときとは違う声の出し方をしてみました。“Vapor”と“Seasons Pass”を作ったときに、この声の出し方ならいけるかもと思ったんですよね。

この数年で、日本語でラップすることもそうだし、歌に関してもいろんな人が挑戦しやすい時代になったと思うんです。それは(ボーカルのピッチ調整ができる)オートチューンの存在も大きいと思いますし、トラップとか最近のフロウも日本語で乗せたときに音楽的に聴こえやすいのかもという気がして。

それを表面的にやっていい曲ができるわけではないですけど、そういう背景の変化に背中を押してもらった部分もあるかもしれない。僕が最初にヒップホップにハマり始めた時は、声を張ってラップするスタイルの方が主流だったと思うんです。前までは歌う時に声を張ってたんですけど、抑えめで発声してみたら自分の声質にはそっちのほうが合っているかもしれないと思ったんですよね。

―そのうえで「自分の音楽はもっと自由でいい」というマインドを感じるというか。もちろんバックグラウンドとしてヒップホップが軸にあるのは間違いないんだけど、サウンドの振れ幅がとめどなく自由に広がっている。

STUTS:そうかもしれないですね。そういうマインドを抑えることができなかったのはあるかもしれないです。今までの方向性でいったほうがいいのかなと悩むところもありつつ、今回は(特定のジャンルに)とらわれずに作りました。

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リリース情報

STUTS『Contrast』
STUTS
『Contrast』(CD)

2020年9月16日(水)発売
価格:2,200円(税込)
PECF-5004

1. Conflicted
2. Mirrors(feat. SUMIN, Daichi Yamamoto & 鎮座DOPENESS)
3. See the Light
4. Contrast, Pt. 1
5. Contrast, Pt. 2
6. Vapor
7. Landscapes
8. Seasons Pass

イベント情報

『STUTS “Contrast” Release Live』
『STUTS “Contrast” Release Live』

名古屋公演
2020年10月17日(土)
会場:愛知県 名古屋 JAMMIN’
1公演目:開場 16:15 / 開演 17:00
2公演目:開場 19:45 / 開演 20:30

大阪公演
2020年10月18日(日)
会場:大阪府 心斎橋 LIVEHOUSE ANIMA
1公演目:開場16:00 / 開演16:30
2公演目:開場19:30 / 開演20:00

東京公演
2020年10月26日(月)
会場:東京都 恵比寿 LIQUIDROOM
開場:18:30 / 開演 19:30

プロフィール

STUTS
STUTS(すたっつ)

1989年生まれのトラックメーカー/MPC Player。2016年4月、縁のあるアーティストをゲストに迎えて制作した1stアルバム『Pushin’』を発表し、ロングセールスを記録。2017年6月、Alfred Beach Sandalとのコラボレーション作品『ABS+STUTS』を発表。2018年9月、国内外のアーティストをゲストに迎えて制作した2ndアルバム『Eutopia』を発表。現在は自身の作品制作、ライブと並行して数多くのプロデュース、コラボレーションやCM楽曲制作等を行っている。

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