インタビュー

BIM、ソロ活動3年を総括。呪縛を振り払って見つけた自分らしさ

BIM、ソロ活動3年を総括。呪縛を振り払って見つけた自分らしさ

インタビュー・テキスト
三宅正一
撮影:小田部伶 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)
2020/12/25

2020年、表現活動が足踏み状態になるのを余儀なくされる、あるいは自ら止まることを選んだアーティストが多い中、BIMというラッパーは精力的な動きを見せた。まだあどけなさが残る10代だった2011年に3人組のヒップホップクルー、THE OTOGIBANASHI'S及びその兄弟関係にあたる総合的なクリエイティブチーム、CreativeDrugStoreの中心メンバーとしてデビューし、一躍注目を集めた彼も今年で27歳になった。

至極マイペースに歩んでいたTHE OTOGIBANASHI'Sの季節を経て、BIMがソロ始動したのは2017年。MVを制作した“Bonita”や所属レーベル、SUMMITの先輩であるPUNPEEを客演に迎えた“BUDDY feat. PUNPEE”でフレッシュなポップネスを開放し、2018年7月にリリースした1stアルバム『The Beam』でソロラッパーとしての存在感を示した。

どちらかと言えばTHE OTOGIBANASHI'S時代から多作家というよりは寡作家のイメージがあり、おそらく本人もそれを否定しないだろうがしかし、2020年は2月にミニアルバム『NOT BUSY』、そしてそれからわずか半年後の8月に2ndアルバム『Boston Bag』をリリース。COVID-19の影響でツアーの延期を重ねざるを得ない中、オンラインを含めて印象的なライブパフォーマンスも披露してみせた。

また、BIMにとって2020年はさまざまなアーティストと交わることで自らのラッパーとしてのアイデンティティやリアリティと向き合い、研鑽を積み、そのスキルとクリエイティビティを高めた1年でもあった。自身の作品ではkZm(YENTOWN)、SIRUP、Bose(スチャダラパー)、STUTS、KEIJU(KANDYTOWN)、高城晶平(cero)、Cwondo、No Busesを客演に招き、さらに木村カエラやBES、G.RINAの楽曲に呼ばれヴァースをキックした。

この顔ぶれの多彩さには驚かされると同時に今の彼がいかに高い求心力を誇っているのかがよくわかる。しかし、彼は10代から最近まで長らく同業者やコアなリスナーにラッパーとして認められていないという、ある種の被害妄想も含むコンプレックスを抱えていたという。そんな彼にどのような意識変化が起こり、多くの音楽仲間と交歓しながら活き活きとラップする現在地にたどり着いたのか。その軌跡を語ってもらった。

BIM(ビム)<br>1993年生まれ、東京と神奈川の間出身。THE OTOGIBANASHI'S、CreativeDrugStoreの中心人物として活動。2017年より本格的にソロ活動をスタート。最新作は、2020年8月に発表した2ndアルバム『Boston Bag』。
BIM(ビム)
1993年生まれ、東京と神奈川の間出身。THE OTOGIBANASHI'S、CreativeDrugStoreの中心人物として活動。2017年より本格的にソロ活動をスタート。最新作は、2020年8月に発表した2ndアルバム『Boston Bag』。

G.RINA“WHITE NIGHT feat BIM”を聴く(Apple Musicで聴く / Spotifyで聴く

BIM、2020年の快進撃の理由。周りの目やコンプレックスから解放されて、「こうしなきゃいけない」から「こうしたい」へ

―BIMくんは多作家か寡作家で言ったら後者のイメージがあったんですね。でも、2020年はさまざまなラッパー、シンガー、ビートメイカー、あるいはバンドとも交わりながらミニアルバム『NOT BUSY』とアルバム『Boston Bag』をリリースしたことですごく前進したと思います。『NOT BUSY』のリリースタイミングで話を聞いたときは「次はいつ出すか本当にわからない」と言っていたから、このスピード感は意外でもあって。

BIM:そうですね(笑)。

―何がBIMくんの制作意欲に火をつけたんですか?

