園子温が語る、ジョン・レノンに学んだ「むき出し」の表現の強さ

「映画的」という言葉に収まることを拒み、常識や建前を引き剥がされたむき出しの人間が見せる野性を描き取り、性や死といった自らの原始的な興奮をフィルムに焼き付けてきた映画監督・園子温。

『愛のむきだし』(2008年)や『冷たい熱帯魚』(2011年)など、記憶に深く刻まれるショッキングな映像・演出でセンセーションを巻き起こしてきた彼は、小学生時代から破天荒の限りを尽くしていた。テレビで放映されていたアメリカやフランスをはじめとする海外の名画を浴びるようにして過ごす一方で、全裸で登校してみては「性的異常が見られます」と通知表に書かれ、スウェーデン出身の女優イングリッド・バーグマンに恋をするあまり運動場にその名前を大きく書いて先生に殴られ……そんな幼少期のエピソードは自伝『非道に生きる』(2012年、朝日出版社)に詳しい。

園子温が中学校に上がる頃、世間一般の規範からとことんはみ出し、ささくれだった心に響いたのがジョン・レノンの歌だった。ジョン・レノンが追求していた当時の「ロック」の枠組みには収まりきらない実験精神、個の衝動に徹底的に従うような「むき出し」の表現は、園子温の映画作りにも多大な影響を与えたのだという(なお、当時の園少年は詩作を嗜み、「ジーパンをはいた朔太郎」とも呼ばれていた)。

ジョン・レノンの死から40年を迎えようとする今、私たちはその存在にどんな意味を見出すことができるだろうか。今回、園子温に展覧会『DOUBLE FANTASY - John & Yoko』を観て回り、今一度ジョン・レノンとオノ・ヨーコが放ってきたメッセージに対峙してもらった。

園子温(その しおん)
1961年、愛知県生まれ。1987年、『男の花道』でPFFグランプリを受賞。PFFスカラシップ作品『自転車吐息』(1990)は、ベルリン国際映画祭正式招待のほか、30以上の映画祭で上映された。他『愛のむきだし』(2008年)で第59回ベルリン国際映画祭フォーラム部門カリガリ賞・国際批評家連盟賞を受賞、『冷たい熱帯魚』(2011年)で第67回ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門・第35回トロント国際映画祭ヴァンガード部門、『恋の罪』(2011年)で第64回カンヌ国際映画祭監督週間に正式招待される。『ヒミズ』(2012年)では、第68回ヴェネチア国際映画祭にて主演二人にマルチェロ・マストロヤンニ賞をもたらした。2019年10月、Netflixオリジナル映画『愛なき森で叫べ』が全世界190か国へ配信された。
ジョン・レノン『Gimme Some Truth.』を聴く(Apple Musicはこちら

生粋のレノンフリーク、園子温が観た『DOUBLE FANTASY – John & Yoko』――ジョンとヨーコの存在は、どんな展示物よりも強烈なメッセージを伝えている

―ジョン・レノンとオノ・ヨーコが歩んだヒストリーを、彼ら自身の言葉や作品、貴重な展示品などで巡るエキシビション『DOUBLE FANTASY – John & Yoko』をご覧になって、監督は率直にどう思いましたか?

:何周か回るとより理解が深まる感じはしましたね。結構知っているエピソードも多かったので、1周目は既視感のようなものがあって割と俯瞰で見ていたけど、2周目は気になるところを念入りに鑑賞したら、見え方が全く違いました。改めてジョン・レノンという存在について考えさせられたし、オノ・ヨーコがどれだけ彼に影響を与えたかということも思い知らされました。

会場となる建物の外壁に、ジョンとヨーコの巨大なポートレートが飾ってあるじゃないですか。そのインパクトに改めて圧倒されましたね。こんな言い方をすると身も蓋もないけど、実はそれが一番印象的だった。どんな展示物も、やっぱりジョンとヨーコそのものには勝てないなあって。2人の存在そのものが「メッセージ」というか、完成している。

この日、園子温はジョン・レノンの着用でおなじみの「NEW YORK CITY」のTシャツを着て取材に臨んだ

―どうしてそのように感じたのでしょう?

