特集 PR

MONOEYESが示す、ロックバンドの限界突破 4人で語る5年間の結晶

MONOEYESが示す、ロックバンドの限界突破 4人で語る5年間の結晶

MONOEYES『Between the Black and Gray』
インタビュー・テキスト
矢島大地
撮影:新保勇樹 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)

MONOEYESの音が物語るもの

―その高揚感やロマンが生まれているポイントで言えば、ロックバンドのサウンドを時代の中でどう刷新して響かせるか、時代性というハードルをどう超えていくか、という視点も含まれるものですか。

細美:うーん……これは質問に答えられているかわからないけどさ、めちゃめちゃ平和で経済的にもうまくいってるときと、今まさに戦争中だっていうときに作った曲は当然同じ曲にはならないじゃない? その両極だけじゃなくて、その間の状況もたくさんあって。自分も社会の一員として生きてるし、世の中を意図的に見て音楽をやっているっていうよりは、社会や政治、世界のことを知っていくことが当然、作品にも反映されるもんだと思ってる。

で、今の話で言うと……たとえば俺の作った車が走る世界が超危険だったら、窓は防弾にしようっていう発想が自然に出てくるよね。そういうふうに、音楽って社会から影響を受けるもんだと思ってるからさ。

MONOEYES“Bygone”を聴く(Apple Musicはこちら

―影響を受ける以上に、音楽をはじめとする表現全般が社会の写し鏡であるとも言えますよね。

細美:だから、もっと気楽に生きられる世の中なら、気楽なアルバムができてるかもなとも思うんだよね。だけど今は、強さが必要な時代でさ。少なくとも俺の中では、自分が生きていく上での強さを自分で集めていくことが必要だなと思ってるので、そういう気持ちは曲にも詞にも反映されてるんじゃないかな。

―それこそ“Bygone”や“Fall Out”、あるいは“Outer Rim”などでは、世の中の喧騒や混沌、人と人が受容し合えない空気に対して自分はどう生きていくのか、どう抜け出していくのか、という態度が表明されているように感じましたし、その視線がアグレッシブで前向きなものになっているように思いました。

細美:うん。でも勘違いしてほしくないのは、そういう世相の影響みたいなものは、何作ってたって、多分メシ作ってたって勝手に入り込んでくるよね、って話で。やっぱり俺は歌が日常のエッセイになっちゃうのは嫌なんだよね。あくまで無自覚に作品に反映されてしまうっていう程度の話であって、曲はあくまで作品だから。だから俺の作品作りは常に、社会に対する何たるかってことなんかよりも、自分のマスターピースを作りたいっていう一心だけだよ。

細美武士

細美:逆に、歌詞に俺のエッセイを書き始めちゃったなんて思ったら、書き直したくなるんじゃないかなあ。“Fall Out”の詞だって、こうして書き上げたやつをあとから眺めてると、やっぱり時代の中で人がユニフォームされていくことに対する反発とか、俺は一抜けるからお前らで勝手にやってろよっていう歌になってると思うんだけどさ、でもそれって俺個人の感覚っていうよりは、普遍的に追及され続けたテーマだと思うよ。

―そうですね。抑え込むものへの反発と逸脱。

細美:社会が人間を画一的にしていくことに対する反発みたいなものは、音楽であろうと映画であろうと絵画であろうと、延々と繰り返されて提示されている命題じゃん。時代が平成であろうと令和であろうと、昭和であろうと、その命題に対する取り組みっていうのは、様々なアーティストに委ねられてきたと思うんですよ。俺もその一翼でしかないし、俺が前向きになったとか、そういう単純なことでもないんだよね。

MONOEYES“Fall Out”を聴く(Apple Musicはこちら

細美:結局、テーマとしては毎回、「人間が人間らしくあることって何?」みたいな部分で通底してるだけっていうか。なんなら、俺の楽曲全部がそうなんじゃないかな。だから誰かに向けたメッセージではないし、自分のエッセイでもなくて、詞になる言葉ってのは基本的に、歌が出てきた時点ですでに内包されているものってだけなんですよね。

