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MONOEYESが示す、ロックバンドの限界突破 4人で語る5年間の結晶

MONOEYESが示す、ロックバンドの限界突破 4人で語る5年間の結晶

MONOEYES『Between the Black and Gray』
インタビュー・テキスト
矢島大地
撮影:新保勇樹 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)

メンバーやエンジニアらとの緊密な制作によって、MONOEYESのサウンドはバンドとしてかつてない領域へ

―このバンドで培ってきた音楽性以上に、人生の中で培ってきた音楽への興味や高揚を全開放できる場所がMONOEYESというか。

細美:なんか大袈裟な話になってるけど(笑)。まあスコットと俺、ソングライターがふたりいるのも大きいんじゃない? スコットから“Borders & Walls”みたいなアイリッシュパンクが来るかもしれないし、“Roxette”みたいな8ビートが来るかもしれないし、ハードコアマナーなのが出て来るかもしれない。だけど、お互いの作ったものを組み合わせていくと、ひとつの塊になっていく。それは結構面白いんだよね。

俺が全曲1人で書き上げてたらこういうアルバムにはならないだろうし、打ち合わせも予想もしない中でお互いが必死に曲作った結果、創作の偶然性みたいなものが生まれる。その偶然性みたいな部分まで信頼できているし、楽しめてるから、俺は存分に自分のソングライティングを解放できるんだと思う。

MONOEYES“Iridescent Light”を聴く(Apple Musicはこちら

―なるほど。“Fall Out”ではリズミカルな歌唱を獲得されていますし、あくまでダイナミックなロックサウンドの中でも、過去最も音楽的に芳醇なアルバムになっている理由もよくわかります。

細美:100のアイデアがあったとして、その上に、さらに500くらいの決断を経て曲は形になっていくからね。結局アルバムのどの部分を誰が、っていう話になると、完成した瞬間にはもうどうでもいい話だし、それが面白い。たとえば今回のアルバムだと、スコットが書いた4曲目の“Iridescent Light”が始まる瞬間が個人的には一番好きなんだけど。そういうことが起きるっていうのは、MONOEYESの作品を作るにあたってとても重要な偶然性なのかなと思っていて。

―“リザードマン”の疾走感に続いて、あのイントロでさらに光が差しますよね。偶然性を「制約のなさ」として存分に楽しめるのは、バンドへの信頼が強まったということなんですか。

細美:そもそも俺は信頼できないやつとバンドやったことなんてないよ(笑)。しかもこのバンドは俺がみんなに声をかけたところから集まってるから、そもそも大好きな人間しかいないし、プレイヤーとしても最高の信頼を置ける人だけで構成されてるよ。

その前提があった上で、さらにツアーを重ねることで生まれたものっていうのはーー誰かがコケそうになったらそいつを起こしにいくやつがいるのかとか、そういう部分の最高さを実感できたってことなんじゃないかな。で、そういう仲間と一緒にやれていれば、俺はいくらでもメロディーを書けるって思うんだよね。

MONOEYESアーティスト写真
MONOEYESアーティスト写真

―それは、R&Bをはじめ現行のポップミュージックを多分に消化しているソングライティングの新しさにもリンクする感覚ですか。

細美:俺は音楽をあんまりジャンルで聴いてないけどね。自分たちにとって新しいサウンドを作りたいっていうのは毎回思ってるけど、それは音楽的に新しいか古いかっていうポイントじゃなくて、根本はもっと原始的な高揚なんだよね。だって俺は今日本で何が流行ってるのかもよく知らないし、制作してる間は、世界のバンドやミュージシャンがどんな音楽を目指してるかなんて知らないで没頭するわけじゃん。でも1年くらい制作していたミュージシャンたちがある時期に揃って作品出したら、割とみんな同じ方を向いてることも多いよね。

きっとミュージシャンって単体で生きているわけじゃないし、音楽を含めた社会の流れで根底で繋がってるものなんだと思うんだよ。曲を作るっていうことも方法論云々じゃなくてさ、この世界で生きている人間としての野性だし、むしろ方法論なんてものはあっちゃダメだと思うんだよ、特にロックバンドはね。

「俺たちはいつだって、何を作ってるときだって、世界で一番カッコいいアルバムを作りたいと思ってるんだよ」

―溢れ出るものを純粋に表現したいし、だからこそ「制約がない」っていう言葉を使われるわけですよね。

細美:自分の肉体がどういう音を出したいか、何に反応するかっていうのに正直にやっていくだけだからね。もちろん、歳を取っただけ何をピックアップするのかは上手くなっていくとは思うんだけど、根本の野性から生まれてくるものは、このバンドでは特に無限だと思えてるんだよね。

―お話すると毎回思うんですが、今の時代では特にロックバンドの編成や音楽をある種の制限だと見る向きがある中で、それを無限だと言い切れるところに夢があると思いますし、だからこそ生まれた素晴らしいアルバムだと感じます。