:お互いを尊重し合い、愛し合うことーージョンとヨーコの存在を前にすると、それが言語化される前に伝わってくるように思うんですよね。ただひたすら2人がベッドで愛し合い、そして子どもが生まれるという当たり前のような普遍性というか。でもそれが一番アナーキーで面白いと思わせてくれた存在なんですよね。

以前、「ジョン・レノンって、カニエ・ウェストみたいな人でしょ?」と若い子に言われたことがあるんですよ。おそらく政治的な言動が多かったり、音楽以外の表現活動を行っていたりするところが似ていると思ったのだろうけど、全然違う。「カニエはあくまでもミュージシャンであって、ジョンはそういう存在じゃないの!」と力説したんだけど、あまりピンときてない感じでしたね(笑)。

―(笑)。今回はミュージシャンの枠に留まらないジョン・レノンという存在についても、お話しいただけたらと思います。監督は今も日常的にThe Beatlesやジョン・レノンの楽曲を聴いていますか?

:今、家には1歳半の子どもがいるのですが、毎日The Beatlesを聴かせろってうるさいんですよ(笑)。ずっとThe Beatles漬けだから、今日も全然「懐かしい」感じはしなかったな。子どもは特にジョン・レノンが好きで、『The Beatles(White Album)』(1968年発表、以下『White Album』)の“Glass Onion”が一番のお気に入り。昨日は“Across The Universe”も一緒に聴いて「いいね」なんて話していました。

The Beatles“Across The Universe”を聴く(Apple Musicで聴く/ Spotifyで聴く

:自分の年齢によっていろんなジョンに影響を受けてきたけど、今は子育てしているジョンと自分が重なるところもあって、昔とはだいぶ変わってきましたね。若い頃はもっと、悪魔的なジョンに惹かれていたから。

園子温がジョン・レノンから学んだ、表現における「むき出し」の強さ。政治運動もあくまで個人の衝動だったからこそ、今なお力強く輝く

―そもそも監督は、ジョン・レノンとどのようにして「出会った」のですか?

:最初はやっぱりThe Beatlesですよね。僕が好きになったのは中学生の頃で、すでに彼らは解散していたしジョン・レノンは音楽活動を休止していたけど。当時は圧倒的に中期以降、特に『White Album』の頃のジョン・レノンが大好きでした。“Happiness Is A Warm Gun”もちろんそうだし、“I'm So Tired”や“Revolution 9”もものすごく好きですね。

The Beatles“Revolution 9”を聴く(Apple Musicで聴く/ Spotifyで聴く

:おそらくThe Beatlesが好きな大抵の人にとっては“Revolution 9”なんて変な曲でしかなかったと思うけど、真剣に好きだったな。その頃は僕自身も感情が荒れていたし、そのささくれだったところに『White Album』がマッチしたというか。「癒す」どころか、さらにささくれだってしまいましたが(笑)。

―今回の展覧会『DOUBLE FANTASY – John & Yoko』は、主にジョンがソロになってからの歴史を振り返るものでしたが、ソロ時代のジョンについてはどんな印象をお持ちですか?

:ソロ作品では、やはり1stアルバム『ジョンの魂(原題は『Plastic Ono Band』)』(1970年)が圧倒的に好きで、非常に影響を受けました。カラオケに行くと、今でも“God”を替え歌にして歌ったりしてね。<I don't believe in~>のところに、そのときに気に入らない出来事や、政治家の名前を入れて歌ったりして連れに嫌がられています(笑)。これほどまでに赤裸々で私小説的なアルバムは初めて聴いたし、今もここまで「むき出し」の人はいないんじゃないかな。

ジョン・レノン“God”を聴く(Apple Musicで聴く/ Spotifyで聴く

―「むき出し」といえば、やはり監督の『愛のむきだし』(2009年)を連想します。

:(笑)。まあ、どこかで「むき出し感」みたいなものはジョンに学んだんでしょうね。The Beatlesの前はプログレッシブロックが好きでよく聴いていたのだけど、プログレは「むき出し」とは逆じゃないですか。歌詞も暗喩が多かったり、隠されたメッセージがあったりして。『ジョンの魂』は、最初とっつきにくかったけど、浴びてハマってからはプログレッシブロックが馬鹿馬鹿しく思えてきたというか。何も飾る必要もないし、音も最小限まで削ぎ落とすべきだと気づいたんですよね。

―『ジョンの魂』以降の作品や、ソロ活動についてはどうですか?

