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高井息吹、一粒の音の奥にあるもの 新井和輝、君島大空と見つめる

高井息吹、一粒の音の奥にあるもの 新井和輝、君島大空と見つめる

高井息吹『kaléidoscope』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:松永つぐみ 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)

高井息吹が、新作EP『kaléidoscope』をリリースした。前作『世界の秘密』から約3年ぶりとなる本作には、彼女のバンド編成「高井息吹と眠る星座」のメンバーとして、兼ねてより活動を共にしてきた新井和輝(King Gnu)と君島大空が、共同制作・プロデュースとして名を連ねている。さらに本作には、石若駿(CRCK/LCKSほか多数)と勢喜遊(King Gnu)というふたりのドラマーも参加。

そんな、濃密な才能の混ざり合いのなかから産み落とされたこのEPは、「万華鏡」という意味のその名が示すように、極彩色の音の重なりの奥に、愛した人の面影のような、鏡に映る自分のような、いつか聴いた誰かの歌声のような――そんな幻影を映し出す、美しく魅惑的な作品だ。幻想的な音像が描くサイケデリアや、泡沫のように浮かんで弾けるエレクトロトラック、温かく勇猛なバンドサウンドなど、曲ごとに見せる様々な音楽的フォルムの奥に、ひとりの人間の、確かな呼吸が聴こえてくる。

この先、高井息吹の音楽人生を振り返ったとき、きっと大きなターニングポイントとして記憶されるであろう、この作品はどのようにして生まれたのか、高井、新井、君島の3人に集まってもらい、話を聞いた。作品の話はもちろんだが、まずは星座が眠りについた頃の話から、語り合ってもらおう。

高井息吹(たかい いぶき)<br>1993年生まれ。5歳からクラシックピアノをはじめる。幼い頃から自分で聴いた音楽をピアノでアレンジして弾いていた。その後、吹奏楽やバンドなど様々なスタイルの音楽に触れる。ポップス、ロック、クラシック、ジャズ、オルタナティヴミュージックなどに音楽的な刺激を受け、19歳のころに本格的に作詞作曲・弾き語りを始める。2020年11月4日にEP『kaléidoscope』をリリースした。
高井息吹(たかい いぶき)
1993年生まれ。5歳からクラシックピアノをはじめる。幼い頃から自分で聴いた音楽をピアノでアレンジして弾いていた。その後、吹奏楽やバンドなど様々なスタイルの音楽に触れる。ポップス、ロック、クラシック、ジャズ、オルタナティヴミュージックなどに音楽的な刺激を受け、19歳のころに本格的に作詞作曲・弾き語りを始める。2020年11月4日にEP『kaléidoscope』をリリースした。
高井息吹『kaléidoscope』を聴く(Apple Musicはこちら

福生~立川という西東京地区で育った3人。当時からベースマンとして名を馳せていた新井和輝が、はじめて高井息吹と出会った日のこと

―まずはみなさんがどのようにして出会い、「高井息吹と眠る星座」が生まれたのか、というお話から聞かせてください。

高井:私の最初のアルバム(2015年にEve名義で発表した『Yoru Wo Koeru』)に入っている“きりん座”という曲をバンドでレコーディングするために集まったのが眠る星座のメンバーなんですけど、そもそも、みんな地元が近かったんです。

眠る星座がはじまる前から、私と君島とドラムの航(眠る星座のドラマー坂田航)は、たまにスタジオに入って遊んでいて。で、新井さんは、君島とも航とも私とも別のラインで繋がりがあって。3人で遊んでいたときに、「ちょっと新井さんも呼んでみようよ」っていうことになった日があったんですよね。初めてみんなで会ったのは、そのときなんです。

新井:その日、覚えてるわ。スタジオペンタの2階だよね。もともと俺と航が高校の軽音楽部の先輩後輩の関係で、君島とは、福生のチキンシャックっていう老舗のセッションバーで高校生の頃に出会っていて。で、息吹ちゃんは、立川エリアのライブハウスで俺が演奏しているのを観たことあったみたいで。

息吹ちゃんと直接出会ったのは大学生になってからなんですけど、息吹ちゃんのお兄さんがトロンボーン奏者で、俺は大学の頃、そのお兄さんに世話になっていて、そんな感じで、各々の繋がりがあったんです。で、あの日、ペンタの2階で全員が揃ったっていう。

左から:高井息吹、新井和輝(King Gnu)、君島大空
左から:高井息吹、新井和輝(King Gnu)、君島大空
高井息吹“きりん座”を聴く(Apple Musicはこちら

高井:私、あの日が人生で一番緊張した。新井さんが入ってきて、「ちょっとソロ弾いてみて?」って言われて。未だに、あの緊張を超えた経験がないくらい。当時から、一緒に演奏できるのが目標の人だったから。緊張したなあ。

君島:「ほんとに和輝さん来た!」ってなったよね。僕はチキンシャック以外で和輝さんと会ったのは、そのときが初めてだったと思う。

―当時から新井さんは有名だったんですか?