細美:俺は音楽理論とかを勉強する機会はなかったけど、自分の好きなメロディーは野性的に探せる。スケールもコードフォームも知らないけど、「この音に鳴ってほしい」っていうのは常に頭の中にある。でも、ロックバンドなんてそういうもんでしょって思うんだよね。ドレミファソラシドがあって、白鍵の間に黒鍵があるくらいだけど、自分の頭に流れる電流みたいなもの、高揚を追い求め続けることで、むしろ新しいものは無限に作れるって思うんですよね。そこは今回のアルバムでもちゃんとやれた部分なんじゃないかな。

一瀬:そうだね。何かを更新しよう、ロックを刷新しよう、みたいなモードでもなく、ただただいいアルバムを作ろうっていうだけだったけど、いい曲を最高の形で聴かせるためのサウンドと楽器とアレンジが、ひとつに上手くパッケージングできてるのは間違いないと思う。だから結果として新しいものになっているなら嬉しいし、もっともっと突き詰めて作れるんだなっていうことが実感できましたね。

左から:一瀬正和、スコット・マーフィー
左から:戸高賢史、細美武士

戸高:コロナによってスケジュールが真っ白になったわけですけど、その中でいろんなことを考えて、改めて時間は無限ではないっていうことを思ったし、いつまでバンドをやれるかわからないっていう当たり前のことを実感したんですよ。だからこそ、いいものしか残したくないって気持ちがさらに強くなって。もう余計なことなんかやりたくないし、カッコいいと思ったものを、カッコいいと思えるメンバーで、ピシッと刻みつけたい。今回はそういう思いが強くあったんですよね。だから無駄もないし、間違いなく今のベストですね。

細美:俺たちはいつだって、何を作ってるときだって、世界で一番カッコいいアルバムを作りたいと思ってるんだよ。この先も、作品を作るなら常にそこを目指すと思うの。誰かに負けてるつもりなんて端からないんだけど、このバンドを5年やってきたことで、今話してくれたような思いがより一層形にしやすくなったんだよね。コロナでいつも通りのツアーはできないけど、また時を重ねることによって、もう一歩、理想に近づけるのかもしれないし、そのモチベーションはずっと変わることがないと思います。

MONOEYES『Between the Black and Gray』ジャケット
MONOEYES『Between the Black and Gray』ジャケット(Amazonで見る
MONOEYES『Between the Black and Gray』を聴く(Apple Musicはこちら

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リリース情報

『Between the Black and Gray』
MONOEYES
『Between the Black and Gray』(CD)

2020年9月23日(水)発売
価格:2,640円(税込)
UPCH-20560

1. Bygone
2. Fall Out
3. リザードマン
4. Iridescent Light
5. Thermite
6. Castles in the Sand
7. Nothing
8. Satellite
9. Interstate 46
10. Outer Rim
11. 彼は誰の夢

イベント情報

『MONOEYES Semi Acoustic Live Tour 2020』

2020年10月1日(木)
会場:北海道 Zepp Sapporo

2020年10月2日(金)
会場:北海道 Zepp Sapporo

2020年10月10日(土)
会場:宮城県 仙台GIGS

2020年10月11日(日)
会場:宮城県 仙台GIGS

2020年10月24日(土)

会場:大阪府 Zepp Osaka Bayside

2020年10月25日(日)
会場:大阪府 Zepp Osaka Bayside

2020年11月8日(日)
会場:広島県 広島クラブクアトロ

2020年11月9日(月)
会場:広島県 広島クラブクアトロ

2020年11月12日(木)
会場:愛知県 Zepp Nagoya

2020年11月13日(金)
会場:愛知県 Zepp Nagoya

2020年11月22日(日)
会場:熊本県 熊本城ホール シビックホール

2020年11月24日(火)
会場:福岡県 Zepp Fukuoka

2020年11月5日(水)
会場:福岡県 Zepp Fukuoka

2020年12月1日(火)
会場:東京都 Zepp Tokyo

2020年12月2日(水)
会場:東京都 Zepp Tokyo

『MONOEYES「Between the Black and Gray Live on Streaming 2020」』

2020年10月19日(月)20:00~
料金:前売券 2,500円 / 当日券 2,500円
受付期間:2020年10月3日(土)12:00~2020年10月26日(月)20:00
アーカイブ期限:2020年10月26日(月)23:59まで

プロフィール

MONOEYES
MONOEYES(ものあいず)

細美武士(Vo,Gt)、戸高賢史(Gt)、スコット・マーフィー(Ba,Cho)、一瀬正和(Dr)からなるロックバンド。当初は細美のソロとして始動し、2015年6月にデビュー。同年に1stアルバム『A Mirage In The Sun』を発表。以来、全国ツアーをコンスタントに展開し、2020年9月23日に3rdアルバム『Between the Black and Gray』をリリースした。

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