:たとえば“Imagine”がジョンのイメージを決定づけたと思うし、こうやって展覧会で振り返ると『ベッド・イン』のような政治的な活動は、Chim↑Pomにも通じるような気がする。当時は相当とんでもないものだったと思うし、「ハプニング」がアートとして成立するなんてのは、まだまだ早い時期だったんでしょうけどね。自分も子どもながらに「ちょっとヘンだな」と思っていたし(笑)。

1969年3月25日、ベトナム戦争が泥沼化するなかジョンとヨーコはオランダ・アムステルダムのヒルトンホテルで『ベッド・イン』を行なった

:ただ、あの時代にあそこまでやり切ったからこそ、ジョン・レノンは伝説になったんですよね。「WAR IS OVER!」のようなメッセージは、彼が死んだあとも、何かデモやパレードがあるたびに掲げられてきたわけで。

―ある意味では「早すぎた」というか。

:ただ、ジョンの運動が昨今の政治運動の「先駆け」だったか? というと、それもまた違うと思っていて。たとえば当時のウーマンリブ運動や、公民権運動に関しても、今の「#MeToo」や「Black Lives Matter」の先駆けというよりは、あれはあれで完結しているというか。他の運動とは全く異質の「パッケージ」である気がするんですよ。

ジョン・レノンの一見「政治的な運動」は、「政治的」ではなくて、むしろ個人の純粋な「衝動」であったのかなと。今のように、全世界の人々が同じように考えて立ち上がるムーブメントとは、ちょっと違って、ジョンとヨーコが勝手に立ち上がったものだと思うんですよね。

会場には「体制がどう反撃したらいいのかわからないくらい、体制的思考からかけ離れた手段を使って体制に挑むのが好きよ」というヨーコの1971年の発言も映像とともに展示されている

:「ラブ&ピース」という言葉をここまでポピュラーにしたのは、どう考えてもジョンとヨーコという気がしますよね。それも今思えばすごいことだなと思うけど、当時は僕もめちゃくちゃ暗い青春時代を送ってきたし(笑)、「ラブ&ピース」と言われたって、その逆だったからね。

破天荒の限りを尽くした園少年の目に、ジョン・レノンの存在が特別に映った理由。ジョンがこの世を去った日のこと、あれから40年経た今思うこと

―さっき「悪魔的なジョン」に惹かれるとおっしゃっていましたね。

:そこにしか共鳴できなかった時期もあったし、そういう意味ではチャールズ・マンソンとどっこいどっこいかもしれないですね。マンソンが『White Album』の歌詞から悪魔的なメッセージを読み取って、あんな事件を起こした(クエンティン・タランティーノ監督『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の題材にもなった「シャロン・テート殺害事件」のこと)。当時その事件を知っていたけど、僕の影響の受け方も彼らに近い気がする。

展示されていたヨーコの発言で、ジョンについて「とても楽しそうな気分の時にはブラック・ユーモアに溢れる絵を描いていました。まるで絵を描くことで、一方で暗く悲観的な、もう一方で喜びに満ちて楽観的な、自分の二つの心を均等に一つにしようとしているようだったのです」というのが印象的だったのだけど、それは僕もすごく理解できますね。

―ポール・マッカートニーは「音楽人」という感じがするんですけど、ジョン・レノンは絵も描くし詩を書くし、アートパフォーマンス的なこともするし。監督も映画だけでなく絵を描いたり詩を書いたりしていますし、監督の表現の仕方はポールよりもジョンに近いのかなと。

:ジョンはどの道に進んでもすごいことができたかもしれないですよね。でも一つ間違えたらウダツの上がらないままリバプールで人生を終えていたかもしれない。そんな危なさがジョンにはありますよね。実際、ヨーコと別居していた「ロスト・ウィークエンド」の時代は、とんでもなかったわけじゃないですか。

―ジョンが殺害されたニュースが流れたときのことも覚えていますか?