「自分の一番近くにいる人を一番大事にできない人間はカッコ悪いなと思うようになってきた」

―はい。メッセージというよりは、ご自身のメロディーと歌そのものが持っているものをちゃんと翻訳して作品にしていくのが歌詞だと以前にもお話していただきましたよね。

細美:だって、社会に対して何か言いたいだけなら、活動家になったほうが早いでしょ。だから、もし歌詞を書いたり曲を作ったりすることで社会に影響を与えたいっていう側面が俺の中にあるとしたら、カッコいいアルバムで人のテンションを上げて、疲れてる人でもランニング行きたくなればいいなとか。それくらいなんだよね。

ただ、もし今の世界がユートピアみたいで、愛に溢れてて、人と人が助け合ってて、温暖化も災害もない状況だったら、俺の作る曲はもっとハッピーなものになってるかもなあ、って気はするね。

―細美さんご自身の、どこを見てもユートピアではない時代を生きる視点とはどんな形で表れてくるものですか。

細美:誰もがそうではないかもしれないけど、自分の一番近くにいる人を一番大事にできない人間はカッコ悪いなと思うようになってきた。誰に対しても平等に付き合う人間より、自分と距離が近いやつをちゃんと大事にできるほうが好き。好みの問題だけど。

細美武士

―大きな視点、大きなユナイトよりも、目の前の人との間にある実感を大事にする生き方こそが、今のリアルな闘い方になってくる。

細美:俺の場合はどんどんその純度が上がってきてるのを感じるんだよね。単純に、生き残ってかなきゃいけないじゃん。仲間のためにも、家族のためにも。そのための強さは、今一生懸命かき集めてる最中だから。それが曲の中にも入ってくるのは自然だと思うし、俺がこの社会で生きている人間である以上、リンクする部分はあるのかもしれないね。

―自分の大事な仲間や生きている場所をちゃんと守れることが、今を生きていくための強さだと。

細美:物理的に体を鍛えるのも単純に強さだと思うし、あれもこれも大事で何も選べないから結局何も守れない、みたいな人間にはなりたくないからね。で、俺はそういう強さとカッコよさを仲間から学んできたつもり。もちろんバンドのメンバーも含めてね。みんなの喋り方や生き方を見て、俺に足りないものをいつも見つけてるっていう感じですね。

―それは細美さんがロックバンドを求め続ける根源的な部分ともリンクするお話のようにも思うんですが、ご自身ではどうですか。

細美:ロックバンドを求め続けるっていうか、俺はたまたま付き合ってた連中がバンドマンたちだったってだけだよ。根源的とかそういう話じゃないけれど、MONOEYESの場合は曲のパワーを最大限に活かして仕上げてくれるから、めっちゃ突っ込んで作曲できる。ソングライターとしてはそれほど幸せなことはないですよね。

MONOEYES“Nothing”を聴く(Apple Musicはこちら

Page 3
前へ 次へ

リリース情報

『Between the Black and Gray』
MONOEYES
『Between the Black and Gray』(CD)

2020年9月23日(水)発売
価格:2,640円(税込)
UPCH-20560

1. Bygone
2. Fall Out
3. リザードマン
4. Iridescent Light
5. Thermite
6. Castles in the Sand
7. Nothing
8. Satellite
9. Interstate 46
10. Outer Rim
11. 彼は誰の夢

イベント情報

『MONOEYES Semi Acoustic Live Tour 2020』

2020年10月1日(木)
会場:北海道 Zepp Sapporo

2020年10月2日(金)
会場:北海道 Zepp Sapporo

2020年10月10日(土)
会場:宮城県 仙台GIGS

2020年10月11日(日)
会場:宮城県 仙台GIGS

2020年10月24日(土)