高井:有名でした。新井さんが高校の頃にやっていたバンドは、西多摩のほうで有名だったんです、西多摩新聞にも載るくらい(笑)。私がいた軽音部の部室には、新井さんのバンドの記事が切り取って貼ってあって。

新井:マジか(笑)。

「今、一緒にやっているミュージシャン連中のなかでは、君島が一番、付き合いが古いかもしれない」(新井)

―新井さんと君島さんがチキンシャックで出会ったときの話も伺いたいです。

君島:福生に、なんというか……とても煌びやかな歓楽街があって(笑)、そこにチキンシャックはあるんですよね。僕は、親父が若い頃に福生で遊んでいたのもあって、小さい頃にチキンシャックに連れていってもらったこともあったんです。その流れで、親父に「ちょっと行ってこいよ」とせっつかれてひとりでも通うようになったんですけど、そこですぐに和輝さんと出会って。

新井:チキンシャックの毎週木曜日の無料セッションに、俺は高1の頃から通いはじめたんですけど、1個上には、当時高校2年生だった岡田拓郎くん(ex.森は生きている)がいたんですよね。俺は彼にいろんな音楽を教えてもらっていて。で、俺が高3になったときに、高1の君島がポンッと来たんです。当時は、俺と岡田くんみたいな若い連中か、常連のおじさんかっていう2層式になっていたんですけど、突然やってきた君島が高い位置にギターを構えてゴリゴリの速弾きをしはじめて、俺と岡田くんが「うおっ、なんか来たぞ!」となり(笑)。

左から:高井息吹、新井和輝、君島大空

君島:当時はテクニカルフュージョンみたいなのが好きだったんですよね(笑)。当時、和輝さんはヤマハの5弦ベースを弾いていましたよね。「今日、試験だったんですよー」とか言いながら学生服でベースを弾いていて、「めちゃくちゃ上手いな、この人!」って驚きました。僕は和輝さんから、「上原ひろみのこれを聴きなよ」とか、いろいろ教えてもらっていて。岡田さんにはいびられたり、いじられたりしましたけど(笑)。

新井:(笑)。そう考えると、今、一緒にやっているミュージシャン連中のなかでは、君島が一番、付き合いが古いかもしれない。18歳の頃からだから、もう10年になる。

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リリース情報

高井息吹『kaléidoscope』
高井息吹
『kaléidoscope』(CD)

2020年11月4日(水)発売
価格:2,000円(税込)
APLS2009

1. -daydream-
2. 瞼
3. 幻のように
4. サリュ・ピエロ
5. ハローグッバイ
6. -in a dream-
7. 万華鏡

プロフィール

高井息吹
高井息吹(たかい いぶき)

1993年生まれ。5歳からクラシックピアノを始める。幼い頃から自分で聴いた音楽をピアノでアレンジして弾いていた。その後、吹奏楽やバンド等様々なスタイルの音楽に触れる。ポップス、ロック、クラシック、ジャズ、オルタナティヴミュージック等に音楽的な刺激を受け、本格的に作詞作曲・弾き語りを始めたのは19歳の頃。現在は都内を中心に、バンドセット「高井息吹と眠る星座」を含め、精力的にライブ活動を行っている。2020年11月、長らく音楽活動を共にする新井和輝(King Gnu)と君島大空を共同制作・演奏陣として迎え、King Gnuのドラマー勢喜遊、ドラマー石若駿によるバックアップによって完成させた『kaléidoscope』をリリース。

新井和輝(あらい かずき)

1992年10月29日生まれ、東京都福生市生出身。高校でジャズに目覚め、大学時代に深く傾倒する。日野“JINO”賢二と河上修に師事。King Gnuのベーシストとして活動するほか、君島大空合奏形態や「高井息吹と眠る星座」などでも演奏している。

君島大空(きみしま おおぞら)

1995年生まれ、日本の音楽家。2014年から活動をはじめる。同年からSoundCloudに自身で作詞 / 作曲 / 編曲 / 演奏 / 歌唱をし、多重録音で制作した音源の公開をはじめる。2019年3月13日、1st EP『午後の反射光』を発表。4月には初の合奏形態でのライブを敢行。2019年7月5日、1stシングル『散瞳/花曇』を発表。2019年7月27日、『FUJI ROCK FESTIVAL'19』 ROOKIE A GO-GOに合奏形態で出演。同年11月には合奏形態で初のツアーを敢行。2020年1月、Eテレ・NHKドキュメンタリー『no art, no life』の主題曲に起用。2020年7月24日、2ndシングル『火傷に雨』を、同年11月11日にはEP『縫層』を発表。ギタリストとして、高井息吹、坂口喜咲、婦人倶楽部、吉澤嘉代子、adieu(上白石萌歌)などのアーティストのライブや録音に参加する一方、劇伴、楽曲提供など様々な分野で活動中。

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