:はっきり覚えています。リビングに妹と2人でいて、NHKの臨時ニュースで一報が入ってきたんですけど、すごいショックでした。というか、何が起きているのかよくわからなかったな。夜だったのですが、家を飛び出してあちこち徘徊していました。そうしたら、なぜか公園に子どもたちがたくさん集まってジャングルジムとかで遊んでいて。結構、夜も更けていたから不思議な光景だったんですよね。ジョンが天国に迎え入れられた象徴のような光景に映った。

―ジョンの命日になってしまった12月8日にラジオで「人生のうちで2回、すばらしい選択をした。ポールとヨーコだ。それはとてもよい選択だった」と述べていますけど、その2つの出会いは大きかったと思います。

:ヨーコは自分で掴み取った出会いとも言えるよね。あのときにジョンの嗅覚が研ぎ澄まされていなかったら、ただ変なアートをやっている人、くらいにしか思わなかった。それを自分のなかの「足りない要素」として取り込んだのは、やっぱり才能なのだと思う。

銃撃された際のジョンの眼鏡を用いた銃規制を訴える広告。元はオノ・ヨーコ『Season of Glass』(1981年)のアルバムジャケット用に撮影した写真で、ヨーコ自身が手がけた

:それに比べると、ポールとの出会いは本当に奇跡みたいなものですよね。ポールみたいな相棒、欲しかったなあ(笑)。中学生の頃は「俺に足りないのはポールだ」と思って。クラスメイトを捕まえては「お前がポールか! 俺と世界を征服しようぜ」って言っていたから、みんな頭のおかしいやつじゃないかと思って逃げ回ってた(笑)。

―(笑)。

:まあ、ポールとジョンが出会うほどの奇跡はそうそうあるものじゃない。The Beatlesという存在は、混沌とした時代に降りてきた「天からの指令」なんじゃないかと思ってしまいますね。また100年くらい過ぎたら、ジョンとポールのような巡り合わせが生まれて、The Beatlesみたいな存在が出てくるかもしれないですね。時代が要請するというか……そういう意味では、まさにイエス・キリスト的だよね。

実は最近、プロテスタント系のクリスチャンになったんですよ。昔からキリスト教にも興味があったんです。ジョン・レノンも好きだけど、イエス・キリストも大好きで。

―幼少期からイングマール・ベルイマン監督の映画などを通して、「映画や小説、クラシック音楽の中に浸透している『キリスト教』のムードにどっぷり浸かっていた」と自伝(『非道に生きる』)のなかで書かれていましたよね。

:そうそう。で、今も世の中が混乱しているから、ちょっとキリスト教を浴びてみようと。とにかく俺は、何でもやりたい人だから。悪魔教だって入りたいもん。一度、悪魔教会に勧誘されたことがあるんだけど、入っておけばよかったなと思ってます(笑)。なんでも、入れば入っただけ、何かを得られるからね。統一教会に潜り込んだときも、そこでいろんなことを学んで『愛のむきだし』が作れたしね(笑)。今、あんな盗撮映画を作ったら殺されちゃうかもしれないけど(笑)。

:それはともかく、ジョン・レノン教に邁進していた時期に比べると、今の自分はちょっと俯瞰したところからジョンのことを見ているかもしれない。彼が亡くなった40歳をとっくの昔に過ぎているから、生き延びてしまった人間としての眺め方というか。もうジョンに頼るわけにもいかない自分もいて。それこそ“God”の、<And so, dear friends, you'll just have to carry on. The dream is over.(友よ、続けていくしかない。夢は終わったんだ)>ってことですよね。

混乱した時代だからこそ考えさせられる、ジョンとヨーコが体現したメッセージーー「2人が考えていた『お互いを尊重し合う世界』とはかけ離れている」

―今、「世の中が混乱している」とおっしゃいましたが、この時代をどんなふうに捉えていますか?

:1970年代が終わって、これから時代はどんどんよくなっていくと思っていたんですよね。ジョンが示した生き方や方向性もあって。地球はどんどん豊かになっていくと思っていたら、どんどんひどくなっていくことに驚いた。もしタイムマシンがあったら1960年代、1970年代に戻りたい。楽しそうだし、若者が「この時代は狂ってる!」と叫べるくらいの自由があったと思う、当時は。今はそういう時代じゃなくなってしまった。

:僕の父が地元で大学教授だったんですけど、小学生の頃に学祭に連れて行かれたら「この世の地獄」というか、みんな麻薬やってラリって飲んで騒いでフリーセックスみたいな感じで。「なんだこれは!?」と思ったんだよね(笑)。「これが大人の世界なのか、面白すぎる!」って。