会場:大阪府 Zepp Osaka Bayside

2020年10月25日(日)
会場:大阪府 Zepp Osaka Bayside

2020年11月8日(日)
会場:広島県 広島クラブクアトロ

2020年11月9日(月)
会場:広島県 広島クラブクアトロ

2020年11月12日(木)
会場:愛知県 Zepp Nagoya

2020年11月13日(金)
会場:愛知県 Zepp Nagoya

2020年11月22日(日)
会場:熊本県 熊本城ホール シビックホール

2020年11月24日(火)
会場:福岡県 Zepp Fukuoka

2020年11月5日(水)
会場:福岡県 Zepp Fukuoka

2020年12月1日(火)
会場:東京都 Zepp Tokyo

2020年12月2日(水)
会場:東京都 Zepp Tokyo

『MONOEYES「Between the Black and Gray Live on Streaming 2020」』

2020年10月19日(月)20:00~
料金:前売券 2,500円 / 当日券 2,500円
受付期間:2020年10月3日(土)12:00~2020年10月26日(月)20:00
アーカイブ期限:2020年10月26日(月)23:59まで

プロフィール

MONOEYES
MONOEYES(ものあいず)

細美武士(Vo,Gt)、戸高賢史(Gt)、スコット・マーフィー(Ba,Cho)、一瀬正和(Dr)からなるロックバンド。当初は細美のソロとして始動し、2015年6月にデビュー。同年に1stアルバム『A Mirage In The Sun』を発表。以来、全国ツアーをコンスタントに展開し、2020年9月23日に3rdアルバム『Between the Black and Gray』をリリースした。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

岩井勇気(ハライチ)『ひねくれとか言われても俺はただ自分が進みたい道を選んでるだけ』

ドリームマッチでの『醤油の魔人 塩の魔人』、ラジオで突如披露した推しキャラケロッピをテーマにしたEDM調楽曲『ダメダメケロッピ』など、音楽的な才能に注目が集まる岩井勇気。今回はミツカン「こなべっち」とタッグを組み、自らがマイクを取ってラップに挑戦。しかもこの動画、岩井がこれまでラジオや書籍の中で言及してきた、珪藻土のバスマットや、海苔、メゾネットタイプの部屋、クラウス・ノミなどのネタが詰まっていて、まさか岩井さんの自宅なのでは……? と隅々まで見てしまう。つぎはぜひ、自作のトラックとリリックによる曲が披露されることを待っています。(川浦)

  1. 荘子itが執筆 『スパイの妻』の「軽さ」が持つ倫理的な意味とは 1

    荘子itが執筆 『スパイの妻』の「軽さ」が持つ倫理的な意味とは

  2. あがた森魚が引退を発表、渋谷CLUB QUATTROで100人限定ワンマンライブ開催 2

    あがた森魚が引退を発表、渋谷CLUB QUATTROで100人限定ワンマンライブ開催

  3. 曽我部恵一と語る、個に還れない時代のリアル 人はなぜ踊るのか? 3

    曽我部恵一と語る、個に還れない時代のリアル 人はなぜ踊るのか?

  4. 山崎賢人&土屋太鳳W主演 Netflix『今際の国のアリス』場面写真公開 4

    山崎賢人&土屋太鳳W主演 Netflix『今際の国のアリス』場面写真公開

  5. 『ハリー・ポッターと賢者の石』初の3D上映が全国の4D劇場82館で実施 5

    『ハリー・ポッターと賢者の石』初の3D上映が全国の4D劇場82館で実施

  6. 星野源、長谷川博己、新田真剣佑、橋本環奈、浜辺美波が先生役 ドコモ新CM 6

    星野源、長谷川博己、新田真剣佑、橋本環奈、浜辺美波が先生役 ドコモ新CM

  7. のん×橋本愛が7年ぶり共演『私をくいとめて』予告編&ビジュアル公開 7

    のん×橋本愛が7年ぶり共演『私をくいとめて』予告編&ビジュアル公開

  8. 表層的なのは嫌。市川渚が重んじる本質と、こだわり抜かれた生活 8

    表層的なのは嫌。市川渚が重んじる本質と、こだわり抜かれた生活

  9. シム・ウンギョンが日本映画に挑戦したわけ。韓国人気女優の素顔 9

    シム・ウンギョンが日本映画に挑戦したわけ。韓国人気女優の素顔

  10. 『アングスト/不安』の怖さ。殺人が論理的答えとして導き出される 10

    『アングスト/不安』の怖さ。殺人が論理的答えとして導き出される