BIM:脳で考える進歩というよりも、ラップをするときの運動神経的な筋肉が付いてきたのかなと思っていて。今までだったら「こういうことをラップで言いたい、それを言うためにはこういうフロウでやろう」と着地するまでに時間がかかっていて。

でも、今年になってから「この曲は一度ノリでやってみるか」ってはじめてみたらスルッとそのまま着地までいけることが多くて。そうすると、自然と言いたいことが言えるし、今日の今日、今思ってることを書けるようになって。「これでいいか」というより「これがいい」というラップができるようになったんですよね。

BIM

―それができるようになった要因を自己分析できますか?

BIM:1stアルバム(2018年7月にリリースした『The Beam』)をリリースしてから、それまで気にしていた同世代のラッパーやバンドに置いていかれている感じやヘイターの目を気にしていた感じからちょっと解放されて。自分の好きなようにやってもいいんだなって思えたのはありますね。「好きにやっても許されるんだ」という意識が曲を作りやすくなった要因になってると思います。

―ある種のコンプレックスが解消された。

BIM:そうですね。未だに自分より活躍している人を見て「いいな」と思うことはありますけど、曲を作ってるときは一切そういうことを気にしなくなったかもしれない。

特に『NOT BUSY』を作ってからそうなれたように思います。「こう思われるからやめておこう」じゃなくて、「こういうふうにラップしたらこう思われるかもしれないけど、まあいいか」って思考になった。そのときパッと出てきた言葉を曲にしても取り返しのつかないことになるわけではないし。

たとえ誰によく思われても、悪く思われても、それでいいっていう。別の曲でこういうことをラップしたから、こういうことをラップしなきゃいけないわけでもないし、今まで言ってきたことと真逆のことを言っちゃっても、今の自分が本当にそう思ってるならそれでいいかなって。

BIM“Wink”を聴く(Apple Musicで聴く / Spotifyで聴く

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リリース情報

BIM『Boston Bag』
BIM
『Boston Bag』

2020年8月28日(金)配信
SMMT-153

1. Get Gas (Hey You Guys) [Prod. by Rascal]
2. Veranda [Prod. by STUTS]
3. 三日坊主 [Prod. by Rascal]
4. One Love feat. kZm [Prod. by G.RINA]
5. Jealous feat. KEIJU [Prod. by Rascal]
6. Cushion [Prod. by Astronote]
7. 想定内 [Prod. by STUTS]
8. Tokyo Motion feat. 高城晶平 [Prod. by STUTS]
9. Good Days feat. Cwondo[Prod. by Cwondo]
10. Time Limit [Prod. by 熊井吾郎]
11. Non Fiction feat. No Buses [Prod. by No Buses]

BIM『NOT BUSY』
BIM
『NOT BUSY』

2020年2月12日(水)配信
SMMT-137

1. Wink
2. Runnin' feat. kZm, SIRUP
3. Yammy, I got it
4. KIRARI Deck
5. Be feat. Bose
6. WANTED

プロフィール

BIM
BIM(ビム)

1993年生まれ、東京と神奈川の間出身。THE OTOGIBANASHI'S、CreativeDrugStoreの中心人物として活動。グループとして『TOY BOX』(2012年)、『BUSINESS CLASS』(2015年)の2枚のアルバムをリリース。2017年より本格的にソロ活動をスタート。2018年7月、初のソロアルバム『The Beam』を発表。2019年、ワンマンライブ『Magical Resort』を東京、大阪にて開催。同年、SIRUPとの“Slow Dance”、STUTS, RYO-Zとの“マジックアワー”が発表され、シングル“Veranda”をリリース。2020年2月にミニアルバム『NOT BUSY』リリース。3月には木村カエラのアルバムタイトル曲"ZIG ZAG"にプロデュース、客演で参加した。7月には赤坂BLITZにて無観客配信ライブ『Bye Bye, BLITZ』を開催し、8月に2ndアルバム『Boston Bag』を発表。

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