それが今は、学祭ではお酒も禁止ですからね。僕が子どもの頃に夢見ていた未来とはまるで違う。もっと開かれてフリーになっていると思ったのに、まさか「閉じていく」とは思わなかった。それこそ本物の地獄だなと思うんですよ。今はもうアメリカの1930年代、1940年代みたいな感じですよね。

―漂白され、管理され尽くした社会になりつつある恐怖は確かにあるかもしれません。

:今、ハリウッドで映画を撮っているんだけど、倒れている女の子を普通に撮っているだけなのに、女性プロデューサーが「いやらしい」とか言い出して。この程度で「いやらしい」って、ハリウッドもハンフリー・ボガートの時代よりもっと遡っちゃったんじゃないのかと思いますよ。どういう時代になっていくんだろうと思いますね、ものすごく不吉です。

―ポリティカルコレクトネスと表現の自由の関係は慎重に議論する必要がありますが、現実社会を反映させた表現として映画を考えたときに、規制が増えすぎると作品のリアリティを担保することも難しくなるんだろうなと思います。

:少なくとも、ジョンとヨーコが考えていた「お互いを尊重し合う世界」とはかけ離れていると思いますね。まあ、次はそういう映画を作ろうと思って脚本を書いているところなんですよ。監視や規制が進み、本当のことを言うと捕まってしまうので誰も喋らなくなってしまった世界を描くSF。あんまり言うとネタバレになってしまうので(笑)、そのときが来たらまたたくさんお話しします。

―監督も参加したオムニバス映画『緊急事態宣言』(2020年)も、ソーシャルディスタンスを徹底し過ぎた結果、人類が滅亡するかもしれないというお話でしたよね。

:あれはファンタジーだし注文が来たから作っただけで、俺のメッセージはなるべく入れないように心がけたのですが、やはり自分の気持ちが滲み出てしまいますね。最後のセリフ「生きてるだけじゃしょうがない」とか、言っちゃったなあって思うし。そういうふうに本音がポロリと出るんだけど、なるべく炎上したくないんだよ(笑)。去年、心筋梗塞で一度死んじゃったからね、ここ1年くらいは無事で生きていたいんです。

―息苦しくなる一方の世の中で、ジョンとヨーコの存在は「自分らしく生きること」「自由であること」の大切さを改めて思い知らせてくれます。

:ジョン・レノンは何にも縛られていない存在で、それがすごく偉大だと思うんですよね。たとえば今回の展覧会でも、音楽に関する展示ってごく一部でしょ。楽譜も出てこなければ、楽器もほんのちょっとしか出てこない。音楽家の展覧会とは思えない内容なんですよね(笑)。それがすごいと思うんですよ。たとえばThe Rolling Stonesなんて、音楽抜きでやったらドラッグやっただの、逮捕されただのってエピソードしかないじゃん。

―あははは、確かにそうかもしれません。

:音楽以外で、これだけの表現ができている。たまたま近くに音楽があったからそれを使っただけで、自分の考えていることをカタチにするためには、媒体なんて何でもよかったのだと思う。音楽よりも、それで何が言いたかったかのほうが大事な人。究極を言えば「ジョンの音楽なんてどうでもいい」というか。ジョンが語ったことや、ジョンの存在そのものが音楽以上だからこそ、こんな展覧会が成立するのだけど、そういう存在はなかなかいない。

映画そのものよりも、何が言いたいのかが大事だと思っているところは、僕もジョンから勉強しているのかもしれない。「テクニックがどうのこうの、言ってる場合じゃねえだろ!」ってね(笑)。そのことを思い出させてくれた展覧会でした。

イベント情報
『DOUBLE FANTASY – John & Yoko』

2020年10月9日(金)~2021年1月11日(月・祝)予定
会場:東京都 ソニーミュージック六本木ミュージアム

リリース情報
ジョン・レノン
『Gimme Some Truth.』(2CD+1Blu-ray)輸入国内盤仕様・完全生産盤

2020年10月9日(金)発売
価格:9,350円(税込)
UICY-79255

[CD1]
1. Instant Karma! (We All Shine On)
2. Cold Turkey
3. Working Class Hero
4. Isolation
5. Love
6. God
7. Power To The People
8. Imagine
9. Jealous Guy
10. Gimme Some Truth
11. Oh My Love
12. How Do You Sleep?
13. Oh Yoko!
14. Angela
15. Come Together (live)
16. Mind Games
17. Out The Blue
18. I Know (I Know)

[CD2]
1. Whatever Gets You Thru The Night (w Elton John)
2. Bless You
3. #9 Dream
4. Steel And Glass
5. Stand By Me
6. Angel Baby
7. (Just Like) Starting Over
8. I'm Losing You
9. Beautiful Boy (Darling Boy)
10. Watching the Wheels
11. Woman
12. Dear Yoko
13. Every Man Has A Woman Who Loves Him
14. Nobody Told Me
15. I'm Stepping Out
16. Grow Old with Me
17. Give Peace a Chance
18. Happy Xmas (War Is Over)

[Blu-ray Audio]
1. HDステレオ・オーディオ・ミックス(24 bit/96kHz)
2. HD 5.1 サラウンド・サウンド・ミックス (24 bit/96 kHxz))
3. HD ドルビー・アトモス・ミックス
※36曲(CD1&CD2)のHDオーディオを収録

ジョン・レノン
『Gimme Some Truth.』(2CD)

2020年10月9日(金)発売
価格:3,960円(税込)
UICY-15941/2

[CD1]
1. Instant Karma! (We All Shine On)
2. Cold Turkey
3. Working Class Hero
4. Isolation
5. Love
6. God
7. Power To The People
8. Imagine
9. Jealous Guy
10. Gimme Some Truth
11. Oh My Love
12. How Do You Sleep?
13. Oh Yoko!
14. Angela
15. Come Together (live)
16. Mind Games
17. Out The Blue
18. I Know (I Know)

[CD2]
1. Whatever Gets You Thru The Night (w Elton John)
2. Bless You
3. #9 Dream
4. Steel And Glass
5. Stand By Me
6. Angel Baby
7. (Just Like) Starting Over
8. I'm Losing You
9. Beautiful Boy (Darling Boy)
10. Watching the Wheels
11. Woman
12. Dear Yoko
13. Every Man Has A Woman Who Loves Him
14. Nobody Told Me
15. I'm Stepping Out
16. Grow Old with Me
17. Give Peace a Chance
18. Happy Xmas (War Is Over)

ジョン・レノン
『Gimme Some Truth.』(CD)

2020年10月9日(金)発売
価格:2,750円(税込)
UICY-15940

1. Instant Karma! (We All Shine On)
2. Cold Turkey
3. Isolation
4. Power To The People
5. Imagine
6. Jealous Guy
7. Gimme Some Truth
8. Come Together (live)
9. #9 Dream
10. Mind Games
11. Whatever Gets You Thru The Night (w Elton John)
12. Stand By Me
13. (Just Like) Starting Over
14. Beautiful Boy (Darling Boy)
15. Watching the Wheels
16. Woman
17. Grow Old with MeO
18. Give Peace a Chance
19. Happy Xmas (War Is Over)

作品情報
『IMAGINE <イマジン>』

2020年10月9日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国順次公開

監督:ジョン・レノン、オノ・ヨーコ
出演:
ジョン・レノン
オノ・ヨーコ
ジョージ・ハリスン
アンディ・ウォーホル
フィル・スペクター

プロフィール
園子温 (その しおん)

1961年、愛知県生まれ。1987年、『男の花道』でPFFグランプリを受賞。PFFスカラシップ作品『自転車吐息』(1990)は、ベルリン国際映画祭正式招待のほか、30以上の映画祭で上映された。他『愛のむきだし』(2008)で第59回ベルリン国際映画祭フォーラム部門カリガリ賞・国際批評家連盟賞を受賞、『冷たい熱帯魚』(2011)で第67回ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門・第35回トロント国際映画祭ヴァンガード部門、『恋の罪』(11)で第64回カンヌ国際映画祭監督週間に正式招待される。『ヒミズ』(2012)では、第68回ヴェネチア国際映画祭にて主演二人にマルチェロ・マストロヤンニ賞をもたらした。2019年10月、Netflixオリジナル映画『愛なき森で叫べ』が全世界190か国へ配信